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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 立て続けに劇場へ。こちらは厳密には「劇場版」とは銘打たれておらず、3週間限定公開の、あくまでも「外伝」という立ち位置。「劇場版」は今後製作予定の作品のことだ。本来の予定なら、来春公開予定の「劇場版」への繋ぎというか、ステップとして軽めのものを一本打ち出すつもりだったのだろう。あまりアニメ本編と劇場版のブランクが空いてしまうと客入りが悪くなるのは業界の常識なので、その橋渡しをする役割だったのだと考えられる。しかし、例の事件のせいで今作はなんとも数奇な命運を辿った。つまり、「橋渡し」先の予定が頓挫して先が見えなくなったこと、そして数多くのスタッフの「遺作」となってしまったこと。もしもそうした背景がなければ、本当にサクッと観られる「外伝」として機能していたのだろうが……なかなか扱いが難しい作品である。

 とはいえ、私自身もようやく立ち直ってきたのだし、作品は作品として、その他の事情はあまり考えずに観ようとは思った。意識しなければ、そのあたりを切り離すのは結構難しいものである。でもまぁ、本作は素直に「いいお話」として受け入れられるので、あまり小難しいことは考えなくても良いかもしれない。

 

 

<以下、一応ネタバレ注意>

 




 

 改めて「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」というのがどんな作品だったのかを過去の感想を読んで振り返ってみると、私の中では京アニ作品としてはやや微妙なポジション。端的にいえば「画は素晴らしいけど、話は微妙」といった感想にまとめられたかと思う。京アニクオリティなのだから画が素晴らしいなんてことはわざわざ言う必要もないことに思えるが、本作における映像美は、他の京アニ作品とも一線を画している。描かれるべきが近代ヨーロッパをモチーフにした絶妙な時代設定ということもあるし、とにかくダイレクトに「人の情」に訴えかける作品の性質も相まって、繊細で、きらめくような光と色の配置が目を引く、本当に見事な「画」である。テレビシリーズでもその素晴らしさは遺憾無く発揮されており、第7話の湖の情景などが印象に残っている。ただ、そうした素晴らしい映像技術は認めつつも、お話の方は「泣かせにくる普通の話」といった感じで、特にヴァイオレットの成長を描く前半部分に関しては、どうにも彼女のキャラがつかみづらく、成長物語としてはなんだか稚拙だな、という印象だった。中盤以降、ヴァイオレットの人格が固まってから彼女が関わる物語は少しずつみやすくなっていった気もするのだが、シリーズ全体を通じては「中の上」くらいの感想に終わったはずだ。

 そんな作品の「外伝」ってことで、「あんまり過度に期待しない方がいいぞ」と肝に命じて観にいったわけだが……うん、悪くなかったんじゃないでしょうかね。上述の通り、「ヴァイオレットのキャラがよくわかんない」というのがテレビシリーズの時のハードルだったわけで、彼女が立派にドールとして独り立ちできるようになり、その完璧さでもってお客さんをはじめとする周りの人間に影響を与える物語が中心に来れば、余計なことを考えずに素直に見守ることができるようになるのだ。まぁ、ベタといえばベタな「泣かせ」のドラマではあるのだが、これまた上述の通りの奇跡的な映像美を伴って描かれるわけで、そこには超一級のアニメ表現が待っている。

 今回のお話はとある「姉妹」の物語。姉のエイミー(イザベラ)、そして妹のテイラー。彼女たちの成長と姉妹愛の物語として、この90分は非常に端的にまとまっている。どうせテレビシリーズでも超絶映像なのだからわざわざ劇場公開せんでテレビシリーズで放送すればよかったやんけ、という意見もあるかもしれないが、おそらくテレビシリーズでまとめるとエイミーパートで2話、テイラーパートで2話を要する。ぶっちゃけひねりも何もないまっすぐな「ドラマ」ではあるので、わざわざ週またぎで何話もかけてやると視聴者の方もダレてしまう可能性が高い。このお話は、90分の2部構成でビシッと締めるからこそ味わいが出る物語であろう。

 あとは依頼人姉妹にどんなキャラを置くか、っていうだけのお話で、個人的には(毎度のことで申し訳ないが)寿・悠木の同世代コンビっていうだけで本当にごちそうさまである。サンジェルマンと響が繋げなかった手を、こっちの世界でようやくつなぐことができたお話である(正確には、まだ繋いでないけど……)。他にも、エイミーの方は「何かを失いつつ転生した田中あすか」みたいな顔してるし(眼鏡がな、

眼鏡がいいんじゃ)、なぜかCV寿美菜子のキャラってぇと女性×女性の関係性の中で巨大な感情を渦巻かせることになるのである。最初のツンケンした様子から少しずつヴァイオレットに打ち解け、同衾したり、互いに髪を結ってあげたりという「友達」に至るまでの展開がたっぷりと描かれ、エイミーの人となりが少しずつ染み込んでいく様子が心地よい。「淑女だけが集まっている秘密の花園」という設定の時点でお腹いっぱいだが、最終的にエイミーもヴァイオレットも白無垢(?)で手を取り合って登場するわけで、ここで物語が終わっていたら、それはそれでハッピーエンドである。まぁ、「そういう絵」を狙って生み出されたシナリオラインではあろうが、「そういう絵」が好物の人たちは本当に美味しくいただくことができる。

 そして後半はガラリとテイストを変えたテイラー編。こちらは悠木碧にとって久しぶりの純正ロリキャラ。なんの含みもなく、ただまっすぐなロリってのは案外久しぶりだった気もする。いちいちシーンが進むたびに「テイラーは歯が多すぎるやろ!」と思いつづけることになるのだが、彼女の造形はおそらく「単純な美人ではなく、どこかに幼さと、育ちの不遇さを背負った少女」という要素を反映させたものだろう。まっすぐに美人として描かれるエイミーとは好対照で、血の繋がらぬ姉妹のそれぞれが同じスタート地点から別々の人生に進んでいることがわかるようになっているのだ。

 最後の最後、クライマックスとなる部分では、「テイラーは結局エイミーと対面するのか」という部分が焦点になり、姉妹の再会を固唾を飲んで見守ることになるが、答えは「会わない」だった。そしてこのエイミーの苦渋の決断の背景を考えれば、彼女たち姉妹がどれほど互いを想いあっていたかがわかるというものだろう。あそこで顔を合わせてしまえば、エイミーはこれまでの自分の行いを恥じ、大きな後悔を抱えることになっていただろう。もしかしたら、無理矢理にでも自分が生活している家庭にテイラーを招き入れようとしたかもしれない。しかし、そうなることが幸せでないことは、テイラーが一番よくわかっていたのである。「姉妹」の関係性は揺るぎないものだが、それぞれが別の人生を歩むことこそが「幸せ」であり、郵便配達夫が届けられる最大限の「幸せ」を考えれば、彼女はあのシーンで顔を出すことはしなかった。そうした関係性の妙は、やはり涙なしには観られないものになっていたのではなかろうか。

 もちろん、姉妹の間をつなぎとめたヴァイオレットの活躍も見どころが多く、特に一見すると難物だったエイミーを相手にしても、これまでの経験を活かして彼女の心を少しずつ溶かしていく様子は感心しながら見守っていける。まぁ、まだどうにも空気が読めてないところはあるのだが……。テイラーに対しては「恩人」としての振る舞いになっているが、例えば彼女と初対面の際に抱きしめようとして、義手のことを思い出してグッと堪えるシーンなんかはきゅんとする部分。彼女の硬質な「手」は、最初は拒絶や断絶を示す「冷たい道具」としての側面が強いが、エイミーとの交流などを通じてわかる通り、何よりも温かみと彼女の優しさを表すツールに変質するのである。

 何はともあれ、余計な部分も足りない部分も無い、美麗に収められた90分である。テレビシリーズから見れば、中心にヴァイオレットが置かれないあたりはまさに「外伝」であるが、いつかきっと公開されるはずの「劇場版」までのつなぎとしては上々のもの。人それぞれに見方はあるだろうが、僕としては、素直に優しいドラマを楽しめればそれで良いのだと思います。

 

 

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