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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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<アニメソング部門>

 さて、カラオケ戦士の僕です。コロナ以降、なかなか人とカラオケに行けなくなって「歌唱部門」が事実上消え去ってしまったのは残念だが、最近は何かと話題性にも富むアニソン部門。こちらも趣味全開でやってまいりましょう。

 まず、すでに総合部門で取り扱った作品と切っても切り離せない存在なので、こちらでは泣く泣くバンドリ関係の楽曲は切ろうと思っている。具体的には上からの続きで「春日影」、決定的な一打となり歴史に残るライブ回を生み出した「詩超絆」、そして新たなる次元「Ave Mujica」。正直、今年はどれかを1位にしようと目論んでいたのだが……流石に重なりが強くなりすぎるので泣く泣く断念。贔屓の引き倒しはやめましょう。

 というわけである程度作品そのものとの切り離しに成功したジャンルから見ていくと、例えばアニメ自体はろくすっぽ見てなかったけどやたら耳に残ったのは「R.I.P.」(アークナイツ【冬隠帰路】OP)。ここのところ毎年取り上げているReoNaの本領、これこそが絶望、ハロー、アンハッピー。同じくアニメ自体は何一つ評価していないが曲のインパクトは特大だったよね、「MAGICAL DESTROYER」(魔法少女マジカルデストロイヤーOP)。作品自体もこれくらい思い切りアナーキーだったら何かしらの歴史に残ったかもしれないのに。ちなみにアーティスト繋がりで「HELP」(Helck OP)もここでピックアップしておこうか。こうやって歌詞でしっかり作品オマージュが盛り込まれるアニソンが好き。

 作品に合ってんだかなんだかもよく分からないけどとにかくインパクト絶大だったのが「Crack-Crack-Crackle」(アンデッドガール・マーダーファルスOP)。これは映像を仕立て上げたスタッフの勝利かも。最初は「なんじゃこれ」みたいなノリだったのに作品との相乗効果でミームというか文脈まで完璧に完成させてしまったのは「メフィスト」(【推しの子】ED)。もう、今後はジョジョのエンディングかこれのどっちかを流せば絶対にオチになるという強み。

 とにかく映像美に目を惹かれる「アニメとして完成してる」部門では、やはり無視できない「勇者」と「晴る」(葬送のフリーレンOP)。この辺はアニソン賞っていうより作品賞になるのかな。オープニングの楽しさというか、ワクワク感まで加味するならがっちり作品の空気を盛り上げてくれたのが「メロウ」(スキップとローファーOP)。「TikTokで踊って下さい」みたいな阿漕な狙いも見えるが、それがちゃんと評価に値するクオリティなら文句は言えまい。「TikTokで踊ってください」だったのかどうかすら今となっては分からない謎のムーブメントを巻き起こしたのは「Bling-Bang-Bang-Born」(マッシュル -MASHLE- OP)。これも実は映像制作が意外に大事な役割を果たしてる気もするが、どっちかってぇと「電波ソング」部門な気がする。

 というわけで毎年お馴染みの電波ソング部門は、毎年何かしらベスト3に選出しているのだが、残念ながら今年度は上位3つに電波ソングは無い。全体的にそこまで印象に残るものはなかったのが残念なところだが、1作だけ異彩を放ったのは「今日のエンディングは私が買い取ったから好きにしていいわよね」(君のことが大大大大大好きな100人の彼女 特殊ED)。こういう爆発物、昔はもっと多かったよね。そして作品との絡みはあるが、ある意味最高のインパクトをぶち込んだ「オープニング」といえば「ババーンと推参!バーンブレイバーン」(勇気爆発バーンブレイバーン1話挿入歌)。メタレベルで世界に影響するアニソンすげぇ。

 電波とはちょいと違うが、アニソン専科で常に気持ちのいい音を提供してくれるアーティスト・オーイシマサヨシによる怪作は「死んだ!」(勇者が死んだ!OP)。ほんとに耳に残るフレーズを作る天才。そしてそんな天才がやり逃げしたとしか思えない「なまらめんこいギャル」(道産子ギャルはなまらめんこいOP)。もう少し素材を調理しろ。映像もやる気があるんだかないんだか。そして電波は電波なんだけどだいぶ毛色が違うのは「ネロ」(デッドマウント・デスプレイOP)。こういう歌い手上がりのアーティストは耳に残るメロディを作るのがうまいよね。作品繋がりでついでに「アイオライト」(デッドマウント・デスプレイED)もすごく好きな曲。こちらは映像込みでの好きなんだけど、リンクから行ける前半バージョンだと真ポルカが1人だけで踊ってるけど後半になると細呂木さんが一緒に踊ってくれるからよりカオスになるのがとても良い。そして電波ともちょっと違うけどとにかく無駄遣い感があるのが「Welcome!」(でこぼこ魔女の親子事情ED)。考えてみりゃangelaも「アニソン専科で耳に残るメロを作るプロ」っていう意味ではオーイシによく似ているのかもしれない。

 最後はノンジャンルだけどとにかく印象に残った曲(と映像)を列挙していくが、地味なところだと「Jekyll & Hyde」(暴食のベルセルクOP)なんかは古き良きアニメオープニング感があって好き。多分、意味もなく「作品タイトルが半端なとこで出てくる演出」が好きなんだと思う。まっすぐなラブソングとしての「LOVE INFINITY」(贄姫と獣の王OP)なんてのはいかがでしょう。やっぱ2クールアニメの後期オープニングって前半よりもどこか渋めになることが多いと思うんだけど、展開の重さと噛み合ってるのが良い。いきなり劇場作品からもテーマソングをピックアップしてみると、「匿名奇謀」(BLOODY ESCAPE ED)とか、作品のトンチキ具合をまるっと飲み込んでて好きなんだ。

 まっすぐな少年漫画的オープニングでいえば「誰が為」(もののがたり 第二章OP)なんかは「ジャンプ漫画だなっ!」ってスイッチが入るからいいよね。同様にジャンプ漫画のOPとして100点(?)なのが「幽世」(ダークギャザリングOP)。当然おすすめは後期バージョンのサビで乱舞する卒業生のシーン。ほんと好き。なお楽曲提供したアーティストは(略)。似たようなラッシュ感が楽しい映像だと「修羅に堕として」(異修羅OP)が最近のお気に入り。わちゃわちゃしすぎてんだけど作品がわちゃわちゃしてんだからしょうがない。もっと軽快に楽しみたいんなら「まっさかさマジック!」(姫様拷問の時間ですOP)とかどうでしょう。模範的な「テンション上げてアニメが楽しみになるOP」ですよね。

 最後に、ギリギリまでトップに選出するか悩んだけど「4番目」になってしまった「眠らされたリネージュ」(魔法使いの嫁SEASON2 OP)をピックアップ。JUNNAによる曲のインパクトはもちろんみるべき点で、こんなところで石川千晶の洗礼を浴びるとは思ってなかった。そして映像の強烈さね。よくもまぁ、「分割2クールの後半」でこんだけの情報量を叩き込もうと思ったものだ。

 というわけで、残り3つをどうぞ。

 

 

第3位

’13 「有頂天家族」OP「有頂天人生」

’14 「デス・パレード」OP「Flyers

’15 「戦姫絶唱シンフォギアGX」挿入歌「殲琴・ダウルダヴラ」

’16 「SHOW BY ROCK #」OP「ハートをRock!!

‘17 「戦姫絶唱シンフォギアAXZ」第6話ED「アクシアの風」

’18 「ゴールデンカムイ(第2期)」OP「レイメイ」

’19 「さらざんまい」挿入歌「カワウソイヤァ」

‘20 「戦翼のシグルドリーヴァ」OPHigher’s High

‘21 「ゾンビランドサガリベンジ」OP「大河よ共に泣いてくれ」

’22 「シャドーハウス 2nd Season」OP「シャル・ウィ・ダンス?」

’23SHY -シャイ-OPShiny Girl

 いつにも増して趣味に寄せた選出になったかもしれませんが、まずはこちらの曲から。上でも触れた通り、アニメのオープニングで一番大事なのはこれから始まる番組へのワクワク感を高める役割だと思うんですよ。アニメを楽しむという一種の非日常への跳躍。その補助を務めるのがオープニングのお仕事で、私が敬愛してやまないアニメクリエイター・今敏は「妄想代理人」のオープニングに「起きろ!」というメッセージを込めたという(当時は深夜アニメって文化がそこまで一般的ではなかったため)。そうして非日常への跳躍とワクワクの増進という仕事をこなすという意味で、お手本となる出来なのがこちらの作品だと思うんですよ。

 分類としては一応「ヒーローもの」である「SHY」という作品。理想としては勇ましく、力強く戦うシャイの姿を描くべきところなのだろうけど、いかんせん紅葉山照は「シャイ」なもので、そこまで底抜けの元気ソングというわけにもいかない。そこでこのいくらかゆったりした切り出しから少しずつ助走をつけて最後にはポンと高く跳ぶような曲調が実にマッチしている。ラスサビのハイトーンの気持ちよさは短い時間で十二分に「ヒーローの力強さと爽快感」を表してくれるものだ。そうして少しずつ駆け上がるように作られたメロディに、安藤正臣の統制の効いた映像が乗る。氏の独特な「コマ割りの美学」は90秒のこの映像にもしっかり息づいており、ショートムービーの中に盛り込まれた様々なヒーローの勇姿はオールドスタイルに新鮮さを織り交ぜた馴染みやすいデザイン。やっぱり直感的に「綺麗だな」って思える映像って大事だと思うんですよ。小難しいことを考えず、「何かが始まる」ことを伝える、そんな根源的な楽しさが詰まった作品。

 

 

第2位

’13 「戦姫絶唱シンフォギアG」第4話ED「教室モノクローム」

’14 「ガンダム Gのレコンギスタ」ED「Gの閃光」

’15 「干物妹!うまるちゃん」OP「かくしん的☆めたまるふぉ〜ぜっ!」

’16 「学戦都市アスタリスク(第2期)」OP「The Asterisk War

‘17 「キラキラ☆プリキュアアラモード」後期ED「シュビドゥビ☆スイーツタイム」

‘18 「ラストピリオド-終わりなき螺旋の物語-ED「ワイズマンのテーマ」

’19 「COP CRAFT」OP「楽園都市」

‘20 「トニカクカワイイ」OP「恋のうた(feat.由崎司)」

‘21 「ビルディバイド-#000000-OPBANG!!!

’22 「機動戦士ガンダム 水星の魔女」OP「祝福」

’23「江戸前エルフ」OP「奇縁ロマンス

 上で「楽しさ」に言及したが、それ以外の役割をオープニングに求めることもできるだろう。もちろん、こちらのベースはギャグアニメなのでコミカル愉快は大前提ではあるのだが、そこにゆったりと息づくドラマも盛り込む、そんな理想のオープニングがこちら。

 まずもって曲が好きすぎるっていうのが起点で、ナナヲアカリの手による「和」のテイストを強く打ち出した楽曲は間違いなくオリジナル。「江戸」「神社」という作品テーマに合わせたデザインなのは明らかだが、そこにナナヲが持つどこか捨て鉢な、オタクカルチャーに根差した斜に構えた寂寥感みたいなものが混ざり込んでいるのが最大の聞きどころ。無体なフレーズを刻むサビのリフレインは時代を飛び越えてこの地に根付く不老不死のエルダそのものを表しているかのよう。のんびりとしたメロディラインにピリッと刺激が混ざるミックスも愉快だ。

 そうして生まれた楽曲に合わせる映像は何もそこまで目を見張るようなものではないのだが、今作の最大の魅力である丁寧でブレないキャラ作画の良さがはっきりと分かる仕上がり。「これから始まる作品への期待感」はこれだけでも文句なしに高めてくれるだろう。そしてなんといっても最大の見どころはラストのコーラスで描かれるエルダと小糸の歩み。少しずつ大きくなっていく小糸の横をずっと歩み続ける猫背のエルダのその風貌。これは誇張無しでほんとのことなのだが、わたしゃ何度この映像を見ても毎回泣きそうになるんですよ。この短いワンカットに、「江戸前エルフ」で描かれるべきテーマがギュッと詰まっている。本当に見事な90秒。毎回必ず見たいオープニングがあるアニメって、それだけで幸せですよ。

 

 

第1位

’13 「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」OP「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」

’14 「ヤマノススメセカンドシーズン」OP「夏色プレゼント」

’15 「てーきゅう(第5期)」OPQunka!

’16 「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」OP「Great Days

‘17 「少女終末旅行」ED「More One Night

‘18 「ゾンビランドサガ」OP「徒花ネクロマンシー」

’19 「ダンベル何キロ持てる?」OP「お願いマッスル」

‘20 「蜘蛛ですが、なにか?」ED「がんばれ!蜘蛛子さんのテーマ」

‘21 「小林さんちのメイドラゴンS」OP「愛のシュプリーム!」

’22 「お兄ちゃんはおしまい!」OP「アイデン貞貞メルトダウン」

’23「【推しの子】」OP「アイドル

 さぁ語ろうか。ここに関してはもう、どうしようもなかった。過去の履歴を遡ってみても、こうもヒットチャートと重なった選出は初めてかもしれない。しかし、今年度のアニソンを評するにあたり、今作を避けて通ることはできないし、私は忌憚なくこれがナンバーワンだと主張する。時代を動かすだけのエネルギーに満ちた楽曲であり、作品だった。

 あえてこだわりを見せるなら、リンク先は厳密には「オープニングテーマ」ではなく、「YOASOBIのMV」の方である。【推しの子】という1クールアニメのオープニングとしての評価というよりは、MVとそれを取り巻く一連のムーブメントへの評価、もしくは【推しの子】の第1話、あの90分のドラマの「イメージソング」としてのアイドルを評価したものである。公式動画がとんでもない再生数を弾き出しているらしいが、そのうちの100再生くらいは多分俺。それくらいは何度も試聴し、その度に泣かされた。

 アニメを試聴した人ならわかるだろうが、MVの出来があまりにもアニメにリンクしすぎていて不可分なものになってしまっているのでこうしたちょっと歪な評価になってしまっているのだが、まぁ、アニメソングを評価するってんならこれで問題ないだろう。星野アイというたった1人のアイドルの人生を紡ぐためだけに作られたこの楽曲が、作品の全てを語り尽くしてしまっている。凄まじい暴論を吐くなら、もうこのMVを見ているだけで全てが満ち足りてしまう。わずか数分の映像と楽曲に、よくもまぁここまで濃密な意味を盛り込んだものだ。そして、その圧倒的ボリュームを誇るこの楽曲をフル活用して最後まで振り回し続けることで、作品全体としても高い評価につながっている。鶏と卵、どっちが先かは分からないが、私の中では【推しの子】のアニメは、「アイドル」が先である。

 もちろん、これがメディア戦略だけのこすっからい勝利だとも思わない。昨年時点で「祝福」をこの部門に挙げていることからも分かる通り、私はYOASOBIの全力でアニメに寄りそってくれるスタイルが好きだ。もしかしたら上述のオーイシマサヨシの流れに続くものなのかもしれないが、YOASOBIの場合はアニメ映像までをフル活用して楽曲をアニメの構造の中に入れ込みに行く貪欲さがありがたい。「怪物」「祝福」「勇者」と全て同様の戦略で大きな成果を残しているが、なんの具合か、この噛み合わせが奇跡的なレベルにまで仕上がったのが今作だったというお話。

 現代アニメにおいてこれ以上の「アニソン」の売り出し方はない。商業的な面で考えてもこの「アニメと一蓮托生」という売り方は大きな武器であろうし、リリース後間もなく英語版も発表するなど、とにかく話題性を広げることに遠慮がない姿勢もここでは評価対象になるだろう。どこまでも「伝える」ことに特化したこのYOASOBIスタイル、アニメファンからも歓迎すべきものだ。

 まぁ、この「アイドル」ショックがあまりに大きすぎたので2匹目のドジョウはしばらく捕まえられないような気もするが、私としては、次のブレイクスルーもまたYOASOBIが起こしてくれることを期待している。改めて、アニソンは「楽しんだら勝ち」だ。「起きろ!」だ。次なる、誰もが目を奪われていくような完璧で究極のアニソンは、どこから生み出されるだろうか。

 

 




 

 

<キャラクター部門・男性キャラ>

 なるべくあっさり目で済ませたいな、男性キャラ部門。まぁほら、女性キャラほどの執着がないからきっと短くまとめられるよ。

 色々とラインナップをあげつらっていたら今期は不思議と「真っ当な主人公キャラ」という当たり前の枠に魅力的なキャラが多かったのでそこからざっくりまとめていくが、直近の記憶から辿っていくといかにも主人公らしい気質のウサト(治癒魔法の間違った使い方)なんかが素直に応援したくなる主人公像。他にもまっすぐキャラなら岐兵もののがたり)なんかは今時珍しいくらいにブレない主人公だったし、ブレない度合いで言えば桁違いだったのは愛城恋太郎(君のことが大大大大大好きな100人の彼女)。ラブコメの主人公として無敵すぎる。「もう少しブレろよ」と逆に不安になるレベルの盲信的な主人公というのも今期は不思議と魅力的なキャラが多く、外野から見ていて心配になっちゃうライオス(ダンジョン飯)、もう心配してもしょうがないと半ば諦めているのはラグナ(ラグナクリムゾン)など。「一本気」というカテゴリにも色々と差はあるものだ。

 もう少し悩める主人公像で見ていくなら、例えば青野一(青のオーケストラ)なんかは理想的な「思春期主人公」像。やっぱり若者の苦闘とその脱却、大きな成長を見せられるとおじさんはグッときちゃう。そういう意味では見事に責任を果たしてみせた市川京太郎(僕の心のヤバイやつ)は結果的に「格好いい主人公」になれたのかもしれない。

 悩みの大きさで言えばぶっちぎりで他の追随を許さないのは、世界の命運を握る勇者へルクHelck)。アニメでは完結できなかったが、彼の苦闘が報われることを切に願っている。同様に苦闘の只中にいるのは屍神殿(デッドマウント・デスプレイ)。文字通りに異形の主人公像だが、解体してみると実は単にまっすぐな若者だったんだよなぁ。「異形」という言葉で強引に括っちゃう主人公としてはハッコン(自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う)もイレギュラー存在の筆頭。作中、「自分の口から一度も言葉を発さない(発せない)主人公」というのはもしかしたら史上初なのでは? ある意味異形だがその実理想形だった主人公(?)には諭吉(デキる猫は今日も憂鬱)もいるぞ。今日もどこかででかい猫がクククと笑っていることを思えば、辛くてもなんとか生きていけそう。そして異形に飲み込まれた最大級の巻き込まれ主人公はなんといっても幻燈河螢多朗(ダークギャザリング)。彼は最終的に成長できたと言えるのかどうか……まぁ、その辺の判断は詠子に任せよう。

 残りの枠は「ナイスサブキャラ部門」。正直、どっちも主人公とは言えないので扱いが難しかったのはヒンメルシュタルク(葬送のフリーレン)。ある意味でこの世界を作ったのは間違いなくヒンメルだし、「がんばれ男の子」の声援を送りたいのはシュタルク。「勇者以後」と「勇者未満」が並ぶ世界はやっぱり楽しいね。多分主人公だったんだろうけど主人公と言いたくないのは響春男(川越ボーイズ・シング)。よくもまぁ、1人であんだけ作品全体を振り回せたもんだ。そして毎年お約束で出てくる「男性キャラ……か?」部門としてはピウイHelck)をあげておかねばなるまい。こいつも世界を救った勇者の可能性があるのがなんとも……。あ、人外部門からは苦悩の忠臣・エクス(姫様拷問の時間です)もあげといてください。この部門、なぜか「剣」がエントリーするのは初めてじゃないんです(20年近く前に武器が受賞している)。

 そして今回はこちらも充実、「厄介な敵キャラ」部門。こちらは2つに細分化することができて、まずは「ライバルだけど憎めないやつ」部門。代表例は黒仮面/マハトSYNDUALITY Noir)のポジション。バトルしながらも「こいつ絶対いいやつなんだよなー」って思えるキャラ造形っていいよね。同様の立ち位置としてはいつの間にか好感度を爆上げしていたキッシュ(東京ミュウミュウにゅ〜)なんかもいる。「正義に対するは別な正義」を体現するかのような悩める立ち位置、切実だったなぁ。敵キャラって言っちゃうとちょっとかわいそうだけど、僕が大好きな「融通が効かない堅物」ジャンルからはアヌビス(贄姫と獣の王)をピック。こういう「忠義や信念から結果的に酷いことをしてしまう」キャラ、好きなんだよなぁ。

 そして「純粋に極悪」部門としては、ラスボスだかなんだかわかんないけどクリムゾン(ラグナクリムゾン)は外せない。なんでタイトルに冠されるキャラが作中で一番のド外道なんでしょうね。そして忘れられないインパクトとしてはイバラDr. STONE NEW WORLD)も上げておきたい。とにかくクドく、とにかくエグくの悪人造形、ここまで振り切れると本当に気持ちがいい。

 そして最後に、正義も悪も、条理も理不尽も全て飲み込んだ謎ポジションのブレイバーン(勇気爆発バーンブレイバーン)を上げておきます。まぁ、「諸悪の根源」といえば間違いじゃないからな……。

 じゃ、残り3キャラいきましょう。

 

 

第3位

’13 「サムライフラメンコ」より「羽佐間正義」

’14 「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞」より「エンブリヲ」

’15 「おそ松さん」より「十四松」

’16 「この素晴らしい世界に祝福を!2」より「佐藤カズマ」

‘17 「3月のライオン」シリーズより「二階堂晴信」

‘18 「BANANA FISH」より「アッシュ・リンクス」

’19 「ハイスコアガールⅡ」より「矢口春雄」

‘20 「かくしごと」より「後藤可久士」

‘21 「吸血鬼すぐ死ぬ」より「ジョン」

’22 「不滅のあなたへ シーズン2」より「カハク」

’23「デッドマウント・デスプレイ」より「怪人ソリティア」

 こいつは……どのポジションなんだろう。ライバルキャラ? ではないよなぁ……そもそもポルカたちから見たら敵対してたかどうかすらよく分からんし。実はそんなに迷惑もかけられてない。迷惑を被ってたのは主に警察チームだったと思うんだが、それだって本筋の事件から見ればおまけみたいなもんで。ソリティアはソリティアで、勝手に悩んで探って暴れてただけ。マジでなんなんだこいつ。

 立ち位置も意味も分からんのに、作品を振り返ると本当にヤになるくらいのインパクトを残し、なんなら作中で一番世界を掻き回した可能性すらある。異界からやってきた化け物連中と肩を並べるほどの異能などないはずなのに、気づけば間違いなくトップクラスの「厄ネタ」として存在している。本当に捉えどころがなく、それだけに類を見ないキャラになった特異存在、それがソリティアだったのだ。

 終わってみて今更気づいたが、群像劇のデザインをとって有象無象の要素が密に絡み合うのが本作の最大の見せ場である中、あくまで独立独歩、完全に「浮いた」存在として好き放題に状況を掻き回し、最終的に何も残さずに満足して去っていくその様子はまさに「ソリティア(solitaire)」。複数の「でかい何か」の間に挟まるハブの役割を務めるキャラの造形がよりによってこんな奴だってのに、作品が問題なく回っているのが今作の奇跡的なバランス感覚の一番の表れだったのかも。

 高橋広樹による怪演も手慣れたもので、放送中はCMでのやりたい放題っぷりもあって脳にこびりつく変なポジションを確立させた。こういうキャラが生み出せるかどうかってのは、やはりクリエイターの腕の見せどころよな。

 

 

第2位

’13 「恋物語」より「貝木泥舟」

’14 「少年ハリウッド」シリーズより「勅使河原恭一」

’15 「GO! プリンセスプリキュア」より「シャット」

’16 「Planetarian」シリーズより「屑屋(星の人)」

‘17 「魔法使いの嫁」より「エリアス・エインズワース」

‘18 「ゾンビランドサガ」より「巽幸太郎」

’19 「ID:INVADED」より「富久田保津」

‘20 「SK-エスケーエイト-」より「愛抱夢(神道愛之介)」

‘21 「平家物語」より「平清盛」

’22 「シュガーアップル・フェアリーテイル」より「ジョナス」

’23「アンデッドガール・マーダーファルス」より「真打津軽」

 こちらは真っ当な「主人公」部門といえるだろうか。作品の評価の時にも触れたが、「アンファル」というアニメ作品の最大の功績は、真打津軽という捉えどころのないキャラクターにしっかりと形を与え、見事に表現しきった部分だと思っている。

 確か最終評価の時にもまとめたと思うが、津軽の最大の魅力はその多面的なキャラクター造形にある。1話目で鴉夜と牽制しながらやりあっていた時点でその端緒は現れていたが、「人智を超えた身体能力を持つ鬼」というだけで少年漫画的主人公の立ち位置にあるはずなのに、今作の本質は鴉夜による謎解きをメインとしたミステリ。単なる腕力は求められていない。なんならバケモノはこの世界では排除される害悪ですらあるので、決して表舞台に出てきていい人物ではない。

 それでは単なる狂言回しに堕ちてしまうかと思えば、そこはもう1つの特性である「語り手」の役割が必要以上に色濃く立ち現れ、助手のくせして何もかもわかっているかのような彼の尊大な語り口は、決して舞台の外に出ることを許容しない。図々しくも舞台の真ん中に居座り続けながら、それでいて本質的には傍観者を決め込んで外からやいのやいのとヤジを飛ばすだけ。こんなにもふてぶてしい「主人公」像が今まであっただろうか。

 怪しげな雰囲気で他人を煙に巻く「怪異譚」という側面、どこまでも理知的にロジックで筋を詰めていく「ミステリ」という側面。相反する2つの様相をもちながらもそれを1つのエンタメとしてまとめていくこの作品の綱渡りのような特質を一手に担っていたのが真打津軽という男。よくもまぁ、こんなキャラクターが出来上がったものである。そして、そんな無茶苦茶をアニメキャラとして形にしたスタッフの力と、彼に存在感を与えた八代拓の見事な仕事ぶり。こういう際立ちがあってこそのメディアミックスだよなぁ。

 

 

第1位

’13 「翠星のガルガンティア」より「チェインバー」

’14 「ログ・ホライズン2」より「てとら」

’15 「昭和元禄落語心中」より「八代目遊楽亭八雲(菊比古)」

’16 「ユーリ!!! on ICE」より「ヴィクトル・ニキフォロフ」

‘17 「Fate/Apocrypha」より「アストルフォ(黒のライダー)」

‘18 「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」より「キリン」

’19 「ヴィンランド・サガ」より「アシェラッド」

‘20 「ミュークルドリーミー」より「ゆに」

‘21 「ブルーピリオド」より「鮎川龍二」

’22 「不徳のギルド」より「キクル・マダン」

’23「でこぼこ魔女の親子事情」より「フェニックス」

 ごめん、人外部門は終わりじゃなかったんだ……ほんとごめん……。

 これで過去10年の履歴を見るだけでも、1位にキリン1頭、猫1匹、そして鳥が1羽か……自由すぎる部門になってしまったな……(さらに遡ると部門全体では鼠人間とかヤギとかカエルとかアルマジロとかインキュベーターも受賞してる)。

 でも、今年最大のインパクトを残したキャラって言ったらこいつなんですよ。あまりに不条理がすぎるので評する言葉すらろくに見つからないのだが、しいて一言でまとめるなら「土師さんボイスはずるい」。5年前の「ツダケンボイスはずるい」と大して差はないかもしれない。

 作品を観てない人にはただ観てくれとしか言いようがない。ハマった時は抜け出せなくなるフェニックス迷宮。「ギャグアニメだから」だけでは説明できないカオスがそこにある。

 

 

 

 

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