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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 さて、今年も書いていきますかね。毎年これがあるからこそ頑張ってアニメの視聴を続けられる、わたしの中で最大の課題にして最大のモチベーション、アニメグランプリが今年も勝手にスタートだ! 毎年掲げている目標は「文字数削減」だぜ!

 (以下去年までの記事からのコピペ)一応毎年のことなので約束事をコピペしておくと、タイトル賞の選出は何故か毎年「仮装大賞」の賞に依っており、タイトル部門以外の賞は、基本的に3位まで取り上げてある。(コピペ終わり)とはいうものの、昨年度からカテゴリに大鉈を振るって最も選考に時間がかかった「サブタイトル部門」を削減。これによって文字数も執筆時間も大幅に削ることに成功はしている。そりゃね、全部の話数が評価対象になるっていう状態だと作業量が(視聴も含めて)桁違いだったからね。この譲歩だけでも、私の老いが伝わってくるとは思うが、できる範囲で頑張るしかないじゃない。

 さて、例年通りにまずは数字から見ていくが、今期エントリーされたのは、「2023年4月期以降に終了した、もしくは現在放送中である」ことを条件として、ある程度最後まで視聴していた以下の187作品。……なんだこの数字……。この期に及んで、ついに限界突破で史上最高値を更新しました。ちなみに去年からスタートさせた「N話切り」の本数は、導入した昨年1月期が9本と多かったのだが、今年度は10月期がそれを超える11本を記録し、1年間のトータルでは16本。もし全作品の視聴を続けていたらいよいよもって200本越えの大台に乗っていたことに。まぁ、人類には不可能な数字です。ぶっちゃけ今の数字も人類には不可能なもので、私自身もかなーり適当な視聴体制になっていることは認めざるを得ない。なんとか少しでも環境改善を目指す必要があるのだが……。

 一応過去のデータと接続すると、本数の増減はこんな感じ(括弧内がショート枠を除いた数字)

7674596790

103(93)132(121)149(133)152(129)

170(148)170(150)183(157)157(135)

160(141)155(148)176(163)187(183)

 

 続いて劇場作品については、19本とだいぶ増加しつつもまだ常識的な範囲か。最近は何かというと興行収益ばかりが話題になりがちだが、ウケてるとかウケてないとか放っておいて、もっと細かいタイトルでもちゃんとファンは観に行ってくれとは思う。でも……映画って高いよねぇ……流石に2000円超えちゃうと行きたくなくなるのはしょうがないよなぁ……。とりあえず、私の視聴本数についてこれまでの数字の変化は以下の通り。

7→4→6→12→8→6→9→

171517227191319

 なお、毎年のことだが劇場作品については基本的にこのグランプリの選出基準からは外すようにしている。

 

 

○一応ある程度見ていたエントリー作品(アイウエオ順・ショートアニメは〔〕で表示)

「アイドルマスターシンデレラガールズU149」「アイドルマスター ミリオンライブ!」「AIの遺電子」「青の祓魔師 島根啓明結社編」「青のオーケストラ」「悪役令嬢レベル99」「AYAKA-あやか-」「あやかしトライアングル」「アリス・ギア・アイギス Expansion」「アンダーニンジャ」「アンデッドアンラック」「アンデッドガール・マーダーファルス」〔いきものさん〕「異修羅」「異世界召喚は二度目です」「異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する」「異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます」「異世界ワンターンキル姉さん」「ヴィンランド・サガ SEASON2」「うちの会社の小さい先輩の話」「ウマ娘 プリティーダービー Season3」「うる星やつら(第2クール)」「英雄教室」「EDENS ZERO(第2期)」「江戸前エルフ」「王様ランキング 勇気の宝箱」「オーバーテイク!」「Opus. COLORs」「おかしな転生」「【推しの子】」「おとなりに銀河」「俺だけレベルアップな件」「愚かな天使は悪魔と踊る」「陰の実力者になりたくて! 2nd Season」「彼女、お借りします(第3期)」「彼女が公爵邸に行った理由」「カノジョも彼女 Season2」「カミエラビGOD. app」「神無き世界のカミサマ活動」「鴨乃橋ロンの禁断推理」「カワイスギクライシス」「川越ボーイズ・シング」「帰還者の魔法は特別です」「絆のアリル」「機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season2」「キボウノチカラ〜オトナプリキュア’23〜」「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」「君は放課後インソムニア」「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」「休日のわるものさん」「薬屋のひとりごと」「久保さんは僕を許さない」「くまクマ熊ベアーぱーんち!」「ぐんまちゃん(第2期)」「経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。」「外科医エリーゼ」「月刊モー想科学」「結婚指輪物語」「幻日のヨハネ」「攻略うぉんてっど!〜異世界救います!?〜」「ゴールデンカムイ(第4期)」「この素晴らしい世界に爆焔を!」「ゴブリンスレイヤー」「最強タンクの迷宮攻略」「最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。」「最果てのパラディン 鉄錆の山の王」「佐々木とピーちゃん」「THE MARGINAL SERVICE」「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」「地獄楽」「事情を知らない転校生がグイグイくる。」「実は俺、最強でした?」「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」「死神坊ちゃんと黒メイド(第2期)」「SHAMAN KING FLOWERS」「SHY-シャイ-」「弱キャラ友崎くん 2nd STAGE」「シャングリラ・フロンティア」「16bit センセーション ANOTHER LAYER」「シュガーアップル・フェアリーテイル(第2期)」「終末のワルキューレ」「呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変」「白聖女と黒牧師」「SYNDUALITY Noir(第1・2クール)」「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフをすることにしました 2nd」「スキップとローファー」「好きな子がめがねを忘れた」「スナックバス江」「スパイ教室(第2期)」「SPY×FAMILY 2nd Season」「スプリガン」「聖剣学院の魔剣使い」「聖者無双」「戦国妖狐 世直し姉弟編」「葬送のフリーレン」「即死チートが最強すぎて、異世界の奴らが相手にならないんですが。」「ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜」「ダークギャザリング」「TIGER & BUNNY2」「盾の勇者の成り上がり Season3」「ダンジョン飯」「治癒魔法の間違った使い方」「月が導く異世界道中 第二幕」「ティアムーン帝国物語」「デキる猫は今日も憂鬱」「でこぼこ魔女の親子事情」「デッドマウント・デスプレイ(1期)(2期)」「天国大魔境」「てんぷる」「東京ミュウミュウにゅ〜(第2期)」「東京リベンジャーズ 天竺篇」「Dr. STONE NEW WORLD(第1・2クール)」「道産子ギャルはなまらめんこい」「ドッグシグナル」「トニカクカワイイ(シーズン2)」〔トランスフォーマー アーススパーク〕「七つの大罪 黙示録の四騎士」「七つの魔剣が支配する」「贄姫と獣の王」「望まぬ不死の冒険者」「BIRDIE WING(第2期)」「HIGH CARD season2」「BASTARD!!-暗黒の破壊神-」「BASTARD!!-暗黒の破壊神地獄の鎮魂歌編」「はたらく魔王さま!」「はめつのおうこく」「範馬刃牙 野人戦争編/地上最強の親子喧嘩編」〔百姓貴族〕「Paradox Live THE ANIMATION」「BanG Dream! It’s My GO!!!!!」「ひきこまり吸血姫の悶々」「悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします」「ビックリメン」「ヒプノシスマイク Division Rap Battle Rhyme Anima+」「姫様拷問の時間です」「ひろがるスカイ! プリキュア」「フェ〜レンザイ-神様の日常-」「豚のレバーは加熱しろ」「ぶっちぎり?!」「BLEACH 千年血戦篇-訣別譚-」「BULLBUSTER ブルバスター」「文豪ストレイドッグス(第5期)」「Helck」「暴食のベルセルク」「冒険者になりたいと都に出ていった娘がSランクになってた」「僕の心のヤバイやつ(第1・2クール)」「僕らの雨いろプロトコル」「星屑テレパス」「ホリミヤ-piece-」「ぽんのみち」「マイホームヒーロー」「政宗くんのリベンジR」「魔術師オーフェンはぐれ旅 聖域編」「魔女と野獣」「マッシュル-MASHLE-(第1・2クール)」「魔都精兵のスレイブ」「魔法少女にあこがれて」「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」「魔法使いの嫁 SEASON2(第1・2クール)」「ミギとダリ」「MIX〜二度目の夏、空の向こうへ〜」「無職転生」「明治撃剣-1874-」〔名湯『異世界の湯』開拓記〕「女神のカフェテラス」「め組の大吾 救国のオレンジ」「メタリックルージュ」「もののがたり」「百千さん家のあやかし王子」「山田くんとLv.999の恋をする」「勇気爆発バーンブレイバーン」「勇者が死んだ!」「柚木さんちの四兄弟。」「ゆびさきと恋々」「ようこそ実力至上主義の教室へ 3rd Season」「ライアー・ライアー」「ライザのアトリエ」「ラグナクリムゾン」「ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する」「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」「レベル1だけどユニークスキルで最強です」「Lv1魔王とワンルーム勇者」「六道の悪女たち」「ワールドダイスター」「私の推しは悪役令嬢。」「わたしの幸せな結婚」「私の百合はお仕事です!」

 

 

○今期視聴した劇場アニメ作品(視聴順)

BLUE GIANT」「グリッドマン・ユニバース」「プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章」「THE SUPER MARIO BROS. MOBIE」「PSYCHO-PASS PROVIDENCE」「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」「アリスとテレスのまぼろし工場」「プリキュアオールスターズF」「ガールズ&パンツァー 最終章 第4話」「北極百貨店のコンシェルジュさん」「駒田蒸留所へようこそ」「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」「ポールプリンセス!!」「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」「窓ぎわのトットちゃん」「BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-」「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White「劇場版 ガンダムSEED FREEDOM」「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」 

 

 




 

<タイトル部門>

技術賞

‘13「蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-」 ‘14「ピンポン The ANIMATION」 ‘15「ブブキ・ブランキ」 ‘163月のライオン」 ‘17「正解するカド」 ‘18「はねバド!」 ‘19「映像研には手を出すな!」 ‘20GREAT PRETENDER」  ‘21「明日ちゃんのセーラー服」 ’22「モブサイコ100 Ⅲ」

’23Paradox Live THE ANIMATION

 まずは「その技術、見上げたものだ!」を評価する技術賞。毎年言及しているが、純粋にCGなどの新しい道具を使いこなしているという意味での「先端技術」の評価と、脚本家・演出家の才が光る「作成技術」がぐちゃぐちゃになっているので、タイトルの割に見づらい部門である。まぁ、すげぇおっきくくくると「画面が綺麗ねぇ」っていう賞(それも違う)。

 アニメが日進月歩であるということは折に触れて書いている気がするが、純正の技術面での進歩を実感させられるのは、最近じゃぁ国外アニメ作品を見た時が多くなっているのが恐ろしい事態。特に中国のアニメ制作技術の進歩は目を見張るものがあり、日本に流れてくる一部作品だけを拾っている私のような人間ですら、「うかうかしてると日本のお株を奪われるぞ」と戦々恐々としてしまう。まぁ、ヘナヘナな作品が日本のクソアニメ以上にヘナヘナになる傾向もあるのだが……今年度でいえば「攻略うぉんてっど!〜異世界救います!?〜」が純正中国作品であり、CGの使い方に新しさを感じさせるものだった。常々書いているが、中国製の「可愛い」は日本人のセンスに合致するものも多く、今後の「萌え文化」のワールドワイドな広がりには引き続き要注目。

 画面の作り方を見るときにはこれまでスタジオごとに分けることが多かったが、ここ最近はCG専門スタジオも数が多くなり、以前のような寡占状態を抜け出した印象がある。そしてCG専科だったスタジオもそれだけではダメだと新たな方向を模索することが多くなっており、印象的だったのはGoHandsによるイメージの脱却、具体的には「好きな子がめがねを忘れた」「デキる猫は今日も憂鬱」の2作。初見では食い合わせの悪さが目立った印象だが、単に既存の作風を流用するのではなく、作品に即した画作りを考えてくれているようなので、今後の展開に期待。CGワークの雄ポリゴン・ピクチュアズの新たな挑戦は、劇場作品ではあるが「BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-」で確認できる。これまではこうした「CGスタジオ」の印象が強いところが独占していた分野が他のスタジオにも波及してきたのがここ2、3年の動きで、今年度であればラルケが制作した「ワールドダイスター」の舞台シーンの動かし方が凄まじかったのが印象的。もはや素人にはさっぱりついていけないレベルの技術力だ。

 純粋な演出方向での技術力で見ていくと、個人的は「脚本賞」とでもいうべき部門に「デッドマウント・デスプレイ」を挙げておきたい。無茶苦茶な人数での無茶苦茶な群像劇、これが2クールアニメとして成立してしまったのはしれっとやってるようでだいぶアクロバティック。本当に成田良悟作品ってのはアニメ脚本家泣かせな構造だと思うのだが、今のところほとんどが恵まれたスタッフによって良い形に結実している。構成そのものの思い切りの良さで伝説に残るのは「【推しの子】」。1クールの限られた時間を最大限にドラマティックに見せるために、テレビ放送以外にもありとあらゆる方向から仕掛けられた販売戦略は実に見事なもので、現代における「力を入れたアニメ」の本領を見せつけられた感がある。同様に「力をいれる」という意味では「呪術廻戦」も凄まじかったかな。

 もう少し渋い要素で見ていくなら、例えば「スキップとローファー」みたいなとにかく演出面から作品の魅力を滲み出させていく作劇はどうだろう。単にP.A.WORKSの名前をここで挙げておきたかったという事情はさておくとしてね。他にも直近の演出の細やかさ、工夫などを評価するなら「ゆびさきと恋々」なんかも見事なもの。「声じゃない声」を自然に見せるって、いうほど生やさしい作業じゃなかっただろうに。

 とまぁ、色々と「技術」の切り口はあるだろうが、そんな中で私が1番にあげるのは「Paradox Live THE ANIMATION」である。ライブシーンがある作品はそこに徹底して力を入れるからバエる作品になりやすいのだが、それだけに「アイドルアニメ」「ライブアニメ」の数は激増していくらか食傷気味。そんな中に真正面から突っ込んだ上で、きちんと「CGライブの一歩先」を見せつつ、さらに日常パートにもシームレスに繋いで世界観をガチガチに構築してくれた今作は強い。ファントメタルというイミフ物質を生み出して「画面上の演出」と「実際の出来事」がリンクできるようにしたのも大きな功績だが、やはり全編を小細工抜きの画のパワーでねじ伏せたからこその結果なのではなかろうか。制作は最近ほんとに勢いのあるPINE JAM。今後も引き続き注目したい。

 

 

努力賞 

‘13「聖闘士星矢Ω」 ‘14「ばらかもん」 ‘15「デュラララ!×2」 ‘16「魔法少女育成計画」 ‘17「魔法使いの嫁」 ‘18「プラネット・ウィズ」 ‘19「キャロル&チューズデイ」 ‘20「とある科学の超電磁砲T」 ‘21「やくならマグカップも 二番窯」 ’22「うたわれるもの 二人の白皇」

’23「柚木さんちの四兄弟。」

 「頑張ったよね」を評する賞。あやふやな本企画の中でもダントツでふわっとした部門だが、過去の履歴を見ると「まぁ、確かに頑張ってる」と思っていただけるのではなかろうか(そうでもない?)。

 と言っても、最近はこの部門が「全体的に品質は高いのに原作ありきの作品なので評価の軸が定めにくい作品」を拾ってくる場所になりがち。さらに「好きなんだけど1期目を評価した後の2期目だから今更持ち上げるのもなぁ」みたいな扱いに困る作品を押し込める場合もある。今期で言えば例えば「ヴィンランド・サガ Season2」なんかはドンピシャでこれにあたるだろう。凄絶だった1期目と比較しても特にクオリティの低下は無いし、シナリオラインは多少地味ながらも、見続けていればやはりあの独特の重苦しさがクセになる秀作。重苦しさとそこから解放されるカタルシスを描いた原作あり作品は「青のオーケストラ」。思春期における「友達との向き合い方」「恋愛との向き合い方」「家族との向き合い方」「己との向き合い方」を全部盛りにした贅沢中学生日記(高校生だが)。いかにもNHKな教育番組的サポートも充実しているのが良い。

 教育的配慮が1ミリも存在しない原作あり作品は「魔法少女にあこがれて」。聞くところによればアニメに比べて原作の描写は意外に淡白とのことで、アニメならではのギトギトしたエロシーンの盛り込み具合は「修正規制と厳しい世の中だが、何としてもアニメ化で爪痕を残してやる」というスタッフの執念が伺える。同様に教育的にはとても悪そうな執念というか怨念がこもっているのが「ダークギャザリング」。大好きだった作品なのでどこかで評したいと思っていたのだが、結局場所がなくてここに取り上げるだけになってしまったのは残念至極。

 ちょっと間にオリジナルアニメも挟んでおくと、直近の作品から「SYNDUALITY Noir」も身の丈にあった頑張りを見せてくれた佳作ではなかろうか。一時期からどうにも奮う作品に乏しくて辛そうに見えるロボットアニメというジャンルの中で、ロボに関するあれこれは最低限に収めつつも、ちゃんと世界観を発揮して丁寧なドラマを展開してくれた作品だと思っている。こういうところから何か1つでも、ガンダムほどとまでは言わないが長期シリーズになるような大きなタイトルが生まれてほしいものだ。

 残りは全部「原作が買いたくなるな」と思わせたアニメ化ジャンルからのピックアップ。意外なところからだと「政宗くんのリベンジR」は、ウン年越しに物語を完結まで導いてくれた、まさに努力賞。こんだけ間が空いてしまったら色々と選択肢もあったのだろうが、最終的には「ふつーに続編を作って完結まで持っていく」という一番ファン目線で正しい展開を見せてくれたし、その流れも納得できるものだった。ずいぶん時間はかかったが、これはこれで恵まれた作品。同じく小説媒体からは「アンデッドガール・マーダーファルス」もまさに「頑張った」作品で、こんだけアニメ化に向かない原作を必死に「アニメらしく」まとめ上げたスタッフの頑張りは素直に称賛できるものだろう。

 他にも、個人的には1推し2推しの「ラグナクリムゾン」も原作ありの労作だし、純粋に品質のみの評価ならベスト3に入ってしかるべき「文豪ストレイドッグス(第5期)」などライバルの多い部門ではあるが、今期はそのいぶし銀の仕上がりを評し、「柚木さんちの四兄弟。」をこの部門のてっぺんへと推したい。誰がどう見ても地味なテーマの作品。男ばかりの4兄弟というやや弱いように見える設定でありながら、純然たる作画品質と丁寧なアニメ的作劇でもって確実に「気になる」作品へとレベルアップしていたお手本のようなアニメ化。世間的には「原作と製品」について何かと喧しい風潮にある昨今だからこそ、こうして真摯な姿勢で作り上げられた高品質な作品を改めて鑑賞する機会を持ちたいところである。

 

 

ファンタジー賞 

‘13「翠星のガルガンティア」 ’14「ログ・ホライズン2」 ‘15GO! プリンセスプリキュア」 ‘16「フリップフラッパーズ」 ‘17「少女終末旅行」 ‘18「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」 ‘19「ドロヘドロ」 ‘20「モンスター娘のお医者さん」 ‘21「シャドーハウス」 ’22「ヒーラー・ガール」

’23「葬送のフリーレン」

 何となくふぁんたじっくなものを評する部門。およそ規定に相応しくない作品が履歴として記録されている気もしますが……自由っていいよね。

 さておき、上にすでに受賞作を書いてしまっているわけですが、そんなこんなで今年度は「ファンタジー」というものについての議論が突如として活発になった不思議な年であった。もともと大量生産されるなろう世界への不平不満やさまざまな意見が蠢く時代にはなっており、ナーロッパの不備や怠慢をつつく道具立てとして「ハイ・ファンタジー」などの用語が取り沙汰されることもあったが、そこにさらに「ファンタジー的道具立て」を最大級の武器として振りかざす大型タイトルが出現したことにより、議論が顕在化、活発化したという流れだと認識している。

 そんな中で改めて「ファンタジー世界の作品」を見ると色々と味わい深いものがある。個人的には「なろうだから」という区分のみで切って捨てる傾向は何とか自制しようとは思っており、例えば今期であれば「最果てのパラディン 鉄錆の山の王」などは立派に責任を果たしつつ、独自の世界を作り上げてくれた骨太ファンタジーだと思っている。もちろんエルフ・ドワーフ・ドラゴンなどといった道具立ては所詮「借り物」でしかないと言われたらそうなんだけど、結局ジャパニーズ・ファンタジーの嚆矢(の1つ)と言われるロードス島なんかもスタート地点はそこからなわけで、基本的な議論は「その上に何を乗せるか」という部分で充分なのではなかろうか。

 また別軸からなろう的世界観で堅実な流れを作ってくれたのは「治癒魔法の間違った使い方」。ヒーラー戦闘はいつの間にやらなろうでは定番の1つになってしまっているようだが、なおざりな設定でなしに、きちんと「戦うヒーラー」の姿を描いてくれた部分は好印象。「戦い」を描くのが主目的の作品であるなら、そりゃもっと泥臭くなってもらわないと。

 なろうとは似て非なるラノベ媒体では「七つの魔剣が支配する」あたりは色々と気になる要素が多い秀作だったと記憶している。設定が大混雑していたのでアニメ単体で追いかけるのは大変だったが、盛り込みたい要素を貪欲にぶっ込めるというのはファンタジーの1つの武器には違いない。あとはそれをハンドリングできるだけの技量を作者が持ち合わせているかどうか。もっとシンプルに物語の類型を追いたいというのであれば、少女漫画のフォーマットを最後まで貫き通した「贄姫と獣の王」も立派なファンタジー作品。もふもふの正しい使い方はツンデレにありだ。

 この繋がりから一気に「ラブ」方面に話を持っていくなら、例えば「死神坊ちゃんと黒メイド(第2期)」だって間違いなく魔法をテーマにしたファンタジー作品。生き死にに紐づけられたお話で、なんでこんなにほわほわ出来るんでしょうね。さらにほわほわ繋がりで無理やり接続するなら「おとなりに銀河」の設定もファンタジー(?)。どっちかというとコズミック。たった1つの特殊設定からお話が広がるのは僕の中では問題なくファンタジーだというのは、昨年主張した説です。ちなみに「人智を超えた何らかの力を扱うのは全てファンタジーでいいだろ」という暴論から「アイドルマスターシンデレラガールズU149」もファンタジーじゃろ、という論を主張しようと思ったのですが、なんか別路線で問題に片足突っ込みそうだったので自重します(してない)。

 ファンタジーという道具立てと切っても切り離せない「魔法」も今年度はさまざまな作品で俎上に上がったテーマだが、やはり個人的に無視できない「魔法」といえば「魔法使いの嫁 SEASON2」。こちらも作品のクオリティだけで見れば文句なしで今年度ベスト3に入る作品だが、旧作でいっぺん評価してしまっているので今年はここに取り上げるだけにとどめておく。まだまだ続きはあるわけで、なるべく早く3期にお目にかかりたいものだ。そして同じく「魔法」や「魔族」がテーマでありつつ、ねじくれた表現力が異彩を放つ魅力に繋がっていたのが「Helck」。これも大好きな作品だったけどうまいこと評する軸が定まらなかった……。

 てなわけで、やはり今年度の「ファンタジー論争」の中核となった2作が残ることになる。その片方はもちろん「ダンジョン飯」で、丁寧に積み上げられた世界設定はゆっくりと沈み込んでいくような心地よさもあるし、TRIGGERによるけれん味たっぷりのアニメーションも独自世界の魅力を飾り立てるのに一役買っていた。原作のクオリティを考えれば成るべくして成った理想のアニメ。そしてそんな飯作品と双璧を成した今年度の代表作が「葬送のフリーレン」だったわけだ。最近の傾向として顕著な「制作側が気合を入れて作ったらちゃんとそれに応えるだけのものに仕上がる」という模範的なビッグタイトル。まぁ、アニメが始まるまでは私なんてろくにその内容も知らなかったわけで、そこに斎藤圭一郎がお送りするド級アニメーションとして叩きつけられたら五体投地で降伏する以外にない。もちろん今作が「完成したファンタジー像」なのかどうかは議論の余地もあるが、そうした議論を巻き起こし、さまざまな人の興味をひいたというだけで、そうさせるのに足る引力が込められた作品だったのは間違いないだろう。

 

 

演技賞 

‘13「戦姫絶唱シンフォギアG」 ’14selector spread WIXOSS」 ‘15「六花の勇者」 ‘16「クズの本懐」 ‘17「メイドインアビス」 ‘18「ハッピーシュガーライフ」 ‘19「荒ぶる季節の乙女どもよ。」 ‘20BEASTARS(第2期)」 ‘21「かげきしょうじょ!! ’22「異世界おじさん」

’23SHY -シャイ-

 声優部門との棲み分けが難しいよ、演技賞。基本的に声優ありきでアニメを見ている人間なので、評価は不可分なのですよね。

 「中の人の無駄遣い」なんて言われる声優偏重型の作品はソシャゲに多い印象があるが、最近はソシャゲアニメもだいぶ下火。というか単に私がついていけずに視聴を断念しているパターンも多かったり(ごめんよ「アークナイツ」……)。そんな中「流行り廃りとか知るか、とにかく満足行くキャストを集めまくらねぇと始まらんだろ!」と好き勝手やってるのは2年連続選出せざるを得ない「うる星やつら(第2期)」。多分今の若い人から見たら「1世代前の」声優陣ということになるのかもしれないが、あらゆる端役に至るまで、コテコテで胃もたれしそうなキャスティングの数々。これを歴史の暴力と言わずに何という。近い重さがあるが世代は1つ下がりそうなのが「陰の実力者になりたくて! 2nd Season」。あれだけのなみいるヒロインが全員メイン級という贅沢さと、その贅沢を特に振りかざさない潔さ。いや、単に処理しきれなくなっただけの可能性もあるが。そしてそれをさらに煮詰めたような地獄絵図が「スパイ教室(第2期)」ということになる。もう、ソシャゲとかアニメを売り出す時に「豪華声優陣!」っていうのはやめた方がいいかもしれない。もう、そこはスタートラインやねん。

 もうちょい節操のある節操の無さを見ていくと、賑々しさは同じながらも致命傷が多すぎる声優アワード公認(?)の作品が「機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season2」。ほんとに若い世代が躍動して新しいガンダム作ってくれたなぁという感慨がある。話題性で負けないパワープレイを絶えず叩き込み続けた作品は「【推しの子】」も忘れてはいけない。7話のあの衝撃を思い返せば、これこそまさに「演技」賞にふさわしい作品に違いない。そしてまだまだ技術的に追いついていないながらも若手が精一杯の修羅道を突き進んだ結果が「Bang Dream! It’s MyGO!!!!!」。こんな地の獄からスタートした若手、きっと今後も役者として伸びてくれると信じている。

 渋めのところから回収しておきたい佳作としては「もののがたり」なんかもここで拾いたいタイトル。真っ当な少年漫画ってぇのは手垢がついているだけにどこにオリジナリティを出すかは難しいところだが、主人公・ヒロイン・サポート・敵役とどこをとっても一筋縄ではいかない魅力を内包したキャラ作りが多くて退屈しない。別軸にはなるが「天国大魔境」なんかもキャラの作り方が難しそうな作品で、それぞれのパートで自然と醸成された不可思議な空気感がよく出ていたのは嬉しいところ。あとはまぁ、空気感っていうと「江戸前エルフ」ですかね。間違いなくアニメ制作とキャストの二人三脚で作り上げられた世界。これこそ役者冥利に尽きるというものだろう。役者という意味では中の人部門で評することができないのでここで「わたしの幸せな結婚」と「ラグナクリムゾン」と「異修羅」と「道産子ギャルはなまらめんこい」と「わんだふるぷりきゅあ!」をあげておきますね。なんでこれだけ羅列したか分からない子は宿題です。

 というわけで、色々と煩悩渦巻いてしまったこちらの部門も、最終的な1本は「SHY -シャイ-」に集約させてもらおう。こちらの作品は「贅沢キャストによるわちゃわちゃ」に加えて、徹底して1人のキャラを掘り下げる心情劇としての側面も強く、安藤正臣監督の手による印象的な画面構成は動きを抑えてくれるのでキャスト陣のお仕事にグッと踏み込みやすいという特長がある。物語終盤で素晴らしい仕事を見せたのはペーシャ役:能登麻美子とツィベタ役の沢城みゆきという日本が誇る大看板。そこに今年は(今年も)八面六臂の大活躍を見せたクフフさん役:日高里菜が絡み、全てを受け止めるメインヒロインの大役をおおせつかったシャイ役:下地紫野がきっちり締める。これぞ声オタにとってのパライソ。シリアスとギャグを一緒に飲み込めるのが一番の幸せですからね。2期目も今から楽しみだい。

 

 

ユーモア賞 

‘13「マイリトルポニー〜トモダチは魔法〜」 ’14「スペース☆ダンディ(シーズン2)」 ‘15「てさぐれ!部活ものすぴんおふプルプルんシャルムと遊ぼう」 ‘16「ヘボット!」 ‘17「ゲーマーズ!」 ‘18DOUBLE DECKER ダグ&キリル」 ‘19「女子高生の無駄づかい」 ‘20SK-エスケーエイト-」 ‘21「異世界美少女受肉おじさんと」 ’22「不徳のギルド」

’23「カワイスギクライシス」

 評価軸は明確なので他の部門とは一線を画す賞。疲れきった現代人には、適当に笑い飛ばせるアニメが必要なのです。

 というわけで、ギャグアニメってのは「ギャグです!」と明言してくれるので拾いやすいものが多いが、あえて「ギャグ……といえばギャグ」くらいのところから行ってみると、今年度の幕開けは色んな意味で「江戸前エルフ」からだったように思う。最近はきらら系作品の数が減少した影響で「日常もの」と呼べる作品があまりなくなってしまったのだが(その代わりに異世界スローライフが台頭しているが)、こちらの作品は久しぶりにどっぷり浸かれる日常もの。ネタ回しも程よいし、毎回義務的に挟み込むウンチク要素、そして時たま混ぜ込んでくれるきゅんとしちゃうようなホームドラマの要素のバランスがとても良い。永遠に見ていたいアニメであった。今年度はほんとに「見終わったら原作買わなきゃ」っていうアニメが多くてねぇ……。こいつはコミックの発行部数が極小だったせいで入手まで数ヶ月かかったのもいい思い出。

 ユルい笑いという意味では「姫様拷問の時間です」もがっつり「日常系」の作品。外見は絶対日常系じゃないのにその本質が単なる日常という設定自体が笑いの根幹にあり、上述のファンタジー議論なんかを鼻で笑う姿勢もいかにも現代作品っぽいのが良いね。ここでもPINE JAMの良いお仕事が光りました。

 直球のギャグと言えない路線からは「神無き世界のカミサマ活動」なんて作品もなろう的ファンタジーからの変化球、というか大暴投。こうして既存のフォーマットを嘲笑うような展開の作品が増えてくると、自然となろうワールドもスクラップアンドビルドが捗りそう。これがもうちょい穏当(?)なデザインだと「Lv1魔王とワンルーム勇者」あたりになるのかしら。やろうと思えばどこまでもナンセンスを広げられるのが「ファンタジー的外見」の武器であり、それだけに取り扱いには気を遣う部分もあるのだけどね。

 ギャグはギャグでもラブコメ”作品として大きな成果を出したのは「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」。こちらも「ハーレムもの」という構造自体をぶっ壊すというか、粉微塵にすりつぶした上で「ラブ」の要素を絶対に消し切らないという綱渡りのようなバランス感覚がお見事。恵まれたアニメスタッフの手柄もあり、非常に愉快なコメディに仕上がっている。今年度だけで「彼女」と名のつく作品が4作もあったのだが、そのうちでしっかり「彼女」に刺さったのは今作くらいでしたね。

 ここからギャグの密度が一気に上がり、続編ものというハードルを軽々と踏み抜いていっそうのカオスを展開したのは「ぐんまちゃん(第2期)」。もう、ひらがなぐんまに一度足を踏み入れてしまったら無傷で出てくることは叶わないだろう。同様に夢とも現とも分からぬ世界で立て続けに不条理を叩き込んでくれたのは、まさかの中国アニメ「フェ〜レンザイ-神様の日常-」。ところ変われば品変わるわけだが、日本の情操教育を支える(??)ひらがなぐんまに対し、中国の何処とも分からぬ都会の片隅でも、こんなにも理不尽がまかり通っている。両国を代表する(?)理不尽けものアニメとしてぶつかり合ってほしい。

 そして今回最後の最後まで2作品で悩み抜いたのだが、惜しくも次点に退かせたのは「でこぼこ魔女の親子事情」。ギャグとしてのカロリーは充分。ほんとにドはまりしたナイス理不尽ギャグだったが、一応はアニメとして放送している分だけ、アニメの全体的なクオリティで軍配は「カワイスギクライシス」に上がった。まぁ、別にこっちだってそんな大したクオリティでもないのだが……ギャグ作品はアニメーションがどうこうなんて面倒な話ではなく、純粋にネタ回しで勝負できるのが強み。おそらく本当の意味での「ギャグ」は「でこぼこ魔女」の方が純度が高いのだが、やはりどーしても今年の潮流の中で「ペットもの」というジャンルの持つ魅力に抗えなかった。「猫って可愛いよね」という宇宙の真理ただ1本から生み出されたネタが1クールの尺に足るだけの世界となって展開されたのは本当にお気に入りだし、花守ゆみりらによる熱演も相まって、本当に世界は猫に支配されているのだということを再確認できる良き洗脳アニメ。もう、これくらいやっちゃっていいのだよ。

 

 

アイディア賞 

’13「ガンダムビルドファイターズ」 ’14SHIROBAKO」 ‘15「おそ松さん」 ‘16「ユーリ!!! on ICE」 ‘17「アクションヒロインチアフルーツ」 ‘18「ゾンビランドサガ」 ‘19「ダンベル何キロ持てる?」 ‘20「デカダンス」 ‘21Sonny Boy ’22「アキバ冥途戦争」

’23「勇気爆発バーンブレイバーン」

 「その発想はなかった」を評する部門。毎年毎年これだけの数のアニメが生み出され、「創作物」のくくりで言えば、多分もう人類には消化しきれないくらいの量が毎分毎秒生成され続けている。そんな情報過多のこの時代、まだまだ新しい可能性というのは残されているものだろうか? 大丈夫、「うまいことやった」作品はアニメ業界でも常に生まれ続けているよ。

 手始めに「新鮮に感じたアニメオリジナル作品」という枠で見ていくと、まず出てくるのは「16bit センセーション ANOTHER RAYER」。「エロゲをこよなく愛するヒロイン」の時点でちょっと新鮮だが、そこから展開するタイムリープ話と、不可思議な設定を綺麗にぶん投げて着地させる剛腕。ここまで責任を持って「新しいことを見せてやる」という気概があればこそ。方向性としては全然違うが「新しいアニメを」というのであれば「僕らの雨色プロトコル」もどこかに「何か今までに無いものを」という意識が感じられる作品だった。まぁ、それが綺麗に結実したかどうかはまた別問題だが、何かしらの足がかりにはなったのではなかろうか。

 上の項目でも触れてしまったが、「カワイスギクライシス」が見せた一点突破のギャグスタイルも斬新といえば斬新。そしてそこから繋がって(?)興味を惹かれた作品には「ドッグシグナル」がある。こちらに関してはアニメとしてのクオリティは2の次3の次で、何度も「Eテレの教育番組にちょっとアニメっぽいものがついただけ」みたいな評価をしているが、今後の業界の流れを考えるに、超絶クオリティの高額アニメと並行して「ちゃっちゃと作れるライトアニメ」みたいなものも幅広く展開されることになるだろう。その際には、こうして「教材」みたいな毛色の濃いアニメも何かしらの存在意義が見出せるジャンルになるのではないかと思えるのだ。

 あとは個別のアイディアというか、起点に目を向けた作品をいくつか挙げていくが、個人的にワンアイディアの突破力を評価したいのは「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」。まー、出てきたものだけを見ればしょーもない部分も少なくないのだが、なろう文化という歪みきった世界の中、「とにかく主人公を変なものに転生させなきゃいけない」という使命感から生み出された作品だとしても、一定の責任感というか、「ちゃんと世界を成立させよう」という意識が見られたのはよかった部分。どういう結末を迎えているかは知らないが、この設定を最後までやりきったかどうかは気になるところだ。

 同じくなろう文化から生まれたはずの異形の作品には「異修羅」がある。こちらはなろう的なチート能力者の世界をベースに置きつつ、その他「異能力バトルもの」のヘンテコフォーマットをまるっと飲み込んでこけおどしと意地の張り合いみたいな変な文化を醸成させた、まさに「異」な作品。これだけ荒唐無稽の設定でも何故か引き込まれる展開を見せられるあたり、多分作者はちゃんとした構成力を持ち合わせてるんだろうな、と感じられるのはなろう作品には珍しい感覚だった。こちらも原作を追ってみたい作品ではあるのだが……完結するんでしょうかね?

 最後に漫画媒体から目を引いたアイディアの作品を拾っておくと、アニメはスケジュールのバタバタでどうしても印象が悪くなってしまったが「ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜」なんかは設定自体面白いし、アニメとしても攻めたデザインが光る秀作だったとは思っている。広げた風呂敷を畳むのにもたついたのがもったいなかったな、くらいの感覚だろうか。逆に、全然違うジャンルながら、あまりに綺麗に収まりきったので感心したのは「君は放課後インソムニア」。「不眠」という一つの題材を取り上げて一組の男女の遍歴を紡いでいく筆致はなんとも詩的で、特に身につまされる部分があるだけに刺さる描写が多かった珠玉の作品。アニメとしての見せ方も作品のテイストに見事に噛み合っており、こういうアニメ化ならもっとじゃんじゃん展開してほしいところ。

 ……などとまぁ、しかつめらしい話をしてはみたものの……最終的にこの部門で選んだのが「勇気爆発バーンブレイバーン」っていうね……。しゃーないやん。これはもう、この部門のための作品だよ。そのためにあえてユーモア賞でも取り上げなかったんだ。くっそ笑ってたけど、それって「ギャグが云々」っていう軸での評価じゃなくて、「誰やこんなこと考えたやつ」っていうメタレベルでの笑いが多かったと思うので。「ロボットものは最近流行りにくいから……」みたいな話を何度もしているが、だからってまさか大張さんがこういう方向に振り切れなくてもいいじゃないですか。やりたかったんですか、そうですか。

 

 

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