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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 VS田中あすか編決着、第10話。ラスボスとの対決は、抜き身の刀での壮絶な斬り合いであった。

 前回のお話であすか先輩編はほぼ片がついたと思っていたが、流石のラスボス、変身しての最終形態を残していた。まぁ、確かに考えてみりゃ前回のお話では先輩サイドが一方的に門戸を開いただけであって、そこに久美子が踏み込むところまでは行ってなかったのだ。「起承転結」の「転」までは進んだが「結」に到っていない、と前回書いたわけだが、今回はその「結」の部分である。

 久美子のお宅訪問は、弱っていたあすか先輩の内情を引き出すところまでは行ったが、最後の一押しが足りない。というか、先輩サイドも自陣に久美子を引き入れるに当たって、むしろ「自分の置かれた状況を理解させ、仲介役の久美子を諦めさせることで吹部全体を大人しくさせよう」みたいな意図があったのかもしれない。実際、久美子がお宅訪問したにも関わらず変化が起こらなかったことに対し、他の部員たちも多少がっかりした部分はあったようだ。何事もなければ、このまま田中あすかは表舞台から退場し、吹部は中川先輩を引き連れてちょっと寂しい全国大会に挑んでいた可能性もあった。

 しかしそこは運命の悪戯。折悪しく(折良く?)、黄前家でも一つの問題が自然解消しようとしていた。久美子の姉・麻美子の突然のわがままは、結局一言でまとめれば「遅れてきた反抗期」だった。「何もそんなタイミングで大学やめんでも」とは思うのだが、これまでの二十年の人生に、彼女も思うところがあったのだろう。円満解決とまではいかずとも、両親には何とか自分の気持ちを伝え、自分の道を進むことを決意したようである。姉の旅立ちを最後に後押ししたのは、図らずも「羨ましかった」とぼやかれた妹の存在。自分がきっかけで妹が始めたユーフォ、その音があまりに真っ直ぐで、妹は自分が出来なかった「やりたいこと」をやっていることを痛感した麻美子は、遅ればせながら自分も夢を取り戻す決心を固めたという。彼女の人生にとってこれがプラスなのかどうかは今の時点で判断出来ないことだが、少なくとも、お互いの心情を吐露し、わだかまり無く人生を進み始めた姉妹の関係性においてはプラスだったようである。姉の言い残した言葉を噛みしめ、久美子は一人、涙した。

 そうして青春の在り方を考えさせられた久美子が、相変わらずの家政婦気質で見聞きしてしまったのが、三年生首脳陣によるごたごた。中瀬古先輩は基本的にぽやっとした人なので「繰り返し説得すればあすかも折れてくれるかもしれない」という期待があったようだが、付き合いが長く、メンタリティを理解している部長先輩は諦めムード、というか、「あすかならしょうがない」という理解があった。「憤りというよりは失望」と彼女は言っていたが、何でも出来る完璧超人田中あすかという偶像は自分たちが勝手に作り上げたものだということも理解しており、そうしてなにもかもをあすかに押しつけてきたことの後ろめたさもあって、彼女はあまり積極的にあすか先輩を押すことも出来ない様子。何より、そうした「完璧超人」が本気で「部活に加わらない」と決意して防護を固めてしまえば、自分たちがどれだけ抗っても無意味であるということも、彼女は分かっているのだ。結局外堀は少しずつ埋められており、「全国大会にあすかは出ない」ということが決定事項に。

 これまでなら、そこで終わりだったはずのエピソード。しかし、今の久美子はそこからのもう一歩があった。決意を固めて挑んだ最終決戦。相変わらず、彼女には策略も武器もなく、ただ思ったことを口にするだけ。そして、そんな生中な説得に応じるくらいなら、問題はそこまでこじれていない。改めて、田中あすかが恐ろしい人間であることを認識させられる。2人きりの自宅であそこまで開けっぴろげに自分をさらけ出しておきながら、いざ「部活に復帰するかどうか」という具体的な問題になると、彼女は再び仮面を被り、徹底して理詰めで防御を固める。「自分は吹部に戻ってはいけない」という理由をそこかしこから選び出し、隙を作らない。ここで以前の希美復帰問題を引っ張り出してくるあたりは実に周到。彼女は、「久美子が諦めざるを得ない」言葉を的確に繰り出し、撃破しようとするのだ。そんな彼女が最後に取り出したのは、久美子の内面性に関わる決定的な一言。つまり、彼女の「性格の悪さ」。家政婦体質で首を突っ込むが、常に一線を引いた久美子のスタンス。希美事件の時に結局関われなかったことは事実であるし、事なかれ主義を標榜し、他人の強い感情からは目を逸らす、それが久美子の生き方だったのだ。当然、これまで散々茶化していたあすかはそのことを熟知しており、最後にとどめを刺すつもりで、一番言いにくいそのことを引っ張り出してきたのだろう。どこまでも残酷で、冷徹な女である。

 しかし、この攻撃が今の久美子をかえってかき立てることになった。姉との一件を通して、自分の生き方を思い悩んだ久美子。彼女の脳内を「自分」「他人」「大人」「子供」といった様々なタームがかき回したことだろう。そして、全てが吹き飛んだ後に残された行動は、ただ感情のままに、わがままをぶつけるだけの久美子だった。姉が成し得なかったという、「子供らしい高校生」の振る舞いだった。ハタからみれば単なるわがまま。理屈も何もあったもんじゃない言葉の数々。しかし、それは未だかつてあすかが受けたことのないものだった。「特別」であり続けたあすかは、久美子を揶揄して逃げおおせたと思っていたものの、実際には、突き刺した言葉が己に帰ってくることを想定していなかったのだ。一歩引いて物事を見る生き方。自分はあくまで観察し、客観を尽くす。そうした生き方を続けてきた「良い子」は、何も久美子だけではない。あすか自身、そうした生き方を強いられ、そうした生き方しかできなかった人間だった。そのことを、一歩先へと進んだ久美子にぶつけられ、彼女は揺らぐ。今まで受けたことのない生の感情を叩きつけられ、みっともなく狼狽する。前回見せた彼女の「生の笑顔」が起承転結の「転」であるなら、今回彼女が「見せなかった」表情こそが、「結」である。久美子が全身全霊でもってたたき落とした彼女の仮面。その奥にどんな表情があるのか。画で見せられずとも、それは明らかであろう。かくして、ラスボスは打倒されたのである。

 ラストシーン、全く同じ構図で並ぶ2本のユーフォニアムが、今回の顛末を象徴している。もう、田中あすかは仮面を被る必要はないはずだ。「自分のための演奏」を好きなだけ追求し、わがままを言える関係性になったはずだ。万難は排された。

 ……はずだったのだが…………あれ? 高坂さん? 麗奈さん? どうされました?? ……あの写真のことがなぁ……まさか久美子の方にもなぁ……。田中あすかはラスボス、それは間違いないのですが、最近のゲームって、ラスボスの後にもっと強い隠しボスが必ずいるよね……。

 そして、次の曲が始まるのです。

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