「霧尾ファンクラブ」 4→6
びみょーに拗らせたような感想になるのだが、私は今作のことはそんなに好きではない。好きじゃないんだけど、どこか客観的な視座から「とてもちゃんと出来た作品だったな」という感覚があり、そちらに従って評価を上げている。まぁ、人間の中に評価軸が1つだなんて限りませんからね。
先に「好きじゃない」と思う理由を挙げておくと、今作のコアとなるギャグのテイストがただ単に好みじゃない、それだけだ。ベースに下ネタがあるのがまずもって苦手で、わたしゃあんまり正面切っての下ネタが好きじゃないってのもあるし、それを女子高生主人公でやらせてしまう食い合わせが好きじゃない。ただ、ネタ回し自体は刺さる人には刺さる可能性もあるなぁ、と思っているのでそこで点を下げたいと思っている自分には今回犠牲になってもらうことにした。「このネタが嫌いなことに理屈はないな」って思ったからだ。一応、アニメーションとしてややテンポが悪いとか、映像クオリティが決して高くないとかいちゃもんはいくらでもつけられるだろうが、そうしたディティールを全て飲み込んだ上で、1クールアニメとしてのシリーズ総体が綺麗だった。
1話目時点で「なんかよくわかんねぇ設定だなぁ、そもそも霧尾って誰だよ」みたいなところから始まってしまって座りが悪かったのだが、今作はそうした「よく分からなさ」は最初から織り込み済み。というか、メインキャラ3名がアホなことをしているように見えてその裏に結構繊細な過去を隠してるんだよ、というのがメインプロットなもんで、薄皮を剥ぐように少しずつ過去に肉薄していく様を描く構図は、あの1話目からスタートしないと始められないものだ。どこかテンポが合わないチグハグさも、それぞれが抱えた目的の差や想いの違いを表したものと解釈することもできるし、「実は今作で描きたかったのはギャグではなくてヒューマンドラマの方なのでは?」と思えばだいぶすっきりできた(いや、こんなヒューマンドラマはイヤだが)。
そうしてみるとほんとに1クールという尺にピタリはまるデザインは綺麗なもので、不条理を売りにしたアニメとは思えないくらいに最終形態が整っている。アイミと霧尾の関係性はもちろん、私としてはむしろそっちが大事やろがい、と思っていたアイミ・ナミの関係にもきちんとエンディングを与えてくれているのは喜ばしいところ。いや、むしろ今作はアイミと霧尾の物語じゃなくナミを中心とした友情物語だった可能性すらある。なんか、いろんなところで半歩ずつズラしたようなネタ回しが最初は違和感だったし、もっと自然に見せる手段もあったとは思うのだが、その違和感から引っ張って最後に落とすべきところに落とす気持ちよさを見せたかったとしたら、納得せざるを得ないのである。
まぁ、こんだけ書いても私は今作は好きじゃないとは言い続けると思う。顔芸で笑わせる方向性とかほんと合わないし、その顔芸の描写も作画によってあまりインパクトにつながらなかったりするし。上っ面でもっと「いい」アニメには出来たとは思っている。その上で、力不足とか思慮不足でこの結果になったとは全く思ってないし、この形だったからこそ価値を見出す人だっていただろう。そこは人それぞれで。日和見主義的な評価でもいいじゃない。人間だもの。
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