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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「君に届け」 5→6

 関東圏から見たら1クール遅れなのでしょうか。ようやく終わりました。そして、とても満足しております。みんなみんな、幸せになればいいと思う。

 この作品の胆は、非常にゆっくりとした、堅実なシナリオ運びである。2クールというそれなりに長い尺がありながら、その中で描かれたものは基本的に爽子と風早の恋愛模様のみ。途中でくるみ絡みの事件や千鶴の恋愛なんかもあったが、それだって、長い目で見れば爽子たちを近づけるための因子である。いくつかの苦労と、たくさんの幸せを抱え込んで、2人は一つのゴールにたどり着いた。ここまで執拗な恋愛モノというのは、昨今の大量消費のアニメ作品群の中にはなかなか見られない。一応尺の長さだけなら「のだめカンタービレ」などもそれなりに時間をかけて恋愛を描いていたが、あちらはキャラクターの濃さを前面に押し出して勢いに任せて進行する部分もあったのに対し、こちらは爽子も風早も奥手中の奥手。しかも実に気の利く人間なので、色々と回りや相手を気遣ってもやもやしている様は、いらだたしいほどの「青春」を感じさせてくれる。

 こうした青春ドラマをささえるのは、やはりメインとなった2人のキャラクター、爽子と風早。男目線からすると風早は流石に阿漕過ぎるくらいのキャラクターなのだが、冷静に考えれば爽子も凄い。あそこまで「理想の」女性像というのも珍しいとは思うのだが、彼女が体現した「女性らしさ」というのは、ここ最近の少女漫画原作アニメのヒロインの中では特殊な気がする。

 「女性向け作品」「少女漫画原作作品」などのアニメには大きく2つのタイプの主人公がいる。あまり単純に類型化するのも問題だろうが、個人的には大体そういう風に見ている。1つは、いわゆる逆ハーレムもの、今期なら「薄桜鬼」に登場する千鶴のような、「基本的に淑女であり、回りの男性が心配して声をかけてくれる」というパターン。この手の女性は基本的にキャラクターが強く表に出てこないことが多くて、トラブルに巻き込まれておろおろしていると何となく男性が助けてくれたりする。このタイプの場合、女性キャラクターそのものよりも、むしろそこに群がる男どもとの掛け合いが勝負になる。

 そしてもう1つのタイプとして、「女も惚れる女傑」タイプ。最近は多い気もするのだが、例えば「会長はメイド様!」の美咲、他にも「スキップビート!」のキョーコとか「S・A」の光など、何でも出来るスーパーマンなのだが、自分を上回る才能を持った完璧な男が現れて、そいつを相手に恋愛が展開する形。こちらはキャラクターもはっきり浮き出るので物語に動きが出しやすく、女性主体になるので賑やかさが出る。

 そして、ご承知の通り、この作品のヒロイン爽子は、このどちらにも属することはない。タイプとしては前者に近いわけだが、爽子はお飾りというには強烈過ぎるキャラクターを持っているし、この作品は爽子を見ている時が一番面白い。かといって、男勝りでガンガン前面に押し出してくるキャラクターでもなく、おろおろしているうちにトラブルに巻き込まれていくので、事態の中心にいるというわけでもない。それでいて、少しずつ周りの人間に好感を持たれるようになっていくというのだから、かなり特殊な立ち位置なのではなかろうか。

 そんな爽子が魅力的に描かれることがこの作品の至上命題であり、これが見事に成就している。終盤に登場した、髪型をいじったまっすぐな爽子は混じりっけ無しの「ヒロイン」像にまで成長していたし、もちろん要所要所で登場するデフォルメ爽子の愛らしさは最初から一貫している。とぼけた味、天然と言われる性格も嫌みになることなく、異性には愛され、同性にも可愛がられる、見事な「愛され系」を形成していたわけだ。このキャラクター造形は見事である。

 そして、そんな爽子の存在感を不動のものにしたのが、メインヒロインとしては久し振りの、魔性のボイス、能登麻美子。能登ボイスが爽子というキャラクターと出会ってしまっては、もう、誰も他の人間が彼女を演じることは出来ない。それくらい、声とキャラクターのシンクロ率が高い。度が過ぎた爽子の鈍さや天然さ、そしていわれのない不気味さと愛らしさは、能登麻美子がいなければ成立しなかった奇跡の集合体と言える。

 もちろん、他のキャラクターだって負けてはいませんよ。千鶴役の三瓶由布子、矢野役のみゆきち、くるみ役の平野綾など、この学校のガールズトークは、単に「可愛い」というのではなく、奇妙な生々しさをもった「女子高生像」を構築することで、逆に現実感の乏しい爽子の存在をフォローしていたような気がする。もちろん、男性キャラクターの方もね。

 6月も半ばを過ぎた暑い盛りに、初詣を舞台にして2人の物語は幕を閉じた。原作はまだ新刊が出ているみたいなのだが、この後の続きが、アニメで語られたりすることはあるのだろうか。まぁ、現時点でほとんどのキャラクターが充分幸せみたいだし、あのまま平和だっていうなら文句はないのだが……最終話で1人報われなかった矢野ちんに少しでいいから救いを与えてほしい気はします。何はともあれ、楽しい作品でした。 

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