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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「平穏世代の韋駄天達」 5→6

 いやー、好きな作品でしたね。アニメーションとしての画像処理もそうだし、能力バトル漫画としての内容もそうでした。キーワードは「ドM」。

 「圧倒的絶望を前にした苦闘を描く物語」ってのは昨今割と数があって、パッと思い浮かぶのは何と言っても「進撃の巨人」。圧倒的な暴力に蹂躙され、じわじわと壁を狭め続ける人類がどうやったらその状況から抜け出せるかという絶望的状況を、多大な犠牲を伴うトライアル&エラーでもって少しずつ解体していくというお話。もちろん最終的には「打開」が待っているはずなのだが、そこまでにどれほどの絶望感が描けるかっていうのが腕の見せどころで、個人的には何故か知らんけど「馬を先に潰された屋根の上のおっさんが巨人に嬲り殺されるシーン」がやたら印象に残っている(ディティール全く覚えてないんだけど)。とにかく、希望があると思っているところを打ち砕かれて、あまりに惨めに負けていく姿、そういうのを見るのって、ゾクゾクするんですよね。この感情ってドMなんだろうか、それともドSなんだろうか。個人的には、NTR好きと同じ神経回路な気がしているのでドMの感覚なんですよ。

 そして今作も、そんな「絶望的状況を作ってからのブレイクスルー」というシチュエーションに徹底的にこだわっている。しかも、何が面白いって絶望してるのが相手側だってこと。アニメが始まり、最初に韋駄天の設定が説明された時点では「結局なろうとかと同じでオレツエーやるだけの話になるのでは?」と思っており、実際に魔王軍討伐までの動きではイースリイを筆頭とした韋駄天サイドにほぼピンチなどありはしない。リンも含めた圧倒的な性能でもって絶望する魔王軍を叩き潰していく。オレツエーの極みだが、そこで蹂躙される魔王軍を中心に描くことで、次への布石が作られている。そう、ミクの存在である。

 このミクっていう蟻の一穴が今作の全て。完膚なきまでに策を練り、戦後のことまで考え抜いたイースリイが魔王軍を叩き潰したはずが、たった1人、「ありえない洞察力」を持つミクだけは取り逃がした。これが「進撃の巨人」で言えば序盤におけるエレンのポジションになるわけで、「絶滅の危機に瀕した側が持つ最後の反則兵器」である。しかもミクは肉体を使っての戦闘はからきしという完璧な参謀キャラであり、とにかくイカレた「洞察」だけでひたすらに先手先手をうち、針の穴を通すように魔族生存ルートを作り出す。イースリイに落ち度があったとも思えないがミクは見事に策を成し、今度は韋駄天側を「絶望」へとひっくり返すのである。この時に1つ目の「絶望の物語」が収束し、立て続けに「二つ目の絶望」へと繋がっていく。絶望好きの視聴者からすれば、実に贅沢ないいとこどりパッケージというわけだ。

 「人類の存在自体にあんまり興味がない韋駄天」という設定も絶妙で、彼らの「こだわりの薄さ」というか、生きることへの関心の低さみたいなものが、きちんと「オレツエーなんだけどどこかにぽっかりと穴が空いてる」雰囲気につながっており、ミクのようにただ快楽だけを求めて生き残ることに執念を燃やした魔族との対比が出来上がっている。また、韋駄天の持つ現実感の薄さはバトル要素としても不思議な効果を生み出しており、「死なないから何してもいい」という刹那的な戦いっぷりはあまりに珍妙で、それだけで面白みにつながっている。そうして圧倒的「ボスキャラ」として世界を蹂躙しながら、最後にはミクというたった一人のエロ魔族の手に落ちて転げていく「最強」たち。これこそ、少年漫画的な王道展開(の綺麗な裏返し)ではないか。あまりに捻くれた設定だが、いちいちやってることは理知的なので妙に納得してしまうという。この見せ方は、純粋にストーリーテリングの旨さが出ていると思う。

 惜しむらくはすげぇいいところ(?)で終わってしまったのでどうにも続きが気になるということだけだが……これ、絶対に原作ストックないよね。ここからどう落とし前をつけるんだろう……。ここまでの筋立てが作れてるなら、この後もとんでもない展開を見せてくれそうな期待はあるんだけど。……天原ってこんな作家だったのか……。

 

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