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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 「Aチャンネル」 4→4

 今期最初のゴールインはこの作品。簡潔にまとめるなら、「何かあるかと思って観ていたけど、結局何も起こらなかった作品」。現代アニメの立ち位置としては象徴的な一作ではあると思うのだが、最終的にそこに大きな存在意義を見いだすことが出来なかったのはちょっと残念。

 先に断っておくと、最後まで特に不平不満があったわけではない。小野監督の画面作りは「萌え」特化の作品性にマッチしていたと思うし、過度のデフォルメを受けたキャラクターたちの動かし方、画面の品質については、一定以上のものをキープしていたと思う。色々と実験的な試みもされていたし、30分をダラダラ見続けるのに足るだけの内容であった。ただ、その上で1段上の要求をしようとすると、それが返ってこなかったのが勿体無いと思うのだ。

 この作品を「あんまり楽しんでないなぁ」と思うにつけ、これが「けいおん」とどう違うのか、ということをよく悩む。おそらく見る人によっては「ダラダラした日常生活を描くだけの山もオチも無い話だし、女子高生の日常とかいいながら、萌えオタに都合の良いだけの気持ち悪い内容でリアルとか片腹痛い」という感想が出ているはず(実際に「けいおん」の否定派の意見はそういう主旨が多いはずだ)。その上で私が「けいおん」を強くプッシュ出来たのは、京アニ品質の有無を言わさぬ迫力もあったが、日常に潜む何気ない出来事の「ドラマ」を十全に引き出すことに成功していたと考えたからだ。大きな事件など起きずとも、学園生活における青春というのは、諸々の日常生活、イベントの中にこそあるもの。そうした等身大のドラマ性が、アニメにする価値を含んでいたと考えた。

 一見すると、この「Aチャンネル」も同じ評価を受ける権利を持っている。事実、掲載誌は同じジャンルだし、原作漫画の主旨はほぼ同様と考えられるだろう。アニメーション自体の画質についても、スタジオ五組は充分にその任を果たしたといえるだけの丁寧な動画が実現していた。しかし、そこまで分かった上で、この作品はあまりに物語性が希薄だったように思う。

 致命的にやりづらい要因は、1話の時のもぼんやりと不安視していたのだが、メインキャラ4人の中でトオルだけ学年が違い、4人の共通領域が確立しない点。部室や教室などでの対話が日常のドラマ設定に固定できず、それ故に交流の種類が限定的になる。通学路や自宅での勉強会、季節のイベントなどでの4人が主に描かれるわけだが、大上段に構えられた「コミュニケーションの基点」が存在していないので、この4人の関係性をどう固定していいのかが最後まで分からずじまいだった。例えば物語後半にはトオルが受験や進路との絡みでるんとの関係性に色々と頭を悩ませるドラマがあるわけだが、これが「4人のドラマ」ではなく、あくまで「2人のドラマ」にしかなっておらず、大きな心の動きを表現しづらい。「トオルが他の3人と出会える機会」があまりに限定的で、日常系とはいいながらも、あまりにパターンが特定されすぎた、本当の「惰性」に繋がってしまっていたのも痛い部分。

 また、やっぱり個々のキャラクターの設定が中途半端だ。るんは歴代「日常系」主人公の中でも突出した異常性を有するキャラだと思うのだが、あまりにトビ過ぎると「日常性」は落ちる。そして異常性の描写に力が入りすぎたのか、彼女の回りに人の輪が出来上がる不思議なカリスマのような要素の描出が薄くて、「トオルはまだしも、よくこいつらはこんな面倒な奴の相手するよなぁ」という不信感が拭いきれなかった。他2人の突っ込み側についても、「ありがちな要素」をとりあえず切り貼りした典型的なキャラ造形だが、それらのファクターがるんの持つ異常性と共鳴する部分が少なく、「個々にやりたいネタをやり散らかしている」という印象が強い。「4人のお話」に期待しているのに、各話の小エピソードで「これはナギの話」とか「これはユー子の話」とかいう隔絶が起きてしまっては、女の子のきゃっきゃうふふを観たい側からすると破壊力に欠けてしまうのだ。

 そして、最後まで分からんかったのは、そうした「ブツ切り感」を助長する謎の挿入歌パートである。最後の最後まで初志を貫徹して毎話挟んできたのは立派だと思うが、正直言ってあのパートの存在意義がよく分からない。基本がギャグ漫画のはずなのだから、無声劇のシーンを増やすよりも、とにかく会話劇を展開させて繋ぐ方が正道だと思うのだが。「売れるアニメに歌は必須」という分析をどこかで観た気がするし、それも一理ある考え方とは思うが、こういう使い方のことを言っているわけではないだろうに。

 とまぁ、色々と難点はありつつも、諸々とっぱらってトオルは可愛かったな。悠木碧による中の人補正も大いにあったとは思うが、最後の最後まで「トオル可愛い」だけで走りきった感はある。作中で一番身近に、丁寧に書き込まれてたのがトオルだったので、そこだけを観ればそれなりの密度も維持できていたし、いっそもう1〜2キャラ減らしてトオルオンリー作品になっていれば、もう少しモチベーションも上がっていたかもしれない。

 その他の中の人評としては、与えられた仕事を与えられた通りにこなした福原香織は通常加点、若手の内山夕実についても、初めてのレギュラーとしては堂々たるものだったろう。特別強く印象に残ったわけではないが、今後も頑張って欲しいと思える仕事であった。そして、作中でも台詞の数が多かった寿美菜子には努力賞。何故か相変わらず彼女の関西弁を聞くとどこか不安な気持ちになることもあったのだが、普段と違った被虐性質のキャラクターなので、新鮮な印象はプラス要因である。あと、地味に各家庭のおふくろさんが存在感のある声だったのが忘れられません。水谷優子の母親声を聞いて、「あぁ、この人の正統後継者は野中藍なのかもしれない」というよく分からない悟りが得られました。

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