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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 決戦の日に、第10話。何故こうも世界は痛々しいのか。

 この作品にしばしば現れ、その根源となるテーマ性は、「時間」だ。どんな人間にも平等に流れ、みな一様に同じであるはずの「時間」。しかし、それが実際は個人個人で全く別な意味を持っており、「共有」というテーマで揺さぶられつつ、「動く」か「止まる」かすら選択が可能である。今回はそのことを如実に表す演出が多く、クライマックスに向かって突き進んでいる本作のテーマ性が強く表れるエピソードとなった。

 「あの日」を過ごして以来、この作品に登場する全てのキャラクターが共有していたのは「めんまのいない時間」。それだけは不動のものであるが、当然、個々の人物において、「めんまがいないこと」の意味は違う。一番分かりやすかったのは本間家の面々で、「めんまのいない寂しさ」こそ共有出来ていたはずだが、それが「共に寂しく思う時間」ではなかったと、めんまの父親はイレーヌに説いて聞かせていた。聡の漏らした「俺、随分身長が伸びたんだ」という一言は、イレーヌに自らが閉ざした時間の存在を気づかせるのには充分なものだった。寂しい、やるせないという感情に閉じ込められたイレーヌは、あまりの孤独のために、目の前にいる息子の姿すらろくに見えていなかった。今回の騒動で、そんな本間家の停滞した時間に、ようやく変質が訪れた。

 他方、超平和バスターズの面々は、めんまの死を挟んでも、「それぞれの時間」を動き続けた。比較的動きが大きかったのは、知利子とぽっぽだろうか。しかし、この2人とて完全に「あの日」から決別出来たわけではない。当時のメンバーとしての立ち位置を回想するぽっぽは、情けなかった幼い自分を省みて、自分が常に仁太やゆきあつの後ろについていくだけの存在だったことを苦々しく思っている。そのために、めんまに対する好意など表しようも無かったし、他のメンバーの関係性に口出しすることもままならない。「あの日」の再現の際に心ならずも仁太を煽るような行動に出たのは、そんな満たされない積年の思いの表れだった。彼も彼なりに、「あの日」の束縛を振り払うのに必死だったのだ。

 知利子は、めんまの存在自体から受けた影響が最も小さい人物だろう。しかし、彼女にとって最も大きな存在であるゆきあつが歩みを止めてしまったことで、彼女もそれに歩調を合わせざるを得ない状態になってしまった。「あの日」に置き忘れたものを探し続けるゆきあつを何とか歩き出させようと頭を悩ませるも、一向に解決出来ないもどかしさ。絶対に振り向いてくれないと分かっている相手の背中を見続けるむなしさ。孤立し続けた彼女の時間は、今回ようやく鳴子との歩み寄りで快方の兆しにあるだろうか。ゆきあつがようやく鳴子のことを「あなる」と呼んだ今、未だ「安城さん」と呼び続ける知利子の距離感は、ひょっとしたら最も遠い存在なのかもしれない。彼女も、それを理解しているからこそ、髪を切ることによって無理矢理時間を動かそうと試みたのである。

 世界を動かす新たな火種を生み出すことに成功したのは、鳴子とゆきあつの2人。この2人の時間は非常に明確である。今回は2人がファーストフード店で会話するシーンが象徴的で、2人の会話の内容が、窓の外に映し出された信号機の色に対応するという演出がなされている。「あの日」で止まってしまった鳴子の思い、仁太との関係性は、めんまの「復活」を境に動き始める(青になる)ことに成功した。しかし、それは結局、鳴子の思い描いた通りの「進行」ではなかった。

 そして、電話越しに会話する知利子とゆきあつ。ゆきあつの顔には、ガラスに反射した信号機の「赤」がでかでかと移り込み、彼の時間が引き続き止まりっぱなしであることを暗示する。知利子にそれを指摘されたゆきあつは、無理矢理にでも時間を動かすために、花火の打ち上げに執心し、「あの日」を打ち砕くための荒療治としての再現劇を実行に移したのである。ゆきあつ・鳴子・知利子の3人は、立場は違えども、「あの日」に忘れてきた誰かの思いを動かしたいという動機は共通している。この3人の動きによって、花火は宙を舞った。

 そして、結局これだけの面々が動き、動かされたのは、全ては仁太による。めんまも含む全ての人間は、「利害の一致」という面を考えてもその思惑が共通している。「あの日」で留まり続けることを悔しく思うぽっぽ。時間を進めて固化した感情を打破したいゆきあつ。あの日に囚われた思い人を解き放たねばならない知利子と鳴子。そして「生まれ変わり」を目指すというめんま。たくさんの思いが、「次の時間」を目指すために花火を打ち上げた。しかし、そんな中で何度も何度も「止められる」と繰り返し続けたのが、仁太であった。

 みんなと共有出来ない「めんまのいる時間」を過ごしてきた仁太。めんまが具体的に他者とインタラクションするようになり、その差は埋まったものと思われたが、彼の時間だけは、結局止まり続けることを望んでいたのだ。結局、動かすべきはめんまの時間ではなかった。動かなかったのは仁太、動くべきは仁太だ。そろそろ、回りの人間もそのことには気づくのではなかろうか。

 もう間もなく、この物語も幕を引く。嫌でも、時間は動いていくのだ。

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