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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 この期に及んでまだ株を上げ続ける中川先輩超つえぇ、第11話。何であんなに良いポジションなんだよ。格好良すぎるやないか。実はこの部活が成り立ってるのって、彼女のカリスマ性のおかげなのでは……。

 一つの決着を見るお話。言ってしまえば予定調和以外のなにものでもないのだが「オーディションの決着」という既定路線の結末に至るまでにも、色々と考えさせられるシーンが盛り込まれているのが本作の良いところ。脇に回ったキャラクターまで、一筋縄ではいかない懊悩が詰め込まれている。例えばなーんも考えていないように見える葉月ですら、きちんと久美子×麗奈というカップリングの存在を意識してそれを補佐する役回りで動いており、オーディション本番では、わずか4人しか存在しない「拍手することで意志を明確に示した人間」の1人としてしっかり爪痕を残している。彼女の真っ直ぐさは、数多のしがらみの中で潰れていく人間の多い吹部の中では貴重な存在である。ちゃんと「選出されなかったメンバーでもう一曲出来るようにしておく」という救済措置も採られており、低音パートからは葉月が1人だけここに含まれることで、自然に縁の下の力持ちとしての低音の責任感が養われているのが良い。かつて久美子たちは「演奏する楽しさ」で葉月を繋ぎ止めることに成功したが、きちんと各パートが重なり合った演奏を行えるポジションに落ち着いたことで、葉月は現在、一番楽しい時間を過ごしていることだろう。

 その他にも、サブのポジションながらも中川先輩はキーパーソンとしての存在感が強い。デカリボンこと吉川優子との接点は、香織先輩が一番、そしてこの中川先輩が二番目に多い。下駄箱での一幕は、吉川が早まった行動に出ることを抑止し、彼女にきちんと「まっとうな倫理観」があることを確認させてくれる。「オーディションに落ちたくせに!」という心無い一言を浴びせられるも、中川さんは微動だにせず彼女の気持ちを受け止めており、そのことでより一層、吉川の心が揺さぶられることになるのである。中川先輩が2年生軍団のコントロールをしてくれなかったら、ひょっとしたらオーディションの時に組織票を入れるなんて暴挙もあったかもしれない。吹部の良心、それが中川先輩なのである。

 我らが主人公、黄前久美子さんも、今回はサポートに回っている。麗奈とのハイパーキマシシーンは8話の神々しさに比べるといささか直接的過ぎて安易なイメージではあるものの、精神感応的キス(仮)の後に彼女の目元が画面一杯に映し出され、「にっこり」笑うところは衝撃的。これまで高坂さんは「微笑む」「ほくそ笑む」などの表情の変化はあったが、「ニッコリと目を細めて笑う」という大きな変化はなかった。今回、久美子の命を賭した宣言を受けて、彼女はまた一歩大きく前に進むことが出来た。久美子の覚悟は、高坂麗奈と「特別」の道を歩んでいくという試練の選択。かけがえの無い「親友」であり心の底からの「恋人」となったことで、久美子の精神レベルも一段上がっている。下校時に河川敷で必死に練習する塚本を見ての「上手くなりたい」という一言は、彼女の意思が定まったことの端的な表れであった。

 そして、今回の主人公は間違いなくデカリボン・吉川優子である。邪道も極めればまた道也。非常に短絡的で、思慮に乏しい彼女の行動原理であるが、その根底に流れている強い願いは、久美子や麗奈の持つ意思と差別化するべきではない。たった1つの憧れ・愛情を維持するために、彼女はなりふり構わずにその全てを捧げている。麗奈に直接頭を下げた彼女の心中は察するに余りあるし、どれだけ頭で理解できても、どれだけ自分の愚かさをさらけ出すことになろうとも、彼女は最後の最後まで自分の意志を貫き通した。あのオーディション会場において、香織先輩の演奏に拍手を送ることが、どれほど困難で、みっともない行為であるか、想像できるだろうか。少なくとも、回りの部員達には出来ないことだった。優子の英断についていくことが出来たのは、3年という月日を共に過ごし、彼女の苦境を全て知っている部長だけである。部長と同程度の覚悟を、優子は持っていた。それだけは間違いないことである。結果だけを見れば、間違いは正されるべきであるという倫理的判断により、彼女は敗者となってしまった。しかし、きっと何よりも香織先輩は彼女の気持ちを分かってくれている。そして、あの後で彼女のことを責める部員はおそらく誰一人いないであろう。

 優子の「わがまま」によって自ら針のむしろへと歩み進んだ香織先輩。彼女の苦境については前回も確認した通りだが、まるきり予定通りの展開となってしまい、吹部のマドンナは静かにその身を退いた。彼女にとっての「納得」は、結局最後まで手に入れることができなかったのだろうか。いや、そうではないだろう。彼女が目指していたものは、別に「ソロを演奏すること」ではない。今週の顛末を見て分かる通り、彼女の一番の願いは、「田中あすかを驚かせる」というものであった。超然として全く理解の及ばない副部長、あすか。彼女と3年間をともにしながらも、香織先輩はまだ田中あすかという人間に触れる事が出来ていない。このオーディションのどさくさに紛れて、何とかそんなブラックボックスに手を伸ばそうと努めたわけだが、残念ながら今回もその手は届かずじまい。香織先輩の演奏の後、副部長は一切拍手をしておらず、それを見た香織先輩の「また駄目だった」という奇妙な表情は、「納得」が片付いていないことを示している。しかし、ここから先でまだ彼女にはチャンスが残されているのだ。ソロが吹けずとも、田中あすかはまだ目の前にいるのだ。最後の最後に、3年生チームが壁を吹き飛ばすことは出来るのだろうか。

 毎度ぞわぞわさせられる副部長先輩の描写について、蛇足と分かっていながらも一言。香織先輩と直接対話については言わずもがな。のらりくらりとかわしながらも、常にペットボトルを振りかざすその怜悧さがあまりに残酷で、彼女がおどければおどけるほどに恐ろしさが募っていく。そして、彼女の動向が最も注目されたオーディションの結果場面。「田中あすかが動かない」ということが単に手元を描くだけではなく、それを見る香織先輩の表情や、回りの音との対比などでジワリとにじむように描かれており、彼女の絶対性がホール全体に広がるように張り詰めていくのが壮絶。他の部員達は拍手が「出来なかった」わけだが、彼女だけは間違いなく、自分の意志で「しなかった」のである。それがオーディション審査という煮詰まった場面において、諸々の情報に加えて表出してくる画作りは実に巧緻である。ちなみに今回のコンテ担当の雪村愛氏という人は、中二病2期8話(凸森回)担当だった人のようです。……百合百合だけじゃないこのパワー。

 さぁ、残されたのはフェス本番のみである。上手くなりたいと願い、麗奈と並び立つことを望む黄前久美子。孤高の存在として、滝昇だけを見て上昇を続ける高坂麗奈。そして、それら全てを見据え、麗奈の演奏にすら拍手を送ることはなかった田中あすか。残されたファクターはこのあたりだろう。吹部の未来は、一体誰の手に委ねられるのか。

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