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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 黄前久美子が主人公になった日、第12話。これにて今作は完成へと至る。

 説明不要の回ですかね。最終話へ向けて、これまで「観察者」であり続けた黄前久美子という1人のキャラクターが、スルリと物語内部に入り込み、ふてぶてしくも主人公の座に登り詰めるという展開。高坂さんとの魂の交感を経て以来、久美子は少しずつ「無気力な観察者」でいられなくなっており、前回もはっきりと「上手くなりたい」という台詞を漏らしていたわけだが、こうして作られてきた久美子像が、今週でようやく完成したことになる。

 周囲を次第に固めていく「臨戦態勢」に乗り遅れてしまった久美子は、非情にも滝センの選抜から転げ落ち、高坂さんと一緒に「特別」になるという夢を志半ばで絶たれてしまうことになる。そのことは悔しくて悔しくて仕方ないが、それが「勝つため」に正しい決断であることも重々理解している。これまでの久美子ならばそこでそっと一歩退き、身の丈にあった立ち位置から回りで起こっている「戦い」を見守っていたことだろう。今回久しぶりに登場した葵ちゃんも、そうした「過去の久美子像」を喚起しての対比が目的であるし、姉との関係性においても、久美子がこれまで波風を立てずに生きてきたことが改めて確認出来る。しかし、高坂さんという束縛要因が出来たことにより、既に久美子に「退く」という選択肢は許されていない。彼女は戦わなければならない。抗わなければならない。こうして、久美子はいともたやすく「主人公」になるのである。

 今回は(今回も)様々なシーンで今作独自の見どころが目白押しだったが、その中からあえて2点だけピックアップするなら、1つは冒頭から衝撃の通告まで続く「屋外での個人練習シーン」。時に一人で、時に高坂さんと一緒に練習を重ねる久美子。流石に日なたに出ていたらあっという間にやられてしまうし、おそらく楽器にも良くないだろうから必ず日陰を選んで場所を取っているわけだが、そんな「薄暗がり」でもはっきりと分かるその暑さと熱さ。久美子の表情、したたり落ちる汗、瞳に反射する景色と、日陰にも透過したかのように容赦無く降り注ぐ陽光。そうした全ての映像が、ただ一点、「夏の暑さ」に集約し、さらにそれが「久美子の熱情」へと繋がっていく。「夏」「水」といったオブジェクトについては、京アニは「Free!」シリーズの製作でたっぷりと経験値を積んだ部分で、今回はそれがダイナミックな動きとしぶきを伴う「動」の映像美ではなく、じっとりとしたたり、一目見るだに汗の漏れそうな「静」の映像美に繋がっている。高坂さんの表情や、皮膚に描かれる陰影も素晴らしく、この作品にどれだけの心血が注ぎ込まれているかが分かる。個人的に「暑」の京アニ、「寒」のP.A.みたいな印象が出来上がっている。

 そして2点目は映像もさることながら、キャストの好演が光る「橋の上を駆ける久美子」のシーン。これまであまり取り上げてこなかったが、黒沢ともよという役者は非常に面白い存在だ。「声優」としてはまだまだキャリアが浅く、はっきり言って「アニメ声優としての発声」だけを聞けば拙い部分も多い。しかし、役者としての蓄積は豊富であり、芝居の中に没入する心得は充分のようである。これまでも「なんかエロい」や「なにそれ」といった一言で「性格の悪い黄前久美子」像を容易く作り上げてきていたが、今回はそうした「これまでの久美子像」をぶっ壊し、繭を破って新しい久美子が生まれてくる重要なエピソードであった。その「新生」の極みとも言えるのが、橋の上のシーン。「上手くなりたい」と叫び続ける久美子の声は、一声ごとに様々な感情の色を持ち、彼女が走る速度に合わせて全てを脱ぎ捨てていくような切迫感がある。これまで高坂さんの前でしか見せてこなかった「特別な自分」を、ついに塚本にもさらけ出し、実姉にもさらけ出し、いよいよ黄前久美子がその姿を現したのだ。この芝居を一部のズレもなく作り上げられるというのが、ともよちゃんの最大の強みなのだろう。表面的な技術だけでは推し量れない「勝負勘」みたいなものの強さは、やはり子役あがりならではのものなのか(「紅」の時のあおちゃんに感じたものに似ているのかもしれない)。

 こうして久美子の物語としての完成を見た実質的な「最終回」と言ってしまってもいいお話だったが、本当の最終回は次回である。生まれ変わった久美子が、高坂麗奈、田中あすかといった「特別」達と肩を並べて「結果を出す」フェイズだ。指をバンテージだらけにした緑輝も、久美子との対比でついに長いトンネルを抜けた塚本も、全ての力が一点に集まり、滝昇の手で「次の音楽」へと向かう。一体どんな映像になるのか。どんな結末になるのか。今から正座待機もやむなしだ。

追伸:中川先輩、少ない出番で的確に可愛いです。吉川が許されたんやなぁ……。

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