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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「クロスゲーム」 5→5

 あだだだだだち、充。実を言うと、あだち充作品を最初から最後まで観るのって、あらゆる媒体で初めてだったりします。あ、嘘だった、一応「いつも美空」は連載当時リアルタイムで全部見てた。……というくらい、あだち充を知らなかったんですよ。にもかかわらず、気付けば1年という長丁場を特に意識せずに見られてしまったというのは、やはり何か奇妙な魔力みたいなものがあるんだろう。別に何が面白かったかと聞かれたら答えに詰まるし、かといってつまらなかったかと聞かれればそうでもない。やっぱりこの空気が独特なんだ。

 敢えて理由を説明するなら、1つは「会話の含意を前提として見せる」という描写の手法がある。あだち充作品というのは、極端にネームが少ないシーンがあったり、動きの全く無いカットをただただ繋いで、バンクシーンのごとく同じゴールを用意している場合が多々ある。これらの描写というのは、意図的に直接的な台詞回しや行動を削ることで独自性を生み出す結果に繋がっているわけだが、そうした「どこか油断ならない」方向性は、ダラダラと流しておくだけで見るのはしんどいし、ちょっと勿体ない。きちんと画面構成まで見て、そのキャラが何を考えているのかをきちんと理解した上で台詞を聞かないと意味が分からなくなる(というか真意がとれなくなる)ために、どうしてもいくらか集中して見入ってしまうのだ。

 また、そうした原作の味をアニメにうまく落とし込むことが出来たのもセールスポイントではあるだろう。野球の試合をアニメで描くのだからどうしたって動きは大きくなりがちだし、アニメの作り手ならば少しでも動かしてクライマックスの躍動感を出してやろうと思う気がするが、この作品の場合、そうした「アニメ的なお約束のサービス」を半端に付けるよりも、ひたすら「あだち風味」を押し出すことだけを目的としており、試合中だろうが、修羅場中だろうが、ほとんど感情も高ぶらず、ただ淡々と仕事を全うするキャラクターたちが蠢くだけ。この構成はやはり勇気がいる。

 この作品のキャラクターたちはほとんどが低血圧かと思ってしまうくらいに動きがない。光も赤石も東も、みんな野球少年なのに老人かと思うくらいに達観しきっている。ちょっと喧しい青葉にしたって、どこか変なところでヒネたり諦めたりしている部分があって、そこまでキャピキャピとヒロインしてるわけでもない。ひょっとしたら、そういうぬるま湯みたいな作劇が、昨今のアニメでは珍しかったおかげで気持ちよかったのかもしれません。1話で思わずもらい泣きさせられたけど、最終回も不覚にもうるっときてしまった。我ながら単純だなぁ。そうそう、ここもやっぱり戸松ですよ。青葉が戸松で本当に良かったと思っている。

 最後に、やっぱり野球というスポーツ自体が面白いんだろう、ということも付記しておく。淡々と試合の流れだけを描写してもきちんとドラマが確立するって、本当に希有なスポーツだ。時期的にペナント開幕と同時に終わってしまったのはちょっと寂しいね。そういや、この作品もそうだけど、原作とアニメがほぼ同時に終了を迎える作品って、成功例が多いね。ARIAとか、とらドラとか。きちんと構成を組み立ててから作品化してることの表れだからかな。 

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