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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 「はなまる幼稚園」 6→5

 不思議な作品でした。ここまで「特に何も無い」作品というのは珍しくて、例えば同じような「日常系ほのぼの」に分類される「ひだまりスケッチ」なんかでも、どこが描かれるべきポイントかははっきりしていて、ひだまり荘の住人を中心にした物語展開が確立している。3期も重ねれば吉野屋先生単独エピソードなんかも出来るようにはなるが、それはあくまでイレギュラーな事態であり、膨らんだ世界を元にしたものといえるだろう。

 しかし、この作品はそうした「中心」がぼやけている。もちろんメインとなるのはつっちー・杏・山本先生の3つの視点だろうが、わずか12話しかない1クールの中で、メインの視点が山本姉妹の生活にうつったり、花丸先生にうつったり、桜先輩にうつったり、なかなか落ち着いてくれない。もちろんその中心には杏たちがいるわけだが、正直言って「杏とつっちーの幼稚園での生活」というものが充分に描かれた後ではないので、そこが中心であるという意識があまり働かない。おかげで、「世界が広がりを見せている」という以前に、「どこかふらふらしている」というイメージが先行してしまう気がする。

 そうした奇妙な落ち着きのなさは、この作品の構造事態に起因している。主人公が中学生、高校生ならば感情移入も出来るかもしれないが、流石に幼稚園児ともなると、普通に考えれば「観察の対象」だ。つまり、視聴者の視点はつっちー達教員側に寄る。しかし、この作品の視点は、頻繁に杏たち園児の側に回るのである。もちろん、園児とは言っても過度に大人びているのでその思考についていくのは全く苦にならないし、1話でみせた独特の視点設定のように「園児目線だからこそ出来ること」もあり、充分に面白いものではある。ただ、ここからふいっと教員視点に立ち戻った時の振れ幅が、他の作品よりも大きくなっているのが特徴的なのだ。「園児の見る世界」と「園児を見る大人達から見る世界」はやはり異なった対象なのであって、それを同時並行で描くというのは、並大抵の労力ではない。この作品は、そうした「地味に難しいこと」にきちんと当たっていた作品だったのかもしれない。

 個人的な感想としては、尺の短さもあり、どうもそうした「不安定さ」が落ち着かない作品になってしまったという気持ちはある。ただ、これは必ずしもデメリットであるというわけではなく、前述のように新しい視点も提供してくれているわけだし、コロコロ変わる内面をきちんと追いかけられれば、刺激の少ない「日常系ほのぼの」作品でも起伏のあるストーリー展開が実現できる。そのあたりの配慮はやはり目を引く部分で、毎週変わるエンディングなどは、意識的に「世界の多重性」を視聴者に訴えかけるためのツールであるとも読み取れる。突き詰めればこれは1キャラごとに与えられる視点が違うということであり、多少変則的な形の「群像劇」としての意味合いもあったのかもしれない。

 なにやら偉そうな感想になってる気がするが、まぁ、結局は「可愛らしい子供達でほっこりしてればいいじゃない」というのが結論なんですけどね。柊師匠のさらなる活躍を期待しています。ものすごい余談だが、これを観ていて何となく気になり、途中でやめていた「こどものじかん」を改めて一気に読み直してみた。あの作品の場合は、視点は確実に教師側にあるので全くブレがなく、ストーリーも一本の芯が通っているので読みやすい。最初は「似たようなもんだろ」と思っていたのだが、やっぱり随分違う作品だったということが確認出来た。まぁ、本当に今更なんだけどね。

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