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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 流石に耳かきについてはどうかと思う、第7話。なんとなく「そういう」テイストも無くはない作品だが、そこまで緊密に仲が良いのは、ちょっと。そりゃ、みよ吉さんだってどん引きよ。

 今回は残念ながら落語パートはほとんど無いお話だったが、そこはドラマ部分とのバランスなのでしょうがない。一応、冒頭で人気沸騰中の2人の仕事が短く描かれており、ほんのちょっとの時間でも2人の芸の差があらゆる部分で見えてくるのが面白いところだ。

 前回までで順風満帆になった新進気鋭の若手噺家2人。その勢いはとどまらず、演芸場は2人のファンで埋まり、ラジオからも2人の高座が聞こえてくるようになった。八雲師匠も鼻高々で、これ以上無いくらいに、芸の道は充実している時期である。しかし、だからといって私生活まで順調かというとなかなかそうもいかないようで……今回は、菊比古を取り巻く2人の人間についての焦点がはっきりと分かるようになっている。言ってしまえば、トラブルの火種は「三角関係」。菊比古・助六・みよ吉という男2人・女1人の痴情のもつれだ。ただ、現時点においては奇妙なことに、その中心にいるのが菊比古である。つまり、1人の男を、一対の男女が取りあっているというヘンテコな状態(まぁ、今期だと「ハルチカ」も同じ構図(?)だが)。

 もちろん、助六は菊比古に対して恋愛感情なんか抱いちゃいないし、そこに何か気味の悪い特別な感情があるわけでもない。あくまでも単なる「兄弟」であり、だらしない助六は知らず知らずのうちに菊さんに依存しまくっているだけだ。楽屋でのごたごたは全部菊さんのおかげで何とかなっているし、金銭的な部分を中心とした私生活の問題だって、菊さんが管理してくれているからなんとか人並みの生活が出来ている状態。強いて男女の関係でたとえるなら、母親と息子みたいな依存関係である。対して、みよ吉が菊比古に向ける感情は(当たり前だが)まっとうな恋愛感情だ。生真面目で誠実、それでいて才能にも恵まれ、独特の花を持つ「芸人」としての菊比古に対してもみよ吉は純粋に好意を持っている。菊比古の方だってみよ吉のことを悪く思ってはいないはずで、普通の恋人同士と見れば、2人の関係はそこそこ上手くいっていたはずだ。

 しかし、時間は有限である。菊比古という1人の人間に与えられた短い時間では、彼は芸の道と色恋と、2つを同時に選ぶことが出来ない。そして、菊比古という男は、どこまでも「芸」が本筋の人間である。苦心の末に見出した「自分だけの落語」の道。ようやく歩み始めたその道で、回りからの評判も伴い、ついに師匠からも太鼓判。巡業への誘いは彼が1人前と認められた何よりの証拠であり、かつて戦時慰問に同行したのが助六だったことに心を痛めていた菊比古には、何よりの提案だった。自分で見つけ出した芸の道は、世間に認められるよりも何よりも、師匠から認められることが一番の目標だったのだ。念願が叶い、彼はますます芸の道を邁進することを決意する。そして、そんな「芸」を代表する人物が、長い苦楽をともにした助六なのである。

 今回、菊比古はみよ吉と助六というキーパーソンに何度も個別に会い、そのたびに表情を変える。始めは、だらしなくて迷惑ばかりかける助六に対しては本当に苦々しい顔をしており、夜道で飲みに行くことをせがまれた時には「面倒な男だねェ」と本音を口にしている。しかし、そうした悪態も全て信頼関係の一部でしかなく、呉服屋に連れていけば服が必要な当の本人よりもよほど楽しそうにショッピングを満喫しているし、耳かきを駆使して寝かしつけた助六を相手にも、本当に母親のような気遣いを見せる。そして何より、最後に2人で酒盛りするシーン。もう、このシーンでの菊さんのデレっぷりがあまりにも容赦無く、「どうあがいてもこの兄弟の関係性には何人たりとも立ち入れないのだ」と思わせるに充分過ぎた。「二人会をやりたい」という助六の頼みもいつの間にやら「多分いつの日かやるんだろう」と決定事項みたいに扱われているし、散々文句を言っていた助六の酒についても、なんだかんだで酌み交わすことになる。そして一番刺さった一言は、飲みながらポロリと漏れた「はやく真打ちになりたいもんだ」という言葉。「真打ちになる」という目標はもちろん2人で何度も語り合ったことがあるのだろうし、当座の目標としていくらでも口に出す機会があったのだろうが、菊比古は他のシーンで真打ちという言葉は肯定的に使っていない。師匠からの言葉を貰った時にも昇格が云々なんてことは考えもしなかったし、どれだけ人気が高まったと言っても、礼儀作法にうるさい彼は真打ちの先輩方を立てるため、決して自分の昇格なんて話はしてこなかった。それが、助六の前ではサラリと口から出てくるあたり、どれだけ2人が心を許しあった仲であるかが分かるというものだ。

 そして、決定的な違いが浮き彫りになるのは、やはりみよ吉との関係性。彼女が「真打ち」という言葉を出して菊さんをからかった時には、彼はにこりともせずに「馬鹿なことを」と一蹴するだけだった。どれだけ男女の関係性が深まっていても、結局菊比古はみよ吉の前で芸のことを真剣に話したりはしないのだ。元々「遊びは芸の肥やし」という考え方には否定的だった菊比古だけに、ストイックな稽古事に色恋は絡まず、公私を分けるように、芸事はみよ吉と関わらせないのだろう。そして、そんな線引きが、みよ吉には何よりも辛く、もどかしい。もっと菊比古の内へ内へ入りたいと思っているのに、線引きの厳格な菊比古はそれを許さない。挙げ句、上り調子の芸事を磨くため、どんどんプライベートが侵食されている状況。決定的になったのは彼が地方巡業の申し出を受け入れたことであり、これはすなわち、一時的とはいえみよ吉と会うことを捨て、落語のためだけに日々を過ごすと宣言しているようなものである。流石にそれをみよ吉に伝えることは後ろめたいのか、彼は決してみよ吉に巡業の話はしなかった。道ですがられた時にはおそらく「しばらくは巡業に行くから会えない」と言うべきかどうかは相当悩んでいたはずなのだが、最終的に彼が選んだ答えは何も言わないこと。どうにも、2人の間には大きな溝が出来てしまっているようだ。どうにもならない関係にみよ吉の紅も霞み、なんとも痛々しい有り様になってしまっている。これだけの冷遇を受けてなお、身の引き際を心得て、極力菊比古の迷惑にならないように振る舞うみよ吉の健気さも涙を誘うものである。

 みよ吉の前で見せるなんともいえず辛そうな表情、助六と2人でいる時の晴れやかな笑顔、それに、夜道で一人落語をそらんじながら歩く時の自然に浮かぶ笑みなど、今の菊比古には落語以上に大事なことなどあってはならない状態であることがよく分かる。このまま行くとみよ吉との関係性は……って、まぁ、将来のことは既に判明してるのだからおよその結末は想像出来るものであるが……なんとももどかしくて、切なくなるお話である。でもなぁ、師匠に声をかけてもらえた時の菊さんとか本当に嬉しそうだったし、現状が可哀相というのもなんか違うんだよなぁ。いつの世にも、ラブロマンスというのはもどかしいものです。

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