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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 オープニングの心中感、第2話。正直、無茶苦茶怖いのだが、菊さんの抱え込んだ「心中」という言葉の重みがダイレクトに伝わってくる、本作には珍しいくらいにあけすけな映像。相変わらずの椎名林檎&林原めぐみの歌も相まって、1期同様になかなかショッキングな仕上がりである。

 1話目では与太郎を中心とした落語界の「隆盛」を見せたが、2話目に入ると、いきなり前触れ無しの「凋落」。与太郎の過去が掘り起こされ、順風満帆に見えた彼の真打ち生活に暗い影が差す。与太郎本人は気にしていない様子だったものの、世間的にはやはりスキャンダルの一種。寄席の雰囲気まで悪くなってしまっては、せっかく作り上げてきた与太郎のキャラにも影響が出てしまうもので。過去に菊さんや助六が飛び回っていた時には無かった新たな問題が、いよいよ与太郎の前に立ちはだかることになった。

 与太郎の人生、そして与太郎の落語については、山口勝平ボイスの蝶ネクタイ(アマケンという名前らしい)の弁が的を射ている。彼は確かに何らかの才能を持っているようだが、彼が落語に挑み続けるモチベーションは菊さんへの恩義がもっとも大きい。そしてそこに、小夏らを経由して入ってきた助六というもう1つの偶像が混ざり合い、八雲との誓いのこともあって、彼は「八雲」と「助六」という相反する2つの偶像に自分の中で折り合いを付けなければいけない。放埒な助六という偶像を追おうにも、彼は八雲との義理があるし、元々助六のような才を持つわけでもないので、ただひたすら噺の底力だけで民衆を惹きつけるまでには至らない。かといって八雲を追おうにも、これまた才に欠け、「八雲の芸」では身を立てられない事も分かっている。場末に産み落とされた助六の名にすがりつき、復讐の落語を振りかざして身を滅ぼした先代助六、落語に怨念に近い気持ちを抱き、実を切りながら自分の芸を磨き上げた八雲。どちらの人生も、1人の若者が背負うにはあまりにも重すぎるのだ。

 今回の最大の見どころは、当然一本まるまる展開した与太郎の「錦の袈裟」の一席。しかし、これまで菊さんや助六が演じて来た様々な演目と異なり、今回の高座では、与太郎が「噺の中」へ入っていく描写が一切存在しない。前座を務めた兄さんが滑ったということもあり、会場の空気はなかなか噺の中にまで入ってこない。客席の微妙な空気、そして焦りを覚え見せ場で「ぶちかます」ことに躊躇いながらも挑戦しようという与太郎の緊張感など、噺の中の景色が見えずに、ただひたすら、与太郎の「焦り」ばかりが浮き出るという、何とも痛々しいものに。菊さんに怒られた声の出し方も改善の兆しが見えず、自分でも足りないと思いながら噺を続けなければならないという、まさに針のむしろだ。考えてみれば、周りの誰の力も借りられず、ただその身1つで高座に上がる噺家というのも、何とも孤独な商売である。世間の風潮のせいで客席にいたはずの「味方」も次第に数を減らし、与太郎は噺に身が入らないことをますます思い知らされる。そして、彼の挑戦はものの見事に失敗してしまうのである。なんとまぁ、絵に描いたようなスランプではないか。

 こうして大きな壁にぶち当たった与太郎を、菊さんは実に冷静に、冷淡に見守っている。樋口先生のつてでもって家の外で出会う2人だったが、一目見てそれと分かる与太郎のスランプに、菊さんは一番欲しい言葉をかけてやる。やっぱり、菊さんは与太には優しいのである。まぁ、本人も真面目に頑張っていることは分かるからねぇ。弟子入りまでにあれだけすったもんだあったおかげで、多少のことでは動じないように菊さんの心の準備もできているのである。

 ただ、こうして角の取れた優しい菊さんだが、どうもその背景には、「丸くなった」というよりも「どうでも良くなった」という面が窺えるのが気になるところ。気付けば彼の背中には助六とみよ吉という重たい荷物がのっかったまま。そして「落語文化」そのものまでが彼の背中におんぶしている状況。生きるのに疲れて怠惰に身をやつすのも致し方ないだろう。もちろん、だからといって身を崩すような人間ではないのだが、落語にしろ、与太郎にしろ、小夏やその息子にしろ、菊さんが周りと接している様子は、どこか関係性が希薄に見えてしょうがないのである。

 そんな中で不思議と優しさがにじみ出るのは、強いてあげるなら小夏との関係性だろうか。幾らか時間が経っても未だにわだかまりの残る関係性だが、寝物語に紡ぐ「あくび指南」には、全ての「荷物」から解放され、不思議とやすらいだ菊さんの表情が見え隠れするよう。全てが綺麗に片付く関係性ではないが、せめて菊さんの生きやすい世界が残されていればよいのだけれど。

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