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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「宇宙よりも遠い場所」 6→8

 毎週感想書いてたから特に追記することもない系作品その3。ここで改めて書くことと言ったら、せいぜい制作スタッフへの謝辞くらいのものだろうか。

 蛇足は承知で改めて本作の白眉だった要素を確認していくと、上手いまとめ方がなかなか思いつかなかったのだが、多分、時代に即したテーマ設定の妙があげられるんじゃないかと思っている。本作のテーマというと、例えば女子高生の克己の物語だったりするし、困難に挑むことによる達成感の描写であったりするので、「すげぇ普通やんけ」と言われればそれは間違いないのだが、なんだろう、1つ1つの要素が紋切り型で終わらずに、ちゃんと「今の時代、今の若者について、描けるドラマってなんだろう」ということを考えて描かれている気がする。端的に表れているのはメインヒロイン4人のキャラクター造形だ。皆、初見でなんとなく「あぁ、そういうキャラクターだね」という部分を想像することができるようになっているが、そのくせ掘り下げていくと今まで見たことのない、一筋縄ではいかない精神性が明らかになってくる。そうしたキャラクターを通して描かれる最終的なゴールは「友情」「努力」「勝利」だったとしても、それが「この作品の中での勝利は何か?」という部分をサボらずに考えている。

 4人の中でもわかりやすい事例を抜き出すと、クライマックスとなった報瀬のドラマなんかは本当に面白い。雑な脚本ならば「南極についた! お母さんと同じことができた! やった!」で終わりそうなものだが、本作では南極到達第一歩の「ざまあみろ」はあくまでも通過点でしかなく、その後で「小淵沢報瀬の人生を考えた時に、この南極はどんな意味を持つのか、母親との関係性は、どこで決着をつけるのか」という面倒な問題から目を背けていない。「少女が大人になること」を最大限の舞台効果で見せるために、様々な心情を積み重ね、12話でそれを全て叩きつけて爆発させる。その際に用いているのも電子メールの受診記録というこだわりがあり、それまでずっとLINETwitterでの会話を見せていただけに、「流れる」ことなく「溜まっていく」メールという(いわば一昔前の)コミュニケーションツールが最大限に意味を持ち、効果を発揮している。「どんなツールを用いたら最大限にこの時の心情を爆発させられるか」ということを考えた上で、こうしたシナリオが組み上げられていることがわかる。

 他にも、日向の抱えているコンプレックスや人生観なんかは、なかなか共感しづらいはずなのにどこか近しいものを感じさせる絶妙なラインを攻めており、彼女が自分の過去を乗り越えて先へ進むためのステップが不可思議なリアリティを持って迫ってくる。人と人との距離感が定まらぬこの世の中、まさか過去の因縁との決別が一万四千キロも離れた南極からの通話で起こるとは誰も思うまい。そして、そんな彼女のメンタリティは6話の時点でしっかりと伏線が張られ、日向の物語と報瀬の物語が二重構造でがっちりリンクするようにできている。昨今のアニメを語る時に「1クールでさっさと終わってしまうので何も掘り下げられない」という不平不満をよく耳にするが、今作はそんな尺の短さに負けずに、入れ込める要素を最大限に効率化して盛り込むことに心を砕いている。脚本・構成・そして映像作成の全てが噛み合ったからこそ実現できたクオリティであろう。監督のいしづかあつこの手腕は改めて評価されるべきところだ。

 1クールのオリジナルアニメ。ぽっと出のこういうところから切れ味鋭い作品が叩きつけられると、こうして愚直にアニメを受容し続けているライフスタイルが報われるようで本当に喜ばしい。今後とも、こういう作品が増えることを祈っています。

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