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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「3月のライオン(第2シリーズ)」 6→8

 毎週感想書いてたから特に追記することもない系作品その4。ただ、今作を評するに際して、見るべき視点は多いに越したことはないと思う。

 毎度毎度私が気にしているのは、「シャフトはどこへ向かうのか」というトピックである。新房昭之による独特の演出方向に特化することで替えの効かない特異なスタジオとして頭角を現したシャフト。良く言えば唯一無二でオンリーワンなのだが、悪く言えばマンネリで頭打ちとも言える。目新しさが誘致要因になれば良いのだが、作品数が重なるにつれていわゆる「シャフト演出」的なテンプレートに依拠する傾向も現れ、そこに演出の工夫としての特異性が失われるという懸念は常につきまとう。元々が抽象度の高い方向性での攻めの作品作りなので、これをどのように進化させていくのか、という舵取りは非常にデリケートな問題。例えば「まどマギ」の場合、シリーズディレクターを務めた宮本氏の特異な方向性である実写や異物の取り込みに特化し、イヌカレー空間という新しい世界を切り拓いたりもした(現在はこれが「Fate/EXTRA」に流用されている)。しかし、最近では攻めの演出を見せた「打ち上げ花火」が今ひとつ焦点を絞りきれていなかった印象があり、攻めるにしても娯楽としての作品性を失うわけにはいかないという葛藤が現れていたように思う。

 そんなシャフトにとって、また新たな切り口になるであろう作品が、この「3月のライオン」だった。4クールにも渡る長期シリーズのディレクターを務めたのは岡田堅二郎氏。この人はいわゆる「シャフト的な」抽象化にはそこまでこだわらない人で、今作も序盤の見せ方にいくらか平易な作品らしい部分を盛り込み、導入のハードルを大きく下げる役割を果たしている。しかし、そのまま安穏と作品作りを続けるだけではなく、要所で「らしい」演出方向での見せ方も取り入れ、シリーズ全体での「溜める」「吐き出す」というリズムを生み出すことに成功した。もちろん個々の話数を担当した演出家の人たちの傾向も大きいのだろうが、こうして通底したリズムや方向性を生み出すことができたのは、おそらくディレクターを務めた岡田氏が、今作をどのように形作るべきかをきちんと見定めていたことに依るのだろう。

 心情描写に詩的要素を大きく含む羽海野チカ作品と演出の方向性が噛み合ったことも大きいが、単に原作漫画をトレスするだけに止まらず、アニメだからこそ生み出すことができるより複雑で壮大な幻想性が加味されたことは大きな収穫である。一見すると全くアニメ向きではない将棋というテーマもそうだし、将棋を離れて様々なドラマを含んだ青春群像劇としての心の動きも、全て「アニメとして」の表現を心がけている。「シャフトだから抽象的な対象を描くことができるよ」というだけでなく、既存のシャフト演出ではどこか物足りなく、何が枷となっていたのかを読み解き、さらなる「見え」の世界を構築したことは、また一つシャフトが新たな次元へと到達したことの表れなのではなかろうか。新房監督が今作にどの程度関与しているのかは分からないが、もし監督が最終的にこの方向性でゴーサインを出したのだとしたら、まだまだシャフトの可能性は広がっていきそうである。

 あとはまぁ、中の人の話とか……はもういいかな。画面における情報の抽象化が進んだシャフト作品の場合、キャスト陣の演技によって定まる部分が大きくなる。それらを見事に受け止め、先鋭化させてくれたキャスト陣の頑張りは本作を語る上では無視できないものだろう。2期で忘れられないのはやっぱり柳原さんの壮絶人生をわずか2話で全て抱え込み、ぶちまけた芳忠さんのスゴみですかね。こういう作品でこそ、役者陣の仕事ってのは見えてくるもんですね。

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