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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 画が強い、流れが強い、第11話。なんやこのアニメ。

 もう筋立ての分からなさはどうでもいい。とにかく画に強さがある。見せ方にしたたかさがある。どうも私の周りの環境を見るに、今作を過度に楽しんでいる人間が多くて若干引き気味だったのだが、改めて思い直す、今作は強い。

 引き気味だったので、割とメインシナリオには懐疑的なんですよ。というか、わざと粗探ししようとすら思ってたんですよ。先週までの感想もそうだし。今週だって、「ハァ? なんでひかりさん消えてしまうん? 訳わからんやん」と思っていた。いや、多分今も思っている。結局今作において、現実世界での「舞台演劇」と、華恋達が挑み続けた「オーディション」の関係性は完全に整合性をもって説明できる存在ではないので、オーディションを中心とした筋立ては、「訳がわからない」と言ってしまえばそれまでなのだ。いくらでも「意味付け」はできるが、視聴者の数だけその意味づけに微差があるだろうし、「正解に近い何か」であっても、それが真実かどうかは誰にも分からない。どこまで行っても具象化不可能なシナリオなのである。

 しかし、そうしてせせこましい考えを純粋にアニメ的な要素で殴り倒してくるのが今作である。「ひかりはどこへ消えたのか!?」という疑問に対して、「彼女はオーディションに勝ち抜き、望むものを手に入れた。しかし、星に手を伸ばしたことで彼女は償いをするために地下深くに眠るオーディション会場に幽閉され続けているのである」という答えが提示された。うむ、訳が分からない。でも、それがこの世界の真実なのだ。その唯一無二にして不可侵の真実に、愛城華恋だけがたどり着いたのだ。もう、その時点で説明は不要になる。この世界には、「それ」があるのだから。

 こうして謎が明かされると、冒頭部分で華恋が警察に相談しに行ったことも壮大なネタ振りであったことが理解できる。「え? マジで警察行くの? っていうかこの世界にちゃんとした警察とか有って、行方不明の女子高生の捜索に乗り出してくれんの?」という疑問は誰でももったことだろう。今まで散々無茶してきて、突然そこで普通のことするなよ、っていう(その直前の退学届にわざわざキリンが押印してることとのギャップがすごい)。しかし、そうして作られたギャップも、後半に控える「そんなバカな!」というとんでもない画のための予備動作でしかないのだ。

 ひかりが消えた、オーディションが終わった。全ては元どおり、普通の学生生活に戻り、もう間も無く開催されるであろう、100回目のスタァライトのための準備が着々と進む。そんな「普通の学園祭の準備」みたいな光景が、確実に積み重ねられていく。それはまるで、神楽ひかりという存在が、これまで展開されてきた非現実を全て抱えて持って行ったかのような様相である。

 そして、実際にこの直感は当たっている。ひかりは全てを持って消えたのである。それは彼女が望んだことではあるが、どうしようもないレヴューの流れの中で生まれた自己犠牲の精神。舞台という魔力に魅入られ、一度は自分を失った少女の、精一杯の罪滅ぼし。それは1人の女の子が背負いこむにはあまりにも重すぎるものだ。途中、バナナと純那の「こんな寒さ初めてじゃろ」みたいな会話で彼女達が初めて「新しい冬」を経験していることを強調するくだりが出てくるが、かつてのバナナの「抱え込んだ罪」はひたすらに繰り返される時間を生み出すことだった。「繰り返し」については、バナナは何かを失ったりせず、ただ悠然と己が権利を謳歌するだけだったが、「前に進む」という権利を行使するために、ひかりはなんと大きなものを背負いこまされたものか。

 しかし、そこまでして全てをなげうったひかりの独りよがりな自己犠牲は、ついに華恋によって看破された。半年もの間彼女の影を追い続けた華恋。この2人の繋がりがなければ、ひかりの沈み込んだ深淵に光が差すことは決してなかったであろう。それでも、華恋は気づいたのだ。見つけたのだ。彼女がバールのようなもの(バールだ)を振りかざして壁をぶち破るシーケンスは3話でひかりがやったのと全く同じである。互いを思い、なりふり構わずに目の前の壁をぶち壊す行為。かつてのひかりの信念が、今になって彼女自身に光をもたらす。

 かつては2人で高みに登ろうと誓った華恋とひかり。今や、華恋はひかりの姿を求めて下へ下へと降りてゆく。そこに付き添うのは7人の仲間達。一歩ずつ「舞台」へ向かいながら、少しずつ降りて行く中で彼女達とのこれまでの熱戦がフラッシュバックして行く。そこはまるでこれまでのレヴューの大道具を全て収納している倉庫のようであり、これまでの2年弱の記憶を詰め込んだ思い出の表れでもある。7人と華恋の繋がり。そして7人とひかりの繋がり。一歩ずつ降りて行く過程を見てみれば、最後に付き添ったのが天堂さんである。ご丁寧にクロちゃんは直前で立ち止まって上から声をかけているので、おそらくあの長い長い階段の「下」は舞台という世界の深み、これまでは逆説的に「上」と言われていたものを示している。かつてはその上下を巡って争いあった者たちが、最後には皆が揃って、全てを無かったことにしたひかりを待ちわびている。華恋の想いは、いよいよ舞台の中心・ポジションゼロ(USBコンセントつき)にたどり着いた。

 そしてCパート。広漠と広がる荒野。砂地に吹きすさぶ嵐に翻弄される上掛け。一糸纏わぬ姿で全てを断ち切るかのように伏す神楽ひかり。そして横たわる東京タワー。

 もう一回言わせて。画が強い! 

 この映像を作っただけでも、もう今作には畏怖しかない。

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