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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 今週三本目はこちらの作品でございます。「今更かい!」ってツッコミ待ちだが、えぇ、今更ですよ。「君の名は。」もだいぶほとぼりが冷めてから観に行ってた気がするけど、今作も周りが大人しくなるのを待ってからの視聴になった。理由その1は「混んでる劇場が嫌」ってことだったのだが、曜日の感覚が無いニートなもんだから、適当に行ったら金曜日の夕方だったので普通に混んでた。いや、どうなんだろう、平日でもそれなりに客入ったりしてるのかな。相変わらずロングラン打ち出しやがって。理由その2は、封切り直後でみんな観てるタイミングだと、やたらとテンションの高い純正の信奉者が多いため。案の定私の周りにもしばらくそういう空気がうごめいており、どうにも、そういう空気の中で観に行くのが憚られるのだ。面白かったらそれでいいのだが、もし肌に合わなかった時に、適当なことかいたらヤイヤイ言われそうで怖いし。いや、好きにしたらええやんけ、とは思うんだけど。どうしても「君の名は。」の一件があるので警戒水準は上げておかねばなりません。さて、今作はいったいどんな印象になるのやら……。

 

 

<以下、一応ネタバレ云々だけど、今更やろな>

 




 

 まず、今作で最も印象に残ったことは……あのさぁ、花澤綾音ってなんやねん! そういうトコだぞ! ……いやごめん、でもさ、そこはさ、引っかかるじゃん。っていうか「ほら、オタクは引っ掛かれ」って言われてるじゃない。もう、登場時のバスのシーンからして「なめとんか」って思って、そっから端々に聞こえる佐倉さんボイス、花澤ボイスが気になって仕方なかったよね。またいろんなところから聞こえてくるんだよ。女子高生、家族づれ、ニュースの音声etc.なんでよりによってそこをモブキャストで配置したんや。しかも名前で完全に遊んでやがるし……本作はいわゆるプロ声優はほとんど使われていない、毎度おなじみの邦画キャスト体制なのだが、なぜかそこだけネタにしてくるっていう姿勢はいったいどうしたもんかと、何を観てもそこばっかり引っかかってしょうがなかった。あんな幼女侍らせてる凪くんは将来とんでもない男になりそうだよな。

 閑話休題。まぁ、いきなり小ネタから入ってしまったが、トータルで見ると「『君の名は。』よりもだいぶいい」というのが率直なところか。私の中で「君の名は。」は基本的に映像美術だけを拠り所にした作品という印象しかなく、新海誠作品はその一本しか観ていなかったためにどうしても評価が下がりがちだったが、今作はそうした色眼鏡で観てもそれなりに楽しめる内容になっていた。今になって考えると「君の名は。」が受け入れられなかったのは本当に取ってつけたようなやっつけ設定があまりに御都合主義的だったことが理由で、プロットをひねろうとして滑っていたような印象だったのだが、今作はそうしたプロットのひねりが無く、まっすぐにボーイミーツガールのエッセンスを描こうという作品になっていたために飲み込みやすかったのだと思われる。なるほど、これならデートムービーとして観ても満足して帰路につけるんじゃないでしょうかね。

 本作の受け入れが容易になった理由はいくつか考えられるが、個人的に肝要だと感じたのは「天気」というタイトルズバリのテーマの選び方である。PVとかで「天気なんて些細なことに、人の心は左右される」みたいなフレーズがあり、「いや、天気って全然些細なことじゃないやん、地球規模の現象やねんぞ」と思っていたのだが、本作ではきちんとそうした「天気」の「大きさ」が画面に乗せられているので安心した。そして、それだけ「大きな」対象であるはずの「天気」が、実際に我々の生活に密着した現実の一部として至極馴染み深いものであるのも間違いのない事実。悲しいかな、最近の日本は特に異常気象が多く、一昔前には大ニュースだった浸水だの氾濫だのといった事故も日常茶飯事になりつつある。都心部でも洪水じみた被害が多く、「世界をぶっ壊すレベルの天気の問題」は、今や日常と地続きにある。そうして視聴者側に一切の説明を必要とせずに肉薄できる「天気」というモチーフを、チーム新海の恐るべき映像で表現されれば、それだけで没入度が高くなる。「君の名は。」の隕石騒ぎは「どないやねん」で終わりだが、今作の未曾有の降雨は、どないやねんで片付けられない、なんとも嫌な近しさを感じさせるものとしてスクリーンを覆っているのである。

 そして、そんな「天気」をブレイクする「100%晴れ女」というアイディアも、非常にシンプルながら使いやすくていいデザインだ。「雨は嫌だ」という鬱々としたものを吹き飛ばす「巫女」としての晴れ女。陽光と雲のビジュアルは制作チームの最も得意とするグラフィックであり、それがダイレクトにヒロインの見せ場につながるデザイン性は、安易といえば安易かもしれないが、それだけにストレートな破壊力がある。こうして「雨」をトラブルの中心に据え、その解決を「晴れ」に設定したことで、すでに今作は半分成功したようなものであろう。

 そうして描かれた「晴れ女」の映画かと思われたのだが、なんと、実際には今作は「雨」の映画である。作中で二転三転するので忘れがちだが、今作は設定時点で東京が沈むことが確定している「雨の世界」を舞台にしている。まるで帆高が陽奈を救ったから東京が沈んだかのような因果関係を見出しがちだが、そうではない。あくまで「東京が沈む世界」が始めにあり、陽奈はあの日の神社で願いを届けて、「東京沈没をキャンセルする権利」を手にしただけ。もちろんそのためのコストとして自身を人柱にするという犠牲は必要だが、そこは陽奈に選択権があることなので、支払うも拒否するも任意であった。最終的に帆高との逃避行の雨に自分の人生を重ね合わせ、帆高を思った陽奈は自らをコストに世界を変えたわけだが、今度は帆高がそれに納得せず、神社にキャンセルの申請に行き、それが受理されたが故に陽奈が払い戻され、状況が元に戻ったというのが本作の大まかな流れ。つまり、もしこの世界に陽奈も帆高もいなければ、東京は沈んでいたのである。

 そうして「沈む世界」が舞台になっているということから目を背けず、最後にちゃんと「支払い」を要求しているあたりが今作の周到な部分の2つ目ではなかろうか。ぶっちゃけ、クライマックスで陽奈が帰ってきた時には「はいはい、晴れる晴れる」と思っていた(君の名は。がまさにそういうエンディングだったのだ)。しかし、実際には「空」との契約はきちんと相応のものになっており、天に穴を開けたような土砂降りの雨に迎えられる。その後の「雨は3年間降り続いている」のナレーションを聞いた時には思わず「いや降るんかい!」と突っ込んでしまったくらいだ。そして、「降るんかい!」とは思ったが、それで正解なのである。少年は青年となり、少女と結ばれる。それとは別に、東京は沈む。そういうお話だからこそ、きちんと物語の最後まで帆高と陽奈の人生がイメージできる一本の「ボーイミーツガール」として成立しているのだ。

 そのほかにも、徹底して東京の街並みを現実に即して描いた病的なまでの筆致なんかは素直に感心するところで、これこそ新海作品(莫大な予算が確保できる劇場作品)だからこそ可能な描写だったろう。卑近な東京の描写が真に迫っていればいるほど、それを破壊し、沈めてしまう「天気」の存在感がいや増すことになる。本作において全力でファンタジー感があるのは「雲の上の世界」くらいなもので、それ以外の部分での「地続きの東京」は、「シン・ゴジラ」の時にも覚えた新たなジャポニズムを感じさせてくれるものだ。それこそ東京が沈んでしまった後にでも、本作のデータが残っていれば「2019年の東京ってのはこんな街だったんだよ」ということを伝えることができる、そうした現代風俗の記録者としての仕事は大きい。グーグルで調べてマップで移動するところとか、ラーメンでサラダ作っちゃうところとか、何気ない「あるある」が満ちていてこそ、「どこから現れたかよくわからない少年」の帆高の一夏の逃避行に息吹が宿る。

 そうそう、帆高の話である。よく新海作品は「キモオタの妄想ムービー」という形容が施されることがあるが、やはり本作はそういう匂いも強い。これは別に悪い意味じゃなく、例えば家出少年が単身で東京に流れ着き、一時は挫折したかに見せて、少しずつ生活を確立していく立身の物語なんかは「自立」を夢見る男の子の妄想そのものだし、周りに侍らせる女の子の造形も、そりゃもう「萌え」の典型といって差し支えない。幾ら何でも事務所のおねーさんはやりすぎじゃないかとは思うのだが、振り返れば僕も「ペンギン・ハイウェイ」で喜んでいた人間なので「キモオタキモい」ブーメランもほどほどにしておこう。最高にキモくて良いな、と思ったのは、ホテルで過ごした一夜、バスローブ姿の陽奈ちゃんが出てきて前を通り過ぎる時に全力で匂いを嗅ごうとしていた帆高くんですね。手は出さない、言葉にもしない。ガン見するのも気が引ける。ならばこそ、残った感覚を研ぎ澄ますのだ少年。

 他にも良い具合に刺さった小ネタは色々あるはずなのだが……パンフ買えなかったせいで全部は思い出せそうにないや。そうそう、最初の方で須賀がビールを開けて飲んだ時に、最初の音が「ビールを飲む音」じゃなくて「缶のふちに溢れた泡をすする音」だったのはびっくりした。流石にそんなところの音響まで凝ってる作品ってのは今まで見たこと(聞いたこと)なかったから。あと、アメ可愛い。猫にカロリーメイトってセーフなんでしょうかね。

 最後に、個人的に一番好きだったキャラは誰かと言われると、多分凪くんです。ぶっちゃけ、全体的に楽しめたとはいえ泣くほどグッとくるようなシーンはほとんど無かったんですが、唯一ウッと唸ったのは、凪くんが刑事に体当たりした後に叫んだ「姉ちゃんを返せ!」っていうセリフだったんですね(正確には違うかもしれないけど)。あそこでさ、凪はまるで帆高を攻めるかのように叫んでるんだけど、それまでの展開からして凪が帆高を責めてるわけがなくて、一番彼のハッパをかけられるセリフがそれだと思ったんでしょうね。凪先輩は聡明な子なので。ここで「返せ!」っていう一言が出てくるっていう信頼感が、なんかいいなぁ、って思ったんです。聡いショタってのも良いもんですね(どんな締めだ)。

 

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