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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 記事タイトル確認して「今更?!」って思った人、先生は怒らないから正直に手をあげなさい。……はーい。もう一回言っておこう。今更?!

 まぁ、しょうがないじゃん、過去の新海作品、「君の名は」も「天気の子」も全部「今更?!」のタイミングで観に行ってるのは、1つは混んでる映画館が嫌だから。ほとぼりが冷めてから、ゆっくり観に行きたいのである。そしてそれよりももっとクリティカルな理由その2は、そもそもそこまでモチベが高くないから。どうにも「君の名は」で無駄にハードル上げといて全く飛び越えなかったという経験をしてから、「別にそこまで刺さるクリエイターでもないんだろうなぁ」という抵抗感が強いのである。幸いにして「天気の子」の方は思い切った作家性がいい具合にトんでいたので印象が良かった記憶があるが、だからとて次の作品に飛びつきたいかというとそうでもなく、結局ずるずると先延ばしして「もう、劇場でも1日1回上映になってるで」というギリギリのタイミングでの視聴とあいなった。一応今年度中に観ておかなきゃ、という義務感くらいはあったのでね。

 で、折り返しの前にトータルでの印象を簡単に描いておくと、どっちかというと「天気の子」よりも「君の名は」寄りの評価である。つまり、やっぱりあんまし刺さらん。うーん、なんなんだろね。時々「あ、うまいな」とか「センスいいな」って感じる部分はもちろんあるし、映像クオリティが高いことは今更私が言うことでもないのだが、そうしてさまざまな「良い道具立て」を持ってる割に、描かれる総体がぼんやりしてるというか……何がやりたくてここに辿り着いたのかがピンとこないというか……今作を見て、感動するとしたらどの部分に感動するんだろう? 心動く要素、どこかにある?

 

<てなわけで、以下は今更ながらも一応ネタバレ注意>

 




 先に個人的に良かったと思う部分をピックアップしていくと、まずは「震災」というテーマの選び方そのもの。正直、10年以上が経過した今でもまだまだ震災の記憶というのは鮮烈なもので、軽々しく扱ったらいらぬ批判も招く題材である(東日本大震災以降も大きな地震はそこかしこで起こっているわけだし)。安易なクリエイターなら「余計な波風は立てないようにしよう」ってんでテーマとして扱うことそのものを避けると思うのだが、今作は堂々とその中心に切り込んで、ストーリーの中心に「震災」を置いている。10年という時間は、そうして歴史的事件を一度フィクションに落とし込んで再認識させるには充分な時間だったと言えるだろう。作中で何度も流れる速報や警報はいまだにあの時の記憶を刺激してザワザワしたものが蘇ってくるが、そうして日本人の心の奥底に眠っている「根源的な不安感」「拭いきれない抵抗感」みたいなものをそのままアニメ視聴の体験にリンクさせるという手法は、相当な覚悟がなければ作れないものである。

 また、基本的に「画で見せる」ということの意識は割とはっきりしているクリエイターであろうという感覚もある。例えば主人公の草太はなんの前触れもなく椅子になってしまい、「なんで椅子やねん」という疑問は当然出てくるわけだが、「椅子が走ったら面白いじゃん」というすげぇ単純な「楽しさ」を作り出すための設定だと言われたら、そりゃ文句も言えない。実際、作中のアクションシーンの愉快さの大半は、バタバタと3本足の椅子が駆け回る要素に集約されている気がする。別にクッションだろうが財布だろうが洗面器だろうが、何に変身してもいいわけだが、そこで絶妙に生物として成立してないけどしそうな「椅子」という題材を選んだのは、画作りをきちんと狙った上での面白いデザイン。他にも「戸締り」というタイトルからもわかる通り、今作は「邪なものを封印する」という行為を「鍵をかける」ことに象徴させ、何度も何度も繰り返して「鍵をかける」という仕草を見せつける。我々が日常的に行なっているこの「鍵をかける(鍵を握り、その手首を捻る)」という当たり前の行為を繰り返し描き続けることでその一連の動作を今作で欠かせない要素にまで持ち上げ、少ない動作で大きな展開をサポートできるように仕上げているわけだ。それまでことごとく鍵を「かけて」きた鈴芽が、ラストシーンではチャリの鍵を「あけて」登校しているというのも注目すべき部分だろう。こうした「限られた要素への意味の付与」のしかたなんかは、おそらく監督が気を遣った部分なんじゃなかろうか。

 そうして、全体的に「考えられているな」と思える部分はあるし、画を見ていれば楽しい部分もちらほらあるのだが……何故全体図がこうなったんだろう? お話がすごく唐突で、場当たり的な要素を雑多に積み重ねているような印象。結局今作で起こった出来事を簡単にまとめると「鈴芽が草太と偶然出会い、なんでか分からんけど近所にあったドアを開けた上に要石を引っこ抜いて天変地異を呼び起こしてしまう」→「要石で再封印するためにダイジンを追いかけ、日本各地で戸締り連打」→「最終的に東京で草太が要石代理の任についてしまう」→「もう一度常世に行くために被災地へ」→「無事に扉を開けて向こうの世界に行き、なんか知らんけどやっぱり戻ってきたダイジンを要石に戻して再封印」である。

 こうしてみると、一番分からんのはダイジンのモチベだよな。要石から解放され、しばらくは鈴芽にちょっかい出しつつ「戻りたくない」と言っていたのに、最後は有無を言わさず戻ってきて元鞘に戻っている。一応、鈴芽との関係性であれこれ理由をつけてはいるが、「最初から出てくんなや」の一言でおしまいだろう。前半1時間は延々ダイジンを追いかけてのロードムービーになるわけで、いくらなんでも「なんとなく猫を追いかけてたら日本縦断しちゃったんです」だけでは弱いし、長い。「そういや、以前似たように日本を縦断する女の子の映画があったような……」って思いながら見てて、結局視聴中は思い出せなかったのだが、過去ログを確認したら「ひるね姫」ですね。なんで劇場映画って無駄に旅して尺伸ばしたがるんだろう。あそこの旅パート、「いくらなんでもいい人に恵まれすぎじゃね?」くらいしか感想が出てこないし、「観覧車動くわけないやろwww」みたいなツッコミが先んじちゃうのでどうにも入り込むのを阻害する要素にしかならんのよ。いっそのこと鈴芽と草太のふたり旅に終始するなら、最終的に鈴芽が草太にこだわって暴れ回る理由づけになるのだけど、しょせん椅子との旅ということもあり、最後まで行っても「鈴芽、そこまで草太に入れ上げる理由あったか?」という疑問が残ってしまうし、草太の描写が薄いせいで、途中からグイグイくる芹澤のモチベも謎すぎて怖いのである。いっそゲイだった描写とか入れてもらえれば話も早いのだが。

 そんで、最後に繋がる鈴芽と叔母さんの関係性がまたしんどくてな……あそこで不必要にギスギスさせる必要あったんかね? ラストのカタルシスを増幅させるためには鈴芽が「これまでの人生、精一杯戦って生きてきたんだね」っていう地固めはあってもいいのだが、そこでおばさんとの不和を追加する必要性を感じないし、状況はどうあれ、本人の口からあんなことを言わせてしまっては、今後の2人の共同生活に絶対影響するだろう。あげくに関係性の修復も「なんとなく2人して謝罪してなあなあ」だったし。そんなすぐに熱されて冷める程度の激情なら、あんなところで出して後ろめたさを残さんでもいいのに。そこは描きたかったテーマなんだろうか? 震災孤児であることを強調するなら、もうちょい序盤で描写を重ねておけば済む話だし、おばさんサイドに悪印象を抱かせちゃう意味がわからんのよな。まぁ、それを隣でなんとなく見てた芹澤が一番訳わからんけども……。他にも「鈴芽が黒塗りにした日記帳をわざわざ思い出として埋めたのは何故? そもそも、どのタイミングであそこに埋めるチャンスがあった?」とか、細かいことを気にし始めると、どうにも場当たり的な作劇に思えてしまうのである。

 ここまで書いてきたことは、一応、作中では最低限の「それっぽい描写」とかを付与して「一応、流れの中にあるから」と予防線を張っているものがほとんどである。おかげで私がここで「訳わからん」と書いたら「ちゃんと説明してたろ、もっとよく観ろボケ」と言われる可能性もあるのだが、およそ描かれていたことは認識した上で、「それでも心情的に受け入れる土壌がなくない?」と思っているのである。本当に、シナリオ上に浮き上がってきた「心を動かしたい描写」みたいなものがぶつ切りで、それが一本の長編アニメというストーリーに並びきっていないような、そんな印象。「君の名は」みたいに1つのギミックを成立させるためにごちゃごちゃいじって不和が生じてしまったという構造的な違和感ではなく、結局どの部分の何を一番見せたかったのかがわからず、終始「映画っぽい何か」を見せられて終わってしまったかのような消化不良感。うーむ、僕はあまり好きじゃないです。

 

 

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