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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「境界線上のホライゾン」 6→4

 1話目の感想時点では、かっとんだアクションパート&贅沢声優大集合に期待を高めた作品だったが、その時点で「中の人誘致要因が高い作品は息切れも早い」と懸念していた。そして、まさにその通りになってしまった感がある。はっきり言ってしまうと、「ついていくのが面倒になってしまった」作品だ。

 おそらく原作未読でこの作品を見始めた人間は全員そうだと思うのだが、この作品はとにかく世界設定がややこしくて、そこを理解するだけでもかなりの労力を要する。もちろん、自分なりに調べることでそうしたビハインドは埋め合わせられるし、実際、過去の作品には「なんかよくわかんねぇよ!」と思いながらも、作品の魅力に惹かれて自分なりに調べて観ていた作品だって数多く存在しているのだ(最近だと「刀語」とか「デュラララ!!」とか)。この作品も、サンライズ製作ということで画面の質はかなり高いものに仕上げられており、1話に代表されるようにバトルシーンでの見応えも充分、そこをきっかけに自学自習でストーリーを追うことも、出来ないことはなかっただろう。

 だが、無理だった。これに時間を割いてなんとか追いかけよう、というところまでモチベーションが上がらなかった。理由は3つある。1つは、世界観自体が面倒臭いこと。「武蔵」だの「三河」だのと言った聞き慣れたフレーズが出てくるにも関わらず、それらが予備知識にすらならず、むしろ持っている知識との齟齬のおかげで理解の妨げになるという奇妙な「日本設定」と、「大罪武装」なんかに代表される、いかにもラノベふぁんたじーなファクター。これらの複層的な設定を理解するには、アニメの描写だけでは圧倒的に不足しており、「何が起きているか」はもちろんのこと、「誰が敵なのか」「何を目指しているのか」「戦った結果何が起きたのか」などさっぱり分からない。おそらく原作はこのごった煮な感じでありとあらゆるフィクション要素を混ぜ合わせた節操の無さが売りなのだろうが、残念ながら、初見の人間に対するハードルとして、ここまで高く高く立ちはだかる設定も珍しい。

 2つ目は、とにかくキャラクターが多すぎること。同じ「分からない世界」というなら、例えば直前に終わった「ピングドラム」だって、そりゃ分からないことだらけだった。それでも、あの作品は「とにかく高倉家を中心とした物語だ」ということは明確であり、時籠ゆりやら荻野目桃果といったサブキャラメインのエピソードになる場合には、1話でがっつりと視点を変えるので、「あぁ、今回はこのキャラを掘り下げるのだ」ということが明示されて分かりやすくなった。しかし、この作品の登場人物の数は、はっきり言って埒外だろう。これだけ多くのキャラが絡み合っているのは「ネギま!」くらいしか見たことが無い気がする。「ネギま!」ならば重要度の低い生徒を切り捨てて見ることも出来ようが、この作品の場合、全てのキャラが全然違う世界観でもって、全然違う活躍を狙っており、それが1つのエピソードの中で混在しまくるのである。敵味方の別も分からず、何を考えているキャラなのか、別な言い方をすれば、「作者が何故ここに置いたキャラなのか」が分からない。必死に中の人の属性で区分しようと努力はしたのだが、この量ではいつしか限界が来てしまい、「何となく福山潤の周りにいるキャラ」と「そうでもないキャラ」くらいの区別しか出来なくなってしまった。こうなってしまっては、「キャラの魅力で見る」とか「中の人に引っ張られて見る」のも困難である。

 そして最大の原因となった、総合要因の3つ目。それは、シナリオが鬱陶しいことだ。とにかくややこしい設定をなんとか説明して理解させようとするので、必然的に台詞は増える。アニメになる時点で、出来る限り絵で見せて台詞を削る方向性が正しいはずなのだが、この作品は、(おそらくだが)とにかく「語る」ことのウェイトが大きすぎる。最も代表的なのは、トーリと正純の相対シーンだろう。まずもって「ディベートによる決戦」という設定自体が無茶苦茶なのに、正攻法で挑もうとしてきた正純に対し、トーリは「議論の反転」という奇策で応じるというプロットだ。確かに思いついた作者は面白かったのだろうが、どういじったところで、それに「もっともらしさ」を見いだすことは出来ない。あげく、更に正純のディベート術は他のところまで拡大していき、最終的には牛歩戦術と絡めるなど、「お前ら、もう真面目に戦う気ないんじゃねぇの?」という呆れに繋がる。中盤でもう理解しがたいと思っていたシナリオラインが、あのあたりの一連の流れで完全に無意味なものになった気がした。愛だろうが友情が金だろうが命だろうが、戦う目的はなんでもいいが、「若者達が真っ直ぐに戦いを挑む青春群像もの」として見せるならば、戦っている姿勢に紛れを持たせてはいけない。嘘っぱちの理屈で塗り固めるよりも、多少理不尽さを感じさせても、「まっとうさ」を見せてもらわなければ感情移入も出来ないのである。この作品の「理念」はどうにもうわべを塗り固めているだけに見えてしまった。

 トータルすると、「世界が分からん」「キャラが分からん」という基本のリスクから始まり、それが「やりたいことが分からん」という致命的な阻害要因を産み出してしまった。正直、夏から始まるという2期を追いかける自信もあまり無いのだが、これだけアニメ化に不向きな作品を何とか形にした(と思われる)スタッフ陣は、現時点で抱えている問題を解消することが出来るのだろうか。うーん、少なくとも原作を読む気にはならんよなぁ(ひょっとしたら原作は面白く読めるかもしれないけどさ)。

 一応、なんだかんだ言っても中の人フィーバーにはあらがえずに見続けてしまったので点数はこんなもの。もう1回、ここで使ったキャスト全員集めてお祭り騒ぎな別作品が観たいです。

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