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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 実に静謐な緊張感、第18話。この画が作れるのがこの作品の一番すごいところだなぁ。

 光、要、美海による汐鹿生探索。美海に与えられた聴覚能力によって、不可思議な海流のヴェールに保護されていた汐鹿生に進入することが出来た。そこにあった光景は、確かに光たちの生まれ育ったあの村には違いないが、冬眠中の村なのだから、当然「生」の痕跡は全く感じられない。初めて見る廃墟のような村。そしてまるで時間が停止したかのようにそのままの姿で眠りにつく村人たち。美海が「怖がって」しまったのも致し方ない光景。美海は憧れていた明るく輝く海の底の村が見たいと思い、光はそんな美海に自分の生まれ育ったあの明るい村を見せたいと思っていた。双方ともに願いとはずれてしまったために、多少ぎくしゃくした雰囲気になってしまう。こんなところにも、生まれ育ちの壁というものは存在しているものだ。

 鹿生の様子は、個人的に想像していたのと随分違っていた。5年もの歳月が経ったのだからすっかりぬくみ雪に覆われているのかと思ったのだが、案外そうでもない。外で「門番」していたおっちゃんにも大して積もっていなかったし、村自体のせいぜい積雪5〜10cmといったところだろうか。海流の守護のおかげで、眠りについた時から雪の影響は止まったようだ。また、てっきり全員がおうちの中でひっそりと封印されたり、もしかしたらうろこ様の力で地の底に封印でもされるのかと思っていたのだが、割と普通にその辺に寝てた。光の心配が「起きたら腰痛ぇぞ」だったのも何となく分かるかも。あのまま5年って、大丈夫か。光の父ちゃんはちゃんと布団に収まっていたが、それでも掛け布団は掛けずに着の身着のままで固まっていた。眠りに入る瞬間って、どんな様子だったのだろうか。

 汐鹿生のこんな光景は光たちも想定していたものではなかったようで、動揺した光たちは一旦自宅に戻って落ち着くことを提案する。しかし、家族の顔が見たいってのは分かるけど、その間美海を見知らぬ土地の見知らぬ街角にぽつんと置いていくのはどうなのよ。普段フェミニストな要ですら「絶対動かないで待っていて」とちょっと配慮に欠けたことを言っていなくなるし、美海ちゃんにしたら結構な災難である。「怖い」って言ってるんだから、せめて一緒に連れていってあげればよかったのに。美海ちゃんも美海ちゃんで、「しょうがないか」みたいな顔でポッキー食べてるし。海の中でも全く湿気らずにパキッと音を立てるポッキーは有能過ぎるな。

 別行動の結果、光は父親に経過報告、そして美海は相変わらずの不可解な音に導かれて光たちの通っていた学校へ。暗く沈んだ校舎内に一度は消沈するも、そこに感じられた過去の生活の息吹を見て、少し気持ちが高揚する美海。念願叶って、元の母親の教えてくれた「海の底の村」に来られて、更に思いを寄せた異性の過去の記憶を共有出来た。そのことに、ひとまずは満足するのである。しかし、ここで登場したのがうろこ様。彼は、美海が探していたものがまなかである、という申告を嘘だと断じる。「あれがお前の探してきたものなのか」と。相変わらず謎の多い性格である。うろこ様は監視役なので眠っていなかったのではないか、というのが光たちの推測。だとするならば、うろこ様の歩んできた歴史も、何とも過酷なものだ。この5年というもの、村には人っ子一人いなかったのである。そんな中をずっと1人で見守り続けてきたというのなら、それはやはり寂しいのではなかろうか。神の間尺で考えれば一瞬なのかもしれないが、あれだけ怠惰と享楽を好んでいたうろこ様が、1人静かに眠ったような時を過ごすことに満足していたとも思えない。5年ぶりの闖入者に対してちょっかいを出すのも仕方ないことなのかも。もちろん、あくまでただの鱗、という彼のスタンスからすれば、冬眠に際して特に感情を持たなかったのかもしれないし、妙な形で眠りが終わりを告げそうなことの方が問題なのかもしれないが。

 そしてまたあの音に誘われて、3人はついに目的地へたどり着く。「お女子様の墓場」という何とも壮絶な景色の中に、まなかはいた。うち捨てられた大量の木偶は生気などあるはずもなく、まさに「墓場」という言葉が相応しい。暗い海の底に一際暗く淀んだその空間で、唯一生命を持つのがまなか。彼女はあかりの代わりを買って出たために、最後のお船引でお女子様として引き込まれてしまっていたのか。相変わらずしゃりしゃりと不思議な音が聞こえる中で、うろこ様は「何かが現れれば何かが失われる、それで足し引きが釣り合う」と意味深な言葉を漏らす。まなかの肌から少しずつエナが失われていることに気付く3人。「失われたもの」とは彼女の海の人間としての生活なのか。それでは何が「現れた」ものなのか。普通に考えれば、代わりにエナが現れた人間がいるということだが……これまでずっと美海を呼び続け、招き寄せたまなかの存在は、今後どのように物語を動かしていくのか。

 今回のお話は、キャストロールでいうとわずかに5人のみという、非常に「狭い」お話。その中で、時間の止まった汐鹿生、そしてお女子様の墓場と、およそ人智を越えた「異境」が姿を見せ、終始緊張感のある画面であり続けた。やはりこういう画面作りこそがP.A.の真骨頂である。無音で張り詰めた海の底の景色は、一触即発で、何かの拍子でぐらりと崩れそうな人間関係に繋がっている。眠り続ける海の民は、抑えられ続ける心中の密かな感情に似ている。このまま、世界も心も「眠り」続けるわけにはいかない。何もかもが、いつかは「目覚める」ことになる。その時になって、この白く静かな世界がどのように動いていくのか、今後も目が離せない。

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