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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ハイパー七実アワー、第7話。並べて書いて今気付いたが、7話だから七実なんだろうか。先月の次回予告を見て「うわ、次回の敵は七実ねぇちゃんだ。こいつは今から楽しみだぜ!」と思っていたのに、関東では放送が早かったせいもあり、うちのブログをやたらと「七実」「死亡」で検索して来る人が多くて、何か哀しくなった。無事に視聴したので、これでめいっぱい書けるぞ。七実死亡、七実死亡。鑢七実死亡。

 今回はとにかく、その特徴的な画面が目を引く回である。原作挿絵を強く意識したのだろうか、ゴリゴリと太い枠取りにシンプルなラインで描かれた造形。普通に動くだけでもかなりインパクトのある絵柄だったが、これがさらにデフォルメを強調させていくことでゲーム画面のようなストイックな画面構成としてギャグにまで落とし込まれる。最初は、一時的にコミカルな演出の箇所を用意したのかと思ったのだが、結局、ほとんどぶっ通しで最初から最後までこの画面が貫かれていた。この独特のデザインが何を意味していたのかは推し量るしかない部分であるが、最後に七実から悪刀を引き抜いたあたりでふっと画面の緊張が緩むことから考えると、おそらくあの画面は「七実の世界」を構築していたということなのだろう。

 象徴的なのは冒頭に七実が刀を奪いにいくシーンで、等身の低いキャラクターが、ゲーム画面のような一見すると手抜きの造形の中ですがりつく敵を無惨に踏み付ける。「草め」と延々呟きながら手負いの敵兵士、そしてその亡骸を踏み続ける七実も、その後で死屍累々の荒野を1人笑いながら歩く七実も、実に恐ろしいシチュエーションなのは間違いない。しかし、七実の目から見てしまえば、それらはあくまで日常的な一風景でしかなく、自分が踏み付けたものはあくまでも「草」。そうした虚無的な七実の思考、厭世的な物の見方が、ゲーム画面のような味気ない作品世界を構築してしまったと考えることが出来るだろう。その「どうでも良さ」「張り合いのなさ」を考えれば、チープと見える戦闘シーンのエフェクトなんかも、怖気が走る不気味なものに見えてきませんか?

 今回はこの作品では初めて、コンテ演出、それに作監までを田中基樹氏という人が1人でこなしている。印象になかった名前だが、長丁場のこの作品をきちんと1本の軸で描ききってみせた手腕は評価出来るだろう。延々と垂れ流される会話劇の演出については単調な部分も見受けられたが、相変わらず必死に画面に変化を付けようという努力は見て取れたし、クライマックスに刀大仏前で対峙してからのバトル展開は直球勝負で見応えがあった。別に七花と七実の姉弟関係なんてそこまで思い入れがあるわけでもないのに、ラストはちょっとうるっと来てしまうくらいの出来だった。良い物を見せてもらいました。

 で、そんな画面のがんばりを差し引くと、今回のシナリオラインは今まで以上に阿漕で、見るべき部分が少ない。珍しくとがめが「奇策士」らしいことをしているのだが、「相手の目が強いならば暗闇にすればいいじゃない」なんてネタは流石に奇策と呼ぶのもどうかと思うし、それが通用するならスタングレネードみたいな光線などで目の働きを阻害した方が手っ取り早かった気もする。もともと「七花八裂」がどの程度「最終奥義」なのかは疑問が残る部分があったのを、そのまま「ちょっと改良すれば本当に強いよ」という流れで使ってしまったのも拍子抜け。「どこからどう見ても最強」というキャラクターをどう倒すのかっていうのが今回の見どころだと思っていたので、この幕引きは肩すかしであった。バトルものは強さの配分が難しいね。

 もちろん、そうしたいちゃもんは単なる言いがかりでもある。今回のメインプロットは「七花の強さ」というものを別方向から描写することにあったであろうし、もっと割り切って言えば「ジョーカーの退場」を目的としたものであったろう。バトルものにおいて主人公よりも強いいわゆる「ジョーカーキャラ」は扱いが難しく、存在しているだけで主人公のがんばりが霞んでしまうという難点がある(過去にそれで失敗した漫画がいくつあることか)。この作品も、七実というジョーカーを出して4話ででっかい悪ふざけをやってみせたわけだが、そのまま七実を残してしまっては、最後の決戦で支障が出てしまう。物語として成立させるには、あくまで「正面から、七花が七実を倒す」必要があったのだ。その必要性をある程度満たしつつ、説得力を維持するギリギリの落としどころが、今回の顛末だったと見ることが出来るだろう。一応七花もとがめも全力で頑張った結果、ということなので、努力からの勝利という方程式は守られている。

 あとは「ジョーカーとしての七実」にいかに魅力を与え、いかに綺麗に退場させるかという部分が腕の見せ所。悪刀を抜かれた後の「技を見取っていた理由」などはあり得ない理屈だけに度肝を抜かれるし、その後のとがめを狙ってのソニックブーム、最後の一撃を浴びた末期の一言など、ひねくれながらも華々しい「悪役の幕引き」。もう、本当にこれがラストバトルでも良かった気がする。鑢七実という実に良くできたキャラクターが退場してしまうのは口惜しいが、このあたりが丁度良い幕引きか。

 後はとがめのドロップキックとビンタを合わせた叱咤激励のシーンとかが見どころですかね。今回は初めて新キャラが1人も登場しない回だったのだが、既存のキャラクター達が回りでぎゃーぎゃーやっているのを見てるだけでも何となく楽しい部分はありました。個人的には否定姫が気になる。普段は「〜〜せず」の形で返答していたはずの右衛門左衛門が、何故か否定姫相手には素直に「ハイ」って答えちゃうんだよね。

 そして、毎度毎度のことながら、やっぱり中の人のこと。ハイパー七実アワーなんだから、今週は中原麻衣のことしか書く気が起きません。「弱さ」と「強さ」、「冷酷さ」と「慈悲深さ」を同時に孕んだ、鑢七実という怪物の心情など、演れと言われて演れるものではなかろうに。安心の狂気、それが中原麻衣。勝手な思い込みかもしれないですが、この人はこの歳の役者の中では屈指の「役を感覚で引っ張ってくる」役者だと思ってます。それこそ、七実と同じ天性のものかもしれません。

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