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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 次に観に行く時にはワーニングコメントのところで起立してやろうかとも思ったが、まぁ、普通映画に2回は行かないんですけどね(ネタバレ)。誰のせいとはいいませんが、「列車砲」っていうタームが出てくるだけで笑いそうになる私の身体をどうにかしてください。

 

 

<以下、一応ネタバレ注意ですが、大体いつも通りです。>

 




 

 観なくちゃいけない映画がどんどん出てくるアニメ業界。これまでずっと「劇場で観るならそれっぽい中身にしてくれよぉ」と思っていたわけなんですが、最近の業界的な流れとしては、「劇場版だから」っていう肩肘張ったスタイルも減ってきてますね。「コードギアス」みたいにそこでしかやりようのない特別感溢れるタイトルなら昔ながらの「劇場作品!」って感じの構成になるわけだが、こうして比較的最近の作品がテレビシリーズの延長で劇場公開されることが多くなり、次第にテレビ版との垣根が低くなっている気がする。あくまでこうしたスタイルは昨今の顧客のニーズと集金スタイルに合わせた変化であって、「劇場でしかやらないこと」を考えるというより、「劇場でも楽しめるタイトルの維持」みたいな部分に力点が置かれる。それは別に悪いことではなくて、時代を経た結果の変化でしかないのである。「わざわざ金取ってんじゃねぇよ!」って文句が出そうなら、それはDVDによるビジネススタイルを否定してしまった(ファンも含めた)業界全ての問題である。今後アニメというジャンルはこうして2時間くらいの枠に個別にお金を出していく制作スタイルも定着していくことになるのだろう。劇場の限られたパイの取り合いが激化しそうだな。そうなると人気のない作品はさっさと放映終了してしまうわけで……なかなか簡単なビジネスモデルなんてものは確立しないか。

 閑話休題。そんな事情もなんとなく感じながら、最近ではおなじみの「まぁ、テレビシリーズの延長だよね」という内容の劇場版。古い考え方のままだと多少物足りなさはあるかもしれないが、きちんと新作エピソードであるし、元の作品のクオリティが高かったおかげでそれをブラッシュアップして大画面で見るに耐えるレベルにまで引き上げられた本作は文句なしに「劇場でも楽しめる作品」になっている。個人的には音響周りのこだわりが非常に好印象で、「ガルパン」で散々劇場の音響をいじりまくっていた岩浪さんが、今回も見事な爆撃音や軍用機の重低音などを我々の鼓膜に叩き込んでくれる。こういうサウンド関係の充実は個人で実現しようとしたら相当な出費が求められるわけで、やはりこれこそが劇場作品に与えられた特権と言えるだろう。

 原作未読なのでどの程度「原作通り」かは定かでないが、パンフの情報によれば基本的にはアニメシリーズの続きとなる部分を調整してまとめたシナリオ。実際、テレビシリーズで延々繰り返されたターニャの「どうしてこうなった!」がひたすら繰り返される伝統芸能みたいな仕上がりになっており、今回は特に他のキャラまでもが口々に「どうしてこうなった!」と叫び出すので実に愉快である。大きく分けて最初の南方戦線、中盤の首都陽動戦、そしてラストのティゲンホーフ攻防戦の3つの戦場が用意されており、合間に適宜酒宴を挟みながらひたすらバトルに邁進するワンピースのような趣き。展開のメリハリがついているので一切中だるみせずにスパッと見どころが楽しめるのは非常にわかりやすい娯楽映画だ。私の貧弱な知識における「戦争映画」の要素は大体詰め込まれている気がする。

 本作で売りとなる部分はその中でも大きく2つ。1つは、徹底して現場主義を貫く(ことを強いられている)ターニャや敵国将校がただただ呻いている間、その上層部の連中の「政治」がカラカラと音を立てて空回りしている様子が描かれる部分。本作も最終的には「戦争イクナイ」という当たり前の結論は(ターニャなりの詭弁として)用意しているものの、どのあたりに「戦争の愚かさ」を体現させるかというのは原作者の裁量によるところであり、とにかく「上のご意向が現場に即していない」という残念さが浮き彫りになるように描かれている。徹底して合理性を謳うターニャですらその扱いには四苦八苦しており、今回限定キャラの中では飛び抜けた個性を発揮していた連邦側の長官(個人的にはチョー官と呼びたい)なんかは完全に指揮がイカれていることを表すわかりやすい造形。そうした「国の思惑」「政治の思惑」に翻弄され、滑稽な姿を晒しながらも現場ではひたすらに血が流れ続けるという容赦なさを描くバランス感覚は、やはり本作ならではのものだ。いわゆる「オレツエー」要素はかなり強い作品のはずなのだが、もう神(存在X)からして「ターニャは自動的に過酷な状況に叩き込まれる運命だよ」って言ってるわけで、どれだけツエー要素が多くともそれ以上に過酷なミッションが襲ってくれば充分に説得力のある筋立てになるのである。まぁ、今回の場合はさすがに計算外すぎた気はするが……まさかのごんぶとビーム兵器はな。Zガンダムでイキってたら敵軍がZZを開発してた、みたいな展開だ。元をたどればその前のモスコー陽動戦で遊びすぎたのが原因なので、やっぱりターニャの自業自得って形にはなってるんだよな。

 そうして外枠の物語部分にしっかり「戦争映画ならでは」の要素を盛り込み、いかにも「らしい」台詞回しなんかでシニカルで匂いの強い側面はがっつり見せつつ、やはり最後はアニメ的に見せられる部分を用意しているというのが本作の嬉しい見どころの2つ目ということになる。もう、最序盤でクライマックスがどうなるかなんて誰が見ても明らかではあるのだが、それでも問答無用で盛り上がる激しすぎるバトル。あれだけ銃だの火器だの魔法だのと無茶苦茶なものを振り回しておきながら、最後には拳がモノを言うってのはガンダムにしろグレンラガンにしろプラネットウィズにしろ、伝統的な日本アニメの様式美。本来だったら可愛いはずの女の子2人が、目を剥き、吠え哮りながら無心に相手を殺そうと殴り続けるという構図が、もうとにかく面白すぎるのである。女の子っていうと萌え絵が大事だとはいうものの、本作はどこまでブッサイクに描けるかっていうのが最大のチャレンジだよね。鬼気迫るメアリーの形相、あれだけでも一見の価値はありますわ。

 メアリーとターニャという今回の中心人物2人の対比も非常に見やすいものになっており、かたや「合理」の追求者たるデグレチャフ少佐。彼女のいう「合理」は実はしっかり「異世界転生」設定が生きている部分で、彼女(彼)は現実世界での大戦の結末(日本が、ドイツがどうなったか)を知っているからこそ、現在の帝国の戦況を冷静に読み解くことができる。合衆国の参戦がどれくらい現実的なものかはわからないし、そこまで分かってるならあのモスコー襲撃は流石にどうなのよ、という気もするのだが、テンションが上がっていない時のターニャはとにかく理屈で物事を捉えようとする。「戦争は良いか悪いか」では判断しないが、「戦争は嫌いだ」という一貫した主張は、時に彼女を悪魔にもするし、突然の平和主義者にも仕立て上げるものだ。

 かたや、「信念と信仰」の追求者たるメアリー・スー。父の仇を討つために神の力を授かり、そのために身を捧げる殉教の徒は、少なくとも現代的な視点からは確実に「非合理」である。実際、軍という規律の中からも彼女ははみ出しており、仲間たちには多大な迷惑をかけることになる。しかし、理では説明がつかない分、彼女の行動は多分に英雄的にも見えるし、切り方さえ違えば主人公たり得る存在。公式パンフレットの中では原作者自ら「主人公って現実にいたらクソなやつなんだな」と語っており、不合理はそれだけで美徳にも醜悪にもなりうるのである。この2人の対比が実際の拳や銃撃でぶつかる中、今作は「どちらが正しいのか」なんて答えを出そうとはしない。「それぞれの正義」なんて安易な言葉も使わない。それぞれの目的があるのは事実だが、ターニャは自分のことを正義だなんて思っていないだろう。あくまで、戦争を行おうとする大きな存在の「理」の衝突が、個人レベルにまでクローズアップされた時に「情」の側面を見せるという、解像度の差みたいなものがこの2人に体現されているだけなのである。安易なお涙頂戴の英雄譚では終わらない面倒臭さが、今作最大の魅力と言えるのではなかろうか。

 そして、最後に触れるのは毎度おなじみ、中の人の話。ここまでの流れでお分かりかと思うが、悠木碧・戸松遥という(ほぼ)同年代のエース2人。妖怪ウォッチユーザー2人。もう、この2人の容赦無い殺し合いが聞けるというだけでもたまりませんよね。おいちゃんはおいちゃんで2時間中1時間半くらいはしゃべってるんじゃねぇかっていうセリフ量だし、戸松は少ない出番の中でもトラウマもののインパクトを叩きつける感情の塊を見せつけてくれる。ほんと、戸松の持つ熱量が最大限に発揮される最高のキャスティングだし、おいちゃんのこまっしゃくれた賢しさが最大限に展開される最善のキャスティングだ。あまりにこの二人のインパクトが強烈なおかげで、パンフを見て「現場がほとんどおっさんばっかりなんですよ」っていう事実に初めて気づいたくらいだ。まぁ、おっさん達はおっさん達で最高の仕事をしてくれていますのでね。レルゲンさんが胃を押さえるだけでちょっと劇場がクスッとなる感じね。

 

 長々と書いてきたけど簡単にまとめると「テレビシリーズでよかった部分が全部2割り増しくらいでそのまま良くなってるよ」という作品です。「特別感が無いなら別にいいかなぁ」とか思ってるそこの貴方、クライマックスとなるバトル展開はスクリーンで見といた方がいいですよ。(ほら、ここで資金が回収できた方がテレビ2期の実現も早くなりそうだし……)

 

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