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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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○「ある日、お姫様になってしまった件について」 4

 時代が進み、「なんか見たことない枠」はちょっとずつ増えている。今作は「いや、タイトルからして

ゴリゴリのなろう系だし、既視感しかないやろがい」と思われるかもしれないが、なんとも不思議なところが1つある。それは……放送時間が20分ちょいなのだ。私はAT-Xでの視聴なので他局でどういう扱いになっているか分からないが、オープンエンドを合わせても、既存のアニメ枠と比べると3〜4分程度短い。これが1話目だけの尺だったのか、今後も統一されているのかはよく分からない。元々中国で配信されていた作品らしいので、あまり時間は制限されていないのかもしれない。

 というわけでこちらは日本のアニメではない。Wiki情報を辿っていくと原作は「韓国の小説・漫画」で、原作漫画は日本のサイトでも翻訳版が配信されているとのこと。さらに昨年時点で中国でアニメが制作され、向こうの配信サイトにて発表済み。これが1年を経て翻訳版が日本にやってきたという流れである。この「韓国漫画が中国でアニメ化されて輸入される」流れ、もう忘れちゃったけど前にもなんかあった気がする。

 最近はチャイナアニメも色々と刺激が多い作品が増え、「よその国のアニメだからまだまだだね」とかいうマウントは一切取れなくなっているのだが、残念ながら今作についてはピンとこない側である。これまでも散々言語化できずに悩んでいる「なんか具体的に説明できないけどコレジャナイ感」がかなり強めの作品。以前から中国アニメを見て感じる「AIっぽさ」が今作もかなり強く、全体的に「ガワだけつくて魂入れず」てな感じがする。これは本当に肌感なので「どこが」ってのが説明しにくいのだが……誰か、日本のクリエイターとかがこの問題を切ってくれないもんだろうか。

 もうちょい頑張って観察してみると、まず、映像は「綺麗」なのである。ディティールもかなり細かいし、それなりに人手も費やしているだろう。「AIっぽい」はあくまで例え話であり、多分どっかに確実に使ってはいるだろうが、決して「全部AIに任せたような適当な出来」ではない。ただ、その上で最終的に出てくるものがびみょーに勘どころを外している。例えば細かいモーションを入れるタイミング、デフォルメにしてゆるい空気を出す間合いなどなど。すごく「見たことがある」構図は出てくるのだが、なんか色んなところに借り物感があるのだ。

 また、そんなツールを使って描かれるシナリオそのものもあんまり褒められたもんじゃない。いわゆる「はめふら」的破滅回避設定だが、これを主人公転生(?)後の3歳からスタートするという随分気の長い話。1話目では「予知夢は回避できる」ということを示すために盗人撃退の顛末が描かれたが、この盗人の行動があまりに馬鹿馬鹿しく、どこまでのリアリティラインで物語を進めたいのかがよく分からない。台詞回しに翻訳っぽさが強く出てしまうのも抵抗が出る部分で、色んなところが制作に絡んでいる果てに、なんかチグハグなものが出てきてしまっている。残念ながらあまり積極的に観たい方のチャイナアニメではなさそうだ。

 ただ、この「何となく合わない肌感」というのはこれまで散々日本のアニメを浴びてきたせいで無意識に身についたリズムみたいなものである可能性はあって、そうした要素を気にしない層や世代には単に「なんか綺麗な画面」というので受け入れられる可能性はある。そうなってくると、じわじわと自分の老害感が強くなっていく感がしてきついのだが……さて、日本でウケるアニメになるんでしょうかね。

 
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○「矢野くんの普通の日々」 5

 アニメの教室シーンといえば、メインキャラは窓際後ろの席と相場が決まっておりとなりの関くんも阿波連さんも、みんなその席に座っている。甘織れな子も確かその辺。これは「背景で追加の人物を描かなくていいから作画が楽」というのが主な理由だと言われていたが、それならば窓際じゃなくてもよかろう、というので最近は「廊下側真ん中」もチラチラ見かける気がしている。これは、人が出入りするドア付近さえ描かなければ同様に背景で楽できることが理由なのだろう。というわけで、今作で吉田さん・矢野くんが座っているエリアを「椎名立希エリア」と呼ばせてもらうことにする。すぐに杏仁持ってくるんだから。

 という全然本質とは関係ない話から始めてみたが、まぁ、何とも捉えどころがなくて困ってるだけである。「変な男子に積極的に女の子の方からアプローチをかけていくラブコメ、嫌いじゃないゼ」とか思いながら見つつ、「でもこの男子側の不幸体質、どっかで見たことある気が……」って作中ずっと考えてて、観終わった後に思い出した。そうか「式守さん」じゃん。男子サイドの「やたらトラブって怪我しそう」は完全に一致。ただ、式守さんの場合はナイト役に名乗りをあげたヒロインのおかげで未然に防がれるケースが多かったのに対し、こちらの作品の吉田さんは残念ながら無力だったため、矢野くんはボッコボコに怪我していると、そういう違いである。まぁ、普通に考えたら「理屈無視の超常不幸体質」を女の子1人で守れる意味もわからんので、こちらの作品の方が潔くはあるが。

 まぁ、この矢野の「不幸体質」をすんなり受け入れられるかどうかで作品の印象も多少変わってきそうだが、個人的には「そんなことより吉田さん可愛いから別にいいや」の気持ち。番組がスタートし、ワンショット目で「なんか変なキャラデザだな」って一瞬抵抗があったのだが、すぐに馴染んだ上に、放心してる時の間抜け顔が可愛らしく、ずっとそれだけ見ていたい気持ちにさせてくれる。甲斐甲斐しい献身キャラっぷりも憎らしく、そりゃまぁ、こんな子から気にしてもらえるんだったらどんだけ怪我したって学校は楽しくなるだろう。なかなか羨ましい爆発作品である。

 ここから先どういう形で2人の関係が掘り下げられていくか分からないので点数は据え置きだし、このまま日常ものっぽくマンネリ化していく可能性も低くはないが、全体的に「マイナス印象はない」作品なので、ダラダラと視聴する分にはちょうどいいあんばいなのかもしれない。

 ちなみに、吉田さんのCVについて「どっかで聞いたことがあるんだけど……誰だったっけ……ともりるじゃなくて……」とか悩んで結局出てこなかったのだが、正解は貫井柚佳でした。なるほど、割と強めに張った時の声質はこんな感じになるのね。相変わらず好きだわよ。そしてなぜかその親友ポジションにはまたまた種さんが……。ねぇ、仕事量セーブしてるんだよね? ほんとに?

 
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 今この瞬間がまさに「瑠璃の宝石」、最終話! 「次」を目指す最高のフィナーレをありがとう。

 最終回が温泉回! そんな暴挙はよっぽど極まったエロ作品でもなきゃ無理な相談だが、本作は「温泉は立派な調査対象なので」という斜め上の大義名分があるので堂々と最終話で温泉に挑むことができる。なんだかんだで海も温泉もクリアしてるんだから阿漕なアニメである。とはいえ、ぶっちゃけ温泉は光バリアがしっかりと入っているため、なんならいつもよりエロくないまである。序盤の徹底したフェティシズムに彩られたあれやこれやはヤバかったが、最近は(そりゃ大学生2人の乳のでかさはおかしいが)そこまでセクシャルな部分は押し出さなくはなっていたよね。まぁ、それでも視聴者は問題なくついてきてくれるって分かってるしな。

 エロはなくても学術的探究は欠かせない。伊万里さんがどういう関係性で高校生2人を温泉に呼び出せたかはよく分からんが(瑠璃の親はともかく、硝子ちゃんの親には「地学研究室で知り合った学術仲間です」っていう情報はシェアしてるんだろうか)、女4人での温泉旅行。普通に考えたらこんなご褒美シチュエーションもなかなか無いが、いかんせんそのうち1人が古美術にまで興味を伸ばす博物マニアで、残りの3人も全員鉱物と見れば食いついちゃう石好きってんだから色気も何もあったもんじゃない。一応最終回は瑠璃が進路について考えて「自分は研究職とかいうタマじゃないしなぁ」と思い悩むのがテーマではあるのだが、最初に石灰石リングを見せた時点で相当な食いつきを見せ、独自の調査で真相に肉薄している時点で、すでに研究職に何の不安も無いことは示されており、視聴者目線でも「何を今更」ってなもんである。ま、花のJK、思春期真っ只中ではまだ将来のことを考えるのは不安ですからね。おいおい、自分を見つめ直して適性を理解していけばいいでしょう。

 若者の未来には無限の可能性があるとはいうものの、すでに瑠璃の進路はじわじわと包囲網が狭められている。「地学系の就職先は少ない」とぼやく伊万里さんだったが、その割には高校生を自分たちと同じ魔道に落とし込もうという願望がバレバレ。まぁ、単に同じ趣味を持つ仲間が増えて嬉しいだけだろうし、当人たちの楽しげな様子を見ているからこそ積極的にサポートをしてくれているだけなのだが、このまま2人が進学してくることは必至。伊万里さんは出来れば2人の進路にも責任を持っていただきたい。まぁ、自分の進路さえ定かじゃない状態じゃ簡単なことではないけども。

 伊万里さんは温泉宿に2人を呼んだ時点ですでに研究の場になることを予測していたのだろう。まさかの顕微鏡持ち込み(しかも2台)で楽しい旅行がいつも通りの調査研究時間に。この状況で誰一人「温泉くらいゆっくりさせろ」と言わないあたりがジャンキーたる所以でね。楽しいことを共有してる仲間たちと旅行に行くと、観光やレジャーそっちのけで結局いつも通りのことやっちゃうよね。今回は「隕石探し」というちょっと目先が変わったターゲットも面白く、瑠璃たちもすっかり夢中であった。地学をやっているとどうしても下の方にばかり目が行きがちだが、これまで地球規模で考えていた話が今度は宇宙規模にまで広がっていると言われたら、そりゃ興味はそそられるものね。結局、顕微鏡をのぞいているときが一番楽しそうな瑠璃を見ていれば、誰も進路のことなんて心配には思わないのさ。

 好きが分かり、楽しいを知って、「次」が待っている。宝石のような瑠璃の時間も、しばらくは続くことだろう。

 
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Summer Pockets」 4→5

 まずもっていつも通りに謝らなきゃいけないのだが、だいぶ序盤から適当にしか観てませんでした。ほんならなんで最終回まで辿り着いて感想まで書いてんねん、という話になるわけだが、その辺の言い訳をまとめて最終評価としておこう。

 前提として、ギャルゲアニメに苦手意識があるという部分はいつも通り。今作も最序盤での台詞回しの薄ら寒さとか、細切れになったルート取りを見てさっさと見切りをつけようかとすら思っていた。個人的には、ギャルゲアニメの「同じ時間軸をループして個別ヒロインのルートを再攻略していく」っていう構造は、それ自体はなかなかの発明だとは思いつつも、やっぱりシリーズアニメとして見るのは億劫だな、という気持ちがある。一本筋の通ったアニメですら1クール2クールで描くのは大変なのだから、毛細血管のように枝分かれしたすべての枝葉末節を追う行為にあまり意味を感じない。

 今作も、1クール目の構造がそういう形だったからかなり序盤から適当な流れに。ただ、切るかどうか悩んでたタイミングでしろはパートが回ってきて、「まぁ、小原好美ヒロインのパートくらいは見てからにするか」ってんで視聴を続けていたら、そこから様子が違うぞ、という流れに入ったのである。最初に処理していたのは本当に「脇道」であり、2クール目を丸々費やして進めたお話こそが「本筋」。そこを描く前に舞台をなだらかにするためのパートが1クール目だったことが分かり、「もう、そういうことなら先に言ってよ!」と思った次第である(んな無茶な)。

 まぁ、おかげで「本編」と言えるしろは・うみのエピソードをがっつりやってもらったのに「いまひとつ着いていけねぇ……」という状態になってしまったのは自己責任であり、そこに申し訳なさを覚えつつもせめてもの罪滅ぼしで最後まで視聴。「マジで雰囲気でしか見てなかったけど……なんかこう、いい雰囲気だったな……」というアニメ視聴者にあるまじき結論でフィニッシュした。まぁほら、「小原好美ヒロインがほんとにいろんな表情を見せてくれるの最高だろ」という私にとって一番大事な部分は捕捉できたからさ。

 こんな事情を説明した後には何を書こうが虚しいだけだが、一応他の要素もお情け程度にサポートしておくと、映像部分の完成度はそれなりに高く、最後まで映像品質が保たれていたのは良かった部分だろう。鍵作品というと京アニやらP.A.やらと恐ろしくスタジオに恵まれる傾向にあるが、今作はfeel.の制作。最近のfeel.は地味に「高め安定」のスタジオ傾向にあるのでちょっと認識を改めたい。また、「全体的な雰囲気はなんだかなぁ」という入りではあったが、タイトルに冠した「夏」という要素に徹底した雰囲気作りは、純粋に良きものだと思った。やっぱり誰にだって「夏の思い出」ってあるわけじゃないですか。「夏休み」って幸せの象徴じゃないですか。無限の夏を続けた今作は、そこかしこに「夏」の情景を連ね、ノスタルジーを掻き立ててくれていた。この通底したイメージが2クールという尺をブレることなく支える基盤になっていたんじゃないかと思っている。画面にしっかり味わいを覚えるというなら、アニメにした意味もあったんだろう。

 いろんなところに、お疲れ様。

 
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「鬼人幻燈抄」 6→5

 なんとも珍奇な作品であった。結局途中で集中力が切れてしまったことで評価をあんまり上げることはできなかったが、作品とはあんまり関係ない要素でつまづいてる部分もあるのでちょっと申し訳ない。

 減点されるような不満点があるとしたら大きく2点。1つはほんとにどうしようもないことだが、やはり2クールの長丁場を付き合った果てに結末に辿り着けないこと。こんな尺では全然足りないくらいの内容があるようなのでハナから完結など想定されなかったわけだが、1話目で高評価をつけたのはやっぱり甚太とうえしゃま、もとい鈴音さんの関係性に刺激を受けてのものなので、お話が中盤以降に鈴音さんと何の関係もなくなっちゃったのは期待はずれではある。甚太の生き様そのものにオリジンの影響はあるわけだが、そこだけではちょっとモチベとしては物足りないのですよ。ただまぁ、これはアニメとしてはどうしようもないところなので「申し訳ない」と思っている。

 もう1点は、映像部分での特筆すべきものがなかった点。正直、横ラボにしちゃ頑張ってくれたとは思っているのだが、それはあくまで同社の他作品と比較しての相対評価でしかない。バトルにしろ飛び越える時代設定にしろ、色々と映像で魅せられる要素は多かった気がするのだが、残念ながら「画で評価する作品」にはならなかった。非常に地味な画で、結構とんでもない筋立てを描いているというギャップがすごくもったいないとは思ってしまったので、やはり点数は上げるより下げる形になってしまった。

 とはいえ、筋立ての大きさそのものはストレートに今作の魅力だったとは思う。タイムリープやタイムスリップを(極力)使わず、甚太という鬼の人生を一本の経糸に通すことで力技で「時間の超越」を可能とした筋立て。最初に時代を飛んだ時には「何が起こってんだよ」と戸惑ったものだが、臆面もなく時代を飛び越え、大胆にシャッフルしながら悠久の時を紡いでいくシステムはなかなかに魅力的だったし、作品の独自色になっていた。惜しむらくは、このシャッフルは「ゴールが見える」からこそ飛び飛びでも楽しめるわけで、最後に「ゴール」がない現在のアニメの段階では腰が据わらずに消化不良の感覚にも繋がってしまったということ。できることなら本当に最後にどこに辿り着くのかが確定した上で、この演出を見てみたかったものである。

 まぁ、それでも思いの外いろんな切り口で語られる鬼の物語は、1つ1つがきちんとお話として成立していたし、パーツごとの完成度に大きな不満はない。懸念があるとすれば、こんだけの内容だと仮に2期が制作されて数年後に戻ってきたとして、どんだけ覚えてるかって話だ。

 
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「光が死んだ夏」 6→6

 個人的に一番嬉しかったのは、ホラーとは言うてたけどそこまで「怖い」に振り切れずに済んだところですね。どんなに傑作になったとしても、怖すぎると観られなくなっちゃうチキンハートなもので。

 まぁ、ホラーといっても見せ方、広げ方には色々あるよね、ということが分かるお話。普段おっかなくてホラーに全く触れない私からすると、たまに触れるこういう作品でバリエーションが楽しめるのはありがたい話である。もちろん、「さっぱり怖くもない」というマイナス印象というわけではなくて、ホラーで描きたいものが即物的な怖さだけじゃなく、「そういう下地で描けるヒューマンドラマもたくさんある」ということ。いや、これってすんげぇ当たり前のことなんだけどね。元々「怪談話」って人を驚かせるためだけにあるわけじゃないしね。そんなことは以前熱心に落語を聞いていた俺は知ってたはずなんだけど……すっかり忘れてた感覚。恐怖をベースにしたストーリーラインの奥底に、どうしようもない人の情動が見える、そうして描きたいものがちゃんと出ている作品であれば、「怖さ」を怖がらずに観ることができるのです(よく分かんねぇな)。

 「因習村」をベースに今作で描かれるメインテーマはとにかくヨシキとヒカルの間の、友情と言えるかどうかも分からないなんとも奇妙な繋がりである。人ならざるものとの交わりというのはある種の「異種間コミュニケーション」ではあるが、ヨシキの心中には「人であってほしい」という願いも間違いなく存在しているし、すでに亡き者となった本物のヒカルへの執着もある。そんな中で「自己とは何か」を問い続ける不安定な怪異存在との関係性がちょっとずつ積み重なり、新しい「友情」の正しさに思い悩むようになる。中心となる要素がとにかくガチガチに固められているため、これだけの尺でもじわじわと前に進んでいる要素を固唾を飲んで見守るしかない。そりゃ2期が決定してほっとしましたよ。ここで終わっていい作品じゃないからね。

 ジャパニーズホラーというと、おどろおどろしさ、どこかはっきりしない茫とした雰囲気で怖さを出すことがも多いが、今作を制作するCygamesPicturesはバリバリに現代アニメ技術を使いこなしたシャープな映像を生み出してくる。線のはっきりした映像は一見すると「村」の景色とは食い合わせが悪いようにも見えるが、「意味の分からないもの」をしっかりと意味が分からないままに表現できるのはCG技術の先鋭化の成果。実写取り込みまで多用して作られる「リアルな」村の情景に、ゴリゴリのCGで展開される怪異のビジュアルは、次第に境界性を失って画面のこちらに侵食してくるかのような錯覚を覚える。それでいてどこまでも嘘くさいところもあって、その現実感と非現実感はやはりアニメの強みだと思える唯一無二の画面だ。こういう使い方もあるものなのかと感心させられましたわ。まだまだ世界は収束する気配がなく、2期以降ではこの情景がどんなふうに様変わりしていくのか、今から楽しみである。

 
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「おそ松さん(第4期)」 ―→3

 もう……いいんじゃないかな……。

 確認しておくが、私は今作1期は大好きだった勢だ。よくもまぁこんなネタを、と感心もしたし、大胆なリメイクに踏み切った度胸も評価していた。キャラものとして古代の文明を掘り起こし、大成功を生み出した功績は本当に素晴らしかったと思っている。ただな、やっぱりそれって劇薬ではあってな。あんまり続けて接種するもんじゃないし、あれだけの異様なエネルギーをさ、3期も4期も維持できるわけがないんだよ。

 「飽きてしまった」と言ってしまえば話は早いのだが、正直言って「今期放送されたエピソードは1期の頃にやられたとしても面白くはなかったのでは……」と思っている。脚本家は変わってないのだからおかしな話だが、おそ松ギャグの真骨頂は今まで誰も踏み込んだことがないような危険な領域にずけずけと踏み込むフロンティアスピリットにあった。自らの足でどんどん開拓していったら、そりゃもう未踏の領域なんてほぼ残らない。もし残っていたとしても、それは「わざわざ足を踏み入れたくない場所」であり、打っても響かぬ残念な顛末が待っているだけである。

 もちろん、当たるかどうかは打ってみなけりゃ分からない。だからこそこうして発信し続けることで得られるものも絶対にあるはずだが、流石に期待値が下がり過ぎている。おそらく作り手側もそのことは薄々分かっているからこそ、合間に挟まる「あたしンち」みたいな当たり障りのないエピソードも増えており、「このくらいのぬるま湯でずっとコンテンツを延命して……」みたいな方向性も見え隠れしている。ただ、残念ながらそれではこの作品を生きながらえさせる意味がないのだ。ほんで、生きながらえさせたいならせめて最終話は間に合わせろ。

 本当に「なんでやってるか分からない」お話の量が増えてきて、今期はむしろ見てて辛くなった。ネタの密度も維持できないのだろう、テンポが悪くてスカスカの回も多かった。3週に1回くらいクスリと笑える時もあったが、おそらくそれを望んでいるファンは数少ないだろう。役目を終えたのだ、そう思ってあげてほしい。

 
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「気絶勇者と暗殺姫」 5→5

 出オチじゃねぇかと思ったけど案外頑張ったシリーズ。いや、別に当初予想された方向性から何かがずれることはなかったのだけれど。

 1話目時点で「せいぜい女の子3人のきゃっきゃうふふな殺伐冒険ライフになってくれればそれでいいや」と言ってたら本当にそうなったので「予想も期待もそこそこ裏切らず」というライン。終わってみれば、ガワは全然似てないけど構造的には「帝乃三姉妹」が意外と近かったりする。舞台装置となる無体な設定の野郎キャラを中心に、全然性格が違う3人の女の子たちがくっついたり離れたりでいいように気持ちを揺さぶられるというお話である。一番の違いは帝乃さんちは中心にいる男が「出来ないことが個性」だったのに対し、こちらの勇者は「出来すぎることが個性」であるという部分。とはいえ、お互いに「自覚せずにタラシ属性を見せる」という性質はおんなじなので、結局は舞台装置としてシナリオをさくさく回してくれればそれでOK。そういう意味で勇者トトはこれ以上ないくらいの「装置」っぷりであった。

 そして、どちらかというとお話の筋だけで見ればこっちの作品の方が好みかもしれない(作画のレベル差で点数的にはトントン)。3人のヒロインの気持ちの昂りと、それぞれのふれあい方はこの作品の方が刺激が多くて楽しかったからね。比較するとアネモネは損してるポジションな気はするが、シエルちゃんの魔族話は別なテーマにまで橋渡しできそうな、単体でいじりがいのあるエピソードだったし、「ラスボス」を担当したゴアさんのめんどくさいメンタリティが最終的に愛嬌に繋がるのも想定通りに。ここで俺たたして終わる短編シリーズとしてはこれで不満はない。ただまぁ、原作は未完ってことで、この後どうにかして落とし前をつけなきゃいけないわけだが……誰か特定の1人とくっついて終わり、という選択が義務化されてないので色々やりようはありそうだよね。

 さぁ、「話しちゃう姫」「死んでる勇者」「ドS催眠嬢」の中で、最初に戻ってくるファンタジー白石晴香は誰になるでしょうね。

 
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「異世界黙示録マイノグーラ」 4→5

 なろう作品に歩み寄るための発展的加点。品質としてはギリのところはあったが、印象がプラス方向に向いたことも考慮してここで様子をみよう。いや、続きがアニメ化されるかどうかは分からんが。

 先にダメなところから確認しておくと、アニメとしてはそりゃぁダメである。安心のMAHO FILMなので追加説明も必要なかろうが、グダグダの作画にヘロヘロの動画。本人たちは真面目にバトルしてるかもしれないシーンでもギャグに見えてしまったり、典型的な「ハズレなろう」の見た目。今期は(今期も)なろう作品はことごとく切ってきたが、これよりも低空飛行の作品はそこまで多くなかったと信じたいものである。

 しかし、そんだけダメダメな様子を確認しておきながら、今作は最後まで視聴するモチベーションが維持されていた。正直、3話か4話あたりで「もう切ってしまおうか……」と何度か思った気がするが、その度に「でも一応シナリオラインで気になることはあるから……」というので継続。そのおかげで最終的には作品の全体像を把握することができたし、この「耐え」については自分を褒めてあげてもいいと思う。その他の耐えられなかったなろう作品の墓前に供えておこう。

 「気になる」要素は、前半では端的に言えば「シミュレーションゲームっていう設定にこだわってるよなぁ」という部分であった。確か新番チェックの時には「オバロと設定被りすぎだし、オバロの下位互換にしかならんだろ」と思っていたわけだが、むしろオバロでもやらねぇよ、というぐらいにあけすけに「これはゲーム世界なんですよー」という要素を強調してくる展開。チープなコマンドウィンドウや、どないやねんな選択肢とその反映。むしろそのチープさはわざと強調しているようには見えていたので、「そこから何かやろうとはしてるのかもしれん」というモチベに繋がった。

 そうしてたどり着いた「多重ゲーム世界」という設定。これもまぁ、別に本作のとっておきオリジナルって設定ではないと思うが、少なくともアニメ化されたなろうの中では新機軸である。シミュレーションゲームの達人プレイヤーがゲーム世界へ転生し、「これまで培った技術と知識で無双できるぞ!」なアホ設定だと思っていたら、実はこの世界の「シミュレーション」パートは一部でしかなかったという。世界が混ざり合い、まず仕掛けてきたのはRPG陣営。うむ、意味の分からん設定だ。さらに最終話ではイカレ本渡ちゃんが「TRPG」陣営であることも判明し、ここから更なるカオスも予想される。この設定はなるほどちょっと気になる。

 また、お約束のように「暗黒」サイドに陣取って厨二病気取っていた主人公(とアトゥちゃん)だったが、そのダークな要素は一応展開にも反映されており、「カマキリの化け物だけどおねーちゃんボイスだからママみ最大」という意味の分からんサブキャラをロストさせることで、視聴者サイドからはどう受け取っていいか分からん状況もそれなりのドラマとして立たせることができた。なるほど「シミュレーションゲームでユニットをあれこれいじってたらそりゃロストもするよな」という納得感もありつつ、そこから「チートだと思っていた要素は決してチートではなかった」という現実の表示にもなる。ここからは、本当に「多重ゲーム」という世界設定をいかに処理していくかの「テンプレ外」の展開になっていくはず。これ以降が面白いなら、もしかしたらこの作品は面白いのかもしれません。

 2期があったら当然見てしまうだろうが……なんとか制作スタジオを変える方法とかないですかね?

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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