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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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  天下分かちゆく第11話。物語は1つの山を超え、今はくだりの加速どき。この転がりゆく情勢の中で、諸将はことの趨勢をどう読み切るか。「軍記物」としては一番面白いくらいのタイミングだと思うのだが、噂ではスタッフクレジットで原作者の名前が「原作」から「原案」に変わった、という問題で議論が起こっているという。好きな作品なので、これ以上トラブルなく、すんなりやって欲しいところではあるんですけどね。

 「信長堕つ」の急報は、正誤の入り交じった情報を抱えながら、日本中の将を駆け巡った。絶対君主であった信長を失い、全ての武将は「明智とは」という問題に対してすぐさま答えを出さなければならない状態。そして、この混迷極まった状態こそが、「猿知恵」豊臣秀吉が思い描いていた通りのものである。これまで1つ1つ丁寧に敷き詰めてきた様々な秀吉の策が、ものの見事に収斂していく様が何とも恐ろしい。

 「織田か明智か」。はっきり言ってしまえば、現状でベストアンサーをはじき出せる人間は、おそらく全ての絵図を描いた秀吉(と利休)以外には存在しない。各武将達は必死に頭を悩ませ、武人としての忠義、プライド、そして打算を全てひっくるめた上で、どう動くのかを決断していく。

 最も分かりやすい「保留」を決定させたのが細川である。君主細川藤孝は、本来ならば真っ先に縁者である明智の補佐に回るべき人物であり、光秀もそれを期待して真っ先に書簡を送っていた。しかし、この男の下には、既に一度利休がくさびを打ちに来ている。「裏切り者あらば……」と語った利休の「もしも」を、このタイミングで光秀が実現させてしまった。そして、利休の言は、明らかにそれを意図したものであった。単なる光秀の離反であるならば、息子忠興のように「逆賊打つべし」と立ち上がるもよし、あくまで明智に着くもよし、その判断は出来たのかもしれないが、そこに利休の影がちらつくことにより、さらには豊臣の影すらちらつき始める。こうも不確定要素が多くては、動くこともままならぬ。結局、見事な体術で息子をたたきのめすと、一切の許可を取らずに親子ともども剃髪し、戦況を見守ることを選択した。これもまた1つの戦であろう。

 また、光秀の意図をくみ取り、現状に手を出さずに趨勢を見守る決断をしたのは、「耐えること」では右に出るものはない、徳川家康。冷静な顔をしているが、急速な便意は現状が急を要することを充分理解した結果。本来ならば逆賊をせめる立場にあるはずだが、光秀の真意は未だ定まらず。明智という男には自らと同じ信念があると信じつつも、一度三河に引き、結果を静観する構えだ。

 そして古田である。こっそりと名品を受け取って帰城した左介は、織田の最後の1人ともいえる長益を救助、解放した。腹の底まで打ち明けあってしまった、「死を恐れて己をとった臆病者」と「主君の死に接してなお器に執着した数寄者」の2人は、武の権限者とも言える柴田勝家の悪口でひとしきり盛り上がり、はみ出しものとしての自身を笑い続けた。

 長益と分かれた左介は、義兄中川清秀に相談を持ちかける。中川は、「義による救援を織田に回す」「明智を見守る」「秀吉に組みする」などの選択肢を決めかねていたが、ぽろりとこぼれた一言のおかげで、左介は秀吉が自分を評価していたという事実を知る。二百という金子の違いを叩きつけられた半端武士は、「恩に報いずば武士の恥」と兄を焚きつける。自分はとうに武士の誇りなどうっちゃってしまったというのに。本当に、打算と興味で動いているときの左介の悪そうな顔といったら!

 諸将の救援がなかなか訪れないことに焦りを隠せない光秀。しかし、信長への反抗心は、家臣ならば少なからず持っていたものであるはず。そうした「一致団結した思い」があると判断したからこそ、思慮深い彼も動くことを決断したのだから。しかし、期待は実らず、細川を始めとした救援のあては次々に外れていく。未だに彼は、一人の男の手の中で踊っていることに気づいていない。

 全て事を成した、豊臣勢。本能寺で信長を手にかけた秀吉は現在水面下で移動中であるが、その意志をくみ取って100%の仕事をしたのが、毛利攻めを継続中だった弟、秀長。斥候と対峙した彼の表情は、兄秀吉の影を完全にコピーしたかのような策士の容貌。明智の使者をその場で斬って捨て、受け取った書状は「明智が毛利に内通しようとした文である」とさらりと嘘をつく。これにより、豊臣配下からすれば明智は完全なる逆賊。一気に明智討つべしの流れになる。光秀の方は、秀吉を最大の仲間だと思い込んでいたというのに。見事な兄弟連携により、実働部隊としては最大規模の豊臣軍が、一路明智討伐へ向かうことに。

 

 秀吉と利休が、布石として起き続けてきた諸々が一気に機能し始め、あっという間に明智を追い込んでしまった様子が圧巻のエピソード。ここまで考えられた秀吉も恐ろしい人物だが、その中で駒として動く多くの武将達も、必死に現状分析をしてベストの選択を模索している描写が実に面白い。この腹黒さに溢れかえった感じが、本物の「戦国乱世」なのだろうという雰囲気がにじみ出ているのだ。そして、そんな腹芸と計算だらけの中でも、信念を曲げずに別な計算軸で動き続ける古田左介。今回のエピソードの中で、彼が本能寺の跡地に立てたたった1本の茶杓だけが、策謀と野心を度外視した、唯一の「忠心」であったのは何とも印象的である。

 「武か数寄か、それが問題にて候」というのがこの作品の決まり文句だが、結局のところ、武による忠義心も、数寄による執着も、全ては人の心にあるもの。どちらの道を究めても、最後に行き着くのは「人の姿」であり、一足先に「義心」を通過した左介も、ある意味で本当の武人といえるのかもしれない。

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