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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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本当に色々なものがまぶしく映る、第10話。まっすぐだなぁ、青春だなぁ。残されたと思った不良債権、残してもいいと思っていた青春の苦みが、なんと一気に消化されたのです。これだけまっすぐな人間が集まった物語というのも、希有な存在なのではないでしょうか。

 女の子はずるい。すっかり海人との関係性を固めてしまったイチカは、もうなりふり構わないラブラブ状態。これまでの態度からすると微妙なラインではあるが、彼女の場合は地球人(日本人)が持つような気恥ずかしさみたいなものはあまり持ち合わせていないようで、「ラブラブして良い」という大義名分が出来たら、今までの先輩風はほとんど吹かせなくなり、徹底的にくっつき回る性質。「くっついてるのが好き」とか言われて、断れる男なんかいるわけない。たとえ真夏の縁側でシーツにくるまろうとも、そのじっとりと密着する体温を楽しむのが人間というものだ。こういう状態をシンプルな日本語で表現すると、「たまらん」。くそう、必要以上に眼鏡かちゃかちゃさせやがって。

 女の子は強い。先週の柑菜も思いきった行動に出たものだが、今週の美桜も実にしたたかで、難局に向き合うだけの強さを持っていた。未だうじうじと悩み続けていた哲朗に火をつけたのは美桜だった。「自分は力を得て告白を済ませた」と哲朗に詰め寄り、宙ぶらりんな彼の背中をドンと押す発言をしたのは彼女なのだ。好意を寄せている男に突きつけるにはつらい言葉であったろう。「哲朗は映画撮影に柑菜を誘っておきながら、同時にイチカも招き入れた。お前の本心は、一体どこにあるのか」と、一番触れられたくない、哲朗の弱くて膿んだ部分を的確に責め立てる。「いつものようにはぐらかし続けていても、動かなければ何も生まれない」と説き諭す。この世界では、動き出すのはいつも女の子からだ。哲朗と柑菜のあのシーンにも控えていた「したたかな」美桜は、打算以上に、彼のなすべきことと、自分のなすべきことを知っていたに違いない。

 女の子は健気だ。つながりゆく思慕の連鎖が、哲朗を経由して柑菜をはじき飛ばす。「今まで通りに戻ろう」と自己をすり減らしていた柑菜に向けて、哲朗がようやく本心を明かし、「自分が観たい柑菜」を訴えた。柑菜自身にとって、これほど混乱する状況もないだろう。自分だけだと思っていたたった一本のベクトルに、まだ続きがあったのだ。しかし、長年のつきあいがある「幼なじみ」のこと。哲朗が一番伝えたいことはきちんと理解出来た。谷川柑菜はよく走る娘だ。先週も走った、その前の週も走った。そして今週も、息を切らして走る走る。しかし、その表情は晴れ晴れとしたものだった。「思いを伝えること」。それを果たさなければ、谷川柑菜は卑怯者のままで終わっていたのかもしれない。しかし、最後の一押しで、彼女は自分を完全に取り戻すことが出来た。答えの分かっている一方的な告白。それでも、それは必要なこと。迷いなく自分に気持ちをぶつけた柑菜を見て、海人も充分にその気持ちを受け止めることが出来た。そこには、迷いも同情も憐憫もない、まっすぐな信頼関係があるだけだ。

 全てのベクトルの終着点は海人であるが、その海人は、ストッパーとしての役割を果たす無類の強さを持った。最後に柑菜の言葉を一部も漏らさずに受け止めたし、電話口での哲朗の台詞も、迷いなく返している。他の面々が懊悩している中にいて、彼の存在だけは少し浮いてしまうくらいに強すぎる。そして、その特異さ故に、今回はなんだか「主人公」では無いな、という感じがした。この作品の主人公は、あくまで無様に悩んで困って嫌悪している、柑菜や哲朗たちなんだろう。何とも不思議な構造である。もちろん、まだ海人とイチカの間には、最後の一悶着が残っている。現れた「お姉ちゃん」は別れの印。永遠が続かないこの世界で、彼らは次なる困難にどう立ち向かうのか。「主人公」としての最後の一働きを、残り2話に期待したい。

 今回はもう、哲朗と柑菜でおなかいっぱいだ。柑菜は強くて、哲朗は弱い。結局、一番ジクジクと思い悩み、卑怯なことをしていたのは哲朗だった。しかし、この作品の場合、最終的にその弱さは自分自身で受け止めなければいけないものになっており、哲朗の足に出来た怪我は、自分の行為がダイレクトに跳ね返ってきた「痛み」の象徴である。みんなの家に並ぶ沖縄での記念写真が、各々の家庭で全く別な意味を持っているのも面白く、柑菜の見る記念写真が「悲しい記憶」であったなら、哲朗の家にあるのは「罪の証」「途切れた現実」。陽光の下の笑顔があの時点では何の意味も持たない「未解決な事象」であることは、隣に並んだ真奈美さんの結婚記念の写真が物語っている。姉は結果を残し、既にたどり着いた物語の答え。哲朗の写真は、未だその途上である。

 電話口の海人の意志を込めた返答を聞いて、哲朗は自らの行いを清算するに至った。そして、哲朗の勇気が、柑菜に最後の仕事をさせることにつながった。先週は哲朗が柑菜の顔を必死に持ち上げて前に向けようとし、今週は哲朗が柑菜の頭を押さえてくしゃくしゃにしている。哲朗の願いは、もう「前を見ろ」なんてきれい事じゃなくなった。もうこれからは「俺を見ろ」でいいのだから。哲朗の全てを受け止めた柑菜は、彼女らしい憎まれ口を叩きながらも、最後には「ありがとう」を残して去った。本当に、優しくて、強い子供たちである。

 そして、女の子は怖い。……檸檬先輩、いくら何でも気配消しすぎです。そして、そんなものを用意周到に用意しないで下さい。いつ買っておいたんだよ。っつうか、買ったんなら単品じゃなくて箱で渡せよ。残りはどうする気だ。

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