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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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なんかもう、とにかくなんだか最終話。これは……色んな意味でずるいなぁ。相変わらず悩ましいことやってくれるぜ、長井監督。

 正直言って、今回は中盤で「どないやねん」が先行した。周りの人間がものすごく頑張って道行きを示したにも関わらず、慌てて向かった先で電車に乗っていちゃついてる2人は、どっか間違ってる気がした。「そこまで必死に走ってローカル線かよ!」とね。まぁ、目的地が木崎湖だったとしたら、確かにかなり遠いみたいなんだけど。先週の一気呵成の流れがあの電車のシーンでせき止められたような気がして、どこか釈然としなかった。そして、いざ到着した「目的地」のシーン。まさかまさかの(とか言いながらどこかで身構えていた)ナレーション・井上喜久子おねーちゃん。さて、これをどう捉えるべきなのか。普通に考えれば、あの声の主、つまりイチカたちの祖先というのは、風見みずほ先生とは縁もゆかりもない。なにせみずほ先生はフツーに地球で所帯を持って草薙みずほとして暮らしていたわけだし、彼女の子孫がイチカたちってのはどう考えても時系列が合わない。ということは、イチカの言う祖先は「おねティ」とは関係無い。でも、どうしたってあの記憶がフラッシュバックしてしまうと、「どういうことだってばよ」となる。

 謎のハイパーロボを起動させた檸檬の存在も悩ましい。彼女は、簡単に言えば秘密組織のエージェント。何の気まぐれから海人たちに近づいたんだろう、ということを考えれば、当然イチカの存在をかぎつけただけ、ということになり、彼女のメタレベルともいえる様々な技能についても説明がついてしまう。そこに森野苺の存在は必要なくなった。しかし、彼女は苺「であってもいい」のである。彼女の冒頭の台詞は「初めて出会った宇宙人は私の親友なのよ」という台詞も、それがイチカであるともとれるし、全く別な宇宙人であるともとれる。つまり、風見みずほなのかもしれない。違うかもしれない。何とでもとれるようにかき混ぜてくれちゃって。何ともいやらしい脚本である。

 そんな諸々のガジェットに彩られたおかげで、最終話で見せた海人とイチカの恋の顛末は、多少焦点がぼけてしまった感は否めない。あれだけ頑張って探しに行った「約束の場所」は2人の関係に全く意味をなさなかったように見えたし、堅くちぎり合った直後の別れにも、どこかあっさりとした、後味の悪さが残る。「結局、若者達の努力は独りよがりの無駄骨だったんじゃないか」と、そんな印象が先に立つ。しかし、ラストの様々なシーンのモザイクを見ていくと、この「無駄骨」に価値を見いだすことこそが、今作の目的であったというテーマが浮き彫りになる。イチカの祖先が残した「記憶」というたった1つの「証」は、本人達にも意味をなさないはずだし、受け取ったイチカや海人にしたって、伝えられても仕方がない。しかし、「記憶に残ったこと」自体に価値を見いだすことも出来る。それが「起こった出来事」をいつまでも刻み続けるなら、そのこと自体に価値がある。時代は流れ、人は成長もするし、忘れもするけれど、海人たちが待っているのは、ずっとずっと「あの夏」であるのだ。「あの夏」を持ち続ければ、みんながそこで待ち続けることが出来るのだ。

 そんなテーマを振り返ってみれば、なるほど、海人のトレードマークであるビデオカメラというツールの効果がよく分かる。「記憶」を「記録」として残し続ける端的なツールであるビデオカメラが彼らの夏にどのような影響を及ぼしたかは、ラストシーンで檸檬に手渡されたふざけたフィルムを見れば分かるだろう。イチカは去り、思い出だけが残されたが、そこに映っているイチカは確実に真実であり、そこに刻まれた記録は在り続ける。海人・柑菜・哲朗・美桜、それぞれに同じフィルムでもみえる景色はきっと違う。4人が分かち合いながらも別々に抱え続ける「あの夏」は、フィルムの中でずっと待ち続けている。

 そして、最後の最後に1カットだけ写されるイチカの映像。これがまたずるい。ボリビアの民族衣装を身にまとったイチカのそのワンカットだけで、「夏の続き」が存在することをさりげなくアピールしてくるという、何とも底意地の悪い演出である。また、そこに繋がるまでのフィルムワークの中には、過去のエピソードで刻まれたシーン有り、長井監督お得意のオープニングからのバンク借用有りで、短い中にこの作品をぎゅっと詰め込み、一気に片付ける荒技を披露している。本当に、そつのない人だ。

 この作品は間違いなく終わったはずである。結論も出ているし、不思議なことに「全く分からないこと」は残っていないはず。その上で「まだ知りたいこと」もたくさん残っているのは、あくまでもこの作品が「あの夏」であるからだ。海人たち学生連中の人生は夏が終わった後もまだまだ続いており、その行く先を、視聴者は知る術は無い。学園祭に参加した後年の学生たちが、上映会のフィルムの中のイチカだけを見ることが出来るように、我々視聴者は、この12話の中に詰め込まれた海人たちの人生しか見ることが出来ない。逆に言えば、いつだって、この12話で彼らの夏を振り返ることが出来るわけだ。「あの夏で待ってる。」。なんとも気の利いた、もどかしさに満ちたタイトルではないか。

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