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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「LAST EXILE –銀翼のファム-」 6→6

 ぎりぎりまで点数をどうするかは悩んだのだが、思い出補正と中の人補正込みで、最終的には優良可でいうところの「良」を維持。なんやかんやと心配事も多い作品だったが、最終的には、半年間走りきってくれたと思う。

 点数を下げるかどうか悩んだのは、やはりGONZOというと話題に上る「制作体勢の不安定さ」と「オリジナルシナリオでのぐだぐだ感」の2点。前者については、実は作画の崩れなどはほとんどなかったのであの当時を思い出すのは失礼すぎるのだが、やはり2クールの中で総集編2本という構成はやや気になった。確かに前作ありきのシナリオなので、間に総集編を入れて(1期をすっかり忘れた私も含めた)ビギナーの人に親切にするのは方向性としてはありなのだろうが、それなら、総集編その2はもっと早く入れて欲しかった。物語が煮詰まり、いよいよクライマックスか、と思ったところでまさかの前作総集編というのは、視聴者側としては心情的にプラスに働きにくいだろう。そして、シナリオのぐだぐだ感というのも、中盤は正直少しずつ不安が広がっていった。最終的には無事に風呂敷をたたみきった形だが、それでもファムの出生のこととか、最終的に世界がどのように救われたのかとか、もう少し尺を採って描いて欲しかった部分も多い。

 メインシナリオとしての「戦争」はきちんと描けていたと思うのだが、今作の場合、ファムという主人公の存在自体が、一種のイレギュラーである。振り返ってみれば1期のクラウスだって無茶といえば無茶なのだが、彼の場合には、真っ向に向かい合う敵としてのディーオがおり、2人の関係性の相互作用として、エグザイルの謎に接触していた。今作のファムの場合、結局どこまで言っても「空賊の女の子」であり、戦争をどうこうする力は無いはずなのだ。ミリアとの接触というアドバンテージはあるものの、そのミリアもどこまでこの「戦争」に関われていたのかは微妙なところで、「女の子達がどれだけ頑張ったところで、あれだけ気骨のある軍人さんの集団相手ではなぁ」という現実感の薄さが最後まで気になってしまった。もう少しファムの人柄を「難しく」設定し、根性論以外での彫り込みがあれば共感度も違ってきたのだろうけれど。

 などと文句は並べ立てられるのだが、総じて見れば、やりたいことがおよそやれていた作品であるというのも事実だと思う。今期、同じように「世界を賭けた大戦争」を描いた作品としては「シャナ」があり、あちらは既に「雰囲気だけの戦記物」という風にまとめたのだが、この作品の場合の「戦争」は、嫌でも画面の上に現れる「破壊とうねり」によって表現される。10年の時を経て復活したヴァンシップや大型艦隊の勇姿は、やはり「空を舞う」というその1点において異質であり、それが連なり、対峙することが、何よりも雄弁に「戦争」を語る。そして、そんな兵器群ですら踏みにじってしまうエグザイルの恐ろしさなど、これでもかと大迫力の画面に現れるのだ。ルスキニアとリリアーナは、この大きさを背負い込み、背負いきれずに逝ってしまったのだと、嫌でも実感させられる画面になっている。これだけの画面を維持し続けて作品の内実に反映することが出来たのは、間違いなくGONZOスタッフの力あってこそである。

 「戦争」というテーマの大局を描くのが「破壊」であるなら、それをミクロの視点で見ると「死別」ということになる。今回は序盤にトゥラン王の死という起点があり、起承転結でいうところの「転」ではリリアーナが死ぬ。この「死」は間違いなく「戦争」を表しており、最終的には、全ての「戦争」を背負い込んだルスキニアの「死」によって物語は幕を閉じる。こうしてみると非常に理知的で計算尽くの「死に方」であるのだが、各々の人間にきちんと志があり、一人として後ろを向きながら死んでいないというのが、この作品に希望を持たせる部分であろう。最終的に残されるのがファムという脳天気の固まりみたいな娘であることも、「死」の重みをわずかながら軽くし、前を向かせる要因として働いているのかもしれない。サドリの言を借りれば「世代が変わった」ことが、数々の死と、それに支えられた笑顔で表され、長きにわたるこの世界の「戦争」の結末を1つのまとまりに仕立て上げた。終わり良ければ全て良い、とはいかないかもしれないが、個人的には納得出来る幕引きである。

 あとはまぁ、思い出補正とか、中の人補正とか。思い出補正で言えば、なんと言っても今作のヒーローはディーオだろう。総集編でも大切な役回りを務めてくれたが、常に少し引いた視点から物語を見つめているおかげで視聴者目線に近いビジョンを提供してくれていたし、既にできあがった「信念」のおかげで、複雑な情勢もいくらか見やすいものにしてくれた。最終話でも印象的だった彼のルシオラへの思いは涙を誘うものであると同時に、彼が「戦争」に対して何を思い、どのように動くのか、ということを明確にする役割もある。ついでのついでに出てきたクラウスとラヴィのコンビも、それだけでご褒美でしたね。大人ラヴィだ! わーい!

 とまぁ、何となく嬉しいのは中の人の思い出があるからなんですけどね。今作を壮大な「戦記物」として成立させたのは、やはりたくさんのキャスト陣。この世界の人たちは本当に皆が皆心の中に大切なものを持った人たちなので、そうした信念を描くのは一筋縄ではいかない大仕事だったはず。たとえば王族、沢城みゆき・茅野愛衣に伊藤かな恵ちゃん。中盤最大の謎だったリリアーナの翻心について、ほとんど説明も無しに気づけば納得させられていたのは、やはりみゆきちの豪腕に寄るところが大きいだろう。そしてそれに付き従うルスキニアの興津君や、軍人勢では福山潤、土師孝也さん、こにたん、折さん。軍人さん達は敵味方ともにイケメン揃いでしたな。また、繰り返しになるが、陰の主役だったのはディーオ役の野田順子。みんな本当に格好いい。そしてなんと言っても、メインを務めた豊崎・悠木という今をときめく2人。普段ならあおちゃんを手放しでほめるところなんだけど、流石に今作はあいなまにありがとう、かな。こういう役回りの主人公っていうのは本当に骨が折れる仕事だったろうと思います。みんなみんな、お疲れ様でした。是非とも、平和な世界での後日譚とかも聞かせて欲しいものですね。

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