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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「そらのおとしもの」 5→7

 今年放送された作品でも「もうやだこの国」という言葉が最も相応しいと言われているこの作品(対抗は「ミラクルトレイン」)。話題を振りまきつつも無事に放送が終了したわけだが、何故だろう。こんな馬鹿な作品なのに、終わってみれば天晴れな寂しさが残っている。単なる馬鹿な思いつきで終わらないこの独特の味は、一体どこから生み出されたものなのだろう。

 第1話を視聴した時点での感想は、「まーたこの手の作品か」という分かりやすいもので、あまりにありがちな設定を逃げずに真正面から描いたその姿勢には、呆れこそすれ、特に興味を引くようなことは無かった。しかし、2話でパンツが飛び、4話でそれが帰ってきて、何かがおかしくなった。その後も迷い無き姿勢を貫き通した馬鹿のオンパレードは、それだけでも充分に歴史に名を刻むことが出来る所業ではあったのだが、「馬鹿をやって、ヤリ逃げする」という姿勢の作品ならば、昨今のアニメ業界では少なくない。この作品の場合、馬鹿は馬鹿として吹っ切れた描き方を心がけ、それに加えてきちんと1つのストーリーを形成しようという努力が、きちんと画面上に現れていたのが大きなポイントといえるのではなかろうか。

 いささか偏見混じりの分析なのだが、ここ最近の「エロ萌えアニメ」を並べてみると、「ストーリーをやりながら、エロい演出をする」というのが基本的な姿勢である。ここ2年の視聴履歴から「エロ」に重点を置いた作品をピックアップすると分かりやすく、その最右翼に「クイーンズブレイド」があり、その他「ロザリオとバンパイア」「ムネモシュネの娘たち」「恋姫☆無双」「セキレイ」「ストライクウィッチーズ」「CHAOS;HEAD」「宇宙をかける少女」「NEEDLESS」「乃木坂春香の秘密」「けんぷファー」など、これらは全て、「シナリオを進める中で、なにげにエロい」というのが基本的な構造になっている。

 これに対して、この「そらおと」は、シナリオを進めるフェイズでは、基本的にエロと馬鹿は脇に置かれることになる。最終話などは最たるものだろうが、他にもイカロスの心情を追いかけるシナリオとか、ニンフの葛藤を描く段になると、まるで作品が切り替わるかのように、カチリと何かのスイッチが入るのだ。このことはシナリオ構成にも分かりやすく現れており、散々シリアスをやっておいて、次の週にどんな展開になるかと思ったら智樹がアバンで「あー、女湯覗きてぇなぁ」とつぶやいてスタート。他にも、海辺でのイカロスの覚醒は、序盤の海辺のお約束エロを片付けたあと、夜の浜辺に画面を切り替えての進行になっている。こうしておおざっぱにでも「シリアス」と「ギャグ+エロ」というパートを隔てることにより、視聴者はきちんとストーリー部分を追いやすくなるわけだ。「バトル」と「馬鹿エロ」という両極の間に、「イカロスとニンフの心情」というどちらにも関わるファクターが介入しているため、それを軸に左右に振ることが出来るようになっているのもうまい部分。

 こうして「馬鹿は馬鹿なりに」「シリアスはシリアスなりに」という分業が行われたことで、ギャグにも全力を注ぐことが出来たし、おかげで様々な未解決問題が残されているはずのシナリオ面も、何となくこれを覆い隠すことが可能となっている。どの程度意識的にこうした「伸びしろ」を残しているのかは定かでないが、あまりにきちんと全てを片付けようとしていたら、おそらくここまで馬鹿馬鹿しい仕上がりにはならず、最終回のシリアス展開も白けたものになっていたのではなかろうか。今作の成功の裏には、視聴者の視点の振れ幅も計算に入れた、したたかな構成があったのだと推察したい。

 もちろん、画作りの面でも充分なクオリティが維持されていたし、毎回触れるキャストの活躍だって見どころの1つ。メインヒロイン・イカロスを丁寧に演じきった早見沙織はもちろんのこと、後半は微妙に空気になりながらも、きちんと作品の持つ暖かみ、日常世界を維持し続けたそはら役の美名、そして終盤に大切な役割を担ったニンフ役の野水伊織の新人2名にも、ご苦労様を送りたい。もちろん、圧倒的存在感を見せつける保志総一朗と、それを支える鈴木達央や高垣彩陽も同様である。

 様々な見方が楽しめるこの作品。後世にも色々と残すものがあるのだろうが、これの後追いを狙うのはなかなか難しそうだ。となると、やはり2期をやるのは…… 

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