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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 死ぬまでチョップは色々と大変そうな気がする最終話。ついにこの作品では初のギャグ一切無しのエピソードであり、嫌でも最終回であることを意識させる出来になっている。

 前回からの流れで完全に分かってはいたことだが、基本的に本作の中心となっているのはニンフ。空から送られてきた2体の新手により、乗り越えかけていた「マスター」への忠誠心がうずく。そして、そんなニンフの葛藤をどこまで知っているのか、イカロスは智樹へ別れを告げてニンフの救出へ。不意打ちにより一度は膝を屈するが、自分を縛り付けていた最大の鎖、「兵器であることへの罪悪感」を智樹によって解き放たれ、その圧倒的な戦力でもって、敵勢力を一蹴する。ニンフを縛り付けていた「鎖」も智樹と仲間達によって打破し、雪降る空美町で、物語は大団円を迎える……

 とまぁ、非常に「らしい」エンディングであるが、こうして書いてみると、改めて様々な疑問、未解決な点が残されていることが分かる。最も大きな未解決要素は、なんといっても「空の男」に対して何の接触も持っていない部分である。今回の一件でイカロスとニンフは様々な意味でマスターから解放されたわけだが、わざわざ追っ手を差し向けてきたことから察するに、彼はイカロスを諦めるつもりはないらしい。今後も引き続き智樹達は脅威にさらされることになるだろう。ニンフについては「廃棄する」と言っていたのでそこまで執着はないのかもしれないが、今回の一件でニンフが「空の男」に裏切られたのはあくまで2体の追っ手達が約束を違えた部分だけ。「空の男」への彼女の忠誠心が根底から揺らぐような要素ではない。ただ、彼女の場合は羽根をむしり取られるという決定的な仕打ちも受けているため、空への回帰という基本理念自体が断たれている可能性もあるが。

 他にもシナリオ上の謎はたくさんあって、例えば「何故イカロスが落ちてきたのか」という最も根源的な謎。空の男のいる天界と「ダウナー」と呼ばれる人間達のすむ地上の関係性。空の男の目的に、イカロスが過去に犯した罪について。英四郎がこだわっていた空に浮かぶ何か(空の男の住居だろうか)についても、結局全く触れられていない。大団円のように見えてはいるのだが、実際、あのごたごたのあとに智樹達がすべきことを考えると、物語は全く解決していないと言ってもいい状態なのだ。

 しかし、この作品の良いところは、それでも「終わらせた」実感が得られる部分。上述のような留意点は、今回描かれるべきメインプロットを考えるならば、結局は些末なことなのだ。原作が未完というのも大きな理由だが、実際空に何があろうと、イカロスが過去に何をしていようと、智樹達には関係ないことである。イカロスとニンフの2人の悩みさえ解決できれば、次の日からでもすぐにあのお馬鹿な日々は戻ってくるのだ。「馬鹿シナリオがメインで、シリアスはあくまでそのサポート」という本作の貫いてきた基本姿勢があればこそ、今回のエピソードは「大団円」たり得た。そういう意味では、本作のシリーズ構成は実に見事なものである。

 そして、今回のエピソード1つ取っても、その演出の気配りは実に行き届いている。今回「最終回」としてやるべきことは1つだけで、それは2体のエンジェロイドを縛り付ける「鎖」をそれぞれ解き放ってやること。ニンフの場合はそれが分かりやすく、冒頭で提示されたのが「空の男」への忠誠心という強固な「鎖」。これを2体の追っ手コンビが具現化させ、さらに手ひどい裏切りによってニンフ自身に「断ち切る意志」を芽生えさせる。そこに智樹達が駆けつけて手斧による明確な「寸断」が行われたことで、彼女を縛り付けていた「鎖」は確実に打ち砕かれた。よく考えるとあのシーンで智樹達が「とりあえず鎖を切ろうぜ」みたいな流れになった意味は分からないのだが(これまでだってニンフはずっと鎖を付けてたわけで)、仲間達が力を合わせて1つの敵を打破するといういかにも最終回らしい展開のおかげで、ビジュアル的にも分かりやすく目的を達成することが出来た。

 そしてもう1本、イカロスをつなぎ止める「鎖」は、智樹に嘘をついていたこと、そして自身が兵器であることへの苦悩。彼女は、1度はそれにたえきれず、智樹に別れを告げる決心をしている。これはニンフを助けるためには「兵器」に立ち戻らざるを得ないことを理解しており、兵器となってしまう場合には、智樹達との関係を犠牲にしなければいけないと判断したためだ。そういう意味では、イカロスの選択肢はニンフ>智樹であったといえる(もちろん、ニンフ無しでは智樹達との関係性が成立しないと考えたためであろうが)。そして、クライマックスでは智樹が全てを許容することでイカロスの鎖を解き放つわけだが、ここで非常に面白い働きをするのが、イカロスの「感情」という側面だ。

 これまで数回のエピソードで、イカロスは「人間になりたい」という願いを強く打ち出してきた。結局彼女は望むような「感情」を得ることが出来ずに悩んでいたわけだが、最終話では「兵器」と「人間」の間を揺れ動く過程で、この「感情」を手にすることとなる。具体的な演出を確認すると、まず、智樹に別れを告げるシーンでは奇妙なサンタのお面をつけて言葉を詰まらせる。そこでは確実に「泣いているであろう」と思われるのであるが、智樹が呆然として面を取ると、そこには相変わらず表情を強ばらせたイカロスがいるだけ。この時点で、イカロスが人間ではないことが明確に示される。そしてニンフとの対峙の中で追っ手の不意打ちをくらい、イカロスは地面に伏すのだが、目の前で蹂躙されるニンフを見ても、まだイカロスの表情は張り付いたもの。少女のように泣き叫ぶニンフの悲痛な表情との対比も相まって、まだここでも彼女は機械のままだ。そして、転機が訪れるのは智樹との対話のシーン。「お前が兵器でも構わない」と智樹に諭され、イカロスは初めて、笑顔と涙を手に入れる。この、彼女が顔をくしゃくしゃにするたった1つのカットが、これまでの13話を総括する、この物語の「大団円」と言ってしまっていいだろう。緊迫感のある中で、非常に鮮烈なシーンであった。

 もちろん、それ以外にもやけに迫力のある戦闘シーン、ウラヌスシステムのいかにもな発現シークエンスなど、CGを使った描写にも無駄に力を入れてきた本作の面目躍如。全てを出し切った、実に見事な最終回であった。

 これは是非、続編が期待したいところですよね。次は何を飛ばそうか。 

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