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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「革命機ヴァルヴレイヴ(第2期)」 5→4

 なんか色々と盛り上がったような、そうでもないような作品。世間では色々と言われてるようだが、先に一言感想をまとめるなら、「言うほど悪いもんでもない、けど」。

 何回か書いていることなのだが、製作スタジオ繋がりなのかどうしてもこの作品は「ギアス」と比較してしまう。そして、「ギアス」はかなり好きだったのにコレはあんまりだ、ということをボヤいている。理由はもちろん「別にギアスと同じじゃないから」なんだけど、比較するといくつかの比較ポイントは見えてくると思う。まず、サンライズ製作ということで画面の質は高いのだ。キャラデザが見やすく、メカだって決して悪いものではないだろう。1期はなんだかプレスコに絵が追いついてない感じはあったのだが、2期目はそのあたりのかみ合わせの悪さも解消され、動画としての質はかなり向上したと思う。やはりクライマックスを迎える2期目にリソースを当ててきたのだろう。その上で、やっぱり微妙だったのは、お話の中身が全てということになる。

 最終話の騒乱などを見て思うことなのだが、決定的にギアスと違っているのは、今作の描きたいメインテーマなのだと思う。ギアスの場合、サブタイトルに「ルルーシュ」が入っていることからも分かるように、描かれた物語は1人の英雄譚だ。とんでもない能力を手に入れた天才少年ルルーシュが、世界をぶっ壊し、悲しみや苦しみを乗り越えて新しい時代を築く物語。途中でご都合主義が出てきたり、「お前絶対天才のふりしたアホだろ」と思われるシーンを連発したりもするのだが、あくまでも「ルルーシュを描くこと」のために世界が作られているので、ちょっとくらいトンデモなことがあっても、それが主人公の内面に結びつき、物語が動くのであれば意味がある。他方、今作の場合、作品の目的はハルトを描くことではない。最終回で死んでしまうところはルルーシュと同じだが、彼の死は、それ以前の先輩やサンダーなんかと同じ、あくまで「戦争犠牲としての死」であり、「英雄としての死」というには軽すぎる。何故ハルトが「英雄」ではないかというと、作品のスタイル自体がエルエルフとのダブルヒーローだから、ということもあるが、作品のスタート地点自体が、ハルトを英雄として作ることを目的としていないためだろう。

 それでは、今作の描きたいメインテーマは何だったのか。勝手な推測だが、ひょっとしたらそれは「ツイッター強ぇwww」だったんじゃなかろうか。1期目から話題の、この世界のツイッター。お悔やみボタンまで設置された最新鋭のシステムで、最後の最後まで大活躍してくれた代物。これに代表される「衆愚」と呼ばれる要素が、この作品の「戦争」で描かれた最大の特徴である。「ネットにおける集団的意識」という歪んだ存在は、昨今(特にアニメに関わる業界なんかでは)どんどん膨れあがっている。「主体無き意志」は古くからSFなどでは扱われたテーマであるものの、改めて題材として取り扱われる価値のあるものだ。今作は、戦争ものではお馴染みの「民衆」をネットの存在と接続し、どれだけ愚かしく動くものか、為政者がそれをどのように利用するかという側面を、少年たちの犠牲の上に描くことを目的としたのではなかろうか。そう考えると、ハルトたち「戦士」の一群は、「情報を利用する者たち」に踊らされるただのコマに過ぎず、どうあがいても英雄に祭り上げられる存在ではなかったのである(もちろん、それに対抗するためにエルエルフが存在している)。

 「人間の記憶を食う化け物」としてのマギウスの存在も、そう考えるとなかなか象徴的である。この世界において、学生達が突然宇宙で孤立しようとも、敵軍の本拠地に緊急着陸しようとも、食料などの生活物資で困窮する様子は無い。あくまで、不足して困るのは「情報」である。この時代は、もはや物質的な肉体に重要な意味はなく、それを支える「記憶」のみが重要視され、奪い合いの対象となる。他人の記憶を弄ぶマギウスの存在は、結局のところ、過去に地球を侵略してきたエイリアンと同じ立ち位置だったわけだが、あくまでも奪っていくのは「情報」のみであり、それ故に人々はその存在に気付かず、侵略されていく恐怖がある。こうして書き出してみると、非常に描きがいのあるテーマに見えるのだ。

 では、何故そんなテーマ性を持った作品が「いまいち」だったのかと言えば、1つはロボットもののサンライズアニメとはどうしたって食い合わせが悪いということが挙げられる。ロボットもののドンパチはやっぱり直接殴り合ってこそ見せ場がある。おつむの中で、ネット世界で戦争を繰り広げられても、既存のアニメーションの技法ではそれを「面白く」見せることが難しい。どうしたってロボ戦闘に尺を割かねばならず、それが本筋と直接的な接点を持たなければ、演出意図としてちぐはぐな印象は否めない。また、「情報を巡る戦争」といっても、2クールの尺で「世界の秘密」を暴くまでとなると、どうしたって窮屈にはなるだろうし、分かりやすく「衆愚」を描こうとすれば、作品世界の「意志を持つ者たち」はどんどん愚かになっていく。その結果、主人公チームはどんどん共感出来ないような「アホな」行動に出てしまうことになり、まるで脳内お花畑みたいな可愛そうな人たちに見えてしまうのである(その最大の犠牲者がショーコだと思われる)。煮詰めきれなかった脚本の不備と言ってしまえばそれまでの話だが、目指したテーマ性を御しきれず、チープな結末になってしまったのは残念なことである。もちろん、単純に投げっぱなしになった部分は言い訳のしようがなく、あれだけ気を持たせていたショーコと流木野さんのハルト争奪戦が、「ハルトが死んだからノーゲーム!」とかいうのは当然釈然としない。流木野さん、あれだけ頑張ってたのにね。あと、これはとてもとても個人的なことなのだが、プレスコ前提のこの世界、兼ね役が多くて耳で聞いてキャラを識別するのがすげぇ面倒だった。だって、どうでもいいオペレーターの声とかが全部メインキャストなんだもん。訳分からなくなるわ。

 ま、言いたいことは色々とあったけども、基本的に「お話を乗せてる土台部分」に問題があったわけで、細かいポイントを見ればいい所ももちろんあったんだ。個人的にはアキラちゃんのキャラも好きだったし、マリエが死ぬ回のどうしようもない絶望感なんかはなかなか感じ入るものがあった。なよなよした奴が多いこの世界で、最後までぶれずにキャラを貫き通したクーフィアも実はかなり恰好いい。「学園青春もの」に限定してしまっていれば、割とニーズに応えた良作になっていた気もするんだけどね。まー、新しいことにチャレンジしようとしたら障害はつきものですから。今作の良かった点、まずかった点を確認して、新しいロボットアニメ、戦争アニメに繋げて欲しいところである。何はともあれ、松尾監督、こんだけ面倒なお仕事を本当にお疲れ様でした。

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