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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「迷家-マヨイガ-」 6→5

 約三ヶ月にわたり、散々楽しませてもらったこの作品。さて、最終的な評価をまとめていきましょうか。

 個人的には、充分満足出来た。何しろ毎週考えることが山ほどあって、次週は一体どうなってしまうのかがさっぱり分からず、ドキドキしながら次の話を見る楽しみが間違いなくあったのだ。アニメオリジナルは難しいと言われ続ける昨今。こうして挑戦的な作品をオリジナルで提供してくれるだけでも評価に値する。そんな野心的な作品作りを担当したのは水島努という素敵な問題児と、岡田麿里というデンジャラス脚本家。知っての通り、私はこの2人のクリエイターについても大ファンなので、基本的に作品を観ていてあまりネガティブなことは考えない。「ひょっとして投げっぱなしになるんじゃ」とか「何も考えてないだろ」とかいう方向には、意識的に考えない。必ずなにか意思を持って作品を作っているんだ、という風に積極的に考える。出来ることなら全ての作品、全てのアニメにそういう姿勢で臨めればもっとアニメも楽しめるのだろうが、流石に体力が保たないので、あくまでも「信頼に足る」と認識したクリエイターの作品に対してくらいは、そういう姿勢で挑みたいということだ。

 さて、岡田麿里作品といえば今期は「キズナイーバー」が同時に進行しており、そっちはこの文章を書いている時点ではまだ未完なのだが、そちらとの比較も面白そうではあるかな。岡田麿里といえば「あの花」を筆頭に「凪のあすから」のようなとにかくエグくてくどくて、それでいて切実な人間性の描写が持ち味。そんな彼女が今回「嫌な思い出」というダイレクトなテーマを持った「ナナキ」という題材を扱った。例えばヴァルカナさんが見るナナキが机の節目だったり、何も考えていないように見えたよっつんが存外デリケートなナナキを見ていたり、そういったところに「らしさ」が出ていた。大量のナナキが展開する中で、身につまされるような、どこか他人事と思えないような、そんな辛辣な「トラウマ」を紡ぐ物語が、今作の基盤である。

 そこに、何とも救いようの無い妙な味付けを行うのが、「永遠の悪ガキ」水島努。彼の持つ毒以外のなにものでもない奇天烈な笑いの精神は、岡田麿里が作りあげた「トラウマ物語」を、ひょいと彼岸へ投げ捨ててしまうような、妙に達観した演出に組み込まれている。ホラーってのはコメディと紙一重であり、今作では切迫した人間関係も、壊れかけた精神性も、全てが深刻になりきらず、納鳴村というあり得ない舞台の上で、あり得ない造形を持ってどこかコミカルに描かれている部分が多かった。深刻な内実、コミカルな表面、そして、それらを組み上げて作る、何とも不可思議な手触りの物語。「まどマギ」のときほどの異物感ではないかもしれないが、今までのアニメ作品にはなかった「違和感」みたいなものは、これだけでも堪能出来たのではなかろうか。その上で、脚本に二重三重にサプライズ……というか「どないやねん!」ポイントを仕込み、最後まで一気に駆け抜ける展開は、これはこれで完成していたんじゃないかと思っている。

 とはいえ、何の問題も無く万人が楽しめる作品かと聞かれると、流石に首肯出来ないのもまた事実。最終回まで見て噴出した「あそこはどうなってるんや?!」という矛盾点は言わずもがなだが、色々とやりたいネタが多すぎたせいで、12話という尺の中で恐ろしく駆け足になってしまったのが最大の失点ではないだろうか。全体的に台詞の構成が過密すぎるためになかなかコンテ構成で調整するのが難しく、特に後半になると全てのシーンが慌ただしく、情感を込めるだけの余裕が無い。せっかく「心の物語」を岡田麿里が作りあげたというのに、それを表に出すだけの時間が無いのだ。もちろん、このことについて岡田麿里が完全に被害者だ、ということは無く、脚本面でも、枠が決まっているなら配慮すべき部分が欠けていた。具体的には、おそらく視聴者の大半が思っていたことだろうが、「いくらなんでもキャラが多い」ということ。別に全てのキャラが活躍する必要はない。「ツアーには沢山の人が参加しました」という事実を作るために「モブ」をいくらか用意することはまっとうな作劇であろうし、背景に埋没するキャラが出るならそれはそれで適切な脚本があればいい。しかし、いくらなんでも今回の30人は無駄が出た。キャラが多すぎることの問題は、視聴者がどこに視点を据えればいいか分からなくなること、作画リソースに負担がかかることなど。似たようなテイストの女性キャラは多分4,5人はカット出来ただろうし、いっつもなにか食ってたデブとか虚弱体質の子供なんかも、一切メインシナリオには絡んでこなかったのだから削っても問題無かった。「尺が短くてやりたいことがやりきれない」という問題点を孕んでいたのに、何故キャラを削って負担を軽くする方向に修正が向かなかったのかはちょっと理解が出来ない。人数が多いことで得られたプラスの側面はなかった気がするしなぁ(一応、ノイズを増やすことでよっつんの帰還やジャック・ケツさん連合軍みたいな「そこから?!」っていうサプライズは作りやすくなっていたけど)。賑やかな感じを出したいにしても、最初のバスシーンだけちょっと出しておいて、適当に理由を付けて2話目以降にリタイアさせるとかでもよかったんじゃなかろうか。

 こうして、尺が足りず、脚本のディティールが甘かったことに加え、今作は映像的にもあんまり見たいところがない。最大の見せ場は個性豊かなナナキの存在だった気がするのだが、そこだけ切り取って画的にボリュームアップしてもなんだかB級ホラー感が拭えないしなぁ。癖のある人間達の群像劇、なんてのはアニメにしたら大変なことは分かってるんだから、もう少し映像リソースの方にも力を注いで「ならでは」のものが見せて欲しかったものだが……水島さんは放っておくと万策尽きる可能性もあるから、無事に放送されたことを素直に喜ぶべきなのか……。うーむ。

 まぁ、なんやかやと文句は言いながらも、ヘンテコで毎回楽しんでいたのは事実。今回の「実験」でもって、監督も岡田麿里もチームを組むときのお互いの性格、相性は理解出来たんじゃなかろうか。是非ともこのコンビで、改めてオリジナルに再挑戦して欲しい。その時は出来たらディオメディアじゃなくてP.A.がいいな。水島さん、「Another」や「SHIROBAKO」で繋がりあるんだから。今のところP.A.と岡田麿里が組み合わさったら無敵ですよ。是非そっちで。

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