忍者ブログ
最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
[12201] [12200] [12199] [12198] [12197] [12196] [12195]

 「終」へと向かう物語、第11話。それは1本のアニメ作品としてもそうだし、1人の女性の人生についてもそうだ。

 今回もサブタイトルに異変が起こっている。前回は「人名を明記しない」というイレギュラーだったが、今回は「過去に登場したのと同じ組み合わせ」というイレギュラー。いや、実はこのパターンは7話ですでにやっているのだが……今回のイレギュラー要素は、先に書かれた「岡部絵美」が故人であり、今回も彼女の視点からの要素は何一つ描かれていないという部分。サブタイに出てきた人物が背景に没している状態である。しかし若菜が考えていた通り、やはりこの物語は「岡部絵美という人物を中心に据えた物語」になっている。

 講演会に若菜が呼ばれてから、またいくらかの時が過ぎていた。再び病に倒れた伊吹桂子は自分の命が長くないことを悟り、末期の願いとして、若菜に自分が抱えてきた秘密を吐露した。「本にして欲しい」は考えてみりゃ随分と無茶な注文ではあるが、伊吹本人からしたらそれくらいに重くて、抱えていられなかった想いだったのだろう。よく「墓の下まで持っていく」という表現が使われるが、持っていく判断にだって、それなりに勇気は必要なのだ。人間は何かしらの「生きた証」が欲しくなる。伊吹のそれは決して自己顕示的な欲求からくるものではないが、明確に自分が「悪事」だと思っていることを、そのまま抱えて「持っていく」ことはできなかったようだ。

 無茶振りされた若菜の方は困ってしまう。世代の差を考えると「岡部絵美」を調べるのは難儀なことだし、そもそも若菜が伊吹のモチベーションをそのまま引き継ぐことなんて出来るわけがない。折り合いが悪ければ「年寄りの最後の妄言だろう」というので若菜は「ハイハイ、きっと本にしますね」と口約束してお別れしちゃう選択肢だってあったはずだ。しかし若菜はそれをしなかった。頼まれごとを断りにくい性格だったというのもあるだろうが、おそらく恩師の切実な訴えに、無視できない何かを感じ取ったのだろう。自分の作家人生を賭けても、それを成し遂げる意義を見出し、それが淡島という自分を育ててくれた場所への「恩義」の返し方になるとも思ったのかもしれない。とにかく、若菜は自分自身にGOサインを出した。

 事前に淡島とのパイプはできていたので情報探索自体は難しいものではなかった。何十年も前のことで風化している可能性もあったのだが、残念ながら見つかった遺族の態度はそれなりに厳しいもので。どうやら絵美の次男さんは割と根深く淡島への恨みを抱えていたらしい。この現状から想像できるのは、やはり絵美が日常的に淡島への悔恨を漏らしていた可能性である。間違いなく「人生を変えてしまった場所」であるし、旦那や子供へ思い出語りと共にちょっとした恨み節を聞かせていても不思議ではない。また、絵美の性格からすると、おそらく自分がやめてしまったことよりも、小野田幸恵という才能を潰したことへの憎しみは大きかったとも考えられる。「今更出てきて母の墓を掘り返すような真似をする目的はなんだ」という息子さんの文句も決して理不尽なものではなく、「銭でも稼ぎたいんか」と身構えてしまうのも「被害者」側からしたら当然のもの。予想以上の風当たりに怯む若菜だったが、彼女とて別に嘘をついているわけでもないし、商売っ気だけでこの話を引き受けたのでもない。そうした若菜の真摯な気持ちを、旦那さんの方は拾ってくれたのだろう。なんとか遺族の許可を得て、執筆は可能な状態になった。

 あとはその目的をどこに定めるか。単なるスキャンダルでは意味がない。若菜は暴露によって知名度を得たいわけでもないし、淡島に迷惑をかける目的もない。ただ、自分たちは幸福にもそうした被害に遭わなかっただけで、もしこれから先、「後輩」たちが同じ目に遭う危険があるなら是正しなければならない。実際、今回だって柳原から「上の世代が腐っていた」話などを聞かされ、根本的な問題が解決していないことを知らされているのだ。若菜の書くその一文で、淡島の未来は変わってしまうかもしれない。

 というわけで出てきたのが編集の柳原だった。最初に見た時に「新キャラかな?」と思ったが、その後の思い出語りで小清水さんや梅本さんの顔が出てきて「あぁ、小鳥遊紗羅のルームメイトだったあの愉快な子か!」ということを思い出せた。なんと、若菜がかつて行った公演がちゃんと後輩の生き方に影響を与えていたという。まさかこの子に響くとは思っていなかったが……とにかく日頃の活動が実を結び、つながるべき縁が繋がった。

 これにて、この作品の全体像が見えてきた。モザイク画のように散らばった破片の集合体。ここまでのストーリーラインで伊吹桂子という縦軸はかろうじて存在していたが、それ自体は決して背骨であってはならない場所であった。改めて、そうして伊吹が繋いだ世代のラインは繋がっていく。伊吹が抱え続けたものを、若菜世代が受け取った。そして最後に、それはさらに下の世代の柳原と一緒に形を作るのだ。

 「淡島」という名の「主人公」が、最後に立ち現れる。我々の目に映る最後の景色は、いったいどんな色をしているのだろうか。

 
Amazonアフィリンク

拍手

PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


忍者ブログ [PR]
カレンダー
05 2026/06 07
S M T W T F S
22 23 24 25 26 27
28 29 30
ブログ内検索
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
ーーーーーーーーーー
↑越えられない壁
沢城みゆき 斎藤千和 
中原麻衣  田中理恵  
渡辺明乃 能登麻美子
佐藤利奈  佐藤聡美
高垣彩陽   悠木碧
最新CM
[06/21 不折正方形]
[06/21 な]
[06/21 不折正方形]
[06/21 な]
[06/20 不折正方形]
バーコード