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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「キズナイーバー」 6→6

 「迷家」に続いて終了した岡田麿里作品であり、「ルル子」に続いて終わったTRIGGER作品でもある。なかなか他と比べるのが難しいジャンルの作品なので評価も一筋縄ではいかないが、なかなかどうして、個性的な作品になっていたんじゃないでしょうか。

 上で出した2つの要素が、評価軸としては最も使いやすいものではないだろうか。つまり、「シナリオ」の岡田麿里、そして「映像」のTRIGGER(小林寛)。まずは脚本面からだが、「迷家」では色々と馴染みのない部分に切り込んでもやっとした部分を残してしまった岡田麿里だが、こちらはまさにホームグラウンド。「傷と絆の物語」なんて、もう番組放送開始前から「独壇場だぁ!」と思っていたわけだが、案の定、ガンガンに攻めた人間関係が、今作オリジナル要素である「絆システム」でつながれることで思いっきり分かりやすい方向に現れた。痛みを分かち合うというシステムの根幹からスタートし、さらに「心の痛み」に派生、これがすぐに適用されるのではなく、7人が緩やかに繋がる事に成功した中盤以降に現れるあたりが本当にタチの悪い脚本。離れ離れならば互いに心を痛める必要はない。しかしなまじ「つながって」しまったからこそ、そこにどうしようもない心のぶつかり合いが生まれてしまう。一方通行ばかりが繋がり合ういかにもな恋愛模様は、「これ、凪のあすからで見たやつだ!」とか「あの夏で待ってた!」ってなもんで。そのどれもがジワリと痛く、決して単なるドラマのパーツに終わらないだけの「残念さ」と「切実さ」を持っている。一番露骨に現れていたのは当然千鳥であるが、個人的にはニコの立ち位置が一番しんどかったかな。あのキャラでコミュニティに入ってきたのに、まさか恋愛絡みであんな風に苦境に立たされてしまうなんてなぁ。馬鹿野郎には馬鹿野郎の恋愛があるだろうが、今作の場合、7人(のりちゃんもいれれば8人)の中に馬鹿はいても悪人はいないのがね。みんな真摯にお互いを傷つけ、みんな一生懸命お互いを理解しようとするんだ。高校生らしい青臭い感情も多々あり、時にはいくらなんでも臭いだろ、ってな展開もあったかもしれないが、彼らの置かれた「絆」の環境は我々の想像を絶する極限状態だったのだ。多少なりとも精神状態がねじれてしまっても致し方あるまい。

 こうして組まれた「心の絆」の物語。単に「つなぐシステムが出来ました」というだけで終わってもそれはそれで面白い実験場になったとは思うが、流石にそんなほったらかしでは視聴者も納得してくれないってんで、用意されたラスボスは「全ての痛みを受ける者」であるのりちゃんだった。序盤にはなかなか見えなかった「全ての痛みを受ける」のりちゃんと、「一切の痛みを受けない」かっちょんの関係性。少しずつ過去の因縁が紐解かれ、それまで7人が分け合った様々な痛み・苦労が、既にのりちゃんからすれば「とっくの昔に通過したこと」だったという事実が判明する。これにより、歳を同じくしながら、のりちゃんはラスボスとしての権利を得て、最終回までにかっちょんたちと対立することになるわけだ。もちろん、殴る蹴るのバトル展開になるわけではないが、互いの痛み、互いの苦しみについての思いをぶつける青春討論会はそれなりに説得力のあるもので、「傷とはなにか」「絆とはなにか」をまとめあげるデザインとしては無難な仕上がり。やっぱり、こうして肉薄した人間関係に焦点を絞り込むなら、岡田麿里ほどあけすけに、容赦無くまとめ上げてくれる脚本家もなかなかいないだろう。

 そして、こうした「青春ドラマ」はシナリオとしてなかなか面白いものになっているのだが、実はこれ、あんまりアニメ向きじゃない。何しろ「互いの痛みが分かる」なんて設定は映像にしてもそれほど伝わるもんでもないし、互いの主義主張をぶつけ合う真剣十代しゃべり場みたいになったら、映像としてもメリハリがないからだ。そこで登場するのがTRIGGERの無茶な映像技術というわけで、毎度のことながらやんちゃ過ぎる画作りで湿っぽくなりそうな「心の話」を、荒唐無稽なドタバタ劇に変化させている。と言っても、たとえば「キルラキル」みたいに振り切れてしまったら、もう些細な心情なんかどうでもいいじゃねぇか、ってレベルに吹き飛んでしまう恐れもあるわけで、ある程度理知的な部分を残しつつ、それでも「面白味」に繋がるような画のバランスが求められる。それに応えてみせたのが、今作で監督を務めた小林寛だったわけだ。キャラクターデザイン自体も割と個性的で動かすのに神経を使いそうなものだったが、魅力的なキャラ画を破綻無く動かし、「いつも通り」の痛快アクションでバシバシ飛ばしまくる。もちろん締めるところはキッチリ締めて、実にクレバーながらも熱量を落とさない作劇のバランスはお見事。やっぱり、アニメの真骨頂ってのはこうして一見どうってことないようなセッティングでもちゃんとコミカルな動きの見せ方で膨らませられるところにあるのよね。見ていて退屈しない、良いアニメでしたわ。

 終わってみれば、あまりにすっきりと、何事も無かったかのように過ぎてしまったので一抹の物足りなさを覚えてしまう視聴者もいるかもしれないが、それだけすっきりとシナリオ面、そして作品全体の統括が決まっていたということだろう。個人的には文句無しでお気に入りだった牧さんに是非とも幸せになって欲しいもんですね。ラストの由多ちゃんに見せたダイレクトにツンなデレはズル過ぎると思うの。もう、由多ちゃんもデレデレだしやばいんじゃないかな、あのカップル。暗に「ルックスなんかどうでもいいけどあんたが好きなんだよ」って言われちゃった由多ちゃんは、今後どういう風に「牧さんに見合う男」を磨いてくれるんでしょうか。あんなこと言われたら絶対に太らないように気をつけるだろうなー。そして、牧さんとは対照的に悲恋に散ってしまったニコちゃんも意外な方向に成長を遂げたダークホース。どう考えてもノイズにしかならないと思っていたキャラだったのに、気付けば8人の中の中心的ポジションになって実に多くの場面で危機を救ってくれた。その上であんな結末になっちゃうってのもなぁ……丸く収めるためにいっそ日染とくっついちゃえば、って思わないでもないが、それって誰にとっても幸せではないな。隙を見て略奪愛に走るんでしょうか。まぁ、天河もそのうち千鳥の性格に嫌気がさすこともあるかもしれないし……。うーむ、修羅場。

 中の人の話題は……もういいかな。牧さんの中の人は永遠にラブですから。サトリナに散々罵倒されるだけでも本当に幸せな作品でした。そして、ニコちゃんが急成長を遂げたってことは、久野ちゃんもいい仕事が出来たってこと。今期は「ビッグオーダー」とこれで、なかなか新鮮な役どころが回ってきた面白いシーズンだったんじゃないでしょうか。あとはのりちゃん役の山村響かな。これと「あんハピ」を続けて観るとわけ分かんなくなるぞ。

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