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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 次回予告、こはる姉さんか? 第10話。確認したら助六の幼少期名義でクレジットされてたみたいだが……まぁ、出てきても何にも不思議じゃない配置だけども。

 何とも晴れがましい一幕。2期に入ってから明るい話はこれで2度目だが、その中心には必ず小夏がいる気がする。とにかく色っぽいのよねぇ。そりゃま、あのみよ吉の血を引いていて、さらに父親も割と目鼻立ちのはっきりした助六なんだから本当の意味で美人さんなんだろうけど、そういう見た目以上の部分で、小夏は本当に良い表情をしてくれるようになった。もう彼女の笑顔や、それ以上の表情だけでも、あらゆるものが浄化されていくかのようだ。

 もちろん、浄化ってのは我々視聴者サイドのことではなく(まぁ、そういう側面もあるかもしれないが)、作中における家族全てのお話だ。前回あれだけ壮絶な幕引きになり、一体どれだけ荒涼たる結末が待ち構えているものかと戦々恐々としていたので、今回の話の振り方は意外といえば意外。どうやら、前回の一幕が菊さんの「心中」の最終段階だったと見て良さそうである。どこまでを意図して企てたものなのかは今となっては分からないが、たった1人、夜の高座でかけていた「死神」の一席は、自らを死地へと誘う最後の大仕事。これまで幾度となく「落語と心中する」と漏らしてきた菊さん。そうは言っても「心中する」ってのはあくまで比喩的なものであり、大看板たる八雲を失えば、そのあとの拠り所を失った落語業界そのものが死に絶える、みたいなニュアンスで解釈してきたものだが、彼の最後の所業は歴史ある演芸場を飲み込み、本当に地獄へ引きずり込んだ。焼け跡を見て泣いていた兄さんが「この寄席は落語そのものだった」と言っていたことからも分かる通り、演芸場という形有るものが失われたことで、そこに「落語の喪失」を感じてしまう者も多い。菊さんが本当にそうした意味での「心中」を目論んだのかどうかは定かでないが、間違いなく分かっていることは、その心中が失敗に終わったということである。以前作中でも高座にかけられた「品川心中」のごとく、菊さんは心中に誘っておきながら、すんでのところであの世への道行きを自分で蹴ってしまったのである。あとに残されたのは、無残に焼け落ちた「落語」の残骸と、自分の「生き様」を見せつけられてしまったジジイが1人。

 結局、寄席が焼け落ちた程度では落語は死なない。ひょっとしたらこれが原因で落語文化が衰退する未来もあり得たかもしれないが、この世界には何よりも落語が好きで、菊さんと一緒に文化を創り上げてきた「同志」たる与太郎がいるのである。日々テレビにラジオに飛び回り、落語の火を消させやしない。結局、菊さんの「心中」は落語も、己も、どちらも殺せなかったのである。しかし、こうして死の儀式を経たことで、菊さんも腹は決まったようだ。不甲斐ない自分の生への執着は理解出来た。そして、満身創痍の老体では落語はもうまともにできやしない。心中は出来なかったが、ある程度の別離には成功したのである。落語を離れて人生を振り返ると、あれもこれも落語に費やしすぎた自分の人生のアラばかりが見えちまう。後生大事に抱えていたものでも、一度手を離してみると「何でこんなに必死だったのか」と我に帰ることもあるもので。別に落語から完全に切れたわけではないが、改めて自分の人生を見るに、どうにも落語中心が過ぎた一生だったことは間違いないわけで。花も、空も、そして「娘」も、色々なものが今更ながらようやく色彩を持って見えたような気がする。

 小夏はようやく、与太との間に「2人目」を身籠もった。菊さんの落語が与太に伝わり、与太から信乃助へ、そして、新しい命へ。菊さん一人が自暴自棄で殺そうとしたところで、落語は死にゃしない。あれだけ憎まれてきた小夏だって、「死ね」だのなんだのいいながらも、結局その愛情は変えられない。意固地で不器用だったのはお互い様のこと。なんだか随分遠回りな親子関係だったが、菊さんの贖罪の旅は、小夏と過ごす春の縁側で、ようやく終わりを迎えたのだった。これまで彼が必死に支え続けたものが、ついに手を離れて世界に進み始める実感。菊さんが作り上げた世界の姿があまりに美しく、本当に尊いものに見える。今回、落語をラジオで流しながら、「野ざらし」の内容に少しずつマッチした映像があくまで「背景」として流されるという新しい演出パターンが採用されているが、こうして何くれと無く街中を流れていく与太の声が、染みいるように「落語の世界」を現実に作り上げ、助六や八雲が求め続けた「新しい時代」の到来を告げているようだ。八雲の落語は、ここでついに、大願を成した。

 そうして、菊さんは穏やかな笑顔で、自分の後に残された世界を見ている。そこにあるのは混じりっけのない「幸せ」のはずなのだが……充足は即ち、渇望の終わり。世に残すべきを残し、役割を終えた者には、誰しも平等に迎えが来る。その顔はよく知っている。「死神」と呼ばれる顔。いつでもどこでも、菊さんの人生で隣にいたヤツだ。

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