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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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BANANA FISH」 5→6

 ひとまず、石塚運昇氏に哀悼の意を。最終回でちゃんと追悼メッセージが出ましたね。当時はまさかの訃報に途方にくれたのだが、ありがたいことに今作はすでにアフレコを終えていたようで、見事にゴルツィネの人生を最後まで描ききってくださいました。本当に幸せな役だったな、と思います。

 さておき、作品の質量、熱量に比してそこまで真剣にみることができなかった作品で、正直いうと最終話前までは「まぁ、こんなもんかな」というくらいに考えていたんですが、改めて最終話を見せられ、「時代を超えて愛される作品ってのは、やはりその総体を見て評価すべきだな」と考えを改めた。言葉では表しにくいのだが、この作品が持つテーマ性というか、描きたかった大きなものの正体がわかったような気がしたのだ。そうか、アッシュは、ああいう結末を迎えるしかなかったのだよな。

 全体的な構造で見れば、やはり時代性もあってか陳腐な部分の多い作品である。基本的にはアッシュとえーちゃんのどっちか(もしくは関係者)が拉致られ、それをドンパチやりながら救出し、助かったと思ったらまた同じ相手か、新たな敵キャラに誰かが拉致られ、助けに行く。基本的にはこれの繰り返し。敵キャラがどんどん面倒になっていくのは当然のことだが、だからと言って何か目の覚めるようなバトルがあるわけでなし、基本的にはドンパチの末に2人が主人公補正で弾を絶妙に回避しながら助かって逃げ回る作品だ。同じ展開が繰り返されてしまえば退屈にもなるだろう。

 もちろん、今作はそうしたドンパチの嵐を繰り返しながら、「アッシュとえーちゃんの関係性」という縦軸が少しずつ掘り下げられ、太く、強くなっていく様子を描くのが主題である。二人の関係性は、拉致られたり助けたりの関係性と同じように、どこかで近づき、どこかで離れる。お互いの違いを突きつけられて絶望し、諦めたり、恋い焦がれたりを繰り返す。そうして描かれた人間関係が、最終話でゆっくりと束ねられ、1つの形として完成する。なんだかゆっくり丁寧にバームクーヘンを焼いているような気分になる作品だ。

 基本的にわたしゃBLを受け付けない。作品によっては忌避もする。ただ、不思議なことに今作の場合には最初から最後まで一切の嫌悪感が現れず、むしろ2人の関係性はなんだか清々しいものであるかのように見ていた。もしかしたらアッシュの素性が「元々男娼として扱われていた」と最初から吹っ切れていたのが割り切りやすい要素だったのかもしれない。ことさら肉体的な関係性に意味を与えず、アッシュも周りの人間もサラリと「お前は自分の身体を使って生きてきたのだ」と唾棄するたびに、なんだかそれは本当に些細な問題であるように思えてくる。今のご時世、こうした性の問題ってのは寛容になっていたり、逆に面倒になっていたりするものだが、今作が描かれた当時は、この2人の関係性ってのは一体どんな風に受け止められていたのだろうか。

 2人の関係性には、外野が下卑た野次を挟む余地のない、絶対的な信頼と、愛情がある。それさえ伝わってしまえば、残りの部分は些事である。2人の愛情を理解しようと思いながら見ていれば、自然に2人の人間性も見えるようになり、そんなアッシュに対してゴルツィネが寄せていた想いだとか、歪んだ執着を崩さなかったユエルンの気持ちとか、はたまた絶対的な憎悪をたぎらせていたオーサーの悲壮さとか、そうしたものにも自然に理解が及ぶようになるのだ。こういう切り口の作品ばかりなら、「だってBLなんでしょ?」なんて余計な色眼鏡で作品を見る必要も無くなるのかもしれません。

 2クールの長丁場ではあったが、映像のクオリティが終始安定していたのはさすがのノイタミナ。MAPPAの映像表現としては地味な部類だが、むしろ余計な欲を出さずに必要な素材を丁寧に並べていくことで画面が見やすくなっていたのは良い判断だったと思う。内海紘子はこれで2つ目の大きな仕事を成し遂げたと考えて良いのではなかろうか。Freeの構成に戻ってくれると嬉しいんだけどなぁ……。

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