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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 ACCA!!! 久しぶりィ! ツダケンがTwitterで報せてくれたから知ることができた作品。まさか、これだけ期間が空いて改めてOVAが作られることになろうとは。そして、まさかの特別上映が展開されようとは。放送当時その素晴らしいクオリティにも関わらず世のアニメファンの話題にもほとんどならず、そのままフェードアウトしていった作品だったので、こうして帰ってきてくれるのは本当に嬉しい。そして、今回劇場に行ったら(期間限定上映とはいえ)劇場がほぼ満席レベルで埋まっていたのはもっと嬉しい! やっぱりちゃんといるところにはファンがいるんやなぁ。こうしてちゃんと集客効果があるんだってことを確認できると、劇場公開っていう戦略も悪くないな、って思えますね。全国のACCAファンの人はしっかり声上げていきましょうね。

 

<以下、一応ネタバレ注意だけど、まぁ、ファンなら観てるよね>

 




 で、そんな作品のOVAなわけだが、元から「一体何が起こるんだ〜ッ」っていう期待感でグイグイ引っ張り、その結果(実質的には)ほとんど何も起こらないという、幻想の大事件を描いた作品である。それがOVAになったところで、度肝を抜くような大事件が勃発するはずもなく。今作最大の魅力である「永遠の平熱」はこの1時間の中でも健在。今回テレビシリーズで監督を務めた夏目さんはクレジットされているので監修にはついているはずだが、コンテを担当しているのはもう1人監督としてクレジットされている斎藤圭一郎という人。どんな展開になるかと思われたが、きちんとテレビシリーズの雰囲気がディレクションの中に息づいており、作品の空気作りには何の問題もない。それどころか、尺が限られているだけに、よりそのエッセンスを突き詰めた鋭い「平熱」っぷりを披露しているとさえいえるかもしれない。

 一応シナリオラインを軽く押さえておくと、例の事件から一年後、新体制のドーワーの状況を描いたものになっており、キャラクターは少しだけ歳をとり、国の様子もちょっとだけ前に進んだものになっている。ほとんど表面には出なかったために国民目線では真実が葬られたとも言えるリーリウムの反乱。その残滓が一年後の国内にも息づいているのかどうか、というお話。まぁ、結論から言えば「別に息づいてない」だし、あの当時と同じように、ジーンたちお役人の力でドーワーは今日も平和です、っていうだけのお話なのだが、それについて、「もしかしたら何かあるのかも?」という匂いだけを常に感じ続けられるのが今作の持ち味である。あの当時は、実際にあった(あるはずだった)クーデターを、無いのか有るのかと散々振り回して、結局「無くした」お話で、今回は「いかにもありそうな不穏分子が、実際には何も無い」というお話。ただ、ドーワーという国の構造を考えれば「何も無い」というのは流石に嘘で、「今のところうまく行っている」というのが正確なところか。ジーンはそうした国の体制が今すぐに危うくなるとは考えていないが、ACCAの地道な活動が個性的な各区を接続し、融和に導いていると信じている。だからこそ、若い世代を代表するパロットが何もかもを疑ってかかっているのも一蹴したりせずに、「そういう可能性を常に考えて、ACCAは仕事をするんだよ」と教えてあげたわけだ。パロット君は今回の顛末だけを見れば単なる粗忽者なのだが、ちゃんと国の内情を観て「ありうる未来」を警戒しているという意味では利発な新人なのである。ジーンは当時の騒乱を経験してそうした「匂い」の重要さを知っているからこそ、丁寧に丁寧に与えられた仕事をこなしていくのである。

 大きな枠での若い世代の代表がパロットであるなら、ジーンの周りのパーソナルな環境の「若い世代」を代表しているのがロッタだった。彼女を巡るあれこれをジーンが心配しているのを観るだけで微笑ましくもなるし、それをニーノに相談して彼も彼で色々心配してあげている様子は本当にほっこりする。そしてロッタを通じて「王室も変わるし、オータスの家庭も前に進んでいるのだ」ということを端的に示すデザインになっている。ジーンだけの描写だと、どうしても「毎日似たような業務を続ける公務員」っていう姿ばかりが目についちゃうからね。学生生活を送るロッタの様子と絡めることで、「一年後」の姿を正しい視点から観られるようになっているわけだ。

 まぁ、彼らの生活が本当にどれだけ変わるものかは、まだまだ先の話なので全てがわかるというものでもないだろう。我々視聴者は、以前にも増して懇ろなジーンとニーノの様子を観て「相変わらずだなぁ」と目を細めればいいだけである。二人が久しぶりに再会したのが雪のビッラだったっていうのが心憎い演出になっているし、ニーノが振り返った一瞬の回想劇なんかは、そのシーンの断片だけでもちょいと目頭が熱くなる。二人して「お前は大変だったからなぁ」って互いの数奇な運命を笑って語れるようになっているのは何だかハートフルである。他にも一年後ってことで五長官それぞれの様子も断片的に描かれており、短い時間でドーワーの中のいろんな区の様子がかいま見えるので「やっぱ賑やかな国やなぁ」という漫遊記みたいな側面もある。1クールで回るだけでもせわしなかったドーワーだが、本当に短い時間でいろんな区が目まぐるしく描かれると、本当に1つの国とは思えないくらいの多様性がある。ちなみに個人的にツボだったのはスペード長官が来なかったくだりです。あの人、ほんとにあのまんまの性格だったんだなぁ。

 こうして、本当にファンが観たい「一年後の姿」がギュギュッとパッケージされた濃密な1時間。せわしないのは間違い無いのだが、それでも「平熱」を貫くための演出方向には抜かりなし。どこまでも動かさず、じっとりと、低空を。執拗に止め絵で要素を切り出していくカット割りは見事なもので、タルトの食べ方から時間経過を表すくだりとか、電話越しの対話を画面割りで距離感に変える演出なんかは地味な中にも心遣いが見られる。大きな動きがありそうなシーンはわざわざ音を落として無音にするなんて念の入れようで、例えばラストでパロットがむせるシーンなんて、セリフ有りでもいいのにあえてフェードさせて賑やかさを消している。ジーンがビッラで商談を成立させるところなんかも、「ちゃんと仕事してるんだけど、そのあたりはわざわざ描かないよ」ってんで無音劇で処理されているのだ。まぁ、その分劇伴がおっきめの音でかかるのでかえってドラマティックになっている節もあったが。

 まぁ、とにかく久しぶりに再開したのに1ミリもずれることなく「あぁ、俺は今ACCAを見ているんだなぁ」と思わせてくれる作品でした。こういうデザインで愛され続けている作品ってのはかなり稀有な例だと思うので、是非ともこの機会を大切にしたいですね。

 

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