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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 刻一刻と、第11話。新キャラも登場せず、特に奇をてらうような演出も展開もなく、粛々と物語は閉幕へ向かう。

 今月分の放送は、いわば「何も無い」話数といっても良いだろう。刀は既に前回で全て出揃っていたし、新たな所有者も当然現れない。とがめ達は尾張へと戻ったし、真庭忍軍はその命運を終えた。全ては終局へ、いやさ、この作品の言葉を使うなら、「完了」へ向かっている。少しずつ積み重ねてきた11ヶ月の物語が収斂していく様を見ていると、それだけで何か感慨深いものがある。

 不満点ももちろんある。最大のしこりは、結局鳳凰が大した活躍も見せずに退場してしまったことだ。今回はバトル展開がいつも以上に多くて、鳳凰対右衛門左衛門、人鳥対右衛門左衛門、そして七花対鳳凰と、メインクラスの戦闘を3つも描いている。だのに、今回は鳳凰の存在感が非常に希薄なのだ。その理由はやはり四季崎に乗っ取られて自我が消え失せてしまったせいであろうが、あの慇懃無礼でどこか癇に障る鳳凰との直接対決が拝めなかったのは少々残念である。また、原作を読んでいないので分からないが、鳳凰(というか四季崎?)と対面した時の七花ととがめの台詞の意味がよく分からなかった。「あんな普通の刀であるわけがない」というくだりを二人で嘘くささたっぷりに言い合っていたのだが、あのくだりは、どういう意味があったのだろうか。単なるジョークなのか? 折角の感慨深い「刀集めの終着点」となるシーンだったのに、なんだかノリが奇妙だったのでどこか違和感があったのである。

 とまぁ、不満は先に書いておいたが、やはり今回もびっちりと詰め込まれた台詞の数々と、それをただ流すだけでなく、画面にのせて世界観を描出し続ける偏執的な構成は充分楽しませてもらった。いつもに増して背景のディティールが美しかったのは、秋という季節を意識してのものだったのか、それとも「旅の終わりの景色」にどこか叙情的なものを込めたおかげなのか。七花ととがめが二人で語らう海辺や、右衛門左衛門が鳳凰とぶつかった夜の平原、そしてラストシーンとなった夕暮れの境内など、1つ1つの絵が不思議なほどに冴え渡り、動きの少ない画面でも充分に目を楽しませてくれる。こういう部分で見せてくれる作品というのは昨今あまり多くないので、それだけでも製作陣の心配りが感じ取れるというものだ。

 アクションシーンについては特に目を引く部分があったわけではないが、演出的にかなり際立ったのは人鳥の最期だろうか。今月のパスワードが「アレ被り物だったのか!」な時点で人鳥というキャラクターには少なからずマスコット的な要素があり、「可愛らしいのに忍びとしても優秀で、鳳凰からは次代の頭領を任される人材でもある」という奇妙な魅力を持つキャラクターだったのだが、右衛門左衛門によく分からない理屈で打ち負かされた人鳥は、何とも情けない姿で這いつくばり、あげく命乞いまでして右衛門左衛門には最大級の罵倒と共に誅殺されている。これまで数多のキャラクターが死んできた今作だが、ここまで凄絶で、後味の悪い死に方もなかなか無いだろう(まぁ、虫組も同情を禁じ得なかったが)。この人鳥の殺害シーンはラストにもってきたとがめ狙撃シーンに繋がるファクターとなるわけだが、冷血なマシーンとなった右衛門左衛門の特性が浮かび上がると同時に、彼の隠しきれない醜さ、妄念の深さをうかがい知ることが出来る。

 今回最もスポットが当たったキャラクターは、やはり右衛門左衛門なのだ。いまだよく分からないが、鳳凰との対決では次第にそのベールがはがされ、人鳥を殺すことで彼の目的が最大限に前景化する。クライマックスでは夕日を背に浴びて神社の石段からぬっと顔を現す姿が何とも禍々しく、これまで1年にわたって描かれてきた物語の最後の試練にふさわしい存在感である。そして、そんな彼が黙々と任務を遂行し続けることで、暗にその裏にいる否定姫の存在感もふくらみ続けるのである。ただひたすら自室で独り言をまくし立てるだけの否定姫。今回は誰とも会話していないはずなのだが、薄暗い室内での唾棄とも憐憫とも取れる不可解な感情の吐露は、とがめとの一筋縄ではいかない因縁の深さを感じさせる。物語に幕を下ろす障壁として、こちらも立派に立ちはだかってくれそうだ。

 一方、敵方に比べると多少おとなしめだったのが主人公カップル。特に七花は今回「あまり強くない敵」である鳳凰を一蹴したくらいで、最後の大活劇は次回に持ち越しのようだ。しいていうなら、開祖となったご先祖様、鑢一根がどことなく七花に似ていたことくらいが見どころだろうか。

 それに比べて、とがめは遂にその宿願を果たす。つまり、七花に対する事実上のプロポーズである。何とも不器用で、情緒の感じられない彼女らしい物言いではあったが、現時点における七花との関係性を考えれば、ベストのタイミングで、ベストの振る舞いだったのではなかろうか。わずかながらも七花の中に残っていた「父親殺し」の禍根はすっぱりと断ち切ってみせたし、あくまで「刀」としての七花を求めることで、現在の関係性を崩さずに未来を見据えることが出来る。自分にとって初めての「交友関係」であるという、何とも初々しいプロポーズであった。今回はやたらととがめのお尻メインのカットが多くて、妙にエロティックな雰囲気が漂っているのも見どころでした。あのへんてこな衣装のお着替えシーンも細かく描かれたし、まさかの眼福でした。

 およそ出し切る部分は出し切り、泣いても笑ってもあと1本で終幕。どのようなエンディングを迎えるのかが今から楽しみで仕方ない。今回のように旅情をふんだんに醸し出すような必要も無いだろうし、出来ることならこれまで以上に充実した活劇で見せてほしいものである。今回のコンテ演出には何故かこでらかつゆきが混ざりつつも、元永慶太郎監督が指揮をし、作監にも中田正彦が参加してのシルバーフォックス総当たり体勢。次回も、期待できそうです。

 最後は当然キャストの話。今回は人鳥役の涼さんが相変わらず腹の立つ愛らしさだったことに加え、置鮎龍太郎の軽快な二役に痺れます。青二軍団の存在感は格別である。でも、今回一番痺れたのは四季崎記紀役の森功至。「なるほど、この人なら時代を揺るがすことも出来る」と思わせる存在感。たまらんです。

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