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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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生けるレガシー、カーンKarn, Living Legacy
 今セットのカードナンバー1は、当然今回の主人公・カーンさんである。元を正せばテメェがミラディン(アージェンタム)を油まみれにしちゃったことが発端なんだよな、と言われたら何も言い返す言葉がなく、おかげで本人も何かと卑屈で孤立主義者になってしまっている様子。ジョイラなんてずーっと心配してくれてるのにあんまり接し方が上手くないのよねぇ……ストーリーでは最終的にシェオルドレッドとアーテイにボコられ、四肢を切断された上で頭部だけミラディンへ持ち出されてノーン様とのお目通りが叶った。正直ここからの逆転方法なんて存在しないはずなのだが、あとはタイムリープハゲに期待するしかないだろう。
 さておきそんなカーンは当然アーティファクト全振り能力……と思いきや、これが意外に技巧派。一番面白いのは何と言ってもプラス能力から生まれるパワーストーンだ。これが次の「兄弟戦争」の前振りになっているらしいのだが、興味深いのは「アーティファクトじゃない呪文を唱えるためには使えない」という変わった制限。これまでなら「アーティファクトにだけ支払える」と書かれるところだが、逆に「使えない範囲」を指定する形。おかげでこのマナ、ノンアーティファクトなカードの能力コストの支払いなんかには問題なく使用できるのである。つまりマイナス能力の「マナを追加で払わないとダメだよ」という妙な制限も、このパワーストーンをどんどん作ってそれで賄えと言っているわけだね。もちろん、そのまま貯蓄して奥義を発動し、パワーストーン砲撃陣を完成させてもいい。単体で置いていくだけで着実に軍勢を配備できるのはこれまでのカーンと同じである。フル活用するにはやはりアーティファクトデッキだろうが、そうでなくても多方面に使い方が見つかる万能機械。相変わらず「お前無色なのはなー」という文句が出そうなキワキワの調整である。

 


 
信仰を穢すものDefiler of Faith
 どうやら各色にサイクルとして与えられたらしいのがこちらの「穢すもの/Defiler」サイクル。全て単色5マナダブルシンボルのクリーチャーで、能力はキーワード1つに、色マナをΦマナにするもの、そしてその色のパーマネントを展開するとボーナスが手に入るという仕様が共通している。白の「穢すもの」は5/5警戒で能力は割と普通。その上で誘発能力もトークン1つと、現在判明している他の色(青がドロー、緑は全軍にカウンター)と比べると割と大人しめ。なんでこんな差をつけられるかといえば、おそらく白が「Φマナ化」と色々相性がいいためだ。白はライフゲインに長けた色なので、他の色よりもΦマナを使える機会が増える。さらに白は軽めのパーマネントを多数展開する色でもあり、呪文の数だけ能力を誘発させられれば、恩恵も積み重なるというわけ。ただまぁ、そうはいってもやはり自身に除去体制がとぼしく、戦術的には全体除去にめっぽう弱い。トークン戦術を敷く場合に1、2枚採用される可能性があるくらいか。ただ、白が苦手な手札補充さえ別な方法で補えれば一気に跳ねる可能性もあり、現在も活躍中の「鼓舞する監視者」や「憑く相棒」あたりとのシナジーを固めると面白いかもしれない。
 
 
騎兵Mesa Cavalier
 リミテに構築にとコモンとは思えない大活躍を続ける「鼓舞する監視者」のドロー部分が1ライフゲインに置き換わったもの。たった1つの要素が変わっただけなのだが、この「あぁ、うん……」みたいなガッカリ感はなんなのだろうか。別にこいつだって全然弱くなくて、ライフゲインクリーチャーのご意見版「ありがたい老修道士」と比較したらその進歩は目覚ましい。でも、やっぱり直近にあれだけ優秀な先輩がいるとなぁ……どれだけ人間が頑張ったところで天使には及ばぬか……。リミテなら普通に候補となる飛行クリーチャーだが、今回緑コモンに与えられた蜘蛛が1/3の「罠紡ぎ」なのはちと辛い。
 
 
サマイトの薬草Samite Herbalist
 全テキストをもって「後援能力に使ってあげてください」と書かれたギミックサポートカード。もちろん先陣を切って出撃できればふつーにパンチしてライフ差が3点開き、さらに占術まで行えるので2マナとしては破格だが、早々に殴れなくなったあとにも専門職があるというのはウィニーとしてはかなりありがたい性能。すると問題はデッキに後援クリーチャーがどれだけ集められるか。リミテッドではある程度アーキタイプを固める要素にもなり得るし、自身の占術で都合のいい盤面も調整しやすくはなるだろう。見た目以上に侮れない可能性もあるぞ。
 
 
時間稼ぎStall for Time
 白は相手クリーチャーをタップさせる。そして青はタップさせた上で起き上がれなくする。各々のカラーパイが分かりやすい合体呪文だ。ぶっちゃけ単体での性能はそこまで劇的ではないが、キャントリップ付きなので何となくでの運用でも問題ない。白単体で考えると、現環境のライバルは2マナでタップして履修を行う「休憩時間」くらいで、ドローできるなら決してコスパは悪くないことがわかるはずだ。青も加味したモードになると最近近かったのは6マナアンコモンの「降雪日」があるが、あちらは2枚ドローの1枚ディスカード設定だ。レアリティを考えればやはりこちらも決してコスパは悪くない。トータルで見れば決して悪い呪文ではないが、あとはデッキの全体像を見た時に必要なお仕事かどうかが問題になるだろう。時間稼ぎだけの役割で5マナ構えるのはちょっと手間なので、堪えるデッキにするなら稼いだ時間からきちんと解決策が見出せるようにしておきたい。全体除去とか、全体除去とか。

 

 


構えTake Up the Shield
 献身的に守ってくれるアジャニさんのイラストとセリフが今となっては本当に白々しく切なくなってしまう1枚。まぁ、もしかしたらこの段階では完成してなかったのかもしれないけども。もうこんな姿も2度と見られないんでしょうかね……。さておき、今回の白の軽量トリック部門だろうが、アジャニさんの完成された美技のおかげか、あっちもこっちも欲張ったかなりの贅沢品。修正値自体は大きくないので戦闘結果を「ひっくり返す」までいく可能性はやや下がったが、絆魂によるライフゲインで盤面そのものをひっくり返すことは難しくないだろう。その上で破壊不能による絶対保証があり、いざとなったら除去に対する防壁として構えることも可能。その後にカウンターが残って影響を与え続けるというのだから、2マナのコモンとしてはだいぶやりすぎ感が出ている。小粒すぎる気もするが、下手したら構築で刺されてもおかしくない影響力だ。アジャニさん、何でその力を正義のために振るってくれないんスか……。
 
 
の徘徊者Frostfist Strider
 氷漬け能力持ちの巨人。ステータスはアンコモンなら普通だし、能力の方も「霜のオオヤマネコ」の系譜とほぼ同じ。サイズ的にも一番近いのは氷雪マナが必要だった「氷山の徘徊者」で、レアリティが上がって確実性と護法がついたので「まぁまぁあり」くらいのレベルじゃなかろうか。一応「霜のオオヤマネコ」などの既存の氷漬けクリーチャーとの違いは、何らかの他の方法でアンタップしようとしても1回は無効化できるという部分。今回アンタップする呪文もいくらか用意されているので、その辺りに対する安全性も加味すれば、堅実派には違いない。デッキに入れといて困ることはないだろう。

 


 
交渉団保護Protect the Negotiators
 これは面白い組み合わせ。基本部分だけ見ると「自軍クリーチャー分のマナを払わないと打ち消す」というかなり微妙なカウンター。カウンター呪文が「自軍クリーチャーの数」を参照するなんてことはこれまでほとんどなく、それもそのはず、基本的にカウンターを構えるようなデッキはクリーチャー並べにくく、動きが噛み合わない弱いカードにしかならないはずなのだ。クリーチャーを参照したカウンターで実用的だったのは、直近だと「スピリットがいれば軽くなる」という「」、それに「飛行がいれば強くなる」設定の「高尚な否定」など、クリーチャー1体でクリアできるものがせいぜい。ウィザードを並べなきゃいけない「イクシドール意思」、相手より多く並べなきゃいけない「統一された意思」などはかなり使いにくい呪文だったのは間違いないだろう。そんな不利なジャンルにわざわざアンコモンで飛び込んできたこの呪文。なんと、「クリーチャーが少ないなら1枚のカードで増やすのとカウンター両方やればいいじゃん」という発想。増えるのはたかだかトークン1体だが、これにより要求マナが1つ増えれば確実に打ち消せる選択肢は増えていく。特に3ターン目に特別な条件無しに相手の3マナ呪文に構えられるのは強みと言えるだろう。まぁ、もちろん3マナあるなら確定カウンターを構えればいいという話ではあるが……それでもこのトークン1体が欲しいデッキもあるかもしれない。リミテッドならダラダラと戦線が横に伸びた後のカウンターとして一定のニーズがありそう。

 

 


ーナRona’s Vortex
 実質的にカーンを退けてシェオルドレッドを勝利に導いた立役者はローナさんだった気がする。そんなローナさんの手管なので、アンコモンらしいシュートな仕上がり。自軍に一切使えないというちょっとした制限は生まれたが、ふつーに使ってもPWまでを視野に入れた1マナバウンスとして文句なしだし、黒に触れるならなんと4マナの完全除去インスタントに格上げされる。「青の呪文のくせに除去やんけ!」という文句にも、「黒触ってれば除去なんて当たり前、青単体の呪文としてもカラーパイに問題はないですよねぇ」という模範的な解答である。リミテで色が合えば必須の1枚。青が中心であれば「黒が出せるかどうか微妙やな……」くらいのマナ基盤でも採用を躊躇う必要がないのはとても良い。

 


 
機を見た干渉Timely Interference
 トレイリアアカデミーで落ちこぼれの身分ながらもとんでもない発見をしちゃったせいでファイレクシア軍勢に集団で追われることになってしまった可哀想な学生、ウルフくんの悲劇を描いたシーン。学内の勇敢なヴィーアシーノさんが助けに駆けつけてくれたが、しばらく後のシーンで彼は亡骸になって発見されるのである。合掌。そんな可哀想なシーンを切り取った呪文だが、まぁ、よくある青のパワー抑止である。ベースとなっているのは1マナキャントリップで効果も最小限という「一瞬の散漫」で、どちらかというとカードを引く目的とかスペルカウントを増やす目的で使われるタイプのもの。そこに今回はキッカーを導入することで、なんと積極的に攻める場合にも使える面白いギミックが追加された。たとえば2/2どうしが睨み合ってる状態でこれを使って殴りに行けば、なんと事実上の除去として機能する。修正値が最小限なのでドンピシャでハマるタイミングはあまりないかもしれないが、可能性が増えるのは良いことである。採用されますかねぇ。
 
 
トレイリアの噴出Tolarian Geyser
 「引きずり込み」にちょっとしたボーナスがついた豪華版。どうせいじるならインスタントの「排撃」をベースにしてほしかったところだが、どれだけ時代が進もうとあのミラクルバウンス呪文は戻ってくることはない。ソーサリーの不自由さを噛み締めながらも、「まぁ、カード引けるからいっか……」と思いながらリミテッドではお世話になるだろう。ライフゲインのボーナスもやっつけ感はあるが受けのデッキらしい悪くないボーナス。これを連打してるだけでも相手のイライラを重ねられるはず。トークンが支配的な環境になるなら加点。
 
 
トレイリア恐怖Tolarian Terror
 イゼットカラーに稀によく登場する、墓地のインスタントソーサリー大好きクリーチャー。性能としては「謎めいた海蛇」とほぼ同じで、パワーが1減った代わりに護法を手に入れて耐久力をアップさせることに成功している。「謎めいた海蛇」がアンコモンだったことを考えると、コモンでほぼ互角の性能ってのは文句無しのクオリティ。このステータスなら5マナでもお釣りがくるくらいのもので、墓地に該当カード2枚を用意するのは青なら造作もないことだろう。構築戦なら最大で1マナまで軽量化することも容易く、ほぼバニラではあるが、実は何かでっかいデッキの可能性を秘めているかもしれない侮れない奴。それにしても、トレイリアアカデミーは毎回必ず何らかの海洋生物襲われとるな。構図もほぼ一緒やんけ。

 


 
ォーダ海あさりVoda Sea Scavenger
 アドにはならないけど次のドローの質を確実に高めてくれるマーフォーク。版図によって多少価値は上下するが、まぁ、2色以上使ってれば一応の恩恵は得られるのであまり気にする必要もないだろう。もし版図を前面に押し出したデッキだったら、きっとデッキにはボム的な何かが入っているはずなので(入ってるよね?)、それを最大5枚分も探しに行けるのは魅力的。適材適所でコモンらしい働きを見せてほしい。しかし、これが青にいるってことは……マジで今回は版図狙いの5色が推奨されてるな?
 
 
廻しヴォルシェVolshe Tideturner
 フレーバーを見て「いや、沈めろよ」と思ったんですが、多分マーフォークとしては自分達の住んでる海がファイレクシアの油で汚れるのは嫌なんでしょうね。環境汚染なんてレベルじゃないからね。さておき、「ヴォーデイリア秘儀術師」に端を発する青いマナクリーチャーシリーズの最新作。「秘儀術師」はまさにこの地、先代ドミナリアで開発されたクリーチャーで、当時は無色マナしか出せない制限があったが、「カーフェル先触れ」では出せるマナが青マナになって予顕コストに使えるオプションがつき、「またたかぬ観察者」は降霊コストを支払うのに使えた。今回は環境に合わせてキッカー呪文を適用範囲に含め、単なるスペルサポート以上に活躍の幅が広げられるようになっている。1/3というステータスも受けの役割にマッチしていて序盤要員としても堅実な仕事ができる。キッカーデッキの基盤として構えておきたい名バイプレイヤーである。

 


 
バルデュヴィアの非道Balduvian Atrocity
 3マナ2/3威迫というごくごく庶民的なステータスにちょっとしたスパイスを上乗せしたアンコモン。「コスト3以下を墓地から戻す」「キッカー含めて黒赤が必要」という設定からはかつてコンボデッキで一世を風靡した「墓所の勇者」を思い出させるが、残念ながらキッカーが条件なのでこちらはコンボ要素はなさそうだ。墓地から戻ってくるカードも一時的な復活でしかないのであくまでもマナが余って色があってる時のおまけ程度に考えておく方がいいだろう。同じような能力を持っていた「勤勉の神」もそこまで活躍はなかったので、リミテッドでは積極的にシナジーを確保しにいくほどではないと思われる。まぁ、コストが軽いのでおまけ感覚でも損した気分にはならんからいいんでない?
 
 
教団Cult Conscript
 今回のスケルトン枠。毎回手を替え品を替えなんとかして墓地から戻ってこようとするスケルトン族だが、今回は「他のクリーチャーの亡骸が起き上がる」というフレーバーを陰鬱条件で再現。自軍クリーチャーの死をちょっとした補償で慰めてくれる。スケルトン族はあまりステータス自体に期待されないことが多く、大抵は生贄要員とか、チャンプブロッカーとしてその生(?)を満喫するもの。今回は復活条件がやや厳しいこともあってか、一応パワー2で戦力としてもカウントできるようになっているし、何よりも1マナ2/1というステータスで前のめり感をアピールしている。各種生贄デッキでの新たなエンジンとして検討してもいいかもしれないが、やっぱりその場合は起動コストがネックか。
 
 
怪物的ヒル/Monstrous War-Leech
 墓地にある最大コストを見るというやや珍しい指標を持つ可変クリーチャー。単体だと0/0で戦場に出ることすら叶わないが、「マグマ・オパス」を捨てて宝物トークンから唱えれば、なんと3ターン目に8/8が着地するという異次元のゲームを見せることができる(スタン落ちするが)。あまり類を見ない能力だけに、何か楽しいオプションは楽しめるかもしれない。この能力の利点は1枚でもいいので狙ったカードが墓地に落ちればそれだけでステータスが爆裂するという夢があること。逆に不利な点は1枚のカードに依存することがあるので、墓地対策されると一気にサイズダウンする可能性があること。それをサポートするためにも余裕があればキッカー込みで払って少しでも墓地を豊かにしておきたいところ。まぁ、墓地一掃呪文使われたらなんにせよ死ぬんですけどね。

 


 
センギアの鑑定者Sengir Connoisseur
 センギアの名を冠する吸血鬼もドミナリアの危機と聞いて馳せ参じた。まぁ、吸血鬼も油まみれの化け物ばかりだとコレステロールが心配ですからね(?)。これこそ死活問題ですわ(単に「マズいから」言うとるが)。いわゆる元祖センギア能力は「自分でダメージを与えたクリーチャーが死んだらカウンターがもらえる」というものだったが、戦闘が絡まないとほぼ成長の見込みがないもんで実際に機能することはほとんどなかった。そこでこちらの御仁は自分と関わらない戦闘でも何でもいいし、自軍でも相手軍でも、なんならトークンでもいいからとにかく何か死んだらカウンターがもらえるというガバガバ設定に更新された。ただし、それだけだと即死コンボなんかの温床になりかねないため、1ターンに1回までの食事制限も合わせて付与。センギアさんに比べればステータスも一回り小さくなり、丁寧なバランス調整の結果という感じか。生き残れば強いのは間違いないし、置いとく価値のあるクリーチャーではあるのだが、問題は環境のテンポだろう。のんびりお貴族様の食事風景を眺めてられるくらいのスロー環境なら、じっくりゆっくり支配圏を広げられそうだが。

 


 
ぼろぼろの亡霊Tattered Apparition
 なんかすげぇ久しぶりな気がする、とてもシンプルなシェイドらしいシェイド。ちなみに現在のスタンダード環境でシェイドっていたっけ? と思って確認してみたら「スカイクレイ」が存在しているだけだったので、ローテーションによって今度はこちらが環境唯一のシェイドということになります。古き良きシェイドは1マナでパンプアップできたものだが、最近はそこに制限がつくことが多くなってきた。特に無尽蔵に増強されていくシェイド能力は回避能力との相性が良すぎるため、飛行持ちの場合はパンプ効率はそこまで良くない設定になっている。とはいえ飛行クリーチャーを構えるだけでこれを止めるのは難しいし、マナに余裕があれば充分決定力たりうる人材ではあるか。ちなみに、過去に全く同じステータス、同じ能力の「」がいたが、10年近くの時を経てコストが1マナ軽くなった。ちょっと進歩したのかと思ったが、その2年前に開発された「漂う」はステータスこそ低いがパンプ効率がダンチ。シェイドの歴史は3歩進んで2歩下がる。
 
 
有毒の嫌悪者Toxic Abomination
 黒によくあるデメリット付きでちょっと大きなクリーチャー。直近の比較対象はタップ状態で戦場に出た絨毯おじさんこと「歪んだ守衛」。どちらが上かはかなり難しい比較だが、ぶっちゃけ相手次第なので「どっちも強いよ」でいいんじゃなかろうか。リミテの大切なマナカーブ要員。「しつこい負け犬」に対しては「2マナ3/2、2ライフルーズ、大体同じだな!」と気さくに話しかけてボコられよう。

 


 
アーボーグ奪還Urborg Repossession
 毎度おなじみ「墓暴き」枠。素で使っても「墓暴き」+2ライフゲインなのでそこまで悪い話でもないが、まぁ、わざわざスロットを1枚割くかと言われたら微妙なレベル。そこで追加されたのがゴルガリカラーのキッカーで、こちらのモードならなんと「クリーチャー+パーマネントおかわり」でアド確定。3マナのソーサリーではあるが、回収できる範囲も一気に広がるので充分にその価値はあるだろう。というか、ここまで優秀だと1マナで唱えるのは馬鹿馬鹿しくなる気がするので、これはゴルガリ専用呪文だと思っていい気がする。いや、ライフゲインしてるところを見ると「ウィザーブルーム専用」って言った方がそれっぽいかな?(どうでもいいがな)
 
 
のたうつ分解者Writhing Necromass
 ゴルガリギルドの渋いサポート役だった「腐れ巨人」をさっぱりさせたようなコモンファッティ。一応能力としては「宿根」能力ということになるが、まぁ、あんまりこれに名前がついてたことを覚えてる人も多くはなかろう。5/5接死ということで5マナ以下で出せれば割と満足。6マナでもコスト相応くらいの印象なので、よっぽどのことがない限りはコスト面で不自由するということはないだろう。墓地のクリーチャーなんてもんは普通なら増えこそすれ減るもんではないはずなので、試合が進めば進むほどに利用価値が高まっていくのはありがたい。ちなみにこのゾンビはファイレクシアとか関係なさそうなんだが、単にその辺歩いてる騎士がゾンビに襲われたっていう話なんだろうか。ファイレクシアにかまけてる暇ないのな。

 

 


混沌性変異Chaotic Transformation
 赤が思い出したように炸裂させる「パーマネントランダム入れ替え」の贅沢版。元になっているのは「混沌のねじれ」だが、最大で5つものパーマネントが変化するため、感覚としては「歪んだ世界」あたりのちゃぶ台がっちゃん呪文に近いかもしれない。最大数のパーマネントが変化する場合にその結果はもう予測不能。まさに赤が大好きなケイオスである。とはいえ、わざわざこの呪文を使うってことは当然そういうこと。適当なトークンクリーチャーを化け物に変えるムーブはお約束だし、宝物トークンを巨像に変えることもできるかもしれない。PWについてはあんまり得するビジョンが見えないが、トークンの方のニクシリスさんとか使うと精神的にはちょっとお得感あるかもしれない。土地は……あんまり使い道なさそうだが、クリーチャー化した土地を使えば一応クリーチャーになる可能性もなくはないかな(その前に土地がヒットしたら終了だが)。まぁ、結局何かコンボを狙う場合はもうちょい小回りの効く専用呪文に任せたほうがいいとは思うが、せっかく赤を使っているなら混沌に身を任せてお祭り騒ぎを楽しみたい。リミテでもなんとなく入れとけば、一応除去っぽい働きになる時もあるし、ならない時もあるよ。God bless you.
 

 


チビ・ドゴンDragon Whelp
 なんとまぁ、随分懐かしいところからの再録。私は「時のらせん」にタイムシフト枠で再録されいたのでかろうじて知っているが、Magic最初期に活躍し、第4版までは現役だったらしい古の「強豪」ドラゴンである。どうやら当時は赤い飛行クリーチャーが乏しかったため、これでもかなり強かったとか。現在でも飛行+ブレスの組み合わせは一定の脅威であるし、あまり大きな火を吹くと倒れちゃうというデメリットもあってないようなものなのであまり気にする必要もないが、まー、周りのクリーチャーや除去の質も向上しているので、「それなりにアンコモン」くらいの活躍でとりあえず満足しておこう。

 





 
ケルド賢者Keldon Flamesage
 イゼット組に所属する、呪文大好きの炎魔術師。どれだけ働けるかは全て彼女のパワーにかかっており、パワーの値が「ライブラリを見る枚数」と「唱えられる最大コスト」の二方向から結果を左右する。このまんま殴ったのでは当たりを引くのは簡単ではなかろうが、パワーを5〜6くらいまであげて殴れば、きっとブロッカーを薙ぎ倒しながら暴れ回るプランも現実味を帯びるだろう。そこで搭載されたのがぴたりとハマる後援能力。この能力の解決前に後援を処理し、パワーを思い切りあげておけばライブラリも自由自在。そのままダメージが通れば一石二鳥である。見方次第ではレアらしい活躍に期待できそうだが……問題は、そうしてスペルをいっぱいめくりたいデッキにどれほど手伝ってくれる友達がいるかということ。……もう、装備品とかオーラで自給自足する?

 


 
の大怪物Molten Monstrosity
 ヘリオンがコモンでその辺からホイホイ出てくる次元、結構怖い。イコリアとかもそういう次元だったけども……。「いやぁ、ホイホイは出ないよ、8マナだから」とか言ってはみるものの、そのコスト軽減装置はだいぶガバガバ。仮に3ターン目に3/2くらいを出してればそれだけで5マナまで引き下げられ、5マナ5/5トランプルならコモンの標準値を満たしているといえるだろう。装備品でパワーを水増ししたり、増強呪文をマナソースのように使ってみたり、色々と悪さの可能性が見えるクリーチャーだ。まぁ、いうてもほぼバニラですけどね。消耗戦で互いにクリーチャーを全て消し去った状態とかでトップドローした時がやや裏目。

 

 


フェニックスPhoenix Chick
 まず、可愛い。カードを見る上でとても大切なことである。ぜひモフモフしたいところだが、多分これって抱えると燃えちゃうやつなんでしょうね。モフモフからモクモクは困りますね。さておき、ヒナなのでサイズも可愛らしい1マナ1/1速攻フライヤー。これだけでも一応の個性ではあるが、ブロックできない未熟さも持ち合わせるので単体ではあんまり飼いたくはない。そしてそこはもちろんフェニックス。毎回セットギミックを見て復活方法を変えてくるのだが、今回は何故かボロス軍に伝わる「大隊」能力での復帰。戦場が盛り上がってると賑やかさに釣られて出てくるんだろうか。そして帰還時にはヒナもちょっとだけ成長して戻ってこられる。2マナで2/2フライヤーがアタックしてくれて、何度も繰り返せるってんならレアクラスでもおかしくはない。まぁ、大隊を維持し続けるのがそれだけ難しいってことだが、この能力なら毎ターン軍備を整える必要もないしね。リミテッドならトークン戦術の白との相性がいいので、やっぱりこの世界でもボロスはボロスだな。
 
 
胸躍る能性Thrill of Possibility
 赤ルーティング呪文の中では最も効果が高く優秀な呪文が3度目の再録。「危険を冒して獲物をとりに行きたんや!」というイラストの雰囲気は初登場時のエルドレインの時によく似ているね。そこにさらにドミナリアらしさを付与するために、なんとフレーバーテキストはあのアスモラノ(略)さんの「地獄料理書」を引いている。カード化された後にもこうして引用文が続々発見されるあたり、よほどの名著なのだろうなぁ。とりあえず隙間に入れておくといろいろ便利。今回狙えるシナジーは「黒絡みの墓地肥やし」「青絡みのスペルカウント」の2つかな。構築クラスだと宝物トークンが出る「大勝ち」の方がトータルでは強そうだが、役目が異なるので棲み分けはできるだろう。
 

 


ヴィーアシーノの乗りViashino Branchrider
 キッカー無しなら1マナ1/1速攻、そしてちょい重たいが一応火が吐けるので序盤〜中盤の相打ち要員になる。最近なら「ぐらつく伏兵」や「恐れなき」あたりと同じようなお仕事。そしてキッカー込みなら4マナ3/3速攻+ブレス能力。どちらもコモンとしての標準値はクリアしているので、いつ引いてもそれなりに使えるデッキの穴埋め要員。ただ、キッカーモードは緑含みでないと使えないという部分がドラフト時にどの程度影響するか。別に赤緑の専用カードって感じでもないしなぁ。ピックのタイミングが難しそうだが、そんなに早くとられるようなキャラでもないか? ちなみに、スペースが余ったので(?)どうでもいい余談を書いておくと、過去にピック表をいちいち記録していた時代、「ヴィーアシーノ」っていう名詞を入力するのがくそ面倒だったので、私はパソコンの辞書登録で「うぃ→ヴィーアシーノ」と変換できるように設定していた。あとはお分かりだろうと思うが、知り合いの前で「ウィンドウズ」って変換したら見たことない文字列が表示されたというオチ。もうちょっとやりようあったやろ俺。

 

 


ヴィマヤの潰しYavimaya Steelcrusher
 後援ゴリラ。こんな物騒なやつでも後ろから支えようとしてくれる人がいるんですね。もしかしたら彼女かな(お母さんかもしれない)。何故かMagic世界では類人猿というとアーティファクトをメキメキ壊すイメージがあり、そのスタートは「ゴリラのシャーマン」や「ウークタビー・オランウータン」あたりからきていると思われる。まぁ、猿にアーティファクトは使いこなせないってことなんだろうけど、ゴリラなんて「森の賢者」呼ばわりされてるはずなんですけどね。ゴリラの優しい部分もぜひ見てあげて。まぁ、残念ながらこのクリーチャーに優しさはかけらもないので、回避能力もなしに後援を受けて敵陣に突っ込んで誰かと相打ちになるか、ムカつくアーティファクトをくしゃくしゃポイしてゴリ生をまっとうする。クリーチャーにスロットを割きつつナチュラルにアーティファクト対策できるのはありがたいですね。
 
 
成長Colossal Growth
 コモンのジャイグロ枠は割と無難な仕上がり。2マナで+3はとても普通だし、(1)(R)(G)3マナで+4トランプルってのもいかにもグルールならありそうな設定だろう。コモンらしく、適当に1枚2枚差し込んどけばいいんじゃなかろうか。ちなみによく見るとキッカーモードは速攻もつけてくれるのだが、流石に3マナインスタントで速攻をつけるのはあまり意味がないだろう。
 

 


活力穢すものDefiler of Vigor
 「穢すもの」サイクルの緑は、ファイレクシアが完成させてくれたワーム。そしてこの完成ワーム、いかにレアとはいえ、ちょっと完成度が高すぎる。素でも5マナ6/6トランプルとふざけたボディを持っているのに、そこから緑パーマネントを唱えるだけで「全軍に」カウンター付与。意味が分からない。そりゃまぁ、最近は「斡旋一家隆盛」とかいうふざけたエンチャントが似たようなことを3マナでやってのけるが、こちらは単色、マナシナジーあり、単体で戦えるボディと、補ってあまりある強みを誇っている。分かりやすくリミテッドブレイカー。出たら引かなきゃいけないレア。このクラスなら除去体制無しでも充分構築も狙える素材だろうよ。あとはカードが引ける緑パーマネントがあるとなお良いですね。ちなみに、クリーチャー呪文を唱えて能力が誘発した場合には先にカウンター能力が解決されるので、出てくるクリーチャーにはカウンターが乗らないことだけ注意。

 


 
ラノワール後家蜘蛛Llanowar Greenwidow
 後家蜘蛛(widow)にも「後家蜘蛛」やら「後家蜘蛛」やらいろんな種類がいるみたいですが、今回は緑後家蜘蛛。なんでかっていうと、体が緑色だから。そりゃそうだ。レアなので3マナ4/3到達トランプルとかいうふざけたステータスでもなんのお咎めもなしで、素出しして殴りゃぁそれだけでコスト分の働きはしてくれるだろう。その上でレアとして与えられたのは、墓地から1回だけ帰ってくる復活能力。同じ蜘蛛なら何故だかわからないが「の蜘蛛」が一番近い。おそらくこれはイニストラードで花開いた「蜘蛛ってなんかお墓からうじゃうじゃ湧くよね」というイメージが具現化したものなのだろう。帰還のためのコストはなんとなく版図が採用されており、緑単だと7マナかかるが、最高スペックでは素出しと同じ3マナ。まぁ、手札を消費せずに結構なスペックのクリーチャーが手に入るんだから何マナだろうと文句は言いませんがね。当然ゴルガリフォロワーの嗜みとして「墓地にまとめて落としてそこから出撃」みたいなギミックも仕込んでおくと良い。でも、このスペックだと流石に最初は素出ししたいなぁ。

 

 


マグニゴスの歩哨Magnigoth Sentry
 4マナ4/4のナイスバディがコモンでも当たり前になったのはいつ頃からだっただろうか。私の中で完全にタガが外れた感があったのは灯争大戦の「開花の巨体」で、「おめぇ、それはやりすぎだろ」と何度も思ったものだ。それに比べるとこちらのツリーフォークはまだまだ弁えている。そっと添えられた到達はお留守番要員に立候補してる感もあって、なんとも慎ましいではないか。まぁ、殴りにきたらやっぱキレるんですけどね。でけぇよ。

 

 


荒野偵察Scout the Wilderness
 今回の「不屈の自然」枠。現代の基準コストは3マナソーサリーだが、そこにちょいちょいおまけをつけて毎回ニーズを確かめるのがお決まりのやり口。同じくキッカーを売りにしていた先代ドミナリアでは「灰から成長」がほぼ同じコストで「土地2枚持ってきたるが」というシュートな効果を見せ、私のような多色大好き人間がこぞってピックした。マジで好きでした。地味に土地がアンタップインなのも嬉しかったんだよなぁ。今回は残念ながらそんな多色スキーへのラブコールは控えめで、代わりに白と協力してのトークン芸を身につけた。まぁ、5マナ(2色)出せる段階でそこまで追加の土地は求めないかもしれないので、おまけとしてトークン2体なら悪くない取引か。そうでなくとも、版図が支配的なこの環境で土地サーチが弱いわけないのよね。

 


 
スライムフット調査Slimefoot’s Survey
 イラストを見て誰もが思うのは「そこに目ぇあるんだ……」。そもそも目っていう感覚器官を持ってた時点で驚きかも。ファンガスの生態なんてしらんわ。さておき、そんなスライムフット君が望遠鏡を除くと、遥かを見るので当然土地を持ってくる。基本土地2枚ってことは「爆発的植生」なので相場なら4マナのはずだが、そこにスライムフット君の気配りで「ライブラリの上、えらんでいーよー」と言ってもらえたので1マナ重くなっている。ギミックとして版図が採用されているのは、当然「サーチしてきた土地も全部カウントできるから最低でも3枚以上は掘り進めるからな!」という品質保証のため。直接手札が増えるわけではないが、これ1枚で版図ギミックはだいたい片が付くので序盤から無茶多色を狙う私みたいな人間には必須呪文。「5マナスタートは重いやろ」とかいう心の声は聞かないことにして。スライムフット君には耳はないので(知らんけど)。

 


 
罠紡ぎSnarespinner
 灯争大戦で開発され、M21でもさっさと再録されて新たな蜘蛛のスタンダードスタイルになりそうだったのがこちら。残念ながらニューカペナは蜘蛛が住みにくい土地だったのでなぜか似たような仕事はエルフに任されたが、ドミナリアなら気兼ねなく蜘蛛に任せられる役職だ。守備に回れば無難な仕事が出来るので、緑メインになったら常に相手の様子を窺って何枚必要かを検討する形。渋い仕事だが、改めて基本を思い出すのだ。

 

 


連合の力Strength of the Coalition
 今回のジャイグロ、アンコモン版。アンコモンなのでちょっとだけ豪華仕様になるのは当然の話なのだが、どうにも「ちょっとだけ」には収まらないボーナスになってるもんで、本来の効果の方がおまけみたいに見えるのがちょっと困りもの。1マナで打てばごくフツーのジャイグロ。1マナで+2は「巨大化」に気を遣ったとても普通の増強幅。しかし、3マナという結構なキッカーコストを払って2色呪文にすると突然世界が変わり、全軍に永続効果を残す劇的呪文に。当然+2の効果もあるので、対象のクリーチャーは合計+3である。やべぇな、って思ったけど、まぁ4マナの呪文なら普通にアリな範囲か……。「野生の猛攻」が4マナインスタントで後者の効果だけだったことを考えると、小技のオプションとしては割と思い切った追加じゃなかろうか。いつも通りの注意だが、対象は1体しかとっていないため、キッカーモードで打っても対象のクリーチャーが対処されてしまうとカウンターも置けなくなってしまうので、土台にだけは要注意。

 

 


未発見脅威Threats Undetected
 さぁチャレンジだ。明らかに開発チームが攻め込んだデザインの新たな挑戦状。「けちな贈り物」ギミックの新作カードだ。「けち」はあまりの強さに伝説となったカードだが、この山分けギミックが面白いってんで、次に作られたの同様にして土地を分ける「未知領域」。こちらは土地で同じ山分けゲームをやるが、まぁ、対象が土地だったのでそこまで騒がれることもないおとなしい呪文で終わった。しかし今回はいよいよクリーチャーだ。まずもって「ライブラリから好きなクリーチャー4枚サーチ」の時点でそこそこケチの領域。何を2枚入れても文句のない選択肢を用意するのは難しくないだろう。もちろん開発チームも色々とこのカードには警戒しており、そのために用意された安全弁は2つ。1つは残りのカードが墓地じゃなくライブラリに戻る仕様。これは「未知な領域」の時にも採用され、墓地ギミックとのシナジーを解消している。そしてもう1つの安全弁は「名前の異なるカード」ではなく「パワーの異なるカード」という更なる制限を設けたこと。これにより、たとえば「魂の管理人」と「魂の従者」と「本質の管理人」のように、「名前が違うから問題ないですよね。これで絶対1枚は手札に入る!」みたいなペテンを働けないようにしてある。コンボデッキの場合はどうしても似たようなクリーチャーにニーズが寄ることになるし、デッキの中に最低4種のパワーを用意しておく必要があるというのはそこそこの制限になっている。さて、これで悪さをするかどうか……3マナソーサリーという設定はそれなりに攻めた設定だとは思うが、世に溢れる創意工夫の鬼たちがこの呪文を野放しにはしない気がしますね。楽しみです。ちなみに、今回もイラストの構図は先輩呪文のオマージュになっており、「けちイラスト」の影響力の大きさが窺える。カード名も、英語だと「名詞+後置形容詞」という構造で統一されているのだが、日本語版は伝わりにくくなっちゃったのはしょうがないか。

 


 
蔦形成神童Vineshaper Prodigy
 毎度おなじみ2マナ2/2の序盤要員に、キッカーによる中盤以降の付加価値をつけた「キッカー環境のサンプル」みたいな分かりやすいカード。こないだのゼンディカーでは青緑がキッカーカラーだったので何だか懐かしい感じだが、今回はどうでしょうね。キッカー時の能力は昔懐かしい「宮廷の軽騎兵」と全く同じもの。合計で1マナ重くはなるが、当時構築でも活躍したアンコモンと同等の能力ってのは侮れないし、軽量バージョンでの運用も可能なのだからトータルでも負けていない。まぁ、かき集めて勝てるようなカードでもないので過信は禁物だが、ボムを引いたら勝てるリミテ環境なら実はキーパーツなのかもしれない。

 

 


ヤヴィマヤの偶像破壊者Yavimaya Iconoclast
 2マナ3/2トランプラーの時点でもうええやろがい、となるスペックのアンコモン。かつてレア以外でこのステータスを成し遂げたクリーチャーは「ガラクの仲間」のみで、シングルシンボルなら史上初ということになる。単に2マナから圧をかけていく展開でもそれなりに脅威だが、さらにその上にはキッカーモードまで用意されており、こちらは3マナ4/3速攻が突っ走る、「ボール・ライトニング」のような働き。どうせ2マナで出しても召喚酔いはあるわけで、どっちで出すかという贅沢な悩みがつきまとうナイスなキッカー設計である。グルールカラーでビートが組めるなら構築にも手が届きかねないスペック。特にローテ後の新環境はライバルも少なく、速いデッキが優位に立ちやすい環境。このエルフが突っ走ってる様子が見られる日がくるだろうか。

 

 


ガリ骨ボータック/Bortuk Bonerattle
 「ガリ骨」っていう日本語名がどうなんだろうとは思うけど、まぁ、確かにイラスト見る限りでは骨っぽい。なんか「ガーリック豚骨のエースコック」みたいな響きですね。しかし、こんなに腕は細いけどボディ自体は6マナ4/4。飛び抜けてデカくもないが悪くもない。そしてそこに内蔵された版図能力は、いかにもゴルガリらしいリアニメイトである。版図の効き方が、「マナコストがそれ以下なら直接場に出せる」というもので、無理に広げずともアドは確保できるあたりが優しさ。うまいこと準備が整えば、6マナで盤面に5マナクリーチャーと4/4が用意できるわけで、なるほどアンコモンには違いない。ただ、ピック序盤にここからデッキの方向が定まるかというとそういうタイプのカードでもないので……やんわり緑ベースで版図を見ている際に確保しとく感じになるかしら。もうちょい軽かったら輝いたのに、と思ったけど、これってあと1マナ軽くすると2枚で無限ループする可能性があったから6マナにしなきゃいけなかったのね。

 

 


嵐の走者ナジャルNajal, the Storm Runner
 毎度のように「2色アンコはアーキタイプを示唆する」という前提なら、当然イゼットカラーは呪文を後押しする。そして、スペル前提のコンビネーションなので毎回伝説「クリーチャー」のデザインとなると色々と苦労はするのだが……今回はどこの誰だか分からない激走イフリートが登場。持っている能力はあの「時を解すフェリー」と同じソーサリーのインスタント化で、これだけでも色々と異次元のお仕事ができるのは先人が示した通り。なるほどイゼットらしいサポート。さらにアタック時に呪文コピー権を得ることが可能で、これにインスタント化能力を組み合わせることにより、たとえば「攻撃宣言」→「2マナ払う」→「ソーサリー火力で2体除去してブロッカー排除」みたいなかなりわんぱくな活躍も可能だ。まぁ、結局は手持ちの呪文次第ではあるのだが、イゼットのプライドにかけて、是非ピッタリ来る呪文を探してみよう。これで「プリズマリの命令」あたりと同じ環境にいれば使いやすかったんだけどなー。

 

 


ルアダッハの女王オーリナルQueen Allenal of Ruadach
 不思議の国のアリスの挿絵みたいな、ちょっと空気読めてない感じがあるお祭り女王様。人が死にまくってんねんぞ。まぁ、そもそも「ルアダッハ」がどこなのかがよく分からんので、こいつがどんだけ偉いのかも知らんのだが。あくまでアンコモンなのでその役目は主にアーキタイプの示唆。セレズニアカラーは古き良き伝統に則るトークン横並べ戦術なのは明らかで、あらゆるトークン製造装置にエルフのサポートがついてくるという。作るトークンの質は問わないので、当然相性がいいのは「軽くて連発できるトークン生成手段」。今ならやはり一番手っ取り早いのは「婚礼発表」だろうが、「」を軸にしたデッキなんかも面白いかもしれない。味方さえ増えれば、あとは女王自体もどんどんマッシブになって盤面を制圧してくれるはずだ。まー、1点火力で全員巻き込まれて死亡、みたいな未来も容易に想像できるが。
 
 
巣穴の長ルリク・モンスRulik Mons, Warren Chief
 かの「モンゴブリン略奪」を発端として、いつの間にか膨らんだゴブリン英雄譚の主人公に成り上がったのが「パシャリク・モンス」である。よく知らんので調べてみると「パシャリクとは何らかの地位か称号と思われる」とかかれており、もしかしたらこの「ルリク・モンス」も別な称号を得たモンスなのだろうか? ……顔を見てもゴブリンの識別なんか出来ない気はするが……なんか全然人相が違うわ。単に家族なだけかも。さておき、そんなよく分からんゴブリンの親玉だが、何故かゴブリンのくせに赤よりも緑の方が濃いというちょっとした浮気者。4マナ3/3威迫とゴブリンにしては腰が重めで、そこから攻撃時誘発能力なので性能自体は割と悠長。あんまり既存のゴブリンデッキに入れたいようなクリーチャーではないだろう。さらに、殴った際に起こるのは「マナ加速 or トークン生成」となんだか目的が安定しない。どっちにしてもリソースが増えるのだから悪い話じゃなかろうが、こいつがアタックして生き残れる状況を作り上げるのは結構大変なので、頑張って下準備をしてやるほどかどうかはやや微妙。まぁ、版図方向にもトークン方向にも伸ばせるので、リミテッドの緑ならいい居場所が見つかるかしら。
 
 
浄化の刃シャナShanna, Purifying Blade
 先代ドミナリアでは2色アンコモンだったシャナだが、流石にこの数年でシッセイの子孫として、ウェザーライトの管理者としての責任に目覚めたのだろうか。3色の神話レアという物々しい装いになっての再登場である。能力は前作とのつながりが全く無く、何故かライフゲインとドローというバント3色でつながりそうな能力を無難に接続したものに。絆魂があるので「自分で殴る→3枚引く」というグロいプランも狙えなくはないが、戦闘で死んでしまったらドローも何もあったもんじゃないので、確実なアドを狙うなら他のライフゲインシステムと組み合わせた方が無難だろう。現在は置くだけでライフゲインできる土地も数多く存在しており、強欲に複数ドローを狙わなければ1マナ1ドローくらいは割と簡単にできるはず。確実に除去の的になる性能には違いない。まぁ、死ぬよね、多分ね。みんなで艦長を支えてあげて。

 


 
憤怒の乗り手アヴナントのトーリ/Tori D’Avenant, Fury Rider
 名前が長い。そんで能力も割と長い。攻撃するだけで全軍+1という声のでかい司令官。ついでに自分と同じ色のクリーチャーには更なる贔屓をするのだが、デザインのニュアンスが「アグルス・コス」や「オレリア」にめっちゃ近い。やはり横並びで数に物を言わせる戦術は、どんな次元であろうとボロスの代名詞なのだろう。ただ、残念ながらその増強は自身に届かず、4マナ3/3とサイズは人並み。何とか生き延びてその辣腕を振るってほしいところだが、ワンパンして散っていくのが主な役割になることだろう。ちなみにアンタップが絡むのでうまいことやったら後援クリーチャーとシナジーがありそうだが、後援に使えるのは「攻撃してないクリーチャー」だけなので、残念ながらそこに効果的な絡みは無い。

 

 


金色大帆船Golden Argosy
 なんか謂れがあるらしい伝説のアーティファクト船。今回ウェザーライトがファイレクシアの手に落ちてしまったので、もしかしたら今後のストーリーでフラグシップはこちらになるのかもしれない。パワーは3とあまり高くないが、搭乗が1だけなので稼働効率は悪くはない。ただ、やはりわざわざこの船を使うのは戦闘が主目的では無く、その搭乗時の能力が目当てだろう。ニューカペナにも謎めいてる車とか逃走用の車とかいろんな自動車が走っていたが、この船の特徴は全自動で「明滅」効果が実現するということ。当然187能力持ちをダダダッと詰め込んでしまえばそれらを全てもう1回誘発させることができる。乗組員の数に制限は無いので、場に出て嬉しいクリーチャーがいるなら何体でもまとめて処理できてしまうのは狭っ苦しいリムジンではできなかった芸当だ。発動条件に攻撃が必要なのはネックだが、そのためにケツのでかいステータスになっているのだし、思い切りシナジーをかためどりしたら意外とキーパーツになるかもしれない。

 


 
英雄の家宝Hero’s Heirloom
 そこそこの装備品。2マナで出して2マナで装備するカードは最近だと+2/+0のイメージが強いのだが、こちらはアンコモンなので修正値がちょっぴり優秀。これだけでもリミテッドならいいアクセントになりそうだ。そして、今セットの独自ギミックとして採用したのは伝説サポート。今回は全てのパックから伝説が出るドミナリア仕様であり、アンコモンレベルでもそこそこの数の伝説が用意されている。まぁ、トランプルはまだしも2マナ装備で速攻はあんまり意味ない気もするが……めくりゲーになった時には役に立つかもしれないし、戦闘ダメージ誘発を持つレジェンドなんかがいれば点数はかなり上がる。まぁ、フレーバーでも「誰が持つかが大事」って言うてるしね。

 


 
完成化したェザーライトWeatherlight Compleated
 完成しちゃったんやなぁ……。公式ストーリーによると、元々ファイレクシア軍の領空を紛れて飛ぶために肉塊やらグロい機械片やらをペタペタ貼り付けてカモフラージュしながら飛んでいたのだが、その断片がいつしか本当に船を侵食してしまい、最終的にはこのような形での悪堕ちとあいなった。かつてはこの世界の正義の象徴だった船なのだが……ファイレクシアの汚染は本当に容赦ない。で、そんなウェザーライトは闇落ちすると戦闘能力に大きく舵を切った(船だけに)。上述の理由からか、完成して動き出すまでにはいくらか人の死を見届ける時間が必要になるが、一度動き出しちゃえば機体のくせにずっとクリーチャーのまま。2マナ5/5飛行はどこをどう見てもおばけだし、そのまま病が進行すれば占術がドローに化けてアドまで稼ぎ始めるという。神話だから何してもいいってわけじゃない。是非、アーティファクト対策は怠らないように。……それにしても……これを見たらみんな感じると思うのだが……もう人類は完成しちゃった方がいいんじゃないかな。
 
 
英雄の公有地Plaza of Heroes

 稀によくある、特定のタイプにだけマナを提供するタイプの土地。ただ、今回は色々と面白い方向にひねりが効いていて、まずレジェンドにしか使えない色マナが出る。その結果なんらかの伝説が着地すると、今度はそのパーマネントと同じ色なら出せるようになる。つまり、これを経由して無節操にいろんな伝説を繰り出していけば、いつしかこのカードは制限無しの5色土地になるかもしれないのだ……まぁ、そんなデッキを誰が組むのかは知らんが。ついでに余裕が出てきたらそんな伝説を保護するバリアの役割まで果たすってんだから、1枚の土地ができる仕事としては盛りすぎくらいのもんだ。まぁ、いちいちこのマナを構えながらは戦えないだろうが、思い出した時に1回使えればラッキーくらいのもんである。リミテならやべぇレアとかタッチで強引に触りにいくのにぴったりなのだが、残念ながらこれ自体がレアっていう。

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コメント
無題
とりあえずカーン君は心臓くれたヴェンセールに謝ってどうぞ
カードとしてはパワーストーンがタップインだったりマイナス能力にマナがかかったり悠長な印象
【2022/08/24 00:34】 NAME[DRAKE] WEBLINK[] EDIT[]
Re:無題
カーンの野郎、ジョイラの手前「ヴェンセールのことは……ほんとに……申し訳なく思ってる……」みたいな態度でやたら後ろ向きになっちゃって、まともにジョイラに顔向けできてないのがなぁ。
【2022/08/24 19:09】


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