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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 言葉も無い、第15話。もう、今作がこの先どう進行しようとも、今回のエピソードを描ききったというこの実績だけで、私はもう何の文句も言いません。

 よくぞ現代アニメでここまで描ききった、という賞賛の言葉しか出てこない一本。頭から尻まで、全てが統制された意志の下で「狂気と絶望」が刻まれ続ける。正直、これまで今作については1つ舐めてた部分がある。それは「死に戻りの与える倦怠感」である。いかにシリアスで絶望的な状況が展開されようとも、スバルにとってそれは「コンティニュー前のワンシーン」でしかない。ニューゲームがあると分かっている状況では、どれだけ悲惨な状況を描いてもそれはあくまで茶番にしかならず、ドラマとして大きな意味を持たなくなる日が来ると、そう考えていた。もちろん、作者とてそのあたりは自覚的であり、第2章における死に戻りの深刻さは、スバルの成長を重ねることで意味付けされている。そして、この第3章においてはどうかというと、「絶望の底の絶望」を描き続けることで、真正面から悲壮感を極限まで引き上げているのである。前回のエピソードを見た段階で「これ以上にひどい事態なんて起こるまい」と思っていたのに、今回は軽々とその上を行き、一切「倦怠感」を見せず、更なる深みへと引きずり込んでいく。今度こそ、今度こそ底の底であって欲しいと願うばかりだが、今作は本当に「底が見えない」のでまだ油断出来ない。

 正直、今回のエピソードについてはどれだけ言葉を重ねても「観ろ」の一言に勝るものはないためになかなか記述が出来ないのだが、蛇足を承知で特長をピックアップするなら、何と言っても容赦無い作画面、そして登場した新キャラ・ペテルギウスの壮絶なキャラ設計。特にペテルギウスの存在感は大きく、単に絶望に絶望を重ねるというだけでなく、そこにトリックメイカーを放り込むことで、単にグロや残虐性で見せるだけでなく、悲劇の底を窺えなくする効果も持っている。単に「殺してくれるやつ」だったら話はもっとシンプルだったのだ。奴の存在により、スバルの悲劇はより根深いものとなり、レムの誠意との対比で悪逆さがより際だつことになった。もちろん、松岡禎丞の怪演がこれを引き立てていることは言うまでもない。松岡君は本当にこういうキチガイキャラで際だつ仕事を見せてくれるのだが、今期「サーヴァンプ」でも同じような方向性で楽しませてくれていると思ったら、もっと先があったか。並の役者ならそれこそ「底が見える」んだろうが、松岡君の場合、「こいつ、マジでヤバいんじゃないか?」と思わせる危うさがキャラを3割増しで押し出してくるんだよなぁ。

 ペテルギウスの存在があまりにどす黒いものであるために、そこに刺し込むレムの純愛があまりに眩しすぎて辛い。ちょっとやそっとの状況なら、おそらく「いくら何でもレムは無条件にスバルのこと好きになりすぎだろ」と思っていたかもしれないのだが、もう、ここまで来てしまうと理由もなにもあったもんじゃない。とにかくレムにはスバルなのだ。その感情には理由も、時間の隔たりもない。もう、今回の展開だけで、視聴者の頭には「完全なるレム」がすり込まれたことだろう。ここまでやってくれたのだから、今後の展開でレムがなにをしようとも、そこに一切の疑問を差し挟む余地はなくなる。

 そしてラストシーンの演出も見事なものだったが、今回2度スバルを殺してるのってパックなのね。冒頭の殺害シーンでは一体何が起こっていたのかよく分からなかったのだが、最後の最後、絶望の一コマで響いてきたパックの声で全てが理解出来るようになっている。さらに流れてくるキャストロールでスバルの次にクレジットされてるのがパックっていうね。もう、衝撃的すぎて何もかもが吹っ飛ぶ勢い。全てのシーンの演出が本当に神がかっている。今回のコンテ、10話と同じ細田さんなんですよねぇ。やっぱりこの人凄いわ。アクションシーンだけで満足してちゃ駄目だね。

 しかし、これはどこのルートをどう通ったらクリア出来るんだろう……全く手掛かりさえ掴めていないのだが……。

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 あかん、もう吐きそうや……第14話。こうして畳みかけるように絶望的な状況が重なると、観ている側のメンタルも段々やられていくのよね……勘弁してくれ……。

 オープンエンドが変わって2クール目に突入、オープニングは結局半分も使われてなかった気がするので変更になってしまうのは勿体ないが、個人的には鈴木このみもMYTH&ROIDも好きなのでまぁ良し。オープニング映像は相変わらず色々と想像させる仕上がりだが、今作らしく決して明るい映像になっていないのでなかなかおっかない。

 さて、前回の時点ですでに絶望的な状況に立たされていたスバル。勘違いと調子乗りでここまで来てしまったため、いよいよ王選本番というこのタイミングでいきなり冷や水をかけられた形だが、普通に考えれば「身の程を知る良いチャンス」なんだ。確かにスバルは唯一無二の能力を持っているし、ここまで真摯にことにあたり、数々の問題を解決してきたのも事実。その部分についてなかなか正統な評価はもらえないので、その辺でやきもきしてしまうのはしょうがないところ。しかし、あれだけ手酷くエミリアに振られてしまったところで、一旦頭を冷やすクレバーさはあっても良かったはず。一夜明けても「自分は被害者なのだ」という凝り固まった信念が揺らぐことはなく、お世話になっているクルシュ邸でもどこか横柄な態度である。このことは、なんだか既存のラノベ文化に対するアンチテーゼのようにも見えるシチュエーションになっており、いわゆる「主人公体質」と呼ばれるものへ疑問を投げかけるデザインに見える。スバルの頭の中には「自分が主人公だ」という根拠のない思い込みみたいなものがあり、それが先走っているせいで色々と無茶をしてしまう部分が有るのじゃなかろうか。いわゆるラノベ的世界ではそれが許されたり、たまたま上手くはまったりするわけだが、この世界ではそうしたことが(今までは許容されてきたが)もう起こらなくなり、スバルはやることなすことが「ただのわがまま」に逆戻りしたのである。なんだか理不尽な扱いのようにも感じるが、半分以上はスバル自身の責任なのでしょうがないだろう。どうひいき目に見ても、回りの人間たちはスバルに対して好意的に接してくれているのだ。ラインハルトしかり、クルシュしかり、ユリウスしかり。それでも、スバルはすでに視野がひどく狭くなってしまっているせいで、もうそれらの気遣いを感じ取ることが出来なくなっている。

 ただ、全部が全部スバルの独りよがりのせいというのも可哀相な部分があるのは事実。言ってしまえば、全て「間が悪い」のである。ラインハルトは善意でもってスバルに謝罪しに来たはずなのだが、彼にとって「無意味」という言葉はたまたま非常にセンシティブなワードになってしまっていた。だからスバルはより一層頑なになる。クルシュとの対談もそうだ。彼女は契約を結んだためとはいえ、比較的話が分かり、エミリアにも分け隔てなく接してくれる人間の1人だったのだろう。彼女は本当にスバルのことを思って助言し、事実を知らせてくれたにも関わらず、現在、スバルにとって自分の実力を否定する人間は全て敵なのである。そんな状態で、本来は「敵」であるべき人間から貴重な助言を受けても、まともに受け取れるはずがなかった。一度転がりだした勘違いは、もう二度と止まることはない。まさに「病」だ。

 唯一、そんなスバルの苦労を認め、共感してくれたのがレムだった。彼女とてスバルの死に戻りのことは知らないはずなのだが、以前の件で何となくスバルの自己犠牲の精神は感じ取れたし、恩義と好意を抱き、いくらかはスバル寄りの立場でいてくれる存在。しかし、彼女が半端にスバル寄りだったことが更なる不幸を呼んでしまったのが今回の事件の救いの無い部分。もし、レムが以前のようにスバルに冷たくあたり、事務的に物事をこなしてくれていれば、彼女は決してスバルを屋敷に引き戻す手伝いはしなかったはずだ。「スバルが行っても役に立たない」というのは回りの人間の共通認識であり、クルシュ邸から出さないことが最善策であることはレムも分かっていたはず。それでも、道半ばまでとはいえスバルを連れだしてしまったのは、彼女がスバルに肩入れする部分があったから。結局馬車の中の様子を見てスバルを引き止める決意をしたようだが、時すでに遅し、何もかもが半端になってしまった。

 そして、これでロズワール邸に駆け込んだスバルがエミリアから絶交を告げられるくらいなら救いはあったのかもしれないが、事態は想定しうる最悪の事態へ。王選の争いは激化し、あっという間に「魔女」エミリアにはどこからともなく暴力が叩きつけられる。庇護者たるロズワールの領民は惨殺され、もっともスバルを理解してくれていたはずのレムまでもが、彼のわがままのせいで命を落とした。もう、何もかもがスバルのせいで最悪の方向へ進んでいるのである。

 否、まだ分からない。少なくとも領内の様子を見る限り、敵の手は完全にロズワールの警戒の上を行っていたのだろう。つまり、エミリアとロズワールは、このままでは絶対に助からない。デッドエンドだ。もしそこに一石を投じることが出来るとするなら、全ての道理を超えたスバルの死に戻りだけである。つまり、何とも皮肉な形ではあるが、彼は「間に合うかもしれない」のだ。再び、誰にも理解されず、誰にも認められない戦いに挑めればの話であるが。

 ひとまず、レムをここで殺すわけにはいかない。エミリアを救いに来たはずのスバルだが、今は目の前のレムのことで頭がいっぱいだろう。彼女を救い出すことが第一の命題。久しぶりに、戻らなければいけない。さて、戻ったところで果たして彼が間に合うのかどうかは分からないが……。

 来週も、キツいかなぁ……。

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 エッグいとこきたな、第13話。これまでの溜飲が下がる良い展開かと思いきや、なんかもう、救われないな、これ。

 王選のスタートが正式に告げられるまでの一悶着。未だに王選ってイベントがどういうものなのかはさっぱり分からないのだが、必要なのは候補者の意思と、それ相応の後見人かな。他の4人はやる気満々なところに、最後の1人であるフェルトが転がり込んできて、ロム爺を巡ってのすったもんだの末に結局フェルトも自らの意志での出馬を表明。無事に予定通りの5人戦が開幕したと。フェルト参戦までの流れについて、ラインハルトは「運命の導き」だのなんだのとよく分からんことを言ってたけど、どこまでが本心でどこまでが狙い通りだったのかはよく分かりませんな。多分悪い奴じゃないんだろうが、何考えてるか分からないところあるし、そもそもなんで回りからの評判が下がるのを気にせずにフェルトを引きずり込んできたのかも分からないし。あの紀章が光るのが王選候補の印で、自分が代表者になって担ぎあげられる最後の1人を見つけたから独占したかったのかな。

 よく分からないけど、とにかく5つの陣営は五者五様。なかなか愉快な集まりである。名前を覚えられないので、それぞれの陣営をざっと確認しておくと、まずはタカビーな赤いお姫様とけーじ君ボイスの適当なおっさん。風体(とCV)からして本命候補である。陣営としての強さは未知だが、どうやら姫さん自身が相当な魔力の使い手のようなので、そのあたりが注目ポイント。あと半裸のおっさんも何するか分かったもんじゃない。第2チームは関西弁姫と堅物騎士さんのチーム。なんか、金に物を言わせた勝負をしてきそうな姫だよな。少年漫画的には割と序盤でリタイアしそうではあるが。こういう性格の姫に潔癖症の騎士がくっついてる組み合わせは意外かもしれん。全く読めないのが第3チーム、緑色の男装の麗人(?)姫と猫耳ほっちゃん。ゆかち姫はどこか抜けてる感じもするのだが、前にロズワール邸に来た時にすげぇ達人っぽい御者を連れてきてるのがこのチームなのよね……。そして第4チームがエミリア。彼女の出自についてよく分からん、って先週書いたんだけど、単にハーフエルフだから迫害されてただけなのか。そして、その容貌はかの「嫉妬の魔女」に似ているとかなんとか。なるほど、最初にスバルにあったときの自己紹介はそういう自虐だったわけね。スバルもよりによって面倒な駒を拾ってしまったもんだ。そしてラストはフェルトってことになるのだが、貧民街あがりの姫様ってのもなかなかのサクセスストーリー。確かラインハルトってチートクラスの能力持ちだよなぁ。物語の構造から考えて、かなりのラスボス感である。

 以上、曲者ばかりの王選大会が幕を開ける……のだが、今回の問題はそんな部分じゃない。いわば、これまで虚飾にまみれていたスバルを丸裸にしてしまうお話。「溜飲が下がる」とも言えるし、「最高の胸くそ回」とも言える。何しろ、これまでスバルは様々な活躍を見せてきたわけだが、視聴者側はずっと「なんで異世界転生しただけで単なるニートが大活躍出来るんだよ」ってのは不思議に思っていた。そもそもスバルの立ち居振る舞いはどう考えても引きこもりのものじゃないし、結局「出来るやつは出来る」っていうだけだったんじゃねぇの、っていう疑問は常にあったのだ。しかし、そこに突きつけられた答えは1つ、「いや、スバルはやっぱりゴミクズだよ」と。

 全く背景知識も無く、世界情勢すら分からない部外者中の部外者であるはずなのに、勝手に国家レベルの大事にしゃしゃり出て喚き散らすKYっぷりは完全に勘違い野郎だし、ヒートアップすると至上命題であったはずの「エミリアの幸せ」すら見えずにカッカしてやりたい放題。脳内で肥大化してしまった血統主義や権威に対する根拠のない僻みが増大してただ騎士を蔑むだけの器の小ささを暴露され、当然うでっぷしはからきしなのでボコボコにされる。口先ばかり達者で実際を伴わない、典型的なクソニートの行動パターンに、ちょっとの無謀を加えたものである。そりゃ色々無理に決まってるだろうし、誰が見たって悪いのはスバルの方。潔癖騎士さんがいちいち正論で対応するたび、スバルはどんどん道化になっていくのである。

 これで「単なる駄目なヤツ」で終わって、「クソ野郎だからここで死ね」だったら気が楽になるところなのだが……最後のエミリアとの口論は、本当にやるせない展開。「何故約束を破るのか」というエミリアのもっともな意見。わがまま勝手なスバルの行動は、どう考えても自分しか見えていないどうしようもないものだし、フォローのしようもない。基本的に、スバルが駄目でどうしようもないのは間違いないのだ。

 しかし、ただ1点、彼には誰にも話せない死に戻りがある。そして、彼が命を賭けて(そして失って)2つのピンチからエミリアを救い出したのはまた事実。問題は、それが絶対に誰にも伝わらないということだけ。胸の内に秘め、秘密のヒーローを気取れればそれでいい。しかし、ここまで空回りが続き、エミリアから見放されてしまったら、「あの苦労」を叫ばずにいられない。誰にも伝わらない、事実として残ってすらいないあの「命」を、訴えずにはいられない。その孤独な戦いは、決してエミリアには理解してもらえない。そんな絶望的なほころびから、全てをエミリアにぶつけてしまったスバルの弱さを、誰が責められるだろうか。繰り返し挑んだ死地の見返りを求める彼を、誰が傲慢と誹ることが出来ようか。分かっちゃいる、分かっちゃいるのだが、それは誰にも理解されない。これこそが、本当の「魔女の呪い」か。

 決定的な離別を告げられたスバル。このままではエミリアとの関係も幕を閉じてしまう。最後の最後、エミリアが願った「特別ではない自分」と、スバルが言った「特別以外には見られない」という言葉、そこには微妙なすれ違いがあるのだが、果たして2人はそのことを伝え合うことが出来るのか。

 うーむ、しんどい。

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 またマホプリ2人が揃っちゃったよ! 第12話。油断するとす〜ぐみらいとリコが同じアフレコ現場に出てくるな。今度はどんなものをエクスプロージョンしてくれるんでしょうかね。

 新章突入。ついにエミリアを中心にした「王選」が動き始める。いや、「ついに」とか書いてみたけどこれまでその「王選」ってのが何なのかはさっぱり説明が無かったんですけどね。今回、最後にラインハルトさんたちが説明してくれたおかげで、この国の現状は何となく見えてきた。現在統治者が不在の状態で、なんだかよく分からない予言の書から時期王位を決定するなんちゃらマッチを開催するってことなのね。「5人の王位候補者」はなかなかの曲者揃いで、エミリアはそんな中でもなんか微妙に弱そうな1人。ロズワールはその正当な後援者であり、国内でも貴族としてそれなりの地位を持っている、と。第1章で麻美子が奪おうとしていた紋章みたいなアレは、この王位争奪戦の参加に必要な通行証ってところか。

 再び王都を訪れ、その導入となったのが今回の1話。舞台が移り変わって状況説明するだけの回なので普通に考えたらあんまり面白くないはずなのだが、一気に登場人物も増え、特にトーンダウンしている感じはない。スバルの生き死にが一切心配されないという意味では非常にレアな回だが、思わせぶりなカット割りなんかもちょこちょこあったので、今回もきっとそれなりに伏線が仕込まれていることだろう。

 エミリアを取り巻く新キャラを確認しておくと、最初にロズワール邸を訪れたのは同じ猫耳なら羽川翼さんみたいな声をした護衛役の男の娘と、賢雄ボイスのナイスミドルなおじさま御者。後の議場での対話からすると、こいつらが後ろ盾になっているのは井口ボイスのどこか抜けた印象の生真面目候補者(イメージカラーは緑?)である。続いて、王都に入った後に相変わらずもめ事に巻き込まれることだけは得意なスバルが自分から首を突っ込んだのが、CV田村ゆかりの非常に分かりやすいテンプレお姫様(イメージカラーは赤)。CVのおかげでどこぞの奇策士の人とイメージが被るが、なにか強固な自信に裏打ちされた鷹揚な態度を見るに、本人もそれなりの実力者なのだろうか。一応、ちょっとだけスバルとフラグを立てたりもしてる。このお姫様の護衛が、隻腕な上にファッションセンスが異常という、CVけーじ君のヘンテコマスク。自称「渋くて気のいいおっさん」だが、まぁ、確かにそんな雰囲気だな。個人的には、スバルとこのお姫様の出会いのシーンの「王都にはお前ら3人しかチンピラがいないのかよ!」は正直笑った。マジでそう突っ込むしかないよな。あんな人口多そうなのに。

 4人目の候補者は謎の関西弁を扱うふわふわした女の子(イメージカラーは白だからエミリアと被ってる?)。関西弁といえば、ということで植田佳奈が起用されているのが非常に分かりやすいし、関西弁をしゃべるので割といらちでリアリスト。異世界でも関西人のそういう立ち位置って変わらないんでしょうかね。ちなみに、ここまで出揃ったキャスト陣を見て「なんかすごいことになっちゃったぞ。やまとなでしこ揃い踏みとか一体いつぶりだ?」って思ったけど、一足先に「坂本ですが」が色々やらかしてくれていたのでレアリティはそんなに高くなかった。

 さらに、これで出揃ったかと思ったところにラインハルトがぶっ込んできたのは、なんとかつてのこそ泥、フェルトちゃん(イメージカラーは黄色)。なんとまぁ、そういう展開になるとはね。確かにフェルトってオープニングでもずっと姿を見せていたのでなんか妙なポジションだとは思っていたのだけど。ってことはロム爺もなにか知ってる関係者なんですかね。虎の威を狩る時に使ったラインハルトさんがまさかの敵対勢力に与するという、スバルさんにとっては手痛い誤算である。

 とまぁ、これだけ出揃ってなにかが始まるわけだが……もう、色んなところに要素がありすぎてどこから何が起こるかは見当もつかないな。1章で麻美子みたいなのが動いてたってことは、この継承戦、割と何でもありの泥沼バトルだろ。また各候補者たちが揃いも揃って曲者っぽいしなぁ。スバルは発憤してたけど、エミリアってどれくらいこのバトルを勝ち抜く意思があるんだろう。少なくとも回りにながされているだけ、ってことはなさそうだし、確固たる目標もあるんだろうけど。どこぞから「半端者」って言われてたのは気になるところ。押しの弱いあの態度とか、スバルと最初に出会った時に嫉妬の魔女を名乗ったこととか、なんか後ろ暗い過去がまだ残ってるんですかね。スバルって本人が言ってる通りに「なにか会った時に死んで次善の策を考える」しかできないから、エミリアのためを思うとどれだけ鬱陶しがられても付きまとわなきゃいけないのは辛いところよね。

 今後の2クール目も楽しく見させてもらうつもりだが、現時点でとても心配なのは、「いくらなんでもレムさんがデレ過ぎている」ということである。スバルって基本的に鬱陶しいだけのヤツだと思うぞ。盲目すぎてスバルの全部が格好良く見えているようなので、彼女が若い身空で人生を棒に振らないように祈るばかりである。

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 ヒロイン力最大値更新、第11話。片眼ヒロインの両目が見えるっていうだけでも破壊力でかいよなぁ。

 もう、サブタイトルの通りなので特に説明も何も無い圧倒的レム回。一度ならずスバルをサツガイしたモンスターとは思えない転身の激しさであるが、ここ2,3話で充分にその下準備が出来ており、さらに今回は突然出てきた過去話で彼女の抱える生い立ちの業についても明かされ、それらが全て許されるべき結末は全くもって過不足のない丁寧な着地点だ。元々今回のロズワール邸エピソードは「いかにして屋敷の住人から好かれるか」というのをミッションに定めていたわけで、こうしてレムが限定解除してフラグを乱立出来るようになったことは、終わってみれば当初の予定通りの結末なのである。まー、こんだけヒロイン度数が高くなってしまうと、エミリアをどのポジションに置いたらいいのかよく分からないので困ってしまうけど。最後にスバルがエミリアと盛り上がる描写が入っていたのは、「あくまでもスバルにとってのお姫様はエミリア一人であって、レムは同僚としての友情タッグですよ」ということを確認するためなんだろうなぁ。まぁ、レムの方だってスバルに対して恩義は感じてるだろうが、今後どういう関係になりたいかはまだ分からないしな。出会って数日しか経ってないわけだし(それはエミリアも大して変わらないんだが)。

 レムの過去編では、実はラムの方が「妹よりもよく出来た姉」であったことが明かされた。姉妹をテーマとして扱う上では定番の処理であるし、そこまで驚くような内容でもないのだが、事前に「泣いた赤鬼」の童話が挟み込まれていたことが色々と意味深だ。「泣いた赤鬼」では青鬼が純粋に友情から献身を行ったが、ラムレムの場合、「青鬼」が身を粉にして姉のために働くのは、自らの過去への贖罪のためという。同じ力を持って生まれてくるべきだった双子。その間には決して超えられない壁が存在してたのだが、「炎の夜」と呼ばれた悲劇の一夜で、姉は妹のところまで転がり落ちてきた。そして、妹はそのことを歓迎してしまった。うむ、確かに罪の意識を感じるところではあるが、ラム当人が気にしてないところを見ると、レムもそこまで気負うような問題ではないんだよな。鬼の村人たちは惨殺されていたみたいだし、こうして2人が命だけでも助かっているのは僥倖。手負いの姉の面倒をみるために、今後は残された二人で二人三脚の人生を送ればいいだけの話なのだ。それだけでも充分「恩返し」にはなるのだし、わざわざ「贖罪」を意識する必要も無い。今回の一件について、ラムの方ではどう考えているのかを聞いてみたいところだが……いつも通りにヌルッとはぐらかされそうだな。

 双子が揃って満身創痍となってしまった魔獣とのバトル。あらゆる武力を喪失したスバル達はほぼ負け試合になったはずなのだが、ここでスバルがきっちり伏線を回収。駄目もとで発動したからっきしの闇魔法。その効果自体は大したもんじゃなかったが、なんとこの魔法の発動がロズワールを呼び寄せるシグナルとなったらしい。いや、それならラム達の風魔法でも探知できたやろ、とは思うのだが……まぁ、ひょっとしたら魔獣たちも風魔法が使えて、森じゅうに風の魔力が溢れていたところに、一点だけ闇の魔法が発現したから限定出来た、とかいう設定もあるのかもしれないが。とにかく、闇魔法が発動するよ、ということを読み切ってアドバイスしてくれたエミリアのファインプレー。普通に考えて、この状況下で突然この指摘が出来るのはよっぽどの策士か、よっぽどスバルのことを理解しているかのどちらかだ。まぁ、後者なのだろうが……だから、二人が出会ってからまだ数日しか経ってないんですけどね。

 無事にスバルのループは終わり、今回の件はめでたしめでたし。レムの警戒も解かれ、圧倒的デレの前にはこれまでのループで味わった数多の苦痛など気にもならない。スバルからしたら久しぶりに枕を高くして寝られる、ありがたい日常が戻ってくるってことだしな。でもまぁ、ロズワールとラムの様子を見る限りではそう簡単ではないようだが……。今作は2クールなのね。次なるミッション、個人的な注目ポイントは「パックが活躍出来るかどうか」ですね。

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 冒頭のパックのむしゃむしゃだけで割と満足してしまった感のある、第10話。まぁ、単なるゆーみんファンの感想ですが。今回だけをピックアップしてもパック、ラム、レム(あとスバル)と、今作はキャストのいい仕事が色々と楽しめるのが素敵。

 死に戻ったわけではないが、エンディングを確定させるまではもう一歩、ラストミッションが待ち構えていた。結局あの魔獣大暴れの状況からは「青鬼」レムの力によって一時的離脱に成功。さらに村に帰還したレムのおかげで子供たちは一命を取り留め、村の結界の不備も報告されたおかげで魔獣が好き放題暴れて村が壊滅する危機は避けられた。今回のごたごたではっきりしたが、これまで何度も何度もスバルが死に戻り、さらに一度はレムが呪術で殺されてしまったという惨事は、ほぼ1体の魔獣のせいであった。つまり、もしスバルの死に戻りが無かった場合、その他のパラレルワールドでは、結界が破られた村が少しずつ魔獣に侵食され、少なくともスバルと同じ5日目の夜に子供たちはほぼ死に絶えていたのであろうし、結界が破れたままだったらロズワール邸も含めて領地は壊滅的な打撃を被っていただろう(レムが呪い殺されたことがあるという事実は、ロズワール邸の面々でも警戒していなければ対策出来なかったことの表れである)。つまり、こうして村の危機が回避出来たルートというのは今回が初めてのこと。スバルの苦労は決して無駄なものではなく、スバル一人の問題でもなかった。スバルはループを繰り返すことで、またしてもエミリアの命を救っていたのである。

 しかし、そうしたハッピーエンドもまだ確定ではないというから面倒臭い。魔獣の呪術ってのは色々と制約が多くて大変な代物なのかと思っていたのだが、「魔獣の従僕が噛み付けば噛み付くほどに累積する」という無体な性質を持っていたようで、結局スバルは死の運命から逃れられていない。さらに、ベア子ですらどうにもならないその呪いの唯一の解決策として、怒り心頭のレムさんは魔獣殲滅作戦のために一人で野山に分け入っていった。まぁ、他の面子とレムでは戦力が違い過ぎるので、いっそこのレムさんの単独行に一縷の望みを託してみるのもありだった気もするが、流石にそれじゃ主人公の名がすたるし、ラムは座してみているだけなんてことは出来ないだろう。結局、どれだけギリギリで救われた命であっても、スバルはまた危機の中へ飛び込んでいくのである。「命は1つしかない、大切だ」なんて白々しい台詞を言っており、どう考えても「お前が言うな」案件なのだが、まぁ、自虐的ながらも「今のループを精一杯生き抜く」という彼なりの宣誓みたいなものだ。他の面々からしたら、それは文字通りの意味でのみ受け入れられる、「最後のあがき」である。

 ぶっちゃけ、ラム1人でも大変な森の中にお前が入っていっても役にたたんだろ、と思っていたのだが、スバルには常人では考えもつかない斜め上の作戦があった。なんと、「死に戻りを誰かにばらそうとすると嫉妬の魔女が自らスバルをいさめに来る」という圧倒的なペナルティを逆利用する形での特性発揮。この発想力はすごい。まずもって、死に戻りカミングアウトの時に何が起こっているのかをしっかり把握出来ているあたりがすごい。そりゃま、視聴者目線から見れば「なるほど」程度で済む発想かもしれないが、スバルの立場で考えると、彼が得た情報は「自分からは魔女の匂いが嫌と言うほど漂っている」「死に戻りを誰かに話そうとすると、なんか分からないけど致命的な存在が自分の中をよぎる」という2つの事実だけ。この2つから「死に戻りカミングアウトによって自分の魔女の匂いを増幅できる」という発想に至り、さらに「匂いが強ければ魔獣は問答無用で自分を襲う」という結論に至るまでにももうワンステップ必要だったはず。凄まじい発想の飛躍で、成功(?)したから良かったようなものの、ぶっつけ本番で駄目だったらラムともども路頭に迷っていたかもしれないのだからなかなかのギャンブラーだ。

 そして、策が成った後はもう、ラム・レムのエプロンバトルシーンをげっぷが出るまで堪能するだけ。今回のコンテ担当は細田直人。けれん味あふれる動画モーションの見せ方はピカイチの演出家である。レムのアクションはこれまでも様々なシーンで見られたものだが、今回はさらに一段レベルアップした超絶技巧で恐ろしいクオリティを見せつける。何がすごいって、どのモーションも「同じものの使い回し」が無く、状況に応じて全て「見たことがない」所作で暴れ回っているところだ。個人的にメイド服にそんなに思い入れは無いが、今回のバトルから「戦うメイドさん」に目覚めてしまう人間がいてもおかしくないレベル。とにかくレムの鬼気迫る大迫力は、文字通りに「鬼がかって」いたのである。

 結局、レムはバーサーク状態がそのまま持続し、スバルが下手に魔女の気配を増幅させてしまったもんだから、もう思考も追いつかずにただひたすら「穢れをぶっ壊すマシン」へと変貌。スバルが大切な姉を抱えていたことすら、ひょっとしたら認識出来なかったのかもしれない。そんなレムに最後の望みを託す、スバルのスローイング・メイドアタック。超シリアスなシーンなはずなのに、あそこだけなんかとぼけた表情になっちゃうのが最高に可愛い。ちなみにラムのパンツは黒だったのか、それとも影になって見えなかっただけなのか……

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 わー、コンテが上坪さんやー、第9話。いや、正直観てても気付かなかったんだけどさ。っつうか、そもそも今回画面が全体的に暗いシーンが続いたせいで後半はディティールがよくわからんかったわ。

 これまでのループとガラッと変わって展開が劇的にファンタジー。この作品、アイディアの素晴らしさは間違いなくオリジナルなんだけど、こうしてループを一回しするごとにちょこちょこと「先にそれは言っとけよ」っていうお約束のファンタジー属性が軽々しく入ってくるのはちょっと悩みどころ。前回のエピソードでは「呪術」という存在がいきなりベア子によって導入され、しかもやたらと便利な代物だったので「設定のための設定」臭が強くてちょっと受け入れがたかった。呪術って普通に考えたら相手に手を下さずに陥れるための道具立てであって、「相手との接触」が条件になっているのも違和感があるし、施行されたらほぼガード不可の致死技っていうのもいくらなんでも。そんなヤバい存在だったら前回のループのときにロズワールやベアトリスがレムの容態について警戒しててしかるべきだと思うんだけどね。結局、前回のループはスバルの動向を全く無視したとしても「ロズワール邸が外敵に侵略されて使用人が殺された」っていう純粋な落ち度だったわけだし。設定が追加されると今まで見えてた構図が歪んじゃうのはちょっとなぁ。

 今回導入された新たな概念は「魔獣」。どうやらこの世界における魔女って存在は全人類を脅かす絶対的な悪の存在として定義されていたようで、その魔女の悪意を体現しているのが魔獣ということだろうか。これまで何でそんな重要な要素にスバルがノータッチだったのかは気になるところだが、まぁ、一応1つ目のミッションは街中だったし、今回もロズワール邸にずっと囲われていたために知らなかったのはしょうがないところか。流石に「村が魔獣に襲われないのは結界があるおかげ」とかは知っておくべきだったと思うけども。もしこの世界のフィールドが魔獣に溢れてるなら、3週目のループで無事にレムから逃げおおせても、結局のたれ死んでいたってことだろうしなぁ。スバルが全然この世界の知識を摂取しようとしないのは困りものだ。

 まぁ、そんな設定云々はさておき、スバルの乾坤一擲、村への出張から呪術をその身に受ける「囮作戦」は成功。ベアトリスに解呪してもらうところまでは織り込み済みだったわけで、このスバルの行動は間違っちゃいない。ただ、残念ながら今回のエピソードでさらに明らかになったことには、呪術って別に1人に対してしかかけられないものじゃないんだよね。お前がターゲットになったからって、レムの被害を回避出来る保証は無いのだけど……一応レムが他の村人に触られないように警戒していたってことなんだろうけど。さらに一連のスバルの動きが影響を与えたらしく、ロズワールがお外に呼び出されるという変化も起こった。どこがどういう風にバタフライエフェクトしたのかは現状では定かじゃないが、この辺りは今後説明してもらえるのかしら。とにかく、これまでのループとは随分毛色の違う展開。

 解呪に成功し、さらに呪術師の正体も判明したことで今度は攻めに転じるスバル。「村が危ない」というのが最大のモチベーションであり、ひたすら逃げ回っていた前回のループとはエラい違いだが、色々な事情が判明したことで義侠心に火がついたのだろうか。一度は自分の命を奪ったレムとの二人旅はどう考えても肝が冷えるが、鉄球を見ても逃げ出さないのは本当に偉いな。対決する「魔獣」は「魔」とは言っても割と普通の獣。いや、普通の獣でも生身の人間とタイマンだったらどう考えても勝てないレベルなんだけど、スバルは何故か根性で勝ってしまう。狼退治出来る時点で既にこいつチートじゃんね。まぁ、そんな簡単に終わっちゃつまらないってんで、さらに獣は大群を追加。一応、あの子犬がボス格で群れをコントロールしている設定のようだ。子供たちのためにその身を投げ出したスバルが再び命を諦めかけたところに、今度はレムが駆けつける。自分の命を奪った鉄球が今度は救いの神になるという、何とも皮肉なセッティングだが、暗い森の中というシチュエーションも相まって、あの時とは真逆の関係性が逆説的に今のスバルとレムの仲を示している。度重なるピンチを乗り越え、命を賭してスバルを救ったレムはなんかタガが外れて「青鬼」として覚醒。さらに、今度はその青鬼を助けるためにスバルが命を投げ出し、これで二人の間には友情タッグが無事に成立だ。正直、このループでレムの信用を勝ち取るってのはどうやったらいいんだと心配していたのだが、流石に命懸けで守ってくれた恩人は殺せないかな。既に色々と余計なことをしゃべってしまっているスバルはこの後全てが解決したとしても事情の説明がすげぇ大変だと思うのだが(ループに触れずに自分の立場を説明することって出来るのかしら)、ひとまずは目の前の脅威の対処だ。このまま2人で逃げ切れるのか、それとも助けが駆けつけるのか。夜中だからパックさんが使えないのがなぁ。せっかく可愛いのになぁ。

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 パックがただひたすら可愛いな、第8話。改めて見ると、こいつ完全にネコなんだな。翼も鱗も何にも無い、単なる空飛ぶネコ。そして思ってた以上にサイズが小さい。今回の映像を見る限りだとスバルの片手に収まっちゃいそうだったし、現実世界で言えば小猫くらうのサイズだな。そりゃエミリアと相思相愛になるのも致し方ない。

 そんなパックの笑顔からも分かる通りに、今回は殺伐としたシーンが一切無いお話。1話でループせずに終わったということは、ここがラストの世界線ってことになるのかな。ただ、前回のスバルの悲壮な決意に水を差すようで悪いが、普通に考えたら手掛かりが少なすぎてかなりのムリゲー模様。だって、普通に考えたら「双子に好かれる」が任務の1つ目だとしたら1週目や2週目で解決してておかしくないもんな。2週目3週目は見事にレムを制御することに失敗してリタイアしているわけで、多少気張ったところで、普通に接しているだけでクリアフラグを立てられるとはとても思えない。むしろ今回の花瓶の一件に表れているように、スバルが事後のことを踏まえて賢く立ち回ろうとすればするほど、スパイ疑惑で冷ややかな視線を送る館メンバーにはより強い警戒心を抱かせてしまうだろうに。元々2週目の「なんかよく分かってない」状態のスバルが殺されているのだから、「分かった上で立ち回るスバル」は怪しすぎるに決まっているのだ。まぁ、今回のロズワールとラムの会話を聞く限り、先走って行動に出ちゃうのはレムくらいなものなんだろうが。つまり、「双子の攻略」というよりは「レムの攻略」が今回の目標なんだよな。

 そして、ここは流石にご都合主義が強すぎるように見えたが、彼の頑張りを見たエミリアがご褒美モードに突入したことで、「姫様の信頼を得ているスバル」→「双子も信用しそう」みたいな妙な流れが形成されている。そんなことでいいんだったら、スバルは「エミリアに双子との仲を取り持つようにお願いする」っていう手っ取り早い方法があったと思うんだけどね。あと、予防線を張る目的だったら4回目のループのときの成果を活かして、とりあえずベアトリスに護衛を任せておくっていう選択肢もあったはず。交渉にも大して材料がいらなかったはずだし。出来ることは全部やっておけよ。

 まぁ、今回「ご都合主義」に状況が転がっているように見えてしまったのは事実であるが、一応脚本の意図としては、「4度の失敗を乗り越えて精神的に成長し、何かに向かって必死に抗う様子を見せるスバルに、回りの人間も何かを感じ取った」という展開なのだろう。エミリアがその代表選手であり、不安でぶっ壊れそうなスバルに対して圧倒的メインヒロインパワーを発揮。彼女は本当に何も分かっていないはずだから、多分彼女視点からだと「スバルってここに来るまでに色々と苦労があったんだろうなぁ」程度にしか考えてないと思うんだけど、それでも何となく慰めてもらえるようになったのは、ひとえにスバルの頑張りが評価されたからだ。人間、結果を求めるばかりでなく、とにかく熱意を持って接することが大事ってことよね。

 この「スバルの必死さ」は今回のお話を支える重要なファクターである。前回もちょっと触れたが、いわゆる「ラノベ的な適当さ」であるなら、今回のループでもスバルはいつも通りの態度でゲームのようにフラグを模索する展開になっていたと思う。だが、「同じ場所で4回も死を迎えており、うち3回では信頼すべき同僚が自分に明確な殺意を持っていることが明らかになっている」という修羅場は、普通の精神では耐えられるものではない。それこそループなんて投げ出して初日で逃げ出してもおかしくないレベルだ。しかし、そんな重圧の中でも、スバルは孤独に戦いを続け、何とかか細い可能性の中から手掛かりを掴もうとしている。そのあたりの「見えにくい絶対絶命」が今回のお話でもきちんと活かされており、スバルの人格形成に一役買っているのは上手い筋立てだと思う。こうして「強がり」に置換されると、以前からのスバルのウザさも全部前振りだったように見えてくるな。いや、まぁ、ウザいんだけどさ。

 その他、なんだかとってつけたように魔法学講座なんかが開かれ、おそらく今回のもう1つのミッションである「呪術師退治」にはこれが活かされるんだろうな、みたいな露骨なフラグも立った。今にして思えば、中二じみたこだわりを持つスバルが過去に全然「魔法が使えるかも」っていうアプローチをしなかったのが不自然なくらいだけどな。地水火風に加えて「陰陽」という属性がマナに与えられたこの世界で、スバルはまさかの「陰」。しかも闇の炎に抱かれて眠ったり出来ないタイプの陰。でもまぁ、主人公が習うくらいだからきっと強いんだろう。実際、パックの見せた五感封じは圧倒的な性能だったし。乙女座の黄金聖闘士が使うレベルの技やぞ。デバフ舐めたらあかんな。まぁ、今回活かせるかどうかは知らんけど。

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 すげぇぞ、回を増すごとに盛り上がってくる、第7話。いわゆるラノベ的スタート地点からの作品で、加速していくっていうのはひょっとしたら初めての経験かもしれない。

 今作で見事なところは、「予想をいい方向に裏切ってくれる」部分だ。十把一絡げでまとめられる「ラノベ的」展開をベースにしながら、「ループものだし、こういう展開でこうなればOK」みたいなこちらの予想を、無茶苦茶な方向ではなく、少年漫画的な要素やサスペンス的な要素を混ぜ込みながら、「そっち方向に伸びるのか!?」と裏切ってくれる。具体的に言えば、前回までの流れは「ロズワール邸にスバル殺しの犯人がいる」という犯人捜しの展開(テンプレ)に乗せ、レムの犯行ということで無事に1つのカタルシスを得た。普通の予想ならば今回でレムの動機が確認され、それを避けて「ループの脱却」を目指すお話が設定されていたはずだ。実際、スバル本人は強くこの「テンプレ」に則った行動をとっており、例えば「5日目の朝が迎えられれば勝ち」とか、「生き残ることが条件だった」とか、あわよくば単純化した設定の中で自分の勝ち負けを判断しようという「逃げ」の姿勢を見せていた。普通に考えれば、暗殺者と一つ屋根の下に暮らしているのだから5日目だろうが6日目だろうが次の夜に殺される危険性はあるわけで、たかだか一晩生き延びただけで安心出来る理由など全く無いのだが、それを「クリアした」と平気で言ってしまうあたりが、私の思うところの「設定が単純化されたラノベ的な」展開である。

 しかし、そうしたスバルの思考に対し、「それは違う」と常識的な反論を繰り出すだけでなく、さらにもうひとつのサプライズを重ねることで物語を前へ前へと進めていく。「スバルが生き延びたら今度はレムが殺された」→「レムを殺したのは初回・2回目の毒物使い」→「殺意は別なところにもあった」という展開。さらに、ここに少年漫画的な挫折と復活の物語が加わる。レムの死という、ミステリ的に非常に興味深い題材が目の前にぶら下がるが、ここで単純に「失敗したからもう一回戻ろう」という発想に至らないのはとても好感が持てる。何しろ、スバルは「戻る=死」なのだから、そんなに簡単にループが選択出来るはずがない。今までのおちゃらけた雰囲気だったらひょっとしたら可能だったかもしれないが、1つ前のループ、レムからの殺意を向けられたリセットは、これまででもトップクラスに陰惨な殺され方。信頼していたレムにあからさまな殺意を向けられ、苦しみ抜いた上で舞い戻ってきたこの世界。そして今度は、全く同じ顔をしたラムが、かつての妹と同じようにして憎しみをむき出しで襲ってくるのだ。スバルが「死にたくない」と思うのは当然のことである。レムとラム、そしてエミリアが大切なのは間違いなく、仇を取るために戻りたいという気持ちもあるのだろうが、そんな浅薄な「関係性」よりも自身に植え付けられた「恐怖」が優先される。ごく当たり前の展開だ。しかし、ここまで持ってくる段階で、様々な感情の動きがしっかりと描かれているからこそ、このスバルの「逃げ」が正当化される。うわべだけを追った「ループゲーム」だったなら、このスバルの態度はひどく薄情に見えてしまったことだろう。これまでの3度のループの積み重ねが、彼の持つ恐怖や諦観をきっちりサポートしているからこそ、今回の話が成立している。これまでの一見おちゃらけていたように見えるパートが、十全に機能しているということだ。

 そして、ここまで落とし込まれたからこそ、彼の「進歩的自殺」というエポックメイキングな決意が、滑稽ではなく、立派に「成長の結果」として認識される。崖の上でのベアトリスとの対話、沈む夕陽を手に握り込むスバルの姿は、これまでで初めて、格好良いと思えるものになっていた。まぁ、相変わらずラムとの会話ではふざけた態度が出てしまっているので「どこまでいってもコイツは……」という気持ちもあるのだが、まぁ、そこはしょうがない。スバルが何をもって「死に戻り」を自身の「長所」として受け入れるのか、どこまで極限状態に至れば人は死を前進ととらえられるのか。今回のエピソードは、ラストにいたるまでの構成全てで、その部分をしっかりと映しきっていたように思う。双子やスバルの中の人たちの熱演もお見事だ。

 とまぁ、そんなこんなで一本のドラマとして満足してしまったわけだが、今回はさらに謎の部分にもいくつか補足が付けられているので、今後の展開を考える上で欠かせないお話にもなっている。まず、重要な追加情報として、「スバルは死に戻りを他人に告げられない」というペナルティがついた。ぶっちゃけ「これまで言おうとしなかった方がおかしいやろ」とは思うのだが、とにかく初めて他人に告げようとして失敗した。「何故駄目なのか」という部分は理屈で説明出来るものではないが、今回のアニメ的な描写だけでも説得力は充分だろう。更なる追加情報である「嫉妬の魔女」という存在を考えると、死に戻り能力は異世界転生を果たしたスバルにその「魔女」とやらが付与した能力なのだと考えられるが、純粋にメリットだけの魔女の呪いなんてあるわけがないし、1人で抱え込むことを条件とした契約内容になっていると考えれば問題無いだろう。

 そして、この「嫉妬の魔女」の存在がレムを凶行に走らせた原因の1つにもなっている。改めて整理すると、レムは「魔女の匂いがこびりついたスバルをエミリア陣営の敵だと認識し、そんな人間がラムと親しくしていることがとても許せなかった」という動機で2度目、3度目のループにおいてスバルを殺している。おそらく1度目のループでも同じことを考えていただろう。しかし、4度目のループではスバルが書庫に身を潜めていたためにその殺意が不発に終わり、代わりにレムが何者かによって殺害されることになった。その方法は1回目のループでスバルを殺したものと同様と考えられる。当然、この殺害方法に関してはラム・ベアトリスは容疑者から除外される。するとロズワールが怪しいことになるのだが、どうも彼がレムの亡骸の前で取っていた態度からするに、彼もそんなことをするようには見えない。そうなると、ロズワール邸とは全然関係無い第3者が外から危害を加えてきたということになるのだが……それだとミステリ的なネタとしてはあんまり面白くないな。

 とりあえず、スバルは「魔女の匂い」という最大の疑惑要因を何とかするところから始めて、双子の疑いを回避する必要があるだろう。その上で、レムと彼自身を殺した謎の第3者の存在を喚起し、対策を練る必要がある。どう考えても現時点では情報が少なすぎる気がするが……とりあえずスバルが対策に前向きになれたので、情報収集は積極的に行えるはずだ。次のループがあるのかないのか。来週もドキドキしながら見守ろう。

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