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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 あまりに綺麗に、最終話。綺麗ってのはお話的にもそうだし、映像的にも実に美しい。空と虹のモチーフ、シンプルだけど最高に見栄えが良いなぁ。こんなん、事実上の広がるスカイじゃん。空、晴れ渡ーるじゃん。

 王女と令嬢は相身互い。思いやり合うが故に避けられぬ対峙。賭け代はお互いの今後の人生。かけがえのないものだからこそ、ここで初めての痴話喧嘩、譲ることはできない。しかし、試合は始まる前から結果が見えていたようにも思う。あくまでも自己嫌悪や義務感から迫られていたアニスに対し、ユフィの想いは真正面からアニスを貫くだけのパワーがあった。恥も臆面もない告白対決で彼女が吐いた「私だけを唯一の消えない傷として欲しい」という言葉、あまりにも重すぎてちょっと太刀打ちできない。本来なら龍の力を宿したアニスは常人では届かぬところにあるはずの立場だが、天才はそれをも打ち破って我を通してしまうのだ。互いの深奥をぶつけ合ったからこそ、その決着に異論の余地は無い。

 王位を継ぐのはユフィ。精霊契約のシーンが特に描かれずにあっさりとそのことが決まったので何だか軽いエンディングのようではあるが、彼女の今後を思えばなかなかに重たく辛い決断でもあったはず。それでも2人の道行きに何一つ翳りが感じられないのは、今回の一件を機に、2人が最後の障壁を取っ払って根っこの部分からわかりあうことができたおかげだろう。アニスは両親やイリアにすら打ち明けていなかった「転生」の事実を共有するに至った。これが、事実上最後の「契約」であろう。その後のユフィのグイグイくる感じ、「なんとまぁ、アニ×ユフィではなくユフィ×アニがスタンダードだったとは」と驚かせてくれたものである。

 アニスの転生COは、今作に残っていた最後のしこりを取り去ってくれる重要なシーンである。実は偶然なのだが、先日この作品の原作を読んでいる知り合いと話をする機会があり、その時に「転生設定だけ全く効いてないのが惜しいけど」と言ったら「そんなこともないよ」というアンサーがあった。原作でどの程度扱われているのかは定かで無いが、今回のアニスのCOはまさにその部分を埋め合わせてくれるもので、彼女の行動理念を詳らかにする重要なものである。そう、どうしてもなろうストリームの中で転生ってのは「単なるチートのお題目」としてしか使われていない感があったが、アニスの場合、転生はむしろ枷だった。自分ではどうしようもないことだし、「前世の記憶がある」というだけでそこに良し悪しをつけるものでもないかもしれないが、「もしかしたら自分は異邦人なのかもしれない」という負い目が、生まれながらにして付き纏っていたのだ。そこには「本来なら魔法が使えていたかもしれないこの世界のアニス」のことがチラつき、詮無いこととはいえ、「自分がいなければ」と考えることもあったのだろう。この負い目が、先週疑問に思った「存外王位継承のこと気にしてるやん」というアニスのスタンスの答えであり、ムキになってしまう彼女の性根を形作るファクターだったわけだ。「転生の負い目」という要素は過去作では「本好きの下剋上」のマインでも描かれた要素だが、なるほど、きちんと有機的な結びつきがあればドラマを膨らませる要素として機能してくれるものである。

 まぁ、そんなこんなで前世の因縁すら乗り越えて、2人は未来を築いていく。体制の解体のために下町でロケット作ってブレイクしていくっていう戦略もなかなかインパクトがあって良いよね。まぁ、しばらくは保守派からの風当たりも強かろうが……「転生」と「天才」ならばきっとなんとかなるんだろう。アニスが「空」、ユフィは「虹」。結果的にはこれが「虹かける空」→「ユフィ×アニス」の象徴となるのでありますな。お後がよろしいようで。

 

 

 

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 よろしい、ならば決闘だ、第11話。譲れないものがあるなら力でねじ伏せろ。それこそが王道であると、王女は宣うのである。

 クソみたいな国のクソみたいな体制に踊らされ、若者たちは苦闘を続ける。アニスはすでに自分の人生を諦め、全てを犠牲にしてでも王室を保とうと決意したわけだが、想像以上にキツいジジイたちが集まっていた精霊魔術信仰派閥。まぁ、これまで散々描かれてきたので「魔法にこだわる」はいいとしよう。その上でアニスを侮蔑し、とてもじゃないが王族に向き合っているとは思えない態度で上からくるのもまぁ、しょうがないと思えるかもしれない。しかし、最後に一発ぶちかましたセクハラ部分がたまらない。あれは吐く。そりゃしょうがねぇ。この世界のこの時代にセクハラとかいう概念もないのだろうが、普通に考えて国の為政者に向かっての下世話な話題はアウトオブアウトな気がする。それをやっちゃうあたりが下衆な連中の下衆さの表れなのだろう。一筋縄じゃいかないこの国の旧態依然とした体制が嫌というほどに滲み出している。

 一応、彼らが言ってたことで気になるのは「現国王もまだ世継ぎ作れるんじゃね?」発言の部分だろうか。まだ40手前だとさ。まぁ、晩婚化の進む現代社会とはずいぶん違う社会体制だろうし、10代とかで子作りしてても不思議じゃない。アニスが17歳らしいので王様も女王様もなんとかもうひと頑張りできないものか……とは思うけど、今更新しい弟ができてもアニスもちょっと困る。どこぞの漫才師に「めっちゃエロいやん」とか言われそうで王様が尻込みしちゃうのもしょうがない。やはりアニス目線では「もう立派に大人なんだし、自分が背負い込むしかない」というのが正直なところだろう。

 ただ、意外だったのはそうして渋々「ならざるを得ない」王位継承だったはずなのだが、アニスがそこに存外の意味を見出していたという部分。おそらくアルガルドの放逐後に随分思い悩んでもいたのだろう。一度は破棄したはずの継承権が舞い戻り、「自分がやるしかない」という立場に置かれて苦しんだこの数日間。そこでの決意は、もはや「それが私の生きる道」という強迫観念にまで凝り固まってしまったようだ。いざ横槍が入ったら、それはそれで寄る方がなくなってしまう。

 それこそ新しい弟でも出てきてくれたらよかったのかもしれない。もしくはアル君が突然放免されても復帰とかなら万々歳。姉弟で手を結び、各方面からこの国の改革にも着手できたはず。しかし、よりにもよって出てきたライバルがユフィである。アニスは自分の今後の夢を代償に王権を握る。そしてユフィは、自分の命、人生全てをかなぐり捨てて王権を簒奪しにくる。どちらがより大きな代償かなどと比べられるものでもない。互いが互いを思い合った結果の、自己犠牲のぶつかり合いだ。共通するのは、どちらも「相手に譲る気は全くない」という頑固な部分だけ。

 ユフィの申し出が無茶苦茶なものであるのは間違いない。先例のないとんでも話だし、犠牲の大きさも尋常じゃない。その場の一同が「頭おかしいやろ」とざわつくのは当然のこと。しかしユフィ目線は単純で、別に自分が死ぬわけではないし、すぐさま苦痛を伴うこともない。自分が愛する人が夢を追いかける手助けができて、自分の才を国の発展のために捧げることができる。王位が手に入れば、それから先にアニスとの生活だってしばらくは続けられるだろう。精霊への献身というその後の代償にしても、ドラゴンとやり合って遺産としての知見を押し付けられた「人ならざる」アニスにとやかく言われるようなものでもないとも言える。どう転んでも化け物同士、これまでの常識ではこの2人は意見を変えない。

 「わからないだろうな……この次元の話になると」を地でいく2人。話がわかるのはせいぜいティルティくらいのものか。そう、ことここに及んでも、アニスにはユフィ・ティルティという、決して見捨てない親友が2人もいる。もちろんレイニだって彼女を信じてくれているだろうし、イリアも言わずもがなである。バッドエンドしか待ち受けていないかのような現状であっても、アニスは充分に報われている。であればこそ、彼女はユフィにこれ以上の苦役を課すつもりは毛頭無い。対するユフィは、自分の犠牲など屁とも思わず、自分の選択したルートが唯一の正解と疑わない。

 よろしい、ならば決闘だ。正面からぶつかり合う百合物語の顛末は、少年漫画的に決着せよ。

 

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 そうなれば、そうなるやろ、第10話。いつの時代も世継ぎ問題ばかりが王家を揺るがすのだ……ただ、今回の嫡男喪失は色々と自己責任の側面も強く……難しいね。

 というわけで、前回危惧した通りにアニスの王位継承権は有無を言わさず復活させられたらしい。国の法律でどのような扱いになっているのかはよく分からないけど、流石に国王夫婦のご年齢を考えると「こっから3人目を作ろう」は現実味がないだろうし、唯一の権利者が犯罪者として僻地に流されてしまっては、残る1人、継承権放棄の放蕩娘を復活させるしか手がないのだ。アニスもそれは分かってるし、元々放棄したのだって国のことを考えての行動。ここで「お前しかおらん」と言われたら、何を犠牲にしてでも戻らないという選択肢は無いのである。

 当然、そんな状況になってしまったらいろんな人間の目論見は崩壊し、これまで培ってきた平和な世界にも翳りが見える。もちろん一番の被害者はアニス自身であろう。彼女はこれまで、継承権の無いのをいいことにやりたいことを自由にやらせてもらい、それが結果的にはストレスの無い世直しにつながっていたわけだが、今後はもうそんな免罪符は手に入らない。自由やら何やら、いろんなものを犠牲にして手にしなければいけない国の平和。天秤の両側に乗っているものの重さを知っているからこそ、全てを飲み込んで黙って現実を受け入れる。これまでの破天荒な言動からぶっ飛んだ人間に思われがちなアニスだが、結局は最善だと思われる手段をとってきただけの堅実派。ここにきて、彼女が選ぶ路線は「自己犠牲」の一択である。そして、犠牲にした「自己」には築き上げたユフィとの関係性も含まれるのだ。

 気づけばユフィにレイニと美女を侍らせていたアニスだったが、ことここに及んでは女の子同士でイチャイチャしてるわけにもいかない。当人だって納得してないが、あくまでも対面上は「研究助手」。まずはそう自分に言い聞かせて、ユフィとの関係性の調整を図る。それは至極真っ当な処理であるはずだが、ユフィからすればせっかく繋いできた関係性で突如はしごを外されたようなもので、自分にとっても、アニス本人にとっても良いことなのかと思い悩む。余計なことを考えない分だけ強いのはティルティ。付き合いも長い彼女はアニスが何を考え、何をやらかしているかは全部手に取るように分かる。だからこそ「彼女を思って」つっかかってるわけだが、残念ながら根っからの研究者気質のティルティと違い、アニスはあくまで「国を脅かさない範囲で」しか行動できない身の上。大きな目的のすれ違いから、ティルティはくさくさする感情を抑えられない。

 そして、そんなティルティからすれば最後の頼みの綱がユフィなのかもしれない。明らかにティルティよりも国政の中核に食い込める人材であり、ひょっとしたらティルティ以上にアニスのために動ける人間。あとは、ユフィがそのお利口な頭で「国のことを思えばこれが最善」とこらえ続けているのをどうにかしてやればいい。万人にとっての正解が、果たしてアニスにとっての正解なのか。まぁ、ものすげぇ適当にこれをまとめれば「仕事とあたし、どっちが大事なの」問題である。ティルティだけではいくらなんでも「あたし」側には引き込めないだろうが、そこにユフィも関わってくるなら、アニスのわがままマインドを吹っ切れさせることができるかもしれないのだ。ティルティはもちろん、そっちの方がアニスのためだとも信じているのだろう。

 しかし、やはり一歩は踏み出せないユフィ。彼女自身の気持ちを抑えているというのもあるが、「アニスがどれだけ苦しんで決断したか」が分かっているだけに、彼女の行動を無碍にすることもできず、思い悩んでいるのだ。八方塞がりで手のないこの状況ではいかに天才令嬢とて…………と思っていたら、何やらここで新キャラ投入。CV釘という明らかに重要なポジションの怪しげな精霊使い。どうやらこの国の王位継承に大きく関わっている様子だが……これ、ユフィは「私が代わりにこの国を治めるわ」っていう選択になるんだろうか。それはそれでアニスが幸せなのかどうかは分からんが……状況をひっくり返す手は出てくるんでしょうか。はたからみれば単なる王位簒奪なのだが……。

 やっぱりさ、一番手っ取り早いのは適当に理由つけてアルくんを呼び戻すことだと思うんだが……あいつもあいつでクソ真面目だから絶対許さないんだろうなぁ。

 

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 難しいよね、家族って、第9話。誰も傷つかない結末は無いのだろうけど、それにしたってちょいビターな幕切れ。もっと話し合う機会があれば、この結末も避けられたのだろうか?

 結局、互いに向いている方向は同じなのだ。アニスもアルガルドも国のためを思い、王室を守るために常に行動してきた。アニスは自分の生まれ持ったビハインドが周りの迷惑にならぬよう、先回りして見切りをつけた。しかし、それはある種の持てる者の傲慢でもある。後に残されたアルガルドからすれば、2人で一緒に国を作ろうと思っていたはずなのにハシゴを外された形。アルガルドも別に愚かではない。姉がどういう考えでもって継承権を放棄したのかが分からないわけではなかったのだろうが、やはり、先週も触れたようにその選択が「逃げ」に見えてもしょうがない。「魔力を持たぬ姉は王位につかぬ方が良い」というアニスの短絡的な決断に対し、より愚直だった弟は、「そんな理由で姉が王位につけぬなら、その国自体を変えてしまった方が良い」という結論に至る。そして、国を変えるには強大な姉の力が欠かせなかった。しかし、その姉が表舞台にいない。どうしようもないすれ違いは、すでに幼少期に始まっていたのである。

 もちろん、だからとてアルガルドが全て正しく、アニスが間違いを犯したなどというつもりもない。アニスは自分の手が届く現実を常に見据え、自分の目の届く範囲で出来ることをやってきたつもりだろう。そして、アルガルドがそんな姉を乗り越えるために、手を出してはならぬ悪行に手を染めてしまったのもまた事実。どれだけ同情したとて、彼がレイニに対して行った仕打ちは許されるものではない(ユフィへの対応は、まぁ不可抗力と言える部分があるので情状酌量の余地がある)。不幸中の幸いだったのは、あれだけの大惨事を引き起こしておきながら、レイニ嬢が一命を取り留めた部分だ。これでもし誰かしらの命が失われていようものなら、姉弟の間の溝は一生かけても埋まらないものになっていただろう。もちろんそれは、アルガルド自身の命も含まれる。そう考えると、やはり今回の顛末で一番のファインプレーはユフィが飛び込んだところである。姉も、弟も、ギリギリのところを天才令嬢に救われた。

 全てを出し切った姉弟喧嘩の果てに、事件は一応の決着を迎えるが、もちろん何一つ解決などしていない。これだけの騒ぎを引き起こしたアルガルドが、今までと変わらぬ状態で居座ることなど出来ないわけで、国王夫妻の涙ながらの決断は致し方ないもの。体面を気にしてる、と言われたらそうかもしれないが、それこそ現状の「腐った王国」内で、これ以上の譲歩は許されないのだろう。そして、アルガルドの廃嫡が決まってしまったとなれば、ついにこの国には王位を継ぐ者がいなくなってしまう。となれば、あとはもう、アニスがその座を引き継ぐ以外に無いわけで、一度棄却したはずの継承権を復活させなければいけないということに。アルガルドが我が身を犠牲にして、姉を再び王権のゴタゴタの渦中に引きずり込んだ形だ。アニスからしたら迷惑千万でしかないが、まぁ、自分で蒔いた種だと思って諦めるしかない。アルガルドが実現し得なかった改革を、今度はアニス自身が成し遂げていかねばならないのだ。これ以上ないほどの荒療治ではあるが、弟の想いを無駄にしないためにも、アニスも今後はもうちょい真面目に現実と向き合う必要があるのだろう。まぁ、有能な人材は着実に周りに集まっているのだし……なんとか一回り大きくなって権力闘争の荒波を乗り越えてほしいものである。

 個人的には、これでアルガルドが終わりってのは絶対に納得できないので、せっかく獲得したヴァンパイア・ミラクルパワーを引っ提げてどこかで帰ってきて欲しいですよね。今回のアニメの範囲では絶対無理だろうが、こう、コミックス15巻くらい(?)でアニスが太刀打ち出来ないような強敵とぶつかったタイミングで、颯爽と帰ってきて助太刀してくれるとか、そんな展開になったら超胸熱である。やれる男だよ、あいつは。

 

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 魔石デカすぎ問題、第8話。あんなクソでかいもんがレイニの身体に埋まってて今まで誰も気づかなかったんか? そんだけのもんを一気に引き抜かれたのにまだ息があるレイニもすごいし、それを移植(物理)しちゃうアルガルドもすごい。アニスがドラゴンの魔石を移植するためにあれだけティルティが頑張ったってのに、アルガルドはダイレクトでいけるんか。まぁ、今後その無茶が祟る展開にならなければ良いのだが。

 想像以上に残念な展開に向かってしまった悲しき姉弟の物語。繰り返し言ってるけど、アルガルドってやっぱり悪い奴には見えないんだよ。最終的に辿り着いた結論が悪いのは間違いないのだけど、そうした精神状態に至ってしまうまでの流れって、彼自身に責任が無いことが多くて、極論すればそれもこれもアニスが悪かったんじゃねぇかと思えてもくる。一概に決めつけられる問題でもないのだが、本当に巡り合わせの悪すぎる姉弟。そして、最終的には「この国がクソだった」というダイナミック責任転嫁をするしかない。

 私自身も「弟」という身分だから、アルガルドの気持ちってわかっちゃうのよね。上の兄弟が「捨てる」のって、自由なわけじゃない? そりゃ世間的には「長兄の責任が」みたいな話はあるのだけど、たとえば親の決めた道だとか、親族間での立場とか、「そういう役割はやりたくない」と決めて別な道を進むことは可能なんだ。ただ、そうすると親や周りの目から、下の兄弟はそれを「選ばなきゃ」いけなくなる。誰かがやらなければいけないことなら、上が逃げたら下に振りかかる。まさに今回のアルガルドのぼやきそのものの問題を、実は私も抱えていたりする。だからこそ、彼を単なる悪人だと見ることは出来ない。そして、彼がなぜここまで追い詰められたのかを考えるに、どうしてもアニスの所業が悪どいものに見えてしまうわけだ。

 もちろん、アニスに悪気があったわけじゃないことは重々承知している。彼女は生まれながらに魔法が使えない体質であり、今回の魔法省のおっさんの言説を見るに、それって王位継承権が無いのに等しいものだという。だったらさっさと身の振り方を公言し、隠居してしまうのが国のため。そこまでは正しい判断だ。しかし、そうして身を引いた意識があるなら、その「引き方」も国に影響を与えることを考えなければいけなかった。「あとは弟に任せたから自分は何してもいい」ではないのだ。放棄したなら、その後の弟を支えるところまで責任を持つべきだった。彼女はそこの認識が甘かったのだろう。冒険者ギルドに加入して好き放題やったり、独自の魔学の研究を進めて国内随一の戦力になってみたり。もちろん、それら全てがこの国のためなのだろうが、目立ちすぎることによる「王座」の揺らぎまでを考えていなかった。結局、古今東西、国が傾くのなんて跡目争いの問題がほとんどなのである。自分に野心が無いとしても、それを担ぎ上げようとする人間が出てきてしまう時点で手抜かりなのだ。アニスの転生者特有のマウントムーブ慣れが、弟との関係性を決定的に歪める最大の原因だったということだ。

 弟がこれほどまで思い悩んでいたことを、アニスは気づけなかった。もちろん、ここにきて「気づいてしまった」のだから、その責任を放棄するような人間ではない。きっと2人の志の根幹は同じもの。この国をよくしたい、変えてやりたいと思っている。しかしかたや世間的にその権利がなく、かたや風評的にその地位にない。どちらにしても欠けている姉弟。ここでの最善が手を取り合うことだとは、今はまだ気づけないだろうか。しょうがない、物理で語れ。

 そのあとにどうなるかは、もう人間の身にはわかるまい。それにしてもレイニ嬢……本当に不幸な身の上だ……ユフィの必死の治療、届くんだろうか。ここは流石に死なれては後味が悪すぎる。なんとか、天才の面目を保ってくれ。

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 羊宮ボイスのヴァンパイアって、そりゃ傾国だろ、第7話。寝起きのレイニが腕上げた時のおっぱいのむにっと感が犯罪臭しかしねぇんだわ。

 無事にレイニ嬢もメンバー入り。いや、なんのグループかもよく分からんけど。突然の同居人にユフィはポカンだし、イリアは露骨にしかめっつら。「これ以上面倒ごと持ち込むんじゃねぇよこのナチュラル女たらしがよォ」という苦労の多いメイドさんの心中はお察しします。本来ならそれ以上に心労がありそうなのはユフィの方なのだが、こちらは元々が人格者だというのもあるし、おそらく「アニスのやることに間違いなどあろうはずがない」という信頼が盤石なためでもあるだろう。過去の因縁はありつつも、あたたかくレイニ嬢を迎え入れることになった。

 世にも珍しい魔石持ちがこれで2人揃ったことになるのだが、ナチュラルボーンな魔石戦士に興味津々なのは異常者コンビ。ティルティさんはアニスからの説明を1聞いただけでおよそ事と次第を察したようで、そこからは基本的に人権など無視して自分の研究の役に立つ要素を画策している。本来ならこのわちゃわちゃした世帯の面倒を見なきゃいけないはずのアニスも、ことが研究となると視界が狭くなり、ひとしきりティルティと盛りあがっちゃう始末。そんな状態を見てユフィの心がクサクサしちゃうことなんて気づけないのである。そして、これに最初に気づいたのは意外にもティルティの方。普段からアニス周りの人間関係は多少なりとも気を配ってるのかもしれないし、自分に向けられた視線だから気づきやすかったってのもあるかもしれませんね。ユフィの心情を単刀直入に「嫉妬」と断定し、ユフィ本人も気づいていなかった彼女の本音を改めて提示してくれる。ユフィはそんな指摘に驚きこそすれ否定などせず、「自分はレイニのように学術的な対象としては見てもらえないし、まだティルティのように専門分野の話で盛り上がれるほどの実力もない。出来るところから始めないと」ってんで一念発起するわけだ。

 ユフィ目線の関係性、ちょうど「もういっぽん!」の南雲とは対比的で面白いですね。南雲は、「幼馴染だったけど変な闖入者(永遠)のせいで関係性が思う通りにいかなかったので改めてパワーでねじ込みに行く」というムーブ。それに対し、ユフィは「自身が新参者であり、ティルティという馴染みとの関係性には敵わないと思いつつも、なんとか自分だけの価値を見出してもらおうと一歩踏み出しに行く」というムーブである。関係性に年月の長さなど必要無いとはいえ、やはり「新しいオンナ」としてアニスに切り込む努力は怠ってはならないね。幸い、第3のオンナであるレイニに関してはアニスもモルモットとしてしか見ていないので(聞こえが悪いな)、そっちと揉める心配はなさそうやね。いっそのことアニス嬢は吸血習慣を通じてイリアさんとねんごろになって欲しい気もする。いや、あのメイドがそんなんで揺らぐとも思えないが。

 そうして奮起したユフィの晴れ舞台となったのが、面倒臭え魔法省からの呼び出し講演会。いきなり講演やれとかアウェーの環境で言われたらたまったもんじゃないが、ユフィは「アニスの対外交渉役」というポジションに自分の存在意義を見出したおかげでこのセッティングは渡りに船。まぁ、元々アニスだって既存の精霊信仰をバカにする意図などなく、自分が提唱する新技術さえ認めてもらえば凡百の民とも折り合いはつけられるわけで、「自分勝手すぎる天才」に「和をもたらす天才」が噛み合えば、少しずつ市民権も得られるようになるだろう。今回出てきた学会のおっさん連中がいかにもなろう的な衆愚の体現でちょっとイラッとしたが、まぁ、これくらいの旧態依然としたバカどもってのは現実世界でもあるものだからね……。ユフィの提唱した改善案でコロリと転がりそうだし、話の早い世界でほんと助かる。

 こうしてレイニまで巻き込んでアニスシンパが増えると……やっぱ気になるのは王子陣営なんだが、今回触れられすらしなかったな……。

 

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 呪いってつまり羊宮ボイスのことなのではなかろうか……第6話。あの声聞いてたら、そりゃ魅了の効果くらいはあると思いますよ。問題は、対抗の石見ボイスも同じように魅了効果があるので相殺しあうことくらい。ちなみに千本木ボイスには魅了の魔力は無いですが、なんか別な能力持ちの可能性はあります。

 今回はユフィとのいちゃいちゃ少なめ。その分がどこにいくかと思ったら、なんと例の婚約破棄がまだ尾を引いていたってんで事故調査委員会からの結果報告がもたらされることとなった。ほんと、今作では「婚約破棄」をとにかく詰めていこうという姿勢が容赦ないですね。なろう世界では単なるお約束だから、てっきりステータスオープンするのと同じくらいに気軽に婚約破棄してハイおしまいになると思っていたのだが……どうやら、そこには単なる痴話喧嘩以上の何かが含まれていたという。

 こうなってくると、俄然気になってくるのは「バカ王子」ことアルガルドがどのような人物であるか、という部分である。今回アニスは堂々と「バカなんだけど」と漏らしていたが、これはアニスにとっての本心なのか、それとも単なる軽口だったのか。アニスは自身が魔法を持ち合わせていないという体質だったため、余計ないざこざが起こらないようにさっさと隠遁して弟の王位継承権を確立させたはずなのだが、それって弟の才覚を信頼してのことではなかったんだろうか? 姉があんな跳ねっ返りなもんで、肩身の狭い弟さんはそりゃまぁ多少性格が歪む部分はあっただろうが、そうした鬱屈した部分を除いて考えた時に、国を任せるにふさわしい人材だと考えていたのか否か。少なくともこれまでは「かわいそうだし、なんか婚約者の選択を間違ってしまったかもしれないけど、一応は気骨もあるし野心もある若者」くらいに見えていたのだが……なんか、今回ラストで怪しい雰囲気を出し始めちゃったんだよな? いくら姉弟の仲が悪くなったからって、国を転覆させるようなダメなこと考えちゃうようなら大問題ですよ。

 今回の「真相究明」により、アルガルドが血迷ってしまった原因の一端は厄介体質のレイニ嬢にあることが分かった。こんな体質の人間がそこらじゅうにいたらたまったもんじゃない気もするが、どうなんでしょうね、案外人間社会でもこういう人ってちょこちょこいるのかもしれませんね。それこそスタンド「サバイバー」のように、特に意図せずに周りに諍いが起こりやすくしちゃう「体質」。どうやらレイニ嬢に自覚がなかったのは間違いないようなので、本当に今回のゴタゴタは「不幸な事故」という結論に。であれば、アルガルドがその事実を受け入れさえすれば、一応ユフィによりを戻す可能性もゼロではなかったはず。ただ、アルガルドのあの性格からして、あんだけ大々的に婚約破棄を発表しちゃったら、たとえ事実がどうであれその宣言は覆らないんだろうね。そして、そのわずかな可能性すら、今回のCパートで全部消えた気がするもんね。弟が本当にダメなルートに突入しちゃうと、アニスはユフィとレイニの両方の面倒見なきゃいけなくなるな……もう、百合ハーレムじゃん。

 ついでにハーレム要員としたはいささか物騒だが変な友達、ティルティも1話目ぶりに再登場。やっぱこいつもだいぶ問題児。変態と変態が歪み合いながらも通じ合ってる雰囲気も悪くないですね。王女様の背中にもんもん入れることに躊躇いがない友人、どうかしてる。ま、2人して楽しそうなので結果オーライなんでしょうね。メイドのイリアさんは、大事な姫さんの玉の肌を傷つけられてどう思ってるんだろう(今更もうどうでもいいと思ってそう)。

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 プロポーズ終了、第5話。これでもう、2人は魂の絆(Spirit Link)で結ばれてしまったのだし、残りのお話はもはや蛇足になるかもしれませんね。まぁ、実際にアニスが結ばれた絆はドラゴンとの呪いだった気もするけども。

 相変わらず、がっつりと2人のパーソナルな部分に踏み込んでのお話ではあるのだが、その前提として「やっぱドラゴンって強さの象徴だよね」という部分を確認しておきたい。そう、ドラゴンって、本当はこんだけ強いはずなのだ。持ってる武器の全てが人智を超えた存在であり、飛行・ブレス持ちでパワーとタフネスも段違い。レアだろうが神話レアだろうが、およそ人間が太刀打ちできる存在ではない。「火竜山の魔竜」シューティングスターなどの怪物を、どれだけの勇者が必死に打倒してきたというのか。それが太古の昔から連綿と続くファンタジーのお約束だったはずなのだ。それが今はどうだ、お手軽にドヤるなろう主人公の台頭により、ドラゴンは主人公のチート能力をひけらかす踏み台に成り下がり、その存在はどこまでも軽んじられてしまった。今となっては齢5000歳のドラゴンが最弱キャラとして少女に怯える始末(そっちはそっちで面白いからいいんだけども)。

 そんな現代なろうのドラゴン像に一喝。良いドラゴンでしたね。主人公はその異形にきちんと畏敬の念を持って接しているし、飛行、ブレス、フィジカルにタフネスと、持てる強さを遺憾無く発揮。勝てないと思わせるドラゴン像はやはり格好いい。そして、その強さを乗り越えるのはいつだって絆の力なのである。がむしゃらに突っ走るアニスに対し、その無茶もひっくるめて全部飲み込んでやると宣言したユフィ。2人の天才が交わり、ドラゴン討伐は初めて可能になったのである。まー、いちゃいちゃしてる姿を見せつけられたドラゴンサイドもたまったもんじゃなかっただろうが。

 改めて見るに、やはりアニスのキャラってのはなろう主人公とは思えない特異なものになっている。作品の都合上なのか、アニスの「前世」はほぼ描かれておらず、現時点で彼女がどんな人間だったのかは全く分かっていない。そこがなろう転生としては異質な部分で、彼女の今の姿を見ても、とても「第二の生」を生きているようには見えないのだ。生まれながらに魔力無しというハンディキャップを背負いながらも抱え込んだ魔学の力。それをもって自らの生を謳歌することだけを望んだ自己中心的な人物であれば単なる傲岸な主人公に成り下がるが、彼女がしがみつく「生き方」は、なんだか自分を中心に置いている気がしない。いや、とにかく自分の信じた道を行くという意味ではこれ以上ないくらいにわがまま勝手なのだが、何故か「自分が一番大事」という価値観がすっぽり抜けている。惰性の生よりも死に急ぐ自分らしさを大切にしている様子は、とてもじゃないが「2回目」には見えないのだ。

 中の人ネタで強引に結びつけると、彼女の生き様、キャラ設計はどこか渡辺さらさにも似ているのかもしれない。きっと「前世」や「魔法」など、本当は手にしたかったはずなのに失ってしまったものがある。その代償として、彼女は魔学の探究に命を捧げ、そのためには他の全てをなげうち、自分の世界に没頭してしまう危うさがある。それを止めてやれるのは、真に彼女を理解し、世界を共有しようとする他者だけなのだ。それは2人で舞台に立つことを誓った奈良田愛なのかもしれないし、背中を預けて空を舞うユフィリアなのかもしれない。どちらにせよ、そこには唯一無二のパートナーがいるのである。

 さて、これで2人の間には余人の立ち入る隙は無くなったわけだが……あの王子様がこの現状をどう見るか……。

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 先が読めないのは事実、第4話。この「何が起こるか分からん」感じが、狙っている意外性なのか、それともなろう特有の行き当たりばったりの極みなのか……。

 引き続き「気になる」作品ではあるんですよ。幸いにして作画クオリティは悪くなく、特に可愛いキャラといかついキャラの描き分けが魅力的。いや、主人公のクリスは「可愛くていかつい」でどちらのカテゴリにも入るわけだが……それをシーンごとにきちんと切り替えて見せてくれるので画面のメリハリは効いている。バトルシーンになった時にアップで見せる顔がゴリゴリに陰影のついた「クドい」画なのが今作最大の特徴。そうして暑苦しい画面でもってステゴロメインで挑む主人公は、映像としては既存のなろう主人公とは一線を画す存在かもしれない。まぁ、チート能力に胡座をかいて現世人たちを小馬鹿にしながら遊んじゃう精神性はいつも通りのなろうキャラではあるのだが……今期だとどこぞの陰の実力者あたりに近いかもしれません。クリスの場合は、現時点ではまだ社会的な地位を確立しておらず、冒険者風の成り上がりストーリーも諦めていないのが最大の違いかな。

 そうして真の実力を好き放題に振るって無双を続ける主人公・クリス。彼女の目的は本当に「俺より強いやつに会いにいく」しかなく、結果さえ伴えばその過程はどうでもいいと考えている。元が英雄王なんだから決して馬鹿ではないはずなのだが、一度重責から解放されたという特別感があるんだろうか、何だか必要以上に治安を悪くしようとしてるダメなやつにも見える。しかもこいつの「戦闘狂」設定、本当にステゴロで殴り合い前提の思考なのが恐ろしい。槍持ってる相手に殴りかかる神経は普通に考えたらイカれてるとしか思えないが。まぁ、そんな些細なハンデを吹き飛ばすのがなろうチートだからなぁ。

 そうして「俺より強いやつ」を見つけてしまった場合には、相手と殴り合うための条件を満たすのが第一なので、それが正義か悪かなど考える必要はない。今回のバトル、どう考えても悪役側のセリフを吐いてるのが主人公サイドだったもんな。現時点ではハイランダーってのがいい存在なのか悪い存在なのかもよくわかっていないのだが(まぁ、多分悪いんだろうが)、そのハイランダーの目的に加担するかどうかってんで一悶着。結果的には「良いハイランダーになら加担してもいいでしょ」って結論に至ったはずなのだが、肝心の依頼人がとち狂っちゃったもんだから、一転立場を変えて今度は制圧側へ。しかもそうして目的がころりと変わるのは主人公だけじゃなくて敵サイドもそうなんだよな。まさに今回クリスが「自分でお膳立てしておいてそれをいうのか」と文句を言っていたが、視聴者目線でもまさにその通り。どっちの陣営が何を狙って、どんなトラブルが巻き起こるのかが想像できない。変な作品である。

 そうしてドタバタバトルが繰り広げられた結果、人格者だからついていこうという結論を出した王女様がまさかのマスコットポジションへ。今後も旅に同行する形なんでしょうね。凸凹パーティーがますます凸凹だ。さて、どこに向かうお話なんだろう……。

 

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