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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 智樹が新聞のどんな記事を読んでいるのかが気になる第10話。スポーツ新聞みたいなエロがある新聞にも見えないが、意外にちゃんと社会情勢には興味があるんだろうか。妙なところで発揮される博識は最低限の常識に裏打ちされていたんだな。ちなみに、呼んでる新聞は「デーリィ九州」とある。九州の話だったんだな。最後のカオスも九州北部を襲撃してたし。

 久し振りに智樹の大馬鹿が炸裂するストーリー。自由研究とは思えない素晴らしい規模のプロジェクトが空見町を覆い尽くしているという、「せっかく回りの女の子達がシリアスやってたのにお前はその間にどんな努力をしてたんだ」と突っ込まずにはいられない素晴らしい仕事である。もう、こうなったら「いや、その原理では距離の問題が……」とかいう野暮なことはいいっこなしだ。

 Aパートでは自宅で居場所のない智樹がトイレ、押し入れと避難するところを、イカロスが無情なる優しさで追撃するというお話。アストレアの「トイレが使えないと困るんじゃない?」っていう発言に「えっ、エンジェロイドも……」という疑問が頭をよぎるのだが、トイレパートはアストレアの「っ!……読めない」というどうしようもない大馬鹿発言と、ウォシュレットの勢いに任せてキメ顔で空を飛ぶ智樹のあまりの格好良さに何も言う気になれない。こういう100%馬鹿のネタが最近少なかったので、実に嬉しい。

 引きこもる智樹を心配する2等身イカロスはものすごく可愛いのだが、やっていることがどのエンジェロイドよりも鬼畜。押し入れ電子レンジ化の無駄な科学力も大したものだが、地味にひどいのはいつの間にか戸が開かない様にしているつっかえ棒だったりする。いや、押し入れの構造上、逆の戸を引けば開くはずなんだけどね。この家、イカロスの謎改造と智樹のパイプのおかげで原型をとどめてないよね。

 後半に入ると、3体のエンジェロイドがそれぞれ智樹に対して抱いている思いがはっきりと表に表れ始める。まずはニンフ。アストレアには「ニンフ先輩が居座る理由も無いじゃないか」といわれてしまった2号さんだが、唯一の「羽無し」は、マスターが欲しくとも劣等感からなかなか言い出せない。前に比べれば随分自然に振る舞えるようにはなってきているのだが、まだ完全に片付いた問題とは言えないようだ。

 まだ気持ちの整理がついていないのはアストレア。単に食べ物(と遊び相手)を求めて桜井家に上がり込んでいたお馬鹿さんだが、まさかの会長からのいい台詞によって、自分の気持ちの在処をぼんやりとではあるが意識し始める。一人きりの食事は寂しい。自分が本当にほしい物は、桜井家のあの茶の間の団欒なのではないかと。会長が全てを悟りながらさりげない助け船を出すいいシーンなのだが、じつはビギナーズラックでポーカーの手を固めたアストレア相手にさりげなく勝負を避けたり、アストレアだけを置いて組の抗争に出かけたり、会長は相変わらずやってることが酷かったりする。そう言えば、過去に新大陸発見部には辞表を出したはずなんだけど、相変わらず英四郎と一緒にいるのはどうしてなんだろうね。

 そして、今回最も変化があったのがイカロス。前々回から少しずつその様子がおかしくなっていったイカロスだったが、今回は自分の心の有り処をそはらに尋ねることで少しずつ思いを固め始め、ハプニングとも言える(何か汚い)智樹とのキスシーンにより、その感情はキャパを越える。智樹の下を訪れた当初は起こりえなかった自己の解析不能の変化に、システムの化身であるイカロスは「記憶のデリート」というとんでもない行動に出てしまうことに。はたして次回はどうなってしまうのだろうか。せっかく少しずつ女の子らしい可愛い表情が増えてきたイカロスだったのに、また元のような鉄面皮に戻ってしまうのだろうか。

 智樹とイカロスの関係性。それがこの作品の大元のテーマである。エロ馬鹿という大切な要素もありつつ、少しずつそれがクローズアップされてきている流れだ。そして、そんな中で重要な役割を果たしているのがそはらの存在。今回は冒頭で「自分が起こさずとも智樹が早起きできるようになった」と少し寂しげに語っているし、「智樹はイカロスに対してだけ手を出さない」という事実を看破している。そはらの気持ちを考えるとこの質問は非常に痛々しいものであるのだが、かたやエロに走りつつも女心を考えない優しい馬鹿、かたや「愛は何か」と自問を続けるエンジェロイド。この2者の関係性を繋ぐには、間にそはらのような特別な存在が必要なのだろう。ま、鏡越しでチョップの波動を飛ばせるような超人だしね。

 そして最後に登場したのは、予想通りに深海からの復活を遂げたカオス。さぁ、煮詰まって参りました。色んな意味で期待度マックスです。

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 会長が怒るとカオスどころじゃねぇ何かが生み出される第9話。智樹たちもシナプスなんかより五月多根家の方にもっと用心すべきよね。

 前回までのシリアス展開でこの作品も我慢の限界だったのか、必死で元の流れに戻りたがっているかのような「分かりやすい」催し物展開。本当にこの街の住民は祭りの縁日が大好きだな。そして会長が思いついた夏のイベントは、ばいんばいんを利用した巨大ヨーヨー釣りだという。まぁ、思いつきで完全に出オチでしかないので、途中からヨーヨーに見立てているのか魚に見立てているのか、さっぱり分からないしっちゃかめっちゃかなシチュエーションになりましたがね。競技の性質上、智樹の変態性もそこまで発揮されなかったし、会長の超人っぷりも単に泳いで暴行を加えにくるだけではあんまり伝わらない。正直言って、これまでに行われた雪合戦やサバゲーなんかと比べると、いささか盛り上がりに欠けるイベントではあったか。智樹が途中で智子になっていた意味もよく分からんし、町内会の他の皆さんの活躍もあまりみられなかったしなぁ。しいていうなら駄菓子であっさりとキャッチされるアストレアと、既にぬし扱いが堂に入ってきたそはらの貫禄が見応えある部分か。

 そんなわけでおまけ程度の会長の憂さ晴らしはAパートであっさりと終了し、Bパートはイカロスが「愛」を求めてお小遣いの使い道で悩むお話。ややシリアス要素を残しつつ、こちらの方が本道のストーリーか。今更イカロスが色んな人のアドバイスを受けて智樹に迷惑をかけたりするのはちょっと時期が過ぎているような気がしなくもないが、必死に智樹のことを考えながら右往左往しているイカロスは見ているだけでも可愛らしい。最終的には一番の理解者であると思われる英四郎のアドバイスを元に「自分が嬉しいもの」を買うことで小さな幸せを手にすることが出来たわけだが、その本質を理解するまでには、まだまだ時間がかかりそうである。それにしても……本当にスイカが大好きなんだな。縁日で持ってた風船もスイカだったし。

 脇の方であらゆる問題が解決したかのようにお気楽に振る舞うのは、残されたエンジェロイド2人。アストレアは単なるたかりになってしまっているが、ニンフはさりげなく智樹との親密度を上げようと色々手を尽くしている。後輩とのじゃれ合いもあまり気苦労は無いみたいだし、今のところは幸せそうで何よりだ。前回のカオスとの接触で「触れ合い」に対するトラウマが出来たんじゃないかと不安になったものだが、どうやら現時点では心配なさそうである。アストレアも鎖の束縛からは逃れられたけど、正式に櫻井家の住人になったわけではなさそうなので、まだ流浪の身が続くのかしら。野良エンジェロイドの多い町だ。

 今回はシリアスとギャグの中継地点みたいな印象が強いので、ちょっとインパクトの薄いおとなしめの仕上がり。ダイダロスや天上の「マスター」には触れられなかったし、英四郎のシナプス探索も一時休止中か。まだまだ解決した問題ではないので、残り少なくなってきた話数でどのように決着を付けるのかは注目したい。

 Cパートでは、偶然の出来事からさらに破滅への道を突き進んでいるカオスの現状が何ともやるせない形で表されている。このまま行くと、どうやらこの「f(フォルテ)」のクライマックスは復活したカオスとの再戦ということになりそうだが……今回の描写までを見ていると、カオスというのはあくまで「無垢」の象徴であって、決して「悪」というわけではないのが心苦しい。「無垢なる武力」という意味ではイカロスも同じであって、智樹との触れ合いで人間らしい心(それこそ愛)を得られたのか、理解出来なかったのかという差が、現在のイカロスとカオスの差になっているのである。そう考えると、出来れば深海で1人寂しく笑うカオスにも、何らかの形で幸せに眠ってほしいとも思えるのだが、さて。

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 全編シリアス、まるで最終回かと思わせる第8話。この作品のシリアスはあまりニーズが無いかと思った時期もあったが、どうしてどうして。実に印象深い、ハイクオリティなエピソードとなっております。

 ニンフを精神攻撃で蝕むカオス。そのまま嬉々としてとどめを刺そうとするが、間一髪のところでイカロスが救援に駆け付ける。しかし、自在に姿を変化させるカオスが智樹に化けて命令を下したため、イカロスはまともに戦闘出来ない。イカロスの必死の抵抗で一時は安全圏まで飛ばされたニンフだったが、偶然出会ったアストレアに救いを求めると、自身は力尽きる。先輩の懇願を受けてイカロス救援に向かおうとしたアストレアだったが、空からは「マスター」の声が響いてくる。ニンフを処分せよとの命令に、未だしがらみを解き放っていないアストレアは逆らうことが出来ない。

 そのままニンフを処分する寸前までいったが、虫の報せを受けた智樹が現場に駆け付け、アストレアに対して再び「お前はそれでいいのか」と問いかける。既にダウナーとの接触を重ね、自らのスタンスに疑問を抱えていたアストレアは答えを出せずに立ち尽くし、それを見た「マスター」は、今度は彼女にイカロスの処分を命じる。カオスの暴虐によって満身創痍のイカロスと、それを処分すべく武装を施したアストレア。たとえイカロスの武力が上であっても、容易に任務を遂行できる状態だ。だが、彼女の選択は、悪い頭でただマスターの命令に従うことではなく、自分の気持ちを優先し、自らを束縛する鎖を引きちぎることだった。

 しがらみを断ち切ったアストレアは、気ままに人心を揺さぶるカオスと対峙。持ち前の戦闘力で一時は圧倒してみせるが、第2世代のエンジェロイドは彼女の武装をも上回る。最後の一撃が見舞われるかと思われた瞬間、自己修復を施しウラヌスシステムを解放したイカロスが介入する。古の最強装備と、最新鋭兵器のぶつかり合いは熾烈を極め、最終的には、イカロスがカオスを深海に沈めることで決着を見た。最後まで「愛」を問い続けたカオスとの接触を通じて、イカロスは自分の中にあるその気持ちを、今まで以上に強く意識したのであった。

 

 Cパートの最後はちょっとほのぼのとしてみせたが、1期最終話を除けば、初めてのシリアスオンリー回。こうして心情描写や格闘戦、メカ戦闘などに筆を費やすと、いかにこのアニメの映像クオリティが高いかを再確認することが出来る。普段はこの技術と品質を空飛ぶパンツや乱舞するエロ本に費やしているわけだね。

 実は1期のときからこの作品のストーリーテリングの妙については評価しているのだが(詳しくは1期の番組感想記事参照)、今回のシリアスについても、それがきちんと発揮されている。ニンフの苦悩については既に1期の時点から入念に描かれている部分であったし、救出に来たイカロスが最終的に幻影の智樹に逆らえなかったシーンも、これまでのイカロスの行動原理に基づけば自然な流れ。その中で「ニンフを壊すことだけを拒否し、自分を壊すことについては反抗しない」という中途半端な状態になっていたことも、シリーズを見てきた視聴者ならば納得出来ることだろう。

 そして、1つ目のクライマックスとなるのがアストレアの造反シーン。一時はニンフを手にかけようとしたアストレアだったが、智樹の一喝で「自分が悩んでいること」を明確に認識してしまうと、もうどうしようもなくなる。自分よりも明確に任務と悪意を遂行する存在であるカオスに対して、遂にその意識を「自分の意志」で示してみせた。「馬鹿だからこそ」、「自分が馬鹿だと知っているからこそ」、自分を悩ませている最大の要因である「マスターからの命令」の象徴たる鎖を引きちぎるアストレア。ニンフのときと違って自らの手で引きちぎったことにより、強靱な意志と武力を併せ持った彼女のアイデンティティがはっきりと画面に現れ、その後のバトルシーンへの見事な繋ぎとなっている。不覚にも、鎖を千切ったシーンでは鳥肌がたった(その後のクリサオルを振り切るシーンもかなり格好いい)。

 最大の長所である武力と、不安定な要素でありながら、ときとして最大のパワーとなる感情。この2つを併せ持つアストレアの特性が最大に発揮されるバトルシーン。しかし、同様の装備は第2世代であるカオスも所持している。勝負としては、悲しいかな互角にはならない。しかし、ここで駆け付けるのが武力の権化たるイカロスである。最終的に彼女はカオスを打倒する。ここにきて、イカロスに最後の1要素である「感情」の芽生えがあったことを示唆するエピソードといえる。もちろん、作中ではカオスとの掛け合いでどんどん台詞に熱が籠もるイカロスが、それを端的に示してくれている。ここまで感情を露わにしたイカロスは、これまで無かったものだ。

 アストレアの造反と、イカロスの覚醒。2つの要素が見事に絡み合い、1つの大きな流れを生み出した何とも印象的なエピソード。ぜいたくな戦闘シーン、メカの描写なども加わり、今期では文句無しで1番の回だったのではなかろうか。イカロスの無茶な飛行システムと、綺麗に対比した禍々しいカオスのウィングのデザインなども秀逸。かたや古式然とした巨大兵器のイメージで、かたや液体金属を彷彿させるファンタジックな生物機械のイメージ。普段の世界観からは想像も出来ないことだが、実に見応えがあった。

 普段のエロ馬鹿アニメとは別世界になってしまっているような印象だが、ファンだったらば「いや、泳げないゆーてもお前海底歩いてたじゃん」とか、「お前のやりたいことはなんだ、って聞いてる本人は確かにやりたいことやりすぎだな」とか、シリアスの裏にチラチラとこれまで積み重ねてきたギャグのイメージも活かされていることが分かる。日常と非日常、全てひっくるめての「そらおと」。骨子がしっかりしている作品は、何をやってもちゃんと面白くなりますな。今回のコンテ・演出には、「劇場版ボトムズ」で監督をしていた五十嵐紫樟氏がクレジットされている。なかなかドラマ作りの上手い人だ。

 そして、今回は2点ほどいつも通りの付記。1つは、シリアス展開だったからこそ分かるキャスト陣のがんばり。ニンフ役・野水伊織、アストレア役・福原香織、カオス役・豊崎愛生、そしてイカロス役・早見沙織。エンジェロイド4体は今回全員が非常に難しい感情の揺れを表現することが要求されていたわけだが、見事な仕事だった。やはり早見が抜群に安定しているが、カオスのクレイジーっぷりが遺憾なく発揮される豊崎の技も見事なもの。

 そして、さらにはエンディングテーマである。いつも通りのカバーソングであるが、歌唱が早見・高垣彩陽という、当代きっての歌姫2人。シングルカットされないのが勿体ないくらいの半端無いクオリティ。今回のエンディングに持ってこられたのは、やはり絶対的な信頼があったからこそであろうか。端から端まで、文句ナシの1話でした。

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 今期はシリアス展開が早い、第7話。1期は7話っていったらまだニンフが到着したくらいだったのだが、今回はもう既にラストに向かって着々と地固めをしているような印象です。まぁ、1期は1話でイカロス、6話でニンフ登場だから、2期の1話でアストレア、7話でカオスっていうのは大体一緒と見ることが出来るんだけどさ。

 というわけで、シリアス多めの1本。明確にギャグといえるのは、サブタイトルになっているスイカのくだりくらいのもので、そこだってエロネタはほとんどなかったし、何が何だか分からないままに終わってしまった。でもまぁ、短いながらもニンフとアストレアが仲良くしているシーンや、イカロスがあのスイカを本当に大事にしていることが分かったことなど、色々と見どころは多かったです。アストレアはもうすっかり桜井家の一員だという認識でいいと思うのだが、ニンフとの先輩後輩関係がすごくのんびりしてて、「これはこれでいいものだ」と思える絵になっていた。

 ニンフとイカロスがなんだかんだ言って暗い過去を背負っているので、特に何も無いお馬鹿キャラのアストレアは本当に貴重である。今回メインとなったスイカに引っかけたんだと思われる酢イカを「味が無くなるまで!」食べているしたり顔とか、オープニング映像にもなっていた名シーン、冷蔵庫から登場のパートとか、無駄に可愛い。幸い冷蔵庫は元から空だったらしいので「てめぇ頭脳が間抜けか?」などとニンフに馬鹿にされずに済んだわけだが、その分はニンフも一緒に間抜けキャラに。おかしいなぁ、演算部分に特化したエンジェロイドだったはずなんだけどなぁ。

 そんな2人に対抗するイカロスは、良くも悪くもいつも通り。「マスターの悲鳴が……」と雨戸から覗かせる目はホラーじみているが、今回初披露の「デフォルメモードのままでアルテミス照射」という絵面が無駄に可愛らしい。食卓でのおかず争奪戦もどこ吹く風だったし、どこまでもマイペースな魅力である。一つだけ「何で私服が変わると胸が小さくなっているように見えるんだぜ?」という疑問が無いではないが、そはらとの差を明確にするためだということで納得しておこう。

 なんだか、トータルすると「To LOVEる」と何が違うんだよ、というドタバタっぷりなのだが、終始デフォルメを維持するエンジェロイドたちが可愛らしくて、それだけでギャグの成分は埋め合わせは効いているぐらいであった。一応、アストレアの分までご飯を用意してくれているあたりで智樹の家族思いな一面を見せてくれてたりはするんだが……今回は智樹の影が薄かったから勿体なかったかな。

 そしてBパートをメインとしたシリアス展開。カオスの初登場という面が強いのだが、メインとなるのはどちらかというとニンフの内面だろう。無邪気なアストレアに指摘されてしまった「羽無し」という負い目。どんな事情があれ、背中の刻印は彼女の裏切りを象徴しており、他のエンジェロイドと自分は明確に「違う」ということを示してしまう。そして、そんな彼女の一番辛い側面をえぐりに来たのが、悪魔の申し子、カオスというわけだ。「何故シナプスを裏切ったのか」「何がニンフを地上に縛り付けているのか」。カオスはただ純粋無垢にそれを問いかけ続けているが、ニンフ自身、その問いに容易に答えることは出来ない。智樹に誘われて嬉しかったことは紛れもない事実であり、「愛って」というカオスの問いに対する答えは用意出来ているはずなのだが、それは「家族」として存在し、既にイカロスという先約がいるだけに認めがたい感情。智樹に誘われたからこそ吐露したそんな感情の隠された部分が、カオスによって最悪の形で打ち砕かれてしまったのだ。これは切ない。

 「無垢」という要素を考えれば、アストレアもカオスも似たようなもの。Aパートがアストレアとニンフ、Bパートがカオスとニンフ。この2者対立をきっちり1話で表示して、そのギャップを見せる構成はなかなかうまい。シリアス展開とはいいつつも、そこかしこにネタっぽいものも仕込み、「そらおと」テイストを決して完全に消さない心遣いも嬉しい部分だ(まさかハーピーまでギャグテイストに乗ってくれるとは思わなかった)。色々とみせられる1本でしたな。

 そして、今回正式登場のカオスの中の人が、豊崎愛生である。ふむ、このキャラ作りもなかなか強烈。こういう引き出しがあるっていうだけでも充分な武器だなぁ。マッドな敵役っていうと「聖痕のクェイサー」で黄金のクェイサー役があったけど、あれとはまた違って今回は愛らしさの要素も残しつつのマッド。いや、面白いですわ。

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 この内容で「あ、普通」と思えるありがたい第6話。いや、でも正直言って今期の話数では一番「どうでもよかった」回じゃないですか?

 アストレアがあまりにお馬鹿で、その流れで転校までしちゃったし、お馬鹿決定戦を全校をあげてやろうということにまでなった。何故かいつもの面子が参加者で、どうにも片寄ったクイズの内容のおかげで、智樹が栄冠を勝ち取りかけたけど、唯一にして最大のプライドが邪魔をして、結果的にはいつも通りの急転直下。世間的にはめでたしめでたし、というのがAパート。そして、その後アストレアとの関係性は「暗殺者とターゲット」から「馬鹿を競うライバル」へと変化し、気が付けば「戦いが終われば戦友と書いてトモだ」みたいな流れ。元々大して危険因子とも見られていなかったアストレアだが、今回のエピソードをもって、イカロス、ニンフに続いてめでたく桜井軍団の仲間入りを果たしたようである。

 Aパートはいつも通りの馬鹿イベント展開。ただ、今回は裏に会長の黒い意志もあまり感じられなかったし、イベント事態の「意味のわからなさ」が、いつものように病的な馬鹿に起因したものではなく、単に「なんかやっつけくさい」もの。一応床下のトラップで最低限のエロをおさえ、出題傾向を片寄らせたり、最後に智樹に踏み絵をさせることによってエロ馬鹿のお約束は果たしているのだが、オチも弱めだったし、あんまり印象に残らないものになってしまっている。ま、そんなに毎回毎回病気じみたことばかりやられてもつまらないとは思うのだが……ちょっと拍子抜け。会長が素で天才なのか馬鹿なのかよく分からないのも気になるところです。そもそも中学校の授業で道徳って……

 で、そんなAパートよりも見やすいのが、Bパートのアストレアお友達への流れ。こちらもどぎついネタがあるわけではないので刺激には欠けるが、智樹が純粋な悪人というわけではなくて「単なるエロガキ」であることが分かるほのぼのとした決着が何となく気持ちいいし、最後にみんなで食卓を囲みながらの団欒シーンも、着地点としては理想的。この作品で最終的に収束すべきは「イカロスと智樹の関係性」であるべきだと思うのだが、その事前事象として、アストレアにも「家族愛」みたいなものが伝わって、少しずつ溶け込んでいく様子が見えるのは何となく嬉しい。命を狙っていた暗殺者ですら家族扱いになれるのだから、感情に乏しいエンジェロイドだって、きっと家族になれるはずなのだ。優しくアストレアの頭を撫でるイカロスに、そうした「芽生えた感情」の大切さを感じることが出来る。

 小ネタとしては他にも久し振りの智子が登場したり、何故か会長がレスラーとしてちゃっかり活動をしていたり、各々のキャラクターを見て楽しむ部分はそこそこ。智樹が「そはらに負けず劣らず良い胸だ」みたいなことをいいながらアストレアをいじっていたが、やっぱり智樹はそはらの胸を揉みたいと思っているんだろうか。そこんところの感情だけがイマイチ分かりませんね。

 そして、問題となるのはCパート。これまでちょいちょい登場していた天界の第2勢力、ダイダロスが正式に登場。ニンフたちの「マスター」との対抗姿勢が明らかとなった。彼女のコントロールによってアストレアがああいう行動に出ていたのだとすれば、「シナプスはどこまでマジで智樹を殺そうとしているんだよ?」というこれまでの疑問も、少しは説明がつきそうだ。そして気になる「第2世代」とは? 封印されていたイカロスの正体は?? ……まぁ、正直そこまでこの作品にシリアスは求めちゃいないんですが、一応、気にはなります。

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 振れ幅のあまりの大きさに、構成が云々言うのも馬鹿馬鹿しくなってくる第5話。もう、このアニメのAパートとBパートは別の作品だよ!

 1話で侵入した「智樹の夢」が気になっていた英四郎。アストレアからの情報収集で機は熟したと判断したのか、ニンフの転送システムの力を借り、いよいよ敵陣へと乗り込むことに。エンジェロイド達の生まれ故郷にして「製造元」であるシナプスは、やはり空見町上空の磁場に存在していたのだ。そはらと2人でシナプスを探索した英四郎は、メインシステムとおぼしきラボの中で一時的に奇妙な幻想に襲われ、同時に2体のハーピーに捕らえられた。敵ののど元まで迫れたことを確信した英四郎は、ニンフの力を得て、捨て台詞を残してその場は一時帰還する。声を聞いた天界の「マスター」は、それを聞いてほくそ笑むだけであった。

 

 というシリアス以外の何物でもないAパート。1期から続くダウナーとシナプスの複雑な関係性を少しずつ進めるお話ではあるが、英四郎の決断があまりに超人的なため、ちょっとついていけない状態になっている。ニンフに転送された「あの場所」からグライダーで飛ぼうっていう神経がまず理解出来ないし(一体上空何千メートルくらいなのだろうか)、明らかにオーバーテクノロジーを所持していると思われる敵の中枢に、不安なニンフとの時限転移だけを頼みに乗り込む意味も分からない。何も知らないそはらを引き連れて歩くなど、言語道断である。

 結果的には何もかもがうまくいったようであるが、次もうまくいくとは限らないだろうし、今回の行動により、英四郎がシナプスを意識しているということがおおっぴらになったわけだ。今後もアストレアみたいなネタ要員だけが攻めてくるような甘い処置はとられなくなる可能性も高く、最終的には、シナプスとのリンクを持つ智樹の命を危険にさらしているのである。あまり賢い判断とは言えないだろう。ま、結局「マスター」がどこまで本気なのか、ってところが全てだと思うのだが……英四郎は、我々視聴者の知らない何かを握っているというのだろうか。なかなかシリアス面を中心には見にくい作品なのだが、2期のクライマックスがどこにあるのか、少しずつ意識してはいきたいところだ。

 で、そんな緊張感を維持したままでBパートである。もう、突っ込みどころが多すぎて何がなんだか分からない状態。智樹の「よく分からないけど……何かエロいものだといいなぁ」という台詞がまずすごい。「アレ」を見て「エロいかもしれない」という発想は、常人では到底到達出来ない領域だろう。そりゃ学校の女子が一周回って憧れてもおかしくはない(?!)。そして、何を思ったのか1期の頃の遺物であるパンツロボのパーツにその「謎の物体」を組み込み、見事なロボットを再構築。最終的にイカロスのカードを使っているのでどのあたりの技術までが智樹のオリジナルなのかは定かでないが、見た感じではかなりディティールまで構想を実現させているよう。このスキルをどこか他のところに向けられれば、この男は大物なのかもしれないのだが……

 結局、新生パンツロボがやっていることは普段の智樹と何も変わらず、乗り物としての機能も、思わず「チャリかよ!」と突っ込んでしまう完成度。いや、中学生はバイクに乗っちゃいけませんけどね。最終的にはお約束のそはらチョップによって「粉みじんになって死んだ」わけだが、解体後のパーツを見ると純正の「パンツ」に戻っているのも恐ろしい。あ、あれって布だったんだ……

 パンツが飛ぶ、エロ本が踊る。既にこの作品では何が起こっても驚かないくらいの準備は出来ているのだが、怪しげなロボがしおらしい姿でそはらの前に正座している絵面はやはりおかしい。夕暮れ、茶の間、ロボ、正座。メトロン星人もかくやという異物感。そしてそはらチョップが炸裂する際の無駄な臨場感。駄目だ……やっぱりこの作品は馬鹿だ! 極めつけは末期に残したパンツロボの声。わざわざこのために石田彰呼んだんかい! 確かに友達っぽいけども! すごく智樹と親友っぽくなるけども! その関係性は駄目です! コズミックイラがちらついて仕方ないから!

 あー、馬鹿だった。そうそう、馬鹿といえばアストレアだが、なんだか腹ぺこキャラが定着してきましたね。近接戦闘用エンジェロイドのはずなのにああも完璧に智樹に胸をもみしだかれるのはどうかと思います。少しずつ可愛く見えてきました。可愛いといえばイカロスもそうですけどね。最近影が薄いし、まさか智樹をパンツロボに寝取られるとは思ってなかったろうけど、河原でいつものようにポテポテとチョウチョを追いかけている姿を見ると、なんだか和みます。

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 「お前は御館様と呼ばれる側じゃなくて呼ぶ側だろうが」と誰もが思うだろう第4話。男たるもの一国一城の主となりたいでしょうが……智樹の器じゃなぁ……

 3話に引き続き、会長の悪だくみメインで進行しておりますこの作品。いきなり寒くなったので季節感はそれなりのものですが、気付けばニンフ奪還作戦が完了してから1年経った初雪の頃らしいです。いつの間にそんなに時が経っていたのかと多少驚きではありますが、ニンフとイカロスの落ち着きっぷりを見ると確かにそれくらいの経過は感じられるかも。そういや、あれだけがっつり雪が積もるって、空見町は一体どの辺にあるんでしょうか。

 アストレアで遊ぶための今回の題材は雪合戦。とは言っても、相変わらず乗りのいい近隣住民(というか学生軍団)のパワーを利用するためか、「一撃失格」という雪合戦の基本ルールを完全に無視し、「首領にとどめをさすまでは何をしてもいい」という凄まじく適当なルールでの勝負。しかし、そんな無茶苦茶でもきっちり利用して戦術に昇華するのが智樹のたくましいところ。布陣で利を得た女性陣に対し、名軍師英四郎を擁する男性軍は破竹の勢いを見せる。今回は会長の悪だくみも特に機能しているわけではなく、智樹たちの力業もそこそこの効果を見せた。そりゃまぁ、突然の思いつきで始まったイベントにあそこまでの武装が用意出来る手際の良さがありゃ、街亭や定軍山の1つくらい占拠出来る気がしますけどね。

 会長の目標は何故か知らないが山中の温泉。「サービスシーン」→「智樹が駆け付ける」→「本陣ががら空き」っていうところまで予測して温泉掘りに挑んだのかしら。でも、その場合にはのこのこ出てきた智樹を捕らえるのが一番手っ取り早いと思うんだが、そういう様子は見られなかったんだよな。今回は会長の意図がいまいち読み取りづらい。結果的に「そはだるま」のおかげで一騎当千劇場が見られたわけだが、結局単機のスペックで勝つ結果になっているわけで、あんまり策士っぽい勝ち方じゃなかったしなぁ。いや、この作品でそんなプロット部分をあれこれいう意味も無いけどさ。

 さて、今回描かれた要素としては、1つは「アストレアの目的」である。クライマックスでは雪玉の中という緊張感の欠片も無いロケーションの智樹が等身を戻してアストレアに同情するわけだが、お馬鹿なアストレアはあんな安っぽい揺さぶりでも結構揺れる。ニンフの時と違ってアストレアはダウナーとの接触がほとんど無いし、「私の使命はシナプスからの命令を果たすこと」っていう目標でも別に構わないと思うんだけどね。突然智樹がシリアスモードになったからそれに飲まれてしまったのだろうか。アサシンに狙われて今まさに命を落としそうなのに微塵もうろたえなかった智樹には覇王の素質を感じないではないが、「本当に自分で考えて選んだことなのか」って、自分の意志で動いた結果そんな格好になってる奴にいわれたかねーよ。結局、おっかないイカロス先輩に恫喝されてアストレアはあっさりリタイヤ。ほんと、エンジェロイドってやつらはどこまで真面目なのかが分からないなぁ。

 そして、今回意外にも深く描かれたもう1つのテーマは、会長と英四郎の過去の話であった。別に過去に直接触れているわけではないが、最近すっかり忘れていた「英四郎が家に帰っていない」という事実や、会長の過去の栄光などが二人の会話から確認出来る。英四郎は会長の過去についてもよく知っているようだが、「地面を掘るとその時ほしい物が出土する」という会長の人智を越えた能力は、エンジェロイドや新大陸なんかよりもよっぽど恐ろしい気がするのだが、そのへんを気にしないのか。

 傍若無人、天衣無縫の会長であるが、英四郎に対してだけは「幼なじみ」という属性があるおかげか幾らか人間らしい反応も見せてくれる。全裸で迫ることについては「面白そうだから」というので躊躇しない口ぶりだが、実際は別に英四郎に迫るわけではなく、あくまで茶化すレベルの話。いつも通りだったら、もっと遠慮無く暴れ回るところだろう。英四郎相手だからこそ、節度ある接し方をしているようにも見えるのである。こういう関係性って、なんだかいいですね。「英四郎のことを一番知っているのは会長だけど、美香子のことを一番知っているのも英四郎なのだ」っていう。ただ、会長は今回ニンフに対して放った2回の舌打ちのおかげですげぇひどいイメージも固まっちゃってますけどね……やっぱこの人は基本属性が悪なんでしょうね。ニンフはあれだけ言われてよくいいなりになってるよな。逆らったらまずいことは理解しているのか。会長は冒頭で英四郎に対して「辞表」も突きつけているし、今後のこの2人の関係性にも注目です。

 そして、今回も本当にひどい目にしか遭っていない、第2メインヒロインであるはずのそはらちゃん。未だかつて、恋心を寄せる幼なじみキャラに対して「埋めろ」だの「息の根を止めろ」だのと罵声を浴びせた作品があっただろうか。前回にも増して人智を越えちゃったそはらさんは、確実にオチの人としてのポジションを確立しつつあります。おいしいなぁ。あの後、どうやって脱出したんだろうね。

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 お元気そうで何よりです! コミックス同梱版の特別編。今期は「パンスト」「そらおと」と様々な方向にエッジの効いた終わってる作品が多いのでこの作品のことは忘れかけていましたが、たった一本見るだけで全てを思い出すことが出来ました。ほんと、抜かりない作品です。

 まず、せっかく金を払って見るOVAということで、マイナス面から触れておくと、いわゆる「OVAクオリティ」と言えるほどの質的な向上は見られない。特にクライマックスのアナスタシアが暴れ回るシーンなんかは動画も案外適当で、「流石に金がかかっている!」と膝を打つ機会は無かった。ま、この作品は放送当時からそこまで質が下がることはなかったので、平均値の高いものと比べるとなかなか差が出にくいとは思うが。また、話数としては「10.5話」ということで、主人公サーシャがまだそこまで覚醒しておらず、彼のおしゃれアクションや素晴らしい厨二台詞などが堪能できなかったのも残念。彼の活躍があって、この作品は完成するのだが。ちょっと物足りない部分であった。

 とはいえ、この作品は最終的に乳さえ出てくればその役目を果たす。今回は、本当に捻る気が欠片も感じられないくらいにストレートな「おっぱいネタ」を恥ずかしげもなく繰り広げており、あまりの馬鹿馬鹿しさに突っ込む気力も起こらない。そう、この突き抜けた馬鹿オーラこそがクェイサーだよ。ユーリや鳳が大真面目に今回の事件などに対してコメントしており、「真面目に不真面目」な雰囲気はちゃんと出ているし、クライマックスではカーチャが奇妙なイナバウアーもどきの搾乳アクションを見せており、無駄な格好良さ、無駄な決めポーズっぷりが際立っている。人はおっぱいのためにここまで本気になれるということなのか。

 そして、やはりこの作品は女性陣の活躍あってこそ。今回はまず、アバンで華とカーチャの猫プレイ。これが軽いジャブ扱いなのがこの作品のすごいところ。Aパートの身体測定シーンでは女子高生の胸談義を余すことなく披露。やってることは本放送でみせたネタの繰り返しが、美由梨の自信満々の様子や「つ〜るぺ〜た〜」と歌う史伽など、安定感のあるネタっぷり。そして、この作品の真骨頂である、保健室外で白熱したおっぱい談義に火花を散らす馬鹿2名。巨乳派代表サーシャと貧乳派代表鳳のニュータイプも真っ青の激論は、きれいなオチまで含めて今回のハイライトといえるシーンだろう。……あの保健室、便利だな。

 そして、Bパートはゲストキャラ椎崎るるを交えたカーチャと華の主従漫談。もう、ほんと馬鹿。そして、くだらねぇ。こんな世界なら戦争とか起こらなくて良さそうだなぁ。華さんの甲斐甲斐しさばかりが胸を打ちます。

 とにかく、あんまり視聴してるところを他人に見られたくない下劣さと馬鹿馬鹿しさは本当に健在。この勢いなら、2期もあるかもなぁ。無論、中の人の爆裂っぷりもちゃんと触れておかないとね。活躍の割合でいうと、日笠・日笠・平野・茅原・日笠・日笠・日笠・平野くらい(雨雨権藤雨権藤のノリで)。もう、ぴかしゃはこの道を究めてしまってもいいかもしれない。教団ビルでのカーチャ登場シーンでは、オフ気味でず〜〜〜っと何かいってんのね。楽しすぎる。そしてオチの一言はカーチャが決めた。もうほんと、最低。

 続編まってま〜す。

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 なんかいちいち笑ってしまうのが悔しい第3話。馬鹿に徹した作品といえば今期は「パンスト」とかがあるんだけど、ああいうパワープレイじゃなくて「普通の」ギャグで笑ってしまうってのが、なんか負けた気分。

 会長が本気を出す回は、個人的にすごく好きな回。正直言うと最後には本当にピンチっぽくなっていたので完璧超人の会長らしくない気もしたのだが、彼女が活き活きしているだけで、この作品は世界観が広がる気がします。今回は前期8話に続くお祭り回で、作中では1年たったということ……なのかな(智樹たちの学年とかが変わった様子はないのだが)? そして、会長の新しいおもちゃにはドジっ子天使のアストレアが加わり、事態はさらに混沌の中へ。

 町内レスリング大会という時点で既に怪しいのだが、何がすごいって、今回はそのレスリング対決に挑んだ智樹が徹底して2等身だったこと。アバンからCパートまでを通じて、智樹が普通の等身に戻ったのはイケメン置換された時のイメージの中と、ニンフに「試合だから恨むなよ」とちょっと雰囲気を出して謝ったときだけ(そしてこの台詞も、格好いいように見えるが、実際は最低のことを言っている)。その他の動きを必要とするシーンは、全て2等身のままで演じている。なんでわざわざあんな動きが出しにくいフォルムの奴にコブラツイストとかタワーブリッジ(正式にはアルゼンチンバックブリーカー)とかかけるんだよ。「智樹の背骨が変な方向に曲がっているぞ」って、その絵じゃわからんだろうが。ほんと、徹底してるわ。

 他にも細かいネタがいちいちナイス。ぬるぬるレスリングってのはなかなか皮肉の効いたネタだし、ローションじゃなくてごま油になってるあたりが流石の智樹。結局彼はリングに立って相手の乳を揉んでいただけだ。すげぇ主人公。そして女性陣はさらに充実したラインナップとなっており、平手で対戦相手をリングに埋めるメインヒロイン、アイアンクローで400キロの握力を誇るプロモーター、竹を寸断するチョップで金網をぶち破って人を一人殺めるヒロイン。こんな配置に誰がした。特にそはらの活躍は今回一番の見せ場で、それまでどうでもよかったレスリング描写が無駄にクオリティを上げて謎の覆面レスラーの活躍をフルスペックで届けてくれた。最後のオチも笑ったしなぁ。謎のレスラーが堂々と外にアレを干したらあかんやろ。っつうか、あれ私物かよ。

 そして最後の一発はエンディングである。選曲も流石だが、バックで流れる映像では、試合の残りの様子が丁寧に字幕つきで流れる。作中で突然タッグマッチが発生したところで「おいおい、トーナメントの組み合わせはどうなってるんだよ、適当だな」とか思ってたら、実はもっとたくさん出場者が居たのね。ワイルドセブンの時もそうだったけど、本当にこの商店街はノリがいいよな。ただ、ご町内の行事に野生動物が2体も乱入してきたのはどうかと思うけどね……空見町おそるべし。

 さらに、そんな馬鹿なネタの乱れ打ちの中でも、こっそり真面目な縦線部分のシナリオも織り交ぜてあるのがこの作品のにくいところ。今回はニンフの微妙な心情が描かれており、最初に智樹に群がる女性陣を見て少し嫉妬の表情を見せ、試合に乱入させられたところで智樹と自分の関係性を再確認(わざわざ出場を促したってことは、会長は全部お見通しなんだろうね)。そして、ラストシーンでは思い出のリンゴアメをもらって御機嫌となる。「好きになったんだ」などの細かい台詞回しのダブルミーニングも綺麗に決まっているし、こういう分かりやすい部分を丁寧に配置してくれるのは嬉しい。

 そして、それを見たイカロスがお面を被るシーンがまたたまらない。イカロスのお面は、1期ではラストバトル前にイカロスが使用していた「智樹との心の壁」を表すツールである。あのときと同じようにそっとお面を被ったイカロスの心境は、無表情であるにも関わらず色々と深い部分まで推察することが出来る。うまいシーンだと思います。もちろん、「お面」→「覆面」っていう繋ぎで最後のオチのダメージをあげる意味もあるしね。ほんと、この作品の製作姿勢はぶれなくていいなぁ。

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