忍者ブログ
最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
[10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18]

 広がる世界、第8話。そうかぁ、「町」に出るのが初めて、つまり今までは一切「外」が無かったっていうのは、気付かなかったポイントだったな。

 今作ではひょっとしたら初めてかもしれない、「何一つ不穏な出来事が起こらなかった」エピソード。前回うろこ様のお仕置きブリザードをくぐり抜けたことで一通りの禊ぎを終えたのか、光とあかりの姉弟に対しても現状はお咎めなし。その他の不安要因もまだあるが、今回はそちら方向よりもあかりのスタンスをしっかりと固定させるエピソードになっていた。ようやく家族の一員としてあかりを迎え入れる決意が出来た美海ちゃんが、幼いながらも精一杯考え、努力して、想いを伝えることが出来た。彼女の気持ちには一切疑念の余地は無いので、今作にしては珍しく、非常にストレートな伝わり方になっている。幼女が頑張っている姿というのは大変に結構なものですね。

 で、そんな分かりやすいお話だったために、それを利用していくつかの補強要素が作中に組み込まれており、今後の展開に関わってくるであろうファクターもこの1話にしっかりと現れている。1つ目は非常に明確で、まなかを巡る光の気持ちが明言されたこと。光は良い奴だ。直情馬鹿ではあるものの、決して思慮が浅いわけではないし、何よりも他人のことを考えて行動出来る人間である。そんな光が、まなかの現状を見て「紡とまなかをくっつけよう」という方向に動いていることが、明確に本人の口から語られた。前回の「お船引やりたい」ユニゾンを見たことでその気持ちは決定的になったようで、要領の悪いまなかを積極的に紡と絡ませるために、光なりに(分かりやすい)気遣いをしているわけだ。そして、そんな決心以上に大事なのは、光がまなかのことを「諦める」と表現したことだ。ついうっかり口を滑らせてしまったちさきの一言のせいで、光は「自分のまなかへの気持ち」を認めることになってしまった。これまで必死にポーズだけでも「まなかより上」に立とうとしていた光からしてみれば、事実上の降伏宣言みたいなものである。「自分はまなかのことが好きなのか」という自問自答には、既にイエスという答えが出ていたのだ。

 そんな光の決心は、単純馬鹿だからこそ迷いがない。今回のちさきとの対話シーンでも、「諦める」「まなかの笑顔が見たい」と語った光の目には、多少の寂しさはあったものの、後悔や妬みの念は一切伺えなかった。おそらくこの鈍感男は「まなかの自分への気持ち」については一切関知していないため、「紡と一緒にいるのがまなかにとって最上の幸せである」と決まってしまっているのだろう。そこが決定事項なら、確かに光に出る幕はないのであるから、身を引く、という宣言は非常に立派なものである。だが、実際はそうもいかないということを、少なくともちさきは知っている。だからこそ彼女もややこしい。まなかの気持ちを知っているからこそ、ちさきは必死に光に何かを伝えようとしているのだが、当然それは2人の関係性を考えればフェアではないだろうし、「そんなことを言ったらみすみす光を自分の手から逃すことになる」という葛藤もあるだろう。挙げ句光には「良い奴だな」なんて言われてしまって、もうどうしていいか分からない状態。ほんとにどこまで行っても苦労人である。こんだけの関係性になっているのに、要の野郎が未だに外野から見物模様なのがすげぇ気になるけども。あいつ、ラスボスじゃねぇだろうな。

 そして、今回もう1つメインで描かれたテーマは、「この世界の全容」である。これまでは汐鹿生の集落と、そこに直結する1つの村だけでお話が完結していたために「汐鹿生の生態のおかしさってどこまでのものなのだろう」という最低限必要な前提条件が、うまいことぼかされていた。そのおかげで色々と不思議なことも起こっていたわけだが、今回子供たちが町に繰り出したことで、「世界と汐鹿生」という設定のいくつかが新たに明かされた。まず「世界」だが、基本的に現代と同じような時間軸だと思っていたこの作品世界は、どうやら時代的には少し昔の設定になっているようだ。古めかしいエレベーターのデザインや、昭和臭のする電車の造形などからそれを伺うことが出来る(もちろん、単なる前時代性ではなく、「海」をモチーフにしたこの世界独特の意匠も多く見られる)。そういえば、確かにこの世界に「現代である」ことをほのめかすようなツールはなく、電話なんかも公衆電話と家の電話(青い黒電話?)しかなかった。少なくとも海の中で完全防水のスマホを駆使するような時代ではないということだろう。

 また、時代だけでなく、場所についても多少「ズレ」があることが様々な背景要素の造形から見えてくる。今回訪れた「町」の風景は、あまり日本的ではないもので、石造りの建物が多く、どこか異国情緒が漂っている。光たちの造形や名前は完全に日本式のものであるが、世界はちょっとズレたいわば「凪あす次元」とでも言うべきオリジナル世界が確立しているってことだ。考えてみれば当たり前のことだが、今回はそうした「世界の独自性」が改めて確認出来るようになっていた。メインのシナリオを進めながら、そうした「世界の構造」を紐解いて滞りなく理解出来るようにしてくれている構成はありがたい。

 そして、この次元の最大のオリジナリティといえば、それはやはり汐鹿生という存在以外には無い。「生物学的にどう見ても劣性」とか、「社会的に一体どういう保証が受けられる身分なんだ」とか、謎がてんこ盛りだったわけだが、今回の町の景色を見て、何となく世界各国に散在する、国政で保護される少数民族のイメージなのかな、という気がしてきた。ほぼ単一民族で構成される日本だと分かりにくいが、フィリピンやインドネシアのような国家になると、様々な文化的観点から国の保護下に入っている部族というのが存在する。汐鹿生もそうした扱いを受けており、基本的には村から出ることは無いという扱いだが、当人達の意志次第では、(ある程度の不便さえ容認すれば)いくらか地上での活動も保証されていると、そういう状態なのだろう。「塩水あります」の看板とか、なんだか電気自動車の充電ステーションみたいな扱いでちょっと面白かった。紡が「あまり数はない」と言ってたことから、普通の家庭や、小売店程度には無いイメージだろうか。車椅子で入れる公衆トイレくらいのイメージかもしれない。

 何となく世界が見えてきたことで、今後の物語の準備も整ったといえるだろう。ひとまずの焦点は今後の光の動きと、それに伴うちさきの暴走っぷり、ということになるが、もちろんあかりと至の関係もまだまだ試練は多い。何よりも姉夫婦と同居せにゃならん光に面倒が多い……夜起きてたらヒソヒソと実の姉の睦言が聞こえてくるってのは……すげぇ居づらそう。あかりたちも光にはすげぇ気を遣いそう。美海ちゃんに弟か妹が出来るチャンスはあるのだろうか? そして、「塩水が無いと乾いちゃう」設定を前面に押し出されたのを見て、「あぁ、冬コミの薄い本の設定は大体決まったな……」とか思う僕の心は汚れてしまったのか? 答えは聞いてない。

拍手

PR

 問題尽きず、第7話。これまでは子供たちのいざこざと好きあった2人の問題という小さな関係が課題になっていたが、ここでついに登場、一番面倒な存在である「話の分からない大人」。陸も海も正しい意味で「海の男」たちが多いせいで、問題がこじれるのは超簡単。

 前回のエピソードでまなか・ちさき間の問題も解決。これで、子供同士でわだかまりを持った連中はいなくなった(まぁ、紡とひかりの関係性はまだ火種を抱えているわけだが)。先週出なかったのでどうしたんだろうと思っていたあかり姉ちゃんも、旦那と一緒に普通に活動出来ているようだし、その様子をみても美海ちゃんはかんしゃくを起こさなくなった。お船引の準備のおかげで学年や性別を超えて子供たちの友情は深まったし、言うこと無し。もうこのままお船引再開までなだれ込んじゃおう、という勢いだ。しかし、そうは問屋が卸さない。ひかりの父ちゃんもなかなかの分からず屋だと思っていたが、陸も海も、関係者は基本的に単細胞である。非常に悪い意味での「大人」たちは、子供の頑張りをあっさりとないがしろにし、どうでもいい些細なことであっという間に関係破談。あまりに馬鹿馬鹿しい喧嘩の顛末は、絶対に子供に見せたくない類の光景であった。

 一応フォローしておくと、今回の「馬鹿馬鹿しい喧嘩」は、「それくらいに陸と海ではわかり合うことが出来ない」ということを端的に表す事件である。きっかけが何だとしても、長年の歴史の中で根付いた差別思想はそう簡単にぬぐい去れるものではない。今回の喧嘩だって、互いに見下し合っているといういびつな関係性に端を発したものだし、親父さんが言っていた「言葉が通じるだけにわかり合えない」というのは真理なのだろう。そりゃね、同じ人間ですら国が違うだけで揉めるんだからね。生態系が違ったらそりゃ無理だわ。結局、お船引の件はうやむやのままぽしゃってしまい、あとに残されたのは「これでもまだあんな男と一緒に行くのか」というあかり姉ちゃんへのプレッシャー。しかし、「親父は問題をすり替えてばかりいる」と冷静だったあかりさんは逃避行の決意を固め、うろこ様からのダイヤモンドダストな妨害にもめげずに、一路地上へ向かうのである。ついでに光も大脱出であるが……どこに行くんだろう。住まわせて貰えそうなところって紡の家しかないよな……。

 さて、相変わらずもめ事が自然発生する段取りは見事な本作。そんな中でも今回勃発した「種としての違い」は最も根源的な問題であり、これが十全に解決するようになれば、このアニメも終わるということだろう。まだまだうろこ様が明かしていない秘密なんかもあるわけで、現在分かりやすい形で浮上している「海と陸の相互理解」という目標にはまだまだ壁は多いようである。あれ、でも「海と陸の関係性」が最終テーマだとすると、まなかがくっつくのは紡ってことにならねぇかな。今回はとんとん拍子で「光が紡とまなかのために頑張る」という何とも寂しいシチュエーションが構築されちゃったし。この辺りの「光、それ違う!」感はたまらないものがありますね。良い奴なんだけどな、光。

 そして、これまでも何度か俎上に上がってきたが相変わらず謎が解決しないのが、汐鹿生という存在そのものである。根強い差別意識があり、「根本的にわかり合えない」と割り切っている部分があるようなのだが、これまでの歴史の中で、一体どれほどの交流があったのかがよく分からんのだ。汐鹿生の生活水準が現代人とほぼ同じであること、水中の学校が廃校になったあとの措置として地上に転校していることなどを考えると、「豚と魚」と貶し合うほどに決裂した関係にも見えないのだが。汐鹿生がそこまで人類に仇なすような存在として認知されているなら、多分陸の人間は彼らを根絶やしにすることも出来ただろうし(過去の歴史の中でね)。少なくとも、大きな問題もなく共存出来ている時点で、そこまで酷い差別が生まれる意味もよくわからんのよね。汐鹿生って普段もずっと海の中にいるものなのかなぁ。だとしたら、陸の学校に行くために上がってきた3人って、すげぇ歴史的な存在ってことに……いや、違うな、あかり姉ちゃんは普通に地上で働いてたわけだしな。うーん、よく分からん。

 おっさん同士の喧嘩の時の「陸の奴らは女も奪っていく」という発言もなんだか不思議である。そもそも、陸の人間と海の人間の間に子を成すと海に戻れない、という条件がある時点で、海と陸のトレードは完全に一方通行なのである。地上で不自由があるとはいえ、汐鹿生は陸の生活が可能。それに対し、地上の人間は絶対に汐鹿生の家で晩ご飯を食べることは出来ない。いわば汐鹿生は劣性遺伝子みたいな存在であり、放っておいたら個体数の減少は免れないものなのだ。それをさも相手が泥棒であるかのように罵るのはおかしな話。汐鹿生はもうちょっと自分たちの未来に危機感を持って保護政策を打ち出すように地上政府に相談した方が良い。

 でもまぁ、今回のうろこ様の能力を観てると、汐鹿生の生活文化とか未来とかいうことを考えても「魔力で何とでもなるし」の一言で片付けられそうではあるんだよね。恐ろしいパワーなのは間違いないからな。今にして思えば、ぎょめんそうってどのくらいのレベルの罰則だったんでしょうね。

拍手

 中学生の水泳の授業! 第6話。そうかー、今のスク水ってあんな感じなのかなー。あれはあれでいいものだなー。でも、このアニメの中学2年生はちょっと子供っぽすぎる気がするなー。ちさきだけが特盛りって、偏りすぎやん。それにしても、この手のアニメの保健の先生って絶対に保健室にいないよね。

 いつでも複数のもめ事が同時進行で進行しては、それを取っ替え引っ替えして解決していくのがこの作品の筋立て。これまでも数多の問題が浮かんでは、その予兆の大きさに反してあっさりと消えていった。今回のお話は、珍しくほぼ1つの問題だけを扱い、ごく自然にそれもやっぱり雲散霧消するという、いかにも「凪から」らしい幕引きとなった。この無体なスピード展開は、一体何を持って可能にしているのであろうか。

 今回の問題はただ一言「ちさきちゃんたら困った子ね」ということ。前回とんでもないハプニングから秘めた思いをまなかにぶちまけてしまったちさきは必要以上に光を避けるようになったし、そこを繋ぎ止めようとするまなかも避けることに。そのギクシャクした空気は誰が悪いとも言えないのでなかなか面倒なものであるが、「どっちももう少し賢く立ち回れないものか」と思ってしまうもどかしい状況だ。もちろん、一番の責任(というか悩ましさ)はちさきにある。彼女の普段見せる「大人力」はいくら背伸びしたところでしょせん女子中学生レベルのものであり、こと自分の心情の問題になり、光との関係が関わってきてしまうと、これ以上無いくらいに不器用なものだ。「光に思いを寄せているが一歩引いて様子を見ている」のは、あくまでまなかや光の思いを考慮した結果であるのだから、その「身を引く」こと自体がまなかを困らせてしまっては本末転倒なのだが。

 しかし、それに対するまなかの気遣いの至らなさもなかなかのものだ。もう少し光本人がいないところで膝を詰めて話すべき内容であって、どさくさに紛れて光とちさきの距離を縮めようとしたって、そりゃ上手くはいかない。まなかが気を遣えば遣うほど、それはちさきにとっては悩みの種になってしまうわけで、ろくに話もせずに「不器用な気遣い」だけを見せるという状態は、一番アカン対応であろう。まぁ、それが分からないからまなかはまなかなのだろうが。今回も、そんなまなかの泣き顔に解決策をもたらしてくれたのは紡君であったと。アイツ、ほんとに困った人がいるとどこからともなく現れるよなぁ。あの海辺に何体の紡がいるのかと訝しんでしまう。

 結局、「巴日の思い出」の効果なんかもあり、例によってあっさりと1話で2人の関係性は修復された。もちろん、光との関係性が変わったわけではないのだから問題は根本的には解決していないが、上であげたような「ちさきの行動矛盾」について、ようやく本人も思いが至り、ひとまず「まなかのため」というところを中心につじつまを合わせることは出来たようである。野郎2人もそのあたりの女子たちの悩みは理解しているようで、やっぱり仲良し4人組の関係性って深いよな、という良いお話。これで問題もオールクリアー! ……ではないけどね。やっぱり紡を見てるときの光がずっとイライラしてたしね。少しずつ地上での友達も増えて、汐鹿生組も生活に馴染んできたところなのだが、やっぱり光のもやもやした我が儘根性は解消されていないようだ。まーねぇ、まなかがあの様子だとねぇ。良い気分ではないわねぇ。

 でもまぁ、他の問題については今のところ順調に推移してるみたいですし。前回あれだけ取りざたされたあかりおねーちゃんは今回一切登場せず、「多分、それなりに上手くやってるんじゃない?」くらいしか分からない。そのあたりの経緯については、美海ちゃんが出てきて平和そうな顔をしていたことで全て説明してしまっているのだ。ただ、その美海ちゃんも光を見て頬を染めるんですけどね……そうかー、前回海で抱き合ったのはフラグだったかー。光りは本当に本人の知らないところでモテるな。クロールもろくに出来ないくせに。「汐鹿生がプールで泳ぐと意外と駄目」って、どないやねんと思う設定だけど何となく分かる気はする。確かに潜水専門の人が泳ぎの達人かどうかは分からないからね。でも、汐鹿生が公的に認められたこの世界って、競技水泳のルールとかどうなんてるんだろうね。多分「汐鹿生は参加出来ない」ことになってると思うんだけども。どう考えたって水中で呼吸できてノンブレスで泳げる人類の方が速いに決まってるからな。なんで光は律儀にブレス入れてたんだろう。塩素臭い水ではえら呼吸できないのだろうか。

 しかし……それにつけても水着の女子中学生だよな……あれは……いいものだ……。目の前で胸をもみし抱くクラスメイトとか、男子全員前屈み必至じゃなかろうか。はて、自分が中学生だったときのプールの授業とか、さっぱり覚えてない。当時はどんな気持ちで授業に出てたっけなぁ。「裸足でスク水のまま掃除中のクラスに入ってくるクラスメイト」って、なんかすげぇいいシチュエーションだと思いません?

拍手

 「とむろみさん」を付けたくなるサブタイトル、第5話。こういうインパクトのでかいサブタイトルっていいよね。「どろどろオムライス」とか。

 ある側面では大団円となった節目のエピソード。なんだか毎回節目みたいな印象で数々の問題が発生しつつ、それが千切っては投げで解決されていくわけだが、今回は多分1つの節目で間違いない。コンテワークも色々と凝っており、監督自らのお仕事である。ちさきを追いかけるまなかと電車の動きを合わせるカットとかが好きです。

 今回片がついたのは、あかりちゃんの不遇の恋愛エピソードである。「村のしきたり」によって隔てられていたとばかり思っていた「岡惚れ」(意味違う)だったが、実際には一番高いハードルは残された連れ子である美海ちゃんだった。彼女のことを思えばこそ、あかりさんはそろそろ無茶な恋愛を諦める腹づもりになった。相手の男も今ひとつ頼りなく、別れ話になだれ込もうとするあかりさんを見ても、止めているような、そうでもないような。「なんでこの男に惚れるんだろうなぁ」とは思ったが、泣きじゃくるあかりさんを抱きしめるシーンなんかではちょっとだけその男前オーラというか、包容力みたいなものは垣間見えただろうか。まー、こればっかりは付き合ってる当事者連中じゃないと分からない感情である。

 美海ちゃんによる家出事件でどさくさに紛れて復縁した形になるが、実際には、その陰では光が大きな仕事をしている。あかりさんが苦しんでいたのは、別に陸と海という禁断の恋愛事情だけではない。というか、その辺のしきたり云々については親父が神主という立場がむしろ都合よく働いて、なんだかなあなあに済まされそうな空気すらある。どちらかというと、お相手の先妻が持つ「大人」に憧れ、それを乗り越えるために背伸びしていた部分が問題だった。亡くなってしまったみをりさんの「母親代わり」を務めようと気丈になるばかりに空回りし、「死んだ母親」とあかりを重ねることに強い抵抗を感じていた美海の心は離れてしまうばかりに。その立ち位置自体を改めるきっかけが、光の「お前だって子供だ」という発言だったわけである。その結果、あかりは泣き崩れて本音をぶちまけた上で子供のように駄々をこねることになり、結果的にはその方が相手には素直に受け入れられることになった。そうよね、まだ二十歳とか、女子高生と大して変わらないわけでね。少しくらい弱くたって構わないはずですわ。

 この辺りのあかりさんの感情の揺れ、吹っ切れぶりのつくりかたは、流石のお仕事というしかない。P.A.のお仕事でもあるし、単純に「寄りを戻した」ではなくて「多少人間的に脆さを見せて依存を高めた」っていうシナリオ作りはいかにも岡田麿里っぽい生っぽさもある。そして、そんな恋愛を成就させたのは、「true tears」でも勝者となった中の人、名塚佳織である。かもさんが泣きじゃくる姿を見るとゾクゾクしますね。目がでかくてグリグリしている今作のキャラクターデザインはたまにどうやろ、と思う時もあるのだが、こうして甘々なシチュエーションを見せられると、これはこれでいいかな、という気もしてくる。

 ちなみに今回、もう1人女の子が泣きじゃくっている。美海ちゃんである。こちらは子供ながらに色々考えて、考えすぎた結果あんな行動に出てしまったわけだが、まぁ、やはりこちらは子供だからね。別に悪意からの行動でないことは分かるのだし、今回のことで思いの丈をぶつけ合ったのだから、無事に所帯を持つことが出来たら、あかりさんとはうまく「親子」としてやっていけるのじゃなかろうか。ただ、今回すごく気になったんだけど、美海ちゃんのピンチだっていうのに、親友のさゆちゃんが1回も出てこなかったんだよね……実は前回の美海の勝手な行動(自分が犯人だと謝罪する)については、2人での確認は取れてない状態のはずなのだが……どうなってるのかな。

 まぁ、とりあえず(しきたりをどうするかは置いといて)あかりさんの問題は朝日に照らされて綺麗さっぱり片付いたと見ていいだろう。となると、現在残っている問題は……ちさきちゃんですね。この子も本当に不器用だなぁ。「都合が良いんだか悪いんだか分からないとこにいる」ことにかけては天才的な紡に対して「私のウミウシになって」と訳の分からない申告をしてから告白タイムに突入したわけだが、これまた「どこから現れたのかさっぱり分からない」まなかに偶然聞かれてしまうというサプライズ。あんだけ開けた海岸線で、真正面にいる人間に気付かずにしゃべり続けるってどういう状態なんだろう。とにかく、うっかりさんのまなかは親友の気持ちを洗いざらい聞いてしまったわけで。「忘れて」と言われてもそりゃ無理なわけで。でもまぁ、ちさきが一人で抱えてドロドロしているよりも、いっそまなかに聞かれた現在の状態の方がまだ健全だろうなぁ。本人達のSAN値は下がりまくるだろうけど、「隠し事をしている」っていう悩みよりはまだ軽いはず。まなかは基本的に阿呆だから、こんな状態を上手く切り抜ける手段は気付かないだろうな……ちなみに、こういう修羅場的な場面で横恋慕を我慢してるキャラというと、「ネギま」の夕映のエピソードが好きでした。ちさきちゃんもああいう立ち位置になればいいと思う。

 聞くだけ聞いて放っておいてる紡がちょっと酷い奴な気もするけど、あいつはあいつでどうしようもないし。キンメが大量だと遅刻していい学校って、なんか羨ましいです。さぁ、来週はどんな問題が起こるかな?

拍手

 謝罪祭り、第4話。相変わらず「こりゃこじれるぜ……」と思ったファクターがことごとく1話で解決するアニメ。タスクリストの更新が大変だ。

 前回やんわりと伏線を張られていた、「地上の奴らの感じの悪さ」。それが今回見事に結実してちらし寿司散乱事件が発生「コレがほんとのちらし寿司」……ってやかましいわ! ものすげぇ教科書通りの「差別」であり「いじめ」なわけだが、光はそんなものに怖じ気づくはずもなく、むしろ発憤し、最終的には謎の「チェスト」である。チェストって技名じゃねえよな。結局、人形破壊の犯人は幼女だったことがすぐに判明したので彼の行動は短慮故の過失となったわけだが、流石に今回は光の方を擁護したい流れ。あれだけ分かりやすいいじめを受けて、尊厳を否定されては怒るのも当然である。校長や担任の采配が冷めていたのは、あくまで客観的に犯人を見ようという正しい理念からだったのか、それとも汐鹿生が胡散臭いと思ってしまう陸の人間の考え方のせいだったのかは謎だが、いじめの現場をみたら流石にああいう流れにはなっていなかっただろう。

 しかし、こうしてわだかまりが最高潮に達したかと思われた陸VS海のいじめ戦争は、あれやこれやのうちに気付けば解消に向かっていた。これまた光の馬鹿がつくほど真っ直ぐな性格のおかげであり、ミラクル土下座からのチェスト要求(なんじゃそりゃ)でぶつかる相手もあきれたご様子。流石にこんな馬鹿を敵に回すと面倒だと判断したのか、「いいパンチ持ってるじゃねぇか」の河原の殴り合いコースで和解。これで光、まなか、紡あたりの関係性にはほぼ悩みの種はなくなってしまった。

 もう1つの人間関係の揺れは、幼女コンビにもあった。過去のいじめに端を発した2人の関係性。一見脳天気だと思われていた美海ちゃんとさゆちゃんだったが、かたや後妻とよろしくやろうとするパパを持つ父子家庭の環境に悩み、かたやいじめを乗り越えて友人との関係を守りたいと思っている。そんな互いの意志を確認出来なかったばかりに、さゆは人形破壊という短絡的な行動に出てしまった。ただ、彼女の年齢を考えれば強く責めるのも抵抗がある案件かもしれない。ちゃんと謝ることも出来たのだし、こちらも光たちの事件同様、終わり良いので全て良しと見るべきだろう。現時点では、さゆの切なる思いを一方的に聞いてしまった美海ちゃんのレスはまだ来ていないが、あれだけ熱心に思われて「うざい」ってなこともないだろうし、幼女コンビも少しは安定した状態になってくれると思う。

 さて、タスクリストに書き残された問題の火種は、主に2つ残されている。1つ目は、未だ解決をみないあかりの恋愛ハードル。美海の父親、至は、海まで愛人に会いに来て見事に溺れた上、そのことをなにやら愚痴愚痴の漏らすいまいち頼りがいのない男ではあるのだが、熱心なのは事実であるし、それに対するあかりの気持ちも真っ直ぐなものだ。後釜狙い&しきたり違反という二重の汚名を着せられたあかりだが、まだこれで終わるというわけにもいくまい。まぁ、後釜狙いに関しては、単にうろこ様が「キツイ」言い方をしただけで、別に法的に問題はないのだ。美海ちゃんはあかりが家に入ることを認めていないわけだが、そのあたりも今後の懐柔策次第だろうし。ま、しきたりの方はどうにもならないけどもね。

 ちなみに、そんなあかりの悩ましい状況を見ての、適当三昧のうろこ様の動きも気になるところ。今までは呪ったりセクハラったりするだけの奴だったが、今回初めて神の遣いらしく「神本人」とコンタクトを取っていた。「海の者と陸の者をくっつけてはならない」という海神の指示は、一体何を狙ったものなのか。うーむ、どうにも海神様はあんまり良い奴じゃない匂いがするのがなー。そりゃしょうがないよなー、毎ターン占術1だもんなー。

 そして、そんな海の中の黒い現状に加え、少しずつSAN値を下げている2つ目の火種は、これまで裏方に徹していたちさき。「光への思い」「まなかへの思い」を制御して大人役に徹している(と本人は思っている)ポジションだったわけだが、どうも、世界が上手く回りすぎているせいで、彼女の「大人力」に疑問が出てきてしまう。「上手くやってる」と思い込んでいる人ほど物事が上手く行かないときにテンパるもので、ちさきちゃんも別に悪いことが起こってもいないのに、なんだか怪しげな雰囲気に。彼女のテンパりも暗雲としては割と大きそうに見えます。まぁ、今のところ大きそうに見えた暗雲が全部1話で解決してるんですけどね。ちさきちゃんはヤンデレの素質があるので、このまま変な方向に壊れてくれると刺激物として楽しいものになりそうな気もする。胃の痛い展開ではあるが、はてさてどうなりますことやらね。

拍手

 「子作りはしてるのか」(直球)、第3話。そういう設定で持ってくるのか。相変わらずのノンストップぶりだよ。よくまぁここまでストレートに書けるなぁ。

 もう重たい話しか無いと思っていた2話の大展開だったが、なんと、そのうち半分以上が3話で解決してる(ような気になる)というびっくり展開になった。一番の驚きは、子供側のわだかまりがおよそ解決してしまったという部分だろう。光と紡の間ではさっさと友情が成立。これまでは間にまなかを入れての三角関係だったせいで勝手に一番幼い光が気にしていただけだったが、じいさんにぶん投げられたことで実際に話をしてみたら、紡が思いの外良い奴だったと分かったらしい。そりゃね、ただでさえ外様扱いの地上生活で、ここまで汐鹿生によくしてくれる人間なんてそうそういないだろうさ。光は幼いのは確かだが別に悪い奴ではないので、彼の誤解さえ解けてしまえば、少なくとも光・紡の関係性は問題無く成立するわけで。そしてそのことは当然まなかだって知るところになり、4人組と紡はひとまず一緒にはしゃいで笑いあえる仲になったのである。中盤で「これで問題は嘘をついてまで隠してるぎょめんそうの問題だけか……」とか思ってたら、まなかったらあっさりカミングアウトしちゃうし。紡に直接そのことで謝っちゃったってことは、紡がその気になって想像力を働かせれば、まなかが思いを寄せている(?)ことにも気付きそうなものだけどもね。まぁ、こいつら全員お子様だから、まだあんまり気にしなくてもいいってことでしょう。ただ、学校の他のクラスメイトの視線があまり穏やかじゃないんだよね……怖い怖い。

 子供たちのお気楽な関係性とは違い、一筋縄ではいかないのが大人のお付き合いである。あわや追放命令かと思われた光の姉、あかりの駆け落ち問題であるが、一旦は「あかりが諦める」という形で決着を付けた(ように見える)。「中学三年生の保健体育で習う」とのことだったので、当然あかりは子を成した時の問題を自覚した上で交際を続けていたことになり、彼女からしたら今回の騒動は一切思いを諦める理由にはなっていないはずなのだが、それでもやはり村に隠していたこと、そして何より家族に隠していたことの罪悪感は大きいだろう。ごたごたしてしまったことで、一応けじめを付けたことを対外的にも示さなければならない。その上での判断かと思われる。単なるムラ社会の因習などではなく、一応村を出ることを戒める理由も明かされたわけで、まぁ、このあたりが落としどころなのかもしれない。ただ、もちろん物語はそこで終わるわけがないのだが。

 あかりが改めてどのような行動に出るのかは分からない。何よりも家族思いな人物であることは確認出来るので、今回のように家族に迷惑をかける行動は起こしにくいかもしれないが、あくまで「幼い光のため」という理由があるならば、光がきちんと成長し、立派に姉の気持ちを受け止めるだけの度量が出来れば、改めてあかりは外界にチャレンジすることになるのかもしれない。そして、更に問題は自動的に加算されていくシステムになっているらしく、普段から光を目の仇にしていた愉快な幼女2人組から、衝撃の「パパ」発言。うーむ、一筋縄ではいかない。更に、じいさんが実は汐鹿生だったらしいという手がかりまで出てきてしまい、その直系である紡も、一応生物学的には否定されながらも、ひょっとしたら汐鹿生の一族と見ることも出来る存在になったわけである。となると、今回あかりが挫折したような問題が、ひょっとしたら紡・まなか間では打開される可能性もあるわけで……ややこしいわぁ。

 個人的に、あかりちゃんがあの声で結婚や子育てについて悩んでくれているだけでもナイスだと思います。あと、メディアに躍らされる幼女可愛い。

拍手

 発情期の中学生! 第2話。いちいちエロいことしか起こらない世界。全ての要素がエロに繋がる気がするのはこっちの目が曇っているから。

 わずか2話目ですが、まなかちゃんが本気で可愛くなって参りました。典型的な花澤キャラといってしまえばそれまでなのだが、何事にも一生懸命なドジっ子でありながら、きちんと自己主張が出来て考えていることが分かりやすいのがポイントだと思われる。光のことは幼なじみとして好き。だから彼に怒られたくないし、迷惑をかけたくない。でも、それとはまったく別に、紡のことは憧れの男子として好き。多分、ムラ社会から出て初めての恋心なのだろう。だからそこについても一切遠慮せずに、ぎょめんそうのことで話題を持ち続けようとして、うろこ様に狼藉を働いたりもする。彼女の中では、光と紡に対する気持ちは一切矛盾を持ったものじゃないのだよね。誰が悪いかといえば、自分の気持ちをはっきり伝えない光が一方的に悪い。そんな状態なので、「まだまだどうせ初恋の段階なんだし、試しに紡君とお近づきになってもっといちゃいちゃして経験を積むといいよ」とか思っていたのだが、どうやら村の掟のせいでそれすらも許されないようである。訳のわからねぇ世界だよな。

 他の面々についても、心情は至極分かりやすい。自分だけが頼りだと思っていたまなかが他の男に惹かれているのを見て我慢出来ない光。どう見ても彼のわがままであり、独りよがりな感情なのだが、ゆーてもまだ中学生ですからね(今作の中学生はちょっと幼い気もするけど)。周りにいい友達がたくさんいるんだし、まなかは素直でいい子なのだから、まず光が素直になるところから始めないことには、仲も進展しないでしょうよ。光→まなかの感情は明らかに思慕であるのに、まなか→光はまだまだ家族愛的なものであるっていう齟齬に早く気付かないとね。一番面倒な立場にいるのがちさきちゃんであり、彼女の中で光もまなかも同じくらい大切なのでとてもとても辛いらしい。こういうときに「見えてる」人って不憫だよね。このまま話が進んでまなかと紡、ちさきと光が繋がれば一番収まりがいいのだが、この場合には光の感情が完全に無視されるのが難しいところか。

 今作は、一部でNTR作品だとして騒がれている節があるが、これを見てNTRという看板を背負わせるのはどうかと思うし、それを忌み嫌う意味も訳が分からないので、割と困惑している。NTRなんてそもそもご褒美……いや、そうでなくて、こいつらまだ中学生やぞ。そんなドロドロしたもんじゃなくて、単なる「焼きもち」っていう程度の話やないか。もっと突っ込んだ話をするなら、NTRというのは女性側が第2の男性に無理矢理心情面から籠絡されるために成立するメンタルジャンルであって、今作のように、ただ自然な成り行きで女の子が別な男に惚れるだけの状態は「普通の恋愛行動」である。まなかが惚れたっていうんだから、そりゃ好きにさせろよ。紡が悪意を持って光とまなかの仲を裂こうとしてるわけじゃないんだから。むしろ、紡君はめっちゃ良い奴だし。より恰好いい男に惚れるのを咎めてたら、男女関係なんて成り立たないやないか。これでぐずぐず言われてたら、本当にアニメで描ける恋愛観がどんどん狭まっていくぞ。

 というわけで、まなかちゃんはもっと積極的にアタックを……と思ったんだけど、村の掟がなぁ……この世界の陸と海の関係性は謎だらけだよなぁ。

拍手

 事も無し、是即ち良き事也、最終話。阿呆に揉まれてお付き合いしてきた3ヶ月。この幕引きで、万事OK。

 二転三転の末に転がり込んだ偽右衛門選挙の最終局面。母上のピンチも重なり、はたして矢三郎はどのような機転でこの窮地を乗り越えるのか?! と思ったら、基本的になーんもしなかった。ほぼ見てただけである。しかし、人がおり、狸がおり、天狗もいたあの仙酔楼で、ちょいと引き金が引かれてしまえば、何が起こるか誰にも分からない。早雲がしらを切り続けただけならばひょっとしたら何も起こらなかったのかもしれないが、彼が調子に乗って弁明釈明だけでなく、矢二郎に対する当てこすりまでしてしまったのがまずかった。家族思いの長兄は弟を馬鹿にされたことを看過出来ず、後のことも考えず文字通りの大虎になった。これがきっかけで金曜倶楽部との遭遇、早雲の焦り、淀川先生の決意と繋がり、最終的には高そうな料亭の御二階で大量の狸がかけずり回るワクワク動物ランドが展開されてしまうのであった。やっぱり狸可愛い。今の今まで大して数が出てこなかったので感じなかったが、今作の狸は無闇に可愛い。狭い空間にひしめき合うぽんぽこフェスティバルは、好きな人間にはたまらぬパラダイスである。焦っててそれどころじゃなかったかもしれないが、あれだけの狸フェスタ、淀川先生は大満足だったんじゃなかろうか。

 結局、何を考えたわけでもなく、なるようになった結果の大騒動、料亭の屋根は吹き飛び、怒れる天狗の鼻息で四条通りの車が宙を舞う。この事件のちょっと前には鴨川沿いに叡山電車が激突するなんて惨劇もあったわけで、この日の京都の夜はまさに魔都そのものである。でも、ここまで行っちゃうと「怖い」とか「凄い」とか「ヤバい」じゃなくて「阿呆」がしっくり来るんだろうね。荒ぶる天狗も、耳かき膝枕の誘惑には一切抗わず、何事も無かったかのように沈静化。家族は久しぶりに全員が顔を合わせ、これぞ大団円、めでたしめでたし。

 誰が頑張ったわけでもないだろう。淀川先生は持論をアップデートさせて「食べられない愛」を謳って金曜倶楽部を除名になったが、多分彼のことだから遅かれ早かれそうなっていたはず。やっぱり、愛は捕食関係じゃ説明できませんよ。持論が変わって「詭弁だ!」などと文句を言われていたが、彼の訴えは詭弁なんかじゃない。だって理屈を付ける気などないのだし。彼は今まで、愛情という形の無いものに理屈を付けようとしていただけで、此度の騒動でそれが無意味なことだと分かっただけの話。彼は残念ながら、「阿呆」ではないんですね。そして、阿呆とはちょいと違うが、涙無しには見られない、矢二郎という腑抜けた男の帰還劇。優しい母親の声にボロボロと涙するカエルを見て思わずこちらももらい泣き。本当にこの家族は両親が人格者である。あの父親の血の下に生まれた4人が、あの母親の心で育てられた。だからこその「家族」。「有頂天家族」。出来ることなら、将来的にはこの家族の輪の中に海星も入れるといいね。

 赤玉先生は、改めて揃った家族を見て、1人1人に声をかけてくれた。今回の騒動のきっかけとなった矢一郎には「柔軟になれ」。父親譲りのふざけた変身能力で暴れ回った後の矢二郎には「普通に戻れ」。家族のために必死に走り回った矢四郎には「大きくなれ」。そして一番身近な矢三郎には何も言わない。「コイツには何を言っても無駄だ」なのか、それとも「もう何も言うことは無い」なのか。その真意は藪の中だが、隣でほくそ笑む弁天様は、きっと全てを知っているに違いない。狸の生き様も、天狗の人生も、突き詰めれば求めるのは「楽しむこと」だけ。矢三郎の肩にかかったものは、古き良き狸が持ち続けた阿呆の心意気である。きっと、彼はまだまだ騒動を引き起こすことになるのだろう。それでも、周りの人々はきっと嫌そうな顔をしながら喜んでついてくるのである。これこそ、阿呆の血の然らしむるところである。

拍手

 二転三転、第12話。初期のあのゆるりとした空気はどこへやら、常に波乱含みの大活劇。京都はほんま、おっかないところどすえ。

 今回はもう、サブタイトルが全てを物語っている。海星の力を借りて何とか逃げ出した矢四郎。しかし、彼の力だけではこの窮状を救うことなんてできやしない。そこで彼が思いついた唯一の活路が、まさかのニセ電気ブランである。社会勉強がてら、嫌々ながら働かされていた工場の商品、これを突っ込むところはどこかと言えば、もう、そりゃぁ井戸の中に引きこもった実兄の口の中しかないだろう。家族の大ピンチを報されても情けなく困り果てるだけだった矢二郎だが、あの雪辱の夜の再来か、アルコールを注がれたことで眩きシャイニングソウル。カエルの姿から狸をすっ飛ばして大虎に至り、繰り出すはあの日の思い出、偽叡山電車である。もう、この作品の「ニセ」の自由奔放さは実に良いポイントをくすぐってくれる。総一郎の一世一代の「偽比叡山」に始まり、今回は「偽叡山電車」が滑走する「偽寺町通り」である。もう何がなにやら。

 そうなんだよ。こないだわざわざ巡礼してきたが(いや、正直に言うとその近所にあるボードゲーム・カフェに寄っただけだが)、矢三郎が捕まった「竹林亭」の元となった蕎麦屋は出町柳商店街の西側、寺町通りに位置している。あそこからは一気に南下するだけであっという間に金曜倶楽部の会合場所へとたどり着くのだ。今回金閣銀閣をいじめている間に叡山電車が爆走したのは、まさにこの寺町通りだ。御所の東を渡り、市役所の脇をすり抜けて、寺町商店街へ。残念ながらあんまり細かい操縦は出来ないので三条で止まれず、そのまま新京極方面へ向かった。おそらく、三条を越えたあたりで夷川親衛隊の手による「偽寺町通り」に入ったものだと思われる(三条交番のあたりまでは実際の景色を走っているが、そのあたりから背景がループし始める)。化かし合いの結果、5匹の狸は鴨川へダイブ! するところだったが、矢四郎の機転で何とかそれだけは回避、「寺町から飛び出して鴨川上空をホバリングする叡山電車」という、京都人でなくとも爆笑してしまう愉快な物体が、夜中の繁華街上空に現れることになる。あの飛行用の釜は矢四郎の機転だったようだが、あれはどこから持ち込んだんだろうなぁ。

 そして、拾い物の扇でちょいと扇いだ結果、問答無用の叡電ミサイル発動。不覚にも爆笑してしまった。すげぇな扇。結果として四条の鴨川べりに叡電の車両が激突するという、現実では絶対に絶対に絶対にあり得ない事態に(まぁ、阪急だろうが京阪だろうが激突はしないだろうが)。しっちゃかめっちゃかの会場で、何とか第一目的である矢一郎救出には成功する。ここでハッピーエンドならば良かったのだが、あれよあれよとことは進み、続くのは母上のピンチである。この辺りからのしたたかな化かし合いの展開は、狸と人間が入り交じった本作の真骨頂と言っても良いだろう。怪しげな術を駆使し、なおかつ隣に弁天をはべらす謎の老人、寿老人。どこまでことを知った上で誘導しているのかは定かでないが、そんな危険人物を前にして阿呆の切り込み隊長である矢三郎は、次から次へと口から出任せをはき出して何とか食らいついていく。母狸の危機、集まる事件現場、そして矢三郎自身も常に危険と隣り合わせ。そんな状況で、全てを知っている弁天は相変わらず不敵な笑みを浮かべるだけである。何とも恐ろしい女だ。

 一方、ラストステージに選ばれた仙酔楼では、辛うじて生き延びた矢一郎が、必至に立ち直って早雲と丁々発止のやりとり。事の顛末を詳らかにすることで糾弾しようとするも、したたかな早雲は素知らぬ顔。しれっと「狸の風上にも置けぬ」とかいうあたり、流石に下鴨総一郎の弟、肝の太さは大したものだ。現状、この2人のバトルは平行線であろう。矢二郎が久しぶりに顔を見せたところで、残念ながら説得力が増すわけではないのだ。勝負のターニングポイントとなるのは、奇しくも隣室に入った金曜倶楽部の面々である。あそこに母狸は幽閉されている。そして、母狸が鍋に落ちることは、夷川早雲も望まぬことなのである。策略に謀略を積み上げた権力闘争のなれの果て、早雲はかつての想いを取り戻すことが出来るのか。そして、矢三郎の一世一代の大勝負、ここで弁天や寿老人を相手に、愛する母親を助けることが出来るのか。狸VS狸に狸VS人間が絡み、それを見守るのは赤玉先生と弁天という2人の天狗。「何か恐ろしいこともたまに起こる」とさらりと言えてしまう京都の夜に、一体どんな顛末が待っているのやら。

 次週で最終回、とびきりの有頂天を期待したいところだ。おそらく次週が矢三郎の見せ場となるわけだが、なんとか矢一郎にももう一働きしてもらいたいところだね。今週も自分の不甲斐なさに涙してるだけだったから……まぁ、ヘタレ可愛いのが矢一郎のチャームポイントなんだけども。そして、今週は当然矢二郎の最大の見せ場となったわけだ。偽叡山電車の無茶苦茶さを見て、「なるほど、これは見事なキャスティングだった」と感心することしきり。普段の「井の中の蛙」の情けなくもがんちくを持っていそうな表情に声を当てる吉野裕行も素晴らしくマッチしていたのだが、「けんどちょーらーーい!」と叫んで愉快に走り回る矢二郎の晴れ姿も、やっぱりよっちんがやってこそ、という気がする。良い物を見せてもらいました。

拍手



忍者ブログ [PR]
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
カテゴリー
プロフィール
HN:
Thraxi
性別:
男性
趣味:
声優のこと全般
自己紹介:
関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
大原さやか 桑島法子
ーーーーーーーーーー
↑越えられない壁
沢城みゆき 斎藤千和 
中原麻衣  田中理恵  
渡辺明乃 能登麻美子
佐藤利奈  佐藤聡美
高垣彩陽   悠木碧
最新CM
[05/22 ななし]
[04/26 な]
[04/25 な]
[04/19 NONAME]
[04/17 NONAME]
バーコード