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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 「PROJECT A」2本目の放送作品。原作は新美南吉らしく、いかにも訓話的な、何とも懐かしい香りのするお話である。

 始まった直後は、のっぺりした空気と、どうと言うことも無い画面のおかげで「ふつーだなぁ」と思って観ていたのだが、話がおじいさんの昔語りに入り、いざランプが登場したあたりになると、だんだん引き込まれていくような不思議な感覚があった。キャラクター造形は割と今風でシャープなものなのだが、背景を含む全体的な作品コンセプトは絵本をそのまま写したような、何とも懐かしいものになっており、ちょっと「普通の」という評価は当てはまらないような気になってくるのだ。そして、「ランプ」というこの作品のキーパーツに火が灯るところで、その思いは更に強くなる。明かりの乏しい田舎の寒村に灯ったランプの炎は、周囲の闇を突き破って明々と灯り、主人公の思いを一気に発露させた「生きた」光を解きはなった。

 そして、更にその後に訪れる「電気」の時代。ランプの炎が打ち破った闇を、更に鮮烈に打ち払う電気の明かり。主人公にとって忌むべき存在となったその明かりは、皮肉にもランプの明かりよりも更に印象的で、世界の変革を知らせるのに充分な威力を持っていた。この「ランプ」と「電気」の明かりの描出が、このアニメを作る上での一番の勘どころだったのだろう。

 シナリオ自体が素朴で、どこも突っ込みどころは無いものなのだが、そうした丁寧な画面作りのおかげか、何とも言えない侘びしさと懐かしさが気持ちいい。「物語を十全に伝える」というのがアニメーションの1つの働きだとするなら、このアニメはかなりの秀作と言えるのではないだろうか。なかなかこうした単発の「いいお話」をアニメで制作する機会というのは与えられるものではないので、こうしたプロジェクトで、1本でもこうした試みが行われたのは、実に有意義なことであったと思う。

 また、この作品がこのご時世に放送されてしまったことも、皮肉な運命といえるかもしれない。作中では「初めて訪れて人々の暮らしを変えていった」電気という存在。それが今や当然のものとなり、生活の中で全く意識されないものとなる。本来、この「訓話」はそうした現代人の中に静かに入ってくるくらいのものになるはずだったが、今の日本で「電気」というと、それはもう大切な資源となっている。闇を打ち払って人々の生活を支える伝記の物語。それをランプ屋の主人という1人の主人公の視点から描いた物語が、現代日本には別な角度から訓話として伝わりそうである。関西からでは、どう書いても他人事になってしまうのが申し訳ないのだけれどもね。

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