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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「ゆびさきと恋々」 6→6

 なかなかに評価の難しい作品で、点数維持という判断は、私の理性が頑張った結果である。

 どういうことなのかを説明しよう。まず、今作はアニメーションとしてすこぶる完成度が高い。「聾」という扱いの難しいテーマにチャレンジしており、漫画原作からアニメ化するに際し、最大の魅力である「動きがつき、音がつく」という部分の「音」について、今作は自ら制限をかける状態。いや、実際には健常者目線で全く不自由しないくらいに音をフル回転で使っているのでそこまで制限しているわけではないのだが、きちんと「聾の世界」を描くために「音が聞こえない世界」「声で伝えられない世界」に踏み込み、単に「縛られている」と感じるだけではない世界を描くことに成功している。これはおそらく原作段階でも狙っている部分なのだろうが、「伝えづらいからこそ深まる関係」というのは非常に興味深いもので、「言語が違う」からこそ互いへの理解を深め、距離を詰めていく過程は単なるラブロマンスではなく、人と人との相互理解の過程を描いた、もっと根源的な「愛情」のドラマだ。声によるコミュニケーションが困難なヒロイン・雪と、そんな彼女に惹かれ、積極的に彼女の世界に踏み込んだ相手役の逸臣。互いの世界が少しずつ交わり、独自の交流手段を築き上げる様子は、純然たる成長譚と言える。

 そうして描かれた「ちょっと変わった関係性」が、聾という道具立てによってより一層印象的なものに仕上がっているのが今作の白眉な点で、我々がなかなか気づけないような要素、例えば「夜は手話が見づらくてコミュニケーションが難しい」なんて要素を、二人の距離の表れに活かしたりする。「夜の闇が2人の対話を邪魔する」なんてなかなかに詩的な状況ではないか。他にも、一般的なカップルとは「スキンシップ」の意味が全然違ってきて、互いの触れ合いから余計な意味合い(要は性的な意味合い)を極力取っ払って純粋な「距離の近さ」を演出できるし、ダイレクトに関係性の深さに繋がってくる。これは別に「足りない物語」ではなく、「人とは違う物語」としての魅力が発揮されているということだ。

 そうして、今作の見どころは存分に堪能できたし、「聲の形」に続く「聾のアニメ」として歴史の1ページに残せるだけのクオリティだったと思うのだが……でもね! 僕らはね! 逸臣みたいな男が苦手なんだよぅ! これだから陰キャは……。ほんとに最初から最後まで逸臣の行動原理に理解が及ばなくてさぁ……いや、理解はできるかもしれないけど「けっ、このコミュ強が……」って思っちゃってさぁ……ほんでその逸臣にユキちゃんが無条件で惹かれちゃうじゃん。その惹かれる理由が理解できるのもまたなんともやるせなくて……桜志との三角関係、どっからどう見てもNTRもののプロットなんですよ。その桜志にしたって、完璧に逸臣にやられて納得づくでユキとの関係を認める形になっちゃったし……幼馴染が負けることの辛さってさぁ……。

 いや、現実なんてそういうもんだと思うよ。逸臣のスペックに太刀打ち出来る男なんてそうそういねぇよ。だからユキちゃんは多分幸せだよ。でも、なんかさぁ……。そうです、僕の引っ掛かりを一言でまとめると「やっかみ」なんですねぇ……気持ち悪いですねぇ……。

 というネガティブな感情をどう処理したらいいか悩んだんだけど、「まぁ、どう考えても俺が悪いな」と判断したために点数は下げませんでした。素晴らしいアニメだとは思うんですが、僕は今作の記録をそっ閉じするだけにとどめておこうと思います。みなさんお幸せに(血涙)。

 
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