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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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「BLOOD-C」 6→6

 様々な議論を巻き起こしつつ、大爆発とともに終了した作品。紆余曲折はあったかもしれないが、きちっと狙い通りの位置に着地出来たのではなかろうか。「1クール」っていう期間をどのように使うか、っていうテーマについても、なかなか興味深いサンプルを残してくれた。

 当方、水島監督のファンだという前提も有りつつだが、とにかくシリーズ通してドキドキは持続していました。世間的には「エンドレスエイト」に肩を並べるほどの中だるみ、グダグダ作品と評されているのを見かけるが(そして、正直言ってそのように見なされるのも仕方ない部分もあったと思うが)、個人的には、振り返ってみれば1話1話がその存在感を発揮させて「BLOOD-C」を作り上げていたのではないかと思っている。盛大に砂山をぶち壊すには、黙々と砂をしめらせ、積み上げ、ならす作業が必要なように、このアニメが12話で結論にたどり着けたのは、それまでの話で作られた「舞台」あってこそだ。そこで演じられるのが「ドラマ」なのか、「日常」なのか、そして「茶番劇」なのか。それは、題材が違ったとしても重要性にかわりはない。

 この作品で積み上げなればならなかった砂は、ただひたすら「日常」と「非日常」の繰り返しである。何しろ、七原文人が試みていた実験は、「日常」をどこまで引き延ばせるのかという挑戦であり、更衣小夜はその打開に向けて、必死に抗うことを続けていたはずなのだ。最初から改めて見直さないことには分からないが、この文人対小夜、「人間」対「古きもの」の対決は、今の視点から振り返れば、全く別な姿を描いていたはずなのだ。

 本作が巧みなのは、対立構図の題目が、裏と表で全く変わっていないという部分。表のテーマは、「人間」代表である小夜が必死に人間を守る為に「古きもの」と対決するというもの。そして、裏で進行していたテーマは、「古きもの」である小夜が、人間・七原文人の呪縛に抗って対決するというもの。悪辣だと思われていた数々の古きものは、実際には小夜の血をトリガーとして調整されたものであったし、最も醜かったのは舞台を用意した文人たちであり、そこで演じていたメインキャストたちであった。小夜が守らねばならなかったのはあくまで自分自身と「大切な人たち」であるが、その構図は、基本線を動かさないままでぐるりと反転したものになっていたのだ。

 結局、小夜の行為は茶番の中に溶けたが、それでも最後に委員長が残したように、我々は小夜の「一抹の真実の物語」を見続けていた。これにより、すべてが茶番に終わるのではなく、真の意味での更衣小夜の姿を描ききることとなった。「古きもの」との対立で見せた正義感は、そのまま人も古きものも越えて、大切なものを守りたいという信念となって残された。これは立派なヒロイック・サーガである。

 そして、そうした小夜と文人の抗争を描くために用意された茶番劇と、数々の戦い。本作最大の見どころは、I.G.の真骨頂と言える圧倒的アクションである。毎回手を変え品を変え繰り出されていた異形の「古きもの」たちは少しずつシナリオを成しながら、実に見事なバトルシーンを演出してくれていたし、どこか奇妙なこの世界の玄妙さも表している。このバリエーションの出し方は、あのエヴァンゲリオンの使徒のバリエーションにも通じるものがある。そして、そんな奇妙なツールをフル活用して描かれた、メインテーマである「血(BLOOD)」の物語。残虐描写を徹底させることで小夜というキャラクターのどこか「足りない」部分を浮き彫りにし、大仰な立ち回りの説得力を増している。また、「血」というテーマは、そのまま小夜と唯芳の関係性などにも転用され、引き続きこの作品のテーマであり続けている。こうした徹底的なテーマ性の維持と原作者の意図を汲んだ構成が保たれたのは、流石の水島努というしかない。最終回などで顕著だった、どこか引き笑いめいたものが起こってしまうような突き抜けた作劇は、「白水島」と「黒水島」の恐ろしい形での融和の結果ではなかろうか。

 とまぁ、無駄に盛り上げてみましたが、あとは1年後の劇場に持ち越しですかね。心底楽しみです。出来たらもう少し早めにやってくれると嬉しいんだけど……まぁいいや、最後は中の人の話になるわけだが、今作はもう、福圓先生以外にはいないでしょう。ヘッドの配下としてのキャスティングで、確かに水樹奈々もオンオフの切り替えの激しい大変な役どころをしっかり果たしていたと思うのだが、その下でこの世界観全てを一気にぶち立てた福圓美里に敵うはずもない。本当に、色んなところから予想もしないものをポンポン引っ張り出せる素晴らしい役者である。また、悪辣な男性役の代表選手、野島健児も一貫した演技でもって作品作りに貢献してくれた。色々と難しい部分の多い作品だったと思うので、キャストの皆さんには総じてグッジョブの言葉を贈りたいです。

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