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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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 やるせなさ募る第5話。当然どこかで必要になる、和奏の過去の傷のお話。来夏のモットーが「音楽を楽しむ」であるおかげで基本的に常夏だったりラテンだったりと明るい雰囲気の本作だが、もう1人の主人公たる和奏を描くためには、こういう回も必要不可欠。薄暗い中に、しっかりと刻み込まれるエピソードになっている。

 一応、陳腐化を覚悟でまとめておくと、和奏が音楽をやめてしまった理由は、過去の自分への罪の意識と、大きな喪失感であることが判明した。音楽を愛し、娘を愛しながらも志半ばで帰らぬ人となったまひるさんの存在が、今回ようやくフィーチャーされることになった。これまでのエピソードでは幼少期の和奏が母親と楽しそうに歌っている様子ばかりが描かれていたので、実際に2人がどういう関係であるかとか、まひるさんが亡くなったのがいつだったのか、といった点ははっきりしてこなかったのだが、実際には、よりにもよって一番辛い時期に逝ってしまったのだ、ということが明らかになった。

 高校受験を控えた娘、なんてものは、思春期真っ盛りで親との関係が一番難しい時期だろう。ちょっとしたことでも親のやっていることにイライラもするし、何かというと親が間違っている、自分がきちんとしなければ、と思い込んでしまうもの。過去の和奏もご多分に漏れず、どうにもほわほわした性格のまひるさんを観てカリカリするばかり。必死で練習して進路に定めた音楽という要素でも、母親の持つ価値観は間違ったものであると思ってしまい、交流はうまくいかずにすれ違ってばかり。しかし、もちろんだからといって母親が嫌いだったはずがない。認めていないはずもない。ただ、その本当の思いを伝えるだけの余裕が無い状態で、まひるさんが帰らぬ人となってしまったのだ。このあまりにも残酷なタイミングの悪さが、今の和奏を作り上げてしまっている。

 自分が「本当の」音楽をやる、なんていう思い上がった子供の意地がどれだけ母親の期待を裏切り、どれほど貴重な時間を無駄にしてしまったものか。そして、何故自分が音楽をやりたいと思い、必死で鍛錬をしてきたのか。一番聞いて欲しかった人、一番一緒に歌いたかった人を失ってから、そのことに気付かされては、何もかもが手遅れである。「自分なんかが歌うべきではない」という罪の意識と、「もう歌っても届かない」という喪失感。2つの感情が和奏を追い詰め、結局彼女は音楽科を出ることになってしまったわけだ。父親もそのことについては勿体ないと思ったことだろうが、娘の気持ちを考えれば、その決断を止めることは出来なかったのだろう。

 今回の大きなテーマは、サブタイトルにもある「捨てる」という言葉に絡んでの「喪失」である。和奏がまひるさんと死別したことは「喪失」である。これは、誰も望まなかった辛い別れであり、選択の余地の無かった出来事。そして、その事件が、現在の和奏が「喪失」するかどうかを大きく左右する。彼女は音楽科をやめ、自ら進路の1つを「捨てた」。そして更に、今回はピアノを含めた身の回りの品を「捨てる」ことで、その決断を決定的なものにする。彼女の意志は、母親との思い出を、過去の喪失感・罪悪感という2つの負の感情とともに全て蓋をすることを選んでいた。

 しかし、そんな彼女の「喪失」に大きく待ったをかけたのが、来夏という存在である。彼女の強引過ぎる誘いにより、和奏は「音楽を楽しむ」という母親の強い意志を思い出し、自分が進もうとした道を歩むことに疑問を感じた。覆らなかったはずの感情が、本当に正しいものなのかという疑問を持った。だが、現時点で彼女は止まらない。しかし、ピアノを処分する判断は彼女の迷いが大きく現れた行動と取ることが出来るだろう。「ピアノがあれば、自分はまた音楽の世界に立ち戻ってしまうかもしれない」という恐れを、過去の自分の意志を尊重するために打ち消してしまうことにした。揺るがぬ決心が現れているかのように見えて、彼女は来夏の存在によって自分が揺らいでしまうことを恐れている。自分の本心がどこにあるか、気付くことを恐れている。一度決まった方向に、事態は少しずつ進行していく。和奏のこの判断を止めることが出来るのは、もう来夏しかいないわけだが、果たして次回以降、辛く苦しい和奏の思い出に、待ったをかける図々しい友人は現れるのだろうか。

 今回はとにかく「失われたこと」が強くフィーチャーされており、これまで影の存在だったまひるさんの存在が強く表れる構成になっていた。「いないこと」を意識させる構図が多用され、画面半分がぽっかりと空いた寂しい坂井家の食卓や、本来ならそこにまひるさんがいたであろう、和奏の隣の椅子を見上げるようなカット、それに付随してもう1人の家族である猫のドラが突然「いなくなった」ことを意識させるえさ箱の描写など、和奏の心の傷が、決して安易で生やさしいものではないことが刻まれている。学校から戻って、広くなった自室を見て動揺する和奏の表情なども印象的で、「捨てること」は決して彼女の本意ではなく、一度過去に決定してしまった辛い記憶のために、彼女の現在の行動が大きく縛られていることがよく分かる。こういうエピソードを見せられてしまうと、このまま和奏が軽々しく「やっぱり歌う」というのもなんだか申し訳ないような気もするのだが、お話としては「歌う」ことに戻ってきてくれた方が草葉の陰のまひるさんも喜んでくれるんだろうな、などと勝手なことも考えてしまうのだ。やっぱり「家族をうしなうこと」についてのお話は色々と辛いのである。みんな、お母さんを大切にな。

 今回はひたすら坂井家メインだったのでそちらの描写にばかり目がいったが、実は「歌と踊りとときどきバドミントン部」のバドミントン要素が閉幕していたり、ウィーンのガンバライジャー設定が出てきたり、小ネタもちょいちょい挟んでいる。あと教頭の高校時代とかな。現在1人だけ一切迷いも悩みもなさそうで我が道を進み続ける紗羽ちゃんのハイスペックぶりにも驚かされる。歌えるだけでも大したもんなのに、あのダンスのキレは一体何なんだ。歌って踊れて弓道が出来て馬にも乗れるハイスペック巨乳大和撫子(ファッションだけ謎)。そんな子が突然試合後に「泣いてるの?」とか言って隣に座ってきたら、もう確実にフラグだと思って惚れる。「バドミ」などという謎の略称を使ってきたとしても惚れる。娘が早見沙織、母親が能登麻美子って、恐ろしい声が遺伝した母子やな。

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