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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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初めての喪失、第15話。誰にとっても辛い話。これが2期目の幕開けだというのだから、本当に酷な作品である。

 アールを中心にして回り始めた歯車は、まさに命の削り合い。誰もが同時に立つことはゆるされず、どこかで誰かの野望が潰えることが確実なのだ。ヘックスはヨナを亡き者にしようとし、ブックマンはプロジェクトのために大局が動くことを良しとしない。世界を動かす中心にいるべきはココ・ヘクマティアルしかないのだから、その傍らの少年兵など、小さな犠牲に過ぎないと考える。しかし、長年ココに付き従ってきた「スパイ」のアールは違った。ココにとって、ヨナをチームに加えることは本来ならば何一つ益のないこと。それをわざわざ実行しているココという人間のことを、もう一度考えるように上司を説得する。もちろん、それが実らないことは覚悟しており、彼が選択したのは本来の仕事への情熱を超えた、新しい信頼関係であった。

 アールの思いの強さは、あっけないほどに一瞬で散る。「ヨナを守ること」が「ココを守ること」に繋がり、それが「世界を救うこと」に繋がると信じたアールは、「ココこそが世界に仇なす怪物である」と信じて疑わないヘックスと衝突し、互いにむき身の武器だけを持ち、ぶつかり合った。いかな優秀な兵卒だったアールとて、百戦錬磨のヘックスと正面から対峙して無事で済むわけがない。世界のために命を捧げた男は、音もなく倒れ、人生に幕を下ろした。「スパイ」アールとしての正体が見えてからほんの一瞬の出来事である。

 「アールの死」は2人の人物に大きな影響を及ぼした。もちろん1人は、誰よりも仲間を思い、理不尽な死を忌み嫌ったココである。ヘックスの襲撃を受けたココは、普段の様子からは想像出来ないほどに取り乱した。それは、アールのいうところの「枷」であったヨナが危機に瀕したためだろう。傍らに置いた少年は、ココにとって、確かに何かの境界を産みだすものだったのだ。自らの命ならばいくらでもそろばんは弾けるが、ヨナの命はそうもいかない。彼女の様子を見る限り、ヘックスの狙いは確実に的を射ていたことになる。

 しかし、ちぎれそうだったココの「何か」を、アールが命を費やしてつなぎ止めた。「笑え」という過去の教えはアールからも受け継がれ、ココはおののきもせず、泣きもせず、戦友の死を笑った。そして、最大級の手向けとして怨敵を葬った。時を経て少しずつ変わっていく彼女の表情は、今回の顛末の全てを物語るものである。

 そして、アールとヘックスという「両腕」を一度に失ったブックマンも、今後の去就をアールに大きく動かされた人物である。ブックマンの名が示す通り、彼は凡百とは違った頭脳を持ち、戦局も大局も見えているつもりだった。しかし、机の上の理論では片付かない何かを、彼の「両腕」は見ていたのである。アールはココ・ヘクマティアルの可能性と悲壮なまでの決意を。そして、ヘックスはココ・ヘクマティアルの危険性を。どちらも過小に評価していたブックマンは、その代償として両手を失い、プロジェクトを大きく後退させることになってしまった。もちろん彼はまだ諦めてはいないのだろうが、彼の思惑を大きく狂わせたココという女との接し方を、今一度考える時期に来ている。

 一見すると単なる悪役でしかないヘックスだが、彼女もまた、他の全ての人々と同じように、揺るぎない信念の下で動き続ける殉教者である。合衆国への信仰のために、上司の思惑に背き、大きすぎる敵へとぶつかった彼女は、身の程を知らされる返礼を浴びた。「野望に敗れた一介の兵卒」と言ってしまえばそれまでの彼女の人生であったが、最後の最後まで、信念を揺らがせずに戦い続けた彼女の人生も、もう一つの正義だったのかもしれない。

 とにかく話が濃い。その印象は、1期もそうだし、第2期も1話目から変わらずに受ける。今回の話だって、全ての人物に背負いあげた大きなものがあるのだから、倍とは言わないが、もっともっと尺を取って描いても良いエピソードだったはず。しかし、それがこのスピードで詰め込まれて、紙一重のバランスで破綻せずに成立している。今回はコンテ・演出ともに元永監督の手によるもので、いかに難度が高く、重要なエピソードだったのかがうかがい知れるというものだ。張り付いたココの笑みと、それが揺らぐいくつかのシーン、対比的に変わらずに笑い続けたアールの信念と、笑みは笑みでも違った笑いで旅立ったヘックスの最期など、1つ1つのシーンのインパクトが絶大である。エンディングの繋ぎもずるくて、不覚にもうるっと来てしまうだけの情緒もあるのが恐ろしい。今週も堪能させていただきました。

 次週はついにキャスパーの再登場か……ますます話が濃くなりそうだなぁ。

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