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最近のアニメや声優、Magicに対する個人的な鬱憤を晴らすためのメモ程度のブログ。
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<以下の文章は、放送当時に執筆されたものである>
 
 
○第16話「誘惑の罠」
 脚本・高木登  絵コンテ・名村英敏  演出・吉田俊司  作画監督・胡陽樹


 <あらすじ>
 ゆずきの気持ちは晴れない。どこにいてもどんなときでも、あの「違和感」に怯え、地獄流しの予兆に苛まれる。路上で携帯電話を使っている人間を見るだけで、彼女はそこに地獄通信の影を見てしまうのだ。
 
 ある秋の夕暮れ時、彼女は路上で一人の男性とすれ違い、そこであの「予兆」を感じてしまう。また、地獄流しに携わったものが現れたのだ。慌てて来た道を駆け戻り、男を追うゆずき。歩道橋の上で思い詰めた様子のその男は、懐から藁人形を取り出した。ゆずきが慌てて止めに入ろうとするも、突如現れたあいが割って入る。金縛りのように身体を捉えられたゆずきは、あいに向かって「どいて」と叫ぶが、あいは「行っても無駄よ」といつものように言葉少なにゆずきを射竦める。そして、ゆずきが見守る目の前で、男は糸を解いてしまう。
 
 男の名前は名和章宏。町工場で働く取り立てて特徴も無い男。地獄流しの翌日も、彼は職場の同僚から誘われた合コンの約束を丁重に断り、近所の女の子、加世のところへ遊びにいく。彼は大の子供好きで、職場の同僚からはもっぱらロリコンであると噂されていた。更衣室で同僚に「中島のことを知らないか?」と尋ねられる名和。同じ工場で働いていた中島は、突然姿を消していた。名和は比較的中島と親しくしていたはずなのだが、短く「いえ」と答えるだけ。俯いた彼の胸には、あの刻印が黒々と残っている。
 
 ある日、工場の事務員に若くて綺麗な女性が赴任する。彼女の名前は宮島由貴。おばさんと男だらけのむさ苦しい職場に突如現れた紅一点。若い連中は彼女を取り囲むようにして言いよるが、宮島は困惑して必死に断ろうとする。空気が険悪になり、男連中が半ば無理矢理彼女を連れ出そうとしたところに、たまたま名和が通りかかる。「ロリコン」の彼は男連中と同じように宮島に言いよることもせず、仲間意識の薄い彼の前では、他の男もあまり無茶は出来ない。渋々宮島を解放して四散する。窮地を助けられた宮島は、人畜無害そうな名和にだけ心を許し、彼を食事に誘う。宮島と名和の間柄は自然に距離が縮まっていく。回りの連中のようにがっつかない名和に対し、宮島は積極的にアプローチをかけ、食事に誘ったり、会話を持とうとする。彼が近所の子供、加世と親しくしているのを見ても、特に偏見を抱く様子も無かった。興味の無い様子を装っていた名和も、そんな彼女には悪い気はせず、加世にも「あのお姉ちゃんが好きなんでしょ」と指摘されるようになる。
 
 ある日、宮島は名和の家を訪れて夕食を作っていこうとする。そんな彼女に、名和はついに自分の決意を打ち明ける。「自分は、こんなことをしてもらうような人間ではないのだ」と。問いつめる宮島に、名和は全てを語って聞かせる。失踪した中島を、自分が地獄通信を使って流してしまったという事実を。中島は、加世と親しくしている名和にいつの間にか近付いて来た。名和は彼の態度に不信感を覚えて独断で彼の家を家捜しし、彼が本当の意味での「幼女愛好家」であったことを突き止める。彼が加世と親しくしていたのは、名和とは決定的に違う目的があったのだ。数々の「危険な」写真を見て、名和は中島に詰め寄る。加世には二度と近付かないように、と。しかし、中島は「一線を越えるつもりは無い」と平然と言ってのけ、問いつめる名和に対しても、「これ以上余計なことをするならお前もお仲間だって言いふらしてやる」と脅して来た。そして、名和は彼を地獄に流した。
 
 地獄流しを行った人間は、他人から優しくされる価値も権利も無い。だからこそ、名和は世捨て人のように他人との関わりを断って行きていく決心をしたのだ。突然の話に答えに詰まる宮島。その日は黙って名和の部屋を後にするが、次の日、「あなたみたいな人が幸せになる権利が無いなんて間違っている」と名和を諭す。「地獄に堕ちるまでの残りの人生を、私と一緒に歩んでみないか」と。
 
 プロポーズを受けた名和は、悩みながらも彼女の申し出を受け入れる決心をする。いつも通りに加世と遊ぶ約束を丁重に断り、初めて宮島の家へ。慣れない女性の部屋にうろうろと戸惑う名和だったが、ひょんなことから彼女の部屋に伏せられたフォトスタンドが目に留まる。その中には、親しげに2人で写る宮島と中島がいた。「高校の先輩だったの」。いつの間にか背後に忍び寄っていた宮島がささやく。中島の「特殊な性癖」を知ってはいたが、2人でいる時には誠実で優しい人だったという。「私たちは、うまくいっていたの。突然失踪するような人じゃない……」。
 
 「騙したのか」と驚愕する名和の前に、宮島は藁人形を突き出す。「私のこと、好きになった? てっぺんから地獄に落としてあげる」。宮島はあまりに冷たい笑みを浮かべ、その赤い糸を解いた。
 
 そこで、ゆずきは我に返る。場所は歩道橋の上。彼女の前には、糸を解いたばかりの名和が佇んでいた。「あの人の未来よ」とあいが囁く。ゆずきに見せられていた情景、それは全てあいが送り込んだ名和の未来の姿。「怨み怨まれ、流し流され、そうやって怨みの連鎖は続いていく。誰にも止められない」。あいがゆずきに向かって言い放つ。「でも、そんなことは間違っている。誰かが止めなければ」金縛り状態のゆずきが叫ぶ。「あの男は糸を解いてしまったわ」「それでも、あの女の人が糸を解くのは止められるもの!」
 
 ゆずきの必死に思いに、あいはゆずきを解放する。しかし、時既に遅く、名和は歩道橋の上から姿を消していた。必死に彼の姿を探すゆずき。夕暮れの街は、あまりに広過ぎる。
 
 
 <解説>
 11話では「アニメの影響」というある意味自虐的なネタを盛り込み、今回はロリコン談義ですか。あれだけ中学生の入浴シーンを描写しておいて……
 
 とりあえず、今回は事件像そのものは割と単純である。2つの時間軸の異なる地獄流しが行われているが、片方は「大切なものを守るため」、片方は「大切なものを奪われたことに対しての復讐」。そこに新規な視点として「地獄流しを行った者の後日談」という要素が加わる。一応、作中で宮島が行っていることと同様に、演出意図としては「完全に味方だと思っていた宮島が実は最も根深い怨みを持つ復讐者であった」というギミックを際立たせ、「意外な依頼人」を打ち出したかった部分もあるのだろうが、残念ながら今回は特に意外性は無い。視聴者からしたら冒頭の名和の地獄流し(地獄コントも何も無い)だけでワンエピソードを引っ張るはずが無いことくらいは分かるわけで、そうなると依頼人となるのは宮島しかいないのだから。一応中盤には「ひょっとして遊び相手を取られた加世ちゃんが腹を立てて宮島を流す?」という可能性も考えたのだが、流石にちょっと無理がありすぎる。一応「大切なものを守るために地獄流しをしたら、その大切なものが自分の新たな大切なものを流してしまった」という鬱エピソードにはなるんだけど。
 
 ということで、今回最も意外なのは、やはり夢オチだろう。あいはゆずきと視覚共有出来るのだからリアルタイムで名和の顛末を流してやってもいい気がするのだが、それをわざわざ前払いで全てゆずきに見せ、彼女に無力感を突きつけている。何故わざわざこのような行動に出たのかは推測するしかないが、今回の一件は「怨みの連鎖」という紅林拓真編で表面化した地獄少女の本質的なテーマを端的に表すものでもある。それを彼女に手短かに伝えることが、地獄少女なりのメッセージということになるのだろうか。もちろんゆずきの意志はそんなに簡単に覆らないわけだが、一応今回はあいがゆずきと正面切って問題を議論した初めての機会。今後は紅林拓真の時と同様に、直接的なアプローチも増えていくのだろう。
 
 それにしても、あいは未来予知まで出来るのか。確かに、14話、15話における「予兆」の存在に疑問を呈してはいたのだが、それに対して今回はあいが手ずから一番分かりやすい答えを提供してくれたことになる。ゆずきがこれまで感じて来たものは「怨みの念」などではなくて、「地獄通信に将来アクセスするものの気配」だったわけだ。ただ、柏木秀美や篠原うさぎとの「予兆」が、あいの意志によってゆずきに伝達されたものなのか、それともゆずき自身が「地獄少女」とリンクしたことによって得た独自の能力なのかは判断しかねる。
 
 また、実際に放送され、視聴者が見た映像がそのままゆずきに伝達されたのかどうか、という部分も気になるところ。最も気になったのは、地獄流しが終わった後の名和の様子を、四藁が観察していた部分である。普通に考えれば、四藁やあいの仕事は地獄流しが終わった時点で終了している。これまでのエピソードでも、地獄流しの後の依頼者の保護観察みたいな真似をしたことはなかったはずだ(「沈黙のまなざし(2期17話)」では、久しぶりに過去の依頼人に出会った一目蓮が驚く描写があるし、「偽地獄通信(2期10話)」でも、三藁が独自調査してようやく過去の依頼人が事件に加担していることに気が付いていた)。今回のエピソードの場合、名和の地獄流しの後に宮島の地獄流しというイベントが控えていたとはいえ、単なる「仕事を終えた依頼人」に四藁が張り付いている必要は無い。わざわざみんなで見物しにいっていたということは、「あいがその映像をゆずきに流し、怨みの連鎖がそこから繋がるという事実が判明している」という含意があったのかもしれない。きくりは加世と遊ぶ名和のところに突然現れ、加世が「加世のお友達だよ」と紹介した時に「覚えておいて損は無いぞ!」といつものように意味の分からないことを口走っている。これも、「名和が間もなく地獄に流される」ということが分かっている状態なら、「お前はすぐに私のところ(地獄)に来るんだぞ」という暗示ともとれる。まぁ、流石に深読みしすぎな気もするけど。
 
 さ、それでは今回の事件のメインのポイントに入ろう。議題は、「ロリコンとは?」。「ロリコン」と陰口を叩かれる名和を見て輪入道が「面倒な世の中になったもんだ、俺らの時代にはなんてこと無い光景だったけどな」と漏らしていることからも分かる通りに、現代の子供は、あまりに過剰な保護の元に置かれている。通学路でおっさんが声をかけるだけで刑事事件になるくらいなもんで、昔ながらの近所付き合いなんてあったもんじゃない。そんな奇妙に歪んだ価値観の中で、今回の登場人物、名和と中島には、どんな差があったのだろうか。シナリオ上、中島は完全に悪役風に、名和は使命に燃える正義漢風に描かれてはいるが、中島が「お仲間だろ」と言っていることからも分かる通りに、世間から見たら名和も中島も危ない奴に変わりはない。決定的な違いは、中島には加世に対して性的な欲求を持っており、名和はそれを持たない(と自覚している)こと。中島は実際に「きわどい写真を撮る」という行動に出ているが、これも自室の奥深くに眠らせていたことから分かるように完全に自己完結する「趣味」のためであり、宮島というパートナーを持っていたのだから、世間的に「普通の」生活を送ろうとしていたことも明らか。そして名和に問いつめられた中島は「見ているだけで幸せなんだよ」「一線越えるつもりは無いんだからさ」との発言もしている。つまり、「ただ加世といることが幸せである」という点において、世間的には名和も中島も違いは無い。しかし、名和は「義憤」にかられて中島を地獄に流している。
 
 何も考えずに見れば、おそらくこれは「性犯罪者予備軍を純粋な心を持つ主人公が流した」という構図なのだろうが、個人的にはどうにもそうは見えない。結局のところ、名和と中島の存在は等価である。となると、名和の地獄流しは、単なる独占欲である。自分が大切にしてきたものが、突然横入りして来た人間に共有され、あげくそれが自分の理念とはかけ離れた「汚らわしい」目的で消化されていることに我慢出来なかったのだ。これは、単なるエゴイズムの現れなのではないか。もちろん中島のような人間が非常に問題の多い存在であるのは間違いないだろうが、その問題のある人間に「お仲間だろ」と言われ、「仲間だと言いふらすぞ」と脅された結果地獄へ流してしまうというのは、逆に多大なる後ろめたさの表れであるともとれる。自分と中島が「違う」と信じているならば「言いふらす」との脅しにも「好きにすればいい」と開き直ればすむ話なのだ。価値観の異なった人間をただ否定するという行為は、復讐の対象となって当然といえるだろう。
 
 名和の行為をエゴイズムの現れと見ることによって、宮島の「復讐」がよりシャープに見えてくる。当初、宮島は中島と親しかったらしいという理由で名和に近付いている。そして思いがけず地獄流しの顛末を聞くことになるわけだが、彼女は名和の告白を聞いた時にもまったく表情を変えなかった。在りし日の恋人と同じように幼い少女と遊ぶ名和には、何か縁のようなもの、もしくは同族どうしでのただならぬ関係性を感じていたのではなかろうか。そうでなければ、わざわざ手を替え品を替え名和に接近する理由は乏しいだろう。そして、そんな名和に対する復讐は、自分に恋愛感情を抱かせてからのどんでん返し。「愛するものを失った悲しみを味わわせるには、まず愛する者を作り出してやればいい」というのは某剣客漫画で闇乃武の方々も使っていた手段である。
 
 名和は、宮島に心を許して彼女の家を訪れる際、いつものように「遊んで」と駆け寄って来た加世に対して「また今度な」と初めて断りの言葉を述べている。これが、名和の中での端的な「優先度の変化」を表している。地獄流しの業を背負うために孤独な身の上を歩むことを決め、自分が守り抜いた加世との幸福だけで満足していた名和が、新たな「幸福」の種を見いだし、それを選択したことにより、彼の中で成立していた「地獄流しの大義名分」にも揺るぎを生じさせる。「地獄流しまでして守りたかったものよりも、さらに大切なもの」がこうもあっさり生まれた時点で、彼の行為は正義ではなく、エゴイズムに堕したのだ。宮島は、そこまでのことを狙って、彼を籠絡したのではないか。
 
 なんだろう、何故か中島側の肩を持つ論調になっている気がするが……「YES!ロリータ NO! タッチ」は、現在最強のロリ漫画専門誌である「コミックLO」に掲載されるキャッチコピーである。犯罪は駄目だよ。あくまで二次元でね!
 
 さ、話題を変えよう。今回は夢オチ絡みのギミックがメインにあったのでその他に大きく気になった演出などは少ないが、唯一非常に印象的だったのが、冒頭でゆずきが横断歩道に立つシーン。彼女は回りの人間のほとんどが無心に携帯電話を覗いているのを見て、地獄通信のことを思い出し、放心する。確かに、2期のラストで携帯からのアクセスが解禁になり、この三鼎では何度か携帯によるアクセスも行われているが、明示的に携帯でのアクセスがあったのは「はぐれ稲荷」と「怨みの街角」の2回だけ。一応時間的に考えると「六文灯籠」の時もそうかな? ただ、ゆずきの中で「携帯=地獄通信」という構図が出来上がるほどの印象ではない気がするのだが……今後この「携帯」というファクターが重要になってくるのだろうか。
 
 そんなゆずきが携帯電話繋がりで過去の地獄流しを思い出し、親友の秋恵が流されたシーンを思い出すカットが非常に面白かったのも付記しておこう。泡のように上空に消えてしまった秋恵の回想から、突然歩行者用信号の青に画面がスイッチするというカット割りなのだが、歩行者用信号機の表示は、現在青色ダイオードのおかげで「ドットで形成された歩く人型」という視覚的属性が顕著である。泡沫になって消え去った秋恵のビジュアルとドットの人型をリンクさせるっていう発想が、実に嫌らしくて良かった。
 
 今回のキャストだが、ピュアロリコン野郎(27)の名和役には、同世代で「あいつ、あの声じゃなきゃ単なる人格破綻者ですからね」と言われた杉田智和(発言元は神谷浩史)。絶対に変な性癖はあるんだろうなぁ。そして怨みの権化となった宮島由貴役には、今期も登場、ナチャーンこと桑谷夏子。前回もある意味地獄流しに加担してたので、2回目の経験者と言ってもいいかもしれません。まぁ、前回は妖怪になってましたけど(「紙風船ふわり(2期21話)」)。中島役の人は知らない人。そして今回最大のポイントとなったロリッ子加世ちゃん役は、年齢一桁、純正ロリッ子松元環季ちゃん。基本的にリアルロリッ子に子供役をやらせる必要は全く無いと考えているが、この子は不思議な存在感がある。もちろん発声などはたどたどしい部分もあるのだが、多分同年代の役者の中では破格のスキルなんだろう。春先から気になってしょうがなかった。正直言うと、このまま声優道を歩んで欲しいとも思う。天子様にはクラクラさせられっぱなしでした。

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関西在住の、アニメを見ることを生業にしてるニート。必死で好きな声優を12人まで絞ったら以下のようになった。
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